エプソンダイレクト「Endeavor NA501E」
~厚さ約20mmで6万円台からのCULVノートPC



エプソンダイレクト
「Endeavor NA501E」

12月中旬 受注開始

価格:64,890円~



 エプソンダイレクトから登場した「Endeavor NA501E」(以下、NA501E)は、CULV CPUを搭載したスリムモバイルノートPCだ。このクラスの製品は、ネットブックと通常のモバイルノートPCの間に位置し、従来20万円近くしていたモバイルノートPCに近い性能を、6~12万円程度の価格で実現していることが魅力だ。

 CULVノートPCは、コストパフォーマンスが高く、メインマシンとしても使えるということで人気を集めており、日本エイサーや、ASUSTeK、NEC、東芝、富士通、レノボなど、国内、海外メーカー問わず、次々と製品が登場している。

 NA501Eは、CULVノートPCの中でもトップクラスの薄さと軽さを実現しており、デザインや使い勝手も優れている。今回は、NA501Eを試用する機会を得たので、さっそくレビューしていきたい。ただし、今回試用したのは試作機なので、製品版とは細部やパフォーマンスが異なる可能性がある。

●厚さ約20mmの持ち歩きやすいフラットボディを実現

 NA501Eは、最薄部19.6mm、最厚部でも20.8mmという、ほぼフラットで薄いボディを実現していることがウリだ。今でこそ、厚さ13.9mmのVAIO Xや厚さ9.99mmのAdamo XPSといった超薄型ノートPCが登場しているが、少し前までは厚さ30mm程度でもスリムだと賞賛されていたことを考えれば、NA501Eの約20mmという厚さは高く評価できる。ちなみに、スリムなボディで話題を集めたMacBook Airの厚さは19.4mmであり、NA501Eとほとんど同じだ。また、単に薄いだけでなく、ボディのコーナーが丸みを帯びており、側面から見てもエッジが曲面になっているので、カバンやバッグにサッと出し入れできるのも便利だ。

 ボディカラーは、ブラックとシルバーの落ち着いたツートンカラーだ。天板はアルミ製で、ヘアライン加工が施されており、高級感を演出している。また、パームレスト部に、レザーに似た質感を持つソフトレザーペイントが施されていることも評価できる。表面に微細な凹凸ができるため、長時間手を置いていてもベタつきが少ない。もちろん、剛性も十分で、ボディの出来はなかなか素晴らしい。重量は約1.48kgで、13.3型ワイド液晶搭載ノートPCとしては軽い部類だ。ネットブックと比べても重量的には遜色はなく、気軽に携帯できる範囲に収まっている。

 NA501Eは、BTOでCPUやメモリ、HDDなどの基本スペックをカスタマイズ可能である。CPUについては、Core 2 Duo SU9400(1.40GHz)かCeleron 743(1.30GHz)から選べる。どちらも超低電圧版のCULV CPUだが、Core 2 Duo SU9400はデュアルコアであるのに対し、Celeron 743はシングルコアであり、パフォーマンスにはかなりの差がある。チップセットは、グラフィックス統合型のIntel GS45 Expressで、メモリは1GB/2GB/4GBから選択可能だ。HDDは2.5インチだが、容量は160GB/250GB/320GB/500GBから選べ、160GBと320GBは5,400rpm、250GBは7,200rpm、500GBは5,400rpmと7,200rpmの両方から選択できる。

 今回の試用機は、Core 2 Duo SU9400、メモリ2GB(1GB×2)、250GB HDD(7200rpm)という仕様であった。また、OSもWindows 7 Home Premium、Windows 7 Professional、Windows XP Professionalの3種類から選べるが、試用機にはWindows 7 Home Premiumがインストールされていた。この構成の価格は93,240円だ。

Endeavor NA501Eの上面。コーナーが丸みを帯びている。天板はアルミ製で、ヘアライン加工が施されている「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。奥行きはほぼ同じだが、横幅はNA501Eの方が長い
NA501EとDVDトールケース(右)との厚さ比較。NA501Eの薄さがよくわかるNA501EとLet'snote Y8(右)との厚さ比較。Let'snote Y8はやや厚めのノートPCだが、NA501Eはその半分以下の厚さしかない
NA501Eの底面。左下にHDDベイカバーが設けられているHDDベイカバーとバッテリを外したところ試用機には、SeagateのMomentus 7200.4 250GBが搭載されていた。7,200rpmの高速HDDだ

●ノングレア液晶採用で映り込みが少ない

 液晶のサイズは13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットである。ネットブックの主流である1,024×600ドット液晶では、解像度不足を感じることも多いが、1,366×768ドット表示ならそうした不満はない。

 最近のノートPCでは、表面に光沢のあるパネルが貼られた光沢タイプの液晶が主流となっているが、NA501Eでは、つや消しのノングレアタイプの液晶が採用されている。色の鮮やかさやコントラストは、光沢タイプのほうが有利だが、光沢タイプは原理上、どうしても外光が映り込みやすいという欠点がある。仕事などで長時間使う場合は、外光の映り込みが少なく、まぶしさも感じにくいノングレアタイプのほうが目の疲れが少ない。色の鮮やかさは光沢タイプと比べるとやや見劣りするが、ネットサーフィンや文書作成といった用途なら、特に問題はないだろう。液晶上部には、Webカメラ実装用スペースが用意されているが、Webカメラは実装されておらず、その右側にマイクのみ実装されている。Webカメラは実際にはあまり使われていないので、省いてその分コストダウンを図るという姿勢は評価できる。

 キーボードは全88キーで、キーピッチは18mm、キーストロークは1.7mmだ。右側の一部のキーピッチが狭くなっているが、キー配列は標準的で、快適にタイピングが可能である。また、左FnキーとCtrlキーの入れ替えが可能なことも、Ctrlキーの位置にこだわる人には嬉しいだろう。左FnキーとCtrlキーの入れ替えは、起動時にF2キーを押すことで呼び出せるBIOS設定画面で行なう。さらに、それほど需要は多くないと思われるが、右Altキーとアプリケーションキーの入れ替えも可能だ。

 ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを採用。タッチパッドの表面にもパームレストと同じ、ソフトレザー塗装が施されており、指との摩擦が適度で使いやすい。ただし、左右クリックボタンがシーソー式で一体になっているのがやや気になった。実際にはクリックミスをすることはほとんどなかったが、独立したボタンのほうがより確実にクリックできる。

NA501Eの液晶は13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットの16:9仕様だ。最近は珍しくなったノングレアタイプの液晶なので、外光の映り込みが少ない。LEDバックライト採用で、省電力化に貢献している液晶上部にマイクが用意されている。Webカメラを取り付けるスペースが用意されているが、Webカメラは実装されていないポインティングデバイスとしてタッチパッドを搭載。左右クリックボタンが一体になっている
NA501Eのキーボードは全88キーで、キーピッチは18mm、キーストロークは1.7mm。キー配列も標準的だが、右側の「ろ」「め」などのキーピッチはやや狭くなっているが、「む」や「「」は逆にキーピッチが広くなっている。右側にもFnキーが用意されているのも珍しい左FnキーとCtrlキーの入れ替えが可能で、キートップにも両方の文字が印刷されているBIOS設定画面のAdvanced Settingsで、左FnキーとCtrlキーの入れ替えおよび右Altキーとアプリケーションキーの入れ替えが可能

●インターフェイスは必要にして十分

 NA501Eは、インターフェイスとしてUSB 2.0×3、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、ヘッドフォン出力、マイク入力を搭載する。HDMI端子やeSATA端子などは搭載していないが、USB 2.0ポートは左右に配置されており、必要にして十分だといえるだろう。

 また、メモリカードスロットとして、3in1スロットを搭載。SDメモリーカード/SDHCメモリーカード/MMC/メモリースティック(PRO)の読み書きが可能だ。なお、3in1スロットのフタはダミーカード方式である。ワイヤレス機能としてはIEEE 802.11b/g対応無線LAN機能を搭載。最新の11nには対応していないが、まだ11n環境が整っているところは少ないので、実用上は問題ない。

左側面には、USB 2.0×2とヘッドフォン出力、マイク入力が用意されている右側面には、3in1スロットとUSB 2.0、LAN、ミニD-Sub15ピンが用意されている

●薄型リチウムポリマー電池と小型軽量ACアダプタを採用

 バッテリは薄型のリチウムポリマー電池を採用。11.1V/2,800mAhという仕様であり、円筒形リチウムイオン電池だと3セルに相当する。そのため、公称バッテリ駆動時間は約3.2時間とあまり長くはないが、ボディの薄さと軽さを重視したのであろう。その代わり、ACアダプタはコンパクトで軽い。ACケーブル込みの重量は実測で232gであり、本体と一緒に気軽に持ち歩けることは嬉しい。

NA501Eのバッテリ。薄型のリチウムポリマー電池を採用し、ボディの薄型化に貢献しているバッテリは11.1V/2,800mAhという仕様だ。円筒形リチウムイオン電池だと3セルに相当する容量だCDケース(左)とバッテリのサイズ比較
ACアダプタはコンパクトで軽く、携帯性は優秀だ。ACケーブル込みの重量は実測で232gであったCDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

●Windows 7を快適に動かせるパフォーマンスを実現

 参考のためにベンチマークを計測してみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較対照用に日本HP「HP Notebook PC dm3a/dm3i」、NEC「LaVie M」、ソニー「VAIO X」、日本HP「HP Mini 2140 Notebook PC」の値も掲載した。

 PCMark05のCPU Scoreの値は3632で、同じCULV CPU搭載ノートPCでも、Celeron SU2300を搭載したLaVie Mより2割以上高い。さすがに通常電圧版のCore 2 Duo SP9300を搭載したHP Notebook PC dm3iのスコアには及ばないが、この価格帯の製品としては十分なパフォーマンスを持っているといえる。Atom搭載ネットブックと比べると、チップセットの世代が新しく、内蔵グラフィックスコアが強化されているので、3D描画性能も高い。また、試用機は7,200rpmの高速HDDが搭載されているため、ディスクパフォーマンスが高く、CrystalDiskMarkのスコアも優秀だ。Windows 7 Home Premiumも軽快に動作しており、パフォーマンスについては満足できる。

 BBenchによるバッテリ駆動時間のベンチマーク結果(無線LAN常時オン)は2時間31分で、公称駆動時間からも予想された結果であるが、あまり長くはない。

 Endeavor NA501EHP Pavilion dm3aHP Pavilion dm3iLaVie MVAIO XHP Mini 2140
(1,366×768ドット液晶)
CPUCore 2 Duo SU9400(1.4GHz)Athlon Neo X2 L335(1.6GHz)Core 2 Duo SP9300(2.26GHz)Celeron SU2300(1.2GHz)Atom Z540(1.86GHz)Atom N270(1.6GHz)
ビデオチップIntel GS45内蔵コアM780G内蔵コアGeForce G 105MIntel GS45内蔵コアIntel US15W内蔵コアIntel 945GSE内蔵コア
PCMark05
PCMarks340427815042282612481566
CPU Score363231145604296615831482
Memory Score365726145016306624212350
Graphics Score1495135534481397245546
HDD Score571245635051494835265713
3DMark03
1024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)2114248484782048365718
CPU Score6556481535495207242
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH18002173567619954361010
LOW26153976866013677661386
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP90.9762.4799.9776.4336.1736.9
HP99.9799.9799.9799.9785.575.97
SP/LP10099.9799.9399.9710099.97
LLP99.9799.9799.9799.9710099.97
DP(CPU負荷)647050687868
HP(CPU負荷)355427427868
SP/LP(CPU負荷)233919285942
LLP(CPU負荷)183517223932
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード99.69MB/s92.55MB/s76.27MB/s60.31MB/s65.90MB/s未計測
シーケンシャルライト95.33MB/s85.19MB/s72.82MB/s66.25MB/s38.42MB/s未計測
512Kランダムリード39.21MB/s36.64MB/s34.69MB/s27.50MB/s63.23MB/s未計測
512Kランダムライト57.91MB/s47.96MB/s32.72MB/s31.19MB/s3.108MB/s未計測
4Kランダムリード0.538MB/s0.489MB/s0.516MB/s0.369MB/s4.135MB/s未計測
4Kランダムライト1.054MB/s1.004MB/s1.025MB/s0.984MB/s1.523MB/s未計測
BBench
Sバッテリなしなしなし3時間39分2時間57分未計測
Lバッテリ(標準バッテリ)2時間31分4時間18分5時間1分7時間26分6時間2分未計測
Xバッテリなしなしなしなし12時間56分未計測

●CULVノートPCの中でも完成度の高い製品

 NA501Eは、薄くて軽く高品質なボディと、使い勝手のよいキーボードを備え、CULVノートPCの中でも完成度は高い。今回の試用機構成の価格は93,240円だが、最小構成時の価格は64,890円からで、コストパフォーマンスも優秀だ。また、受注開始は12月中旬の予定だが、初回1,000台限定で、標準バッテリ(単品購入価格4,200円)が無料でもう1つ付いてくるキャンペーンが行なわれる。

 NA501Eの弱点はバッテリ駆動時間がやや短いことだが、フル充電した予備バッテリを持ち歩くことで、その弱点もカバーできる。ノートPCを自宅から学校などに持って行って使いたいが、移動中には使うことは少ないという人にも最適であろう。ネットブックとは異なり、パフォーマンスに不満を感じることも少ないので、幅広い層にお勧めできる。

バックナンバー

(2009年 12月 15日)

[Text by 石井 英男]