東芝「dynabook UX」
〜dynabookブランドに相応しいネットブック第2弾



東芝「dynabook UX」

発売中

価格:オープンプライス



 東芝は、ネットブックの新モデルとなる「dynabook UX」を発売した。従来モデルの「NB100」は、dynabookとは異なるブランドでの投入だったが、新モデルは、同社のノートPCブランド「dynabook」を冠するとともに、広告も大々的に打っており、かなりの意気込みが伝わってくる。そのdynabook UXを試用する機会を得たので、仕様面を中心にチェックしていこう。

●安っぽさを感じさせない、洗練されたデザイン

 dynabook UXは、従来モデルのNB100と比較して、さまざまな面で大きく進化を遂げている。その中で、最も大きな進化と言っていいのが、本体デザインだ。

 筆者の個人的な感想だが、NB100は、他社製のネットブックと比較して、デザイン面で特に優れるという印象は受けなかった。もちろん、ボディの細部の仕上げが雑だったり、ヒンジ部にがたつきが見られたり、本体隅を持って持ち上げてもボディがたわむこともなく、品質面には全く不安がなかった。しかし、キーボード面や液晶ベゼル、本体底面はプラスチック感むき出しで、バッテリが本体後部にせり出している点など、dynabookシリーズと比較すると、デザイン面があまり煮詰められていないという印象が強かった。

 それに対し、dynabook UXは、そのイメージが完全に払拭されている。もちろん、コストダウンのためにプラスチックボディが採用されているものの、プラスチック感むき出しではなく、安っぽいといった印象は全く感じない。天板は、NB100のような光沢仕上げではないが、細かいストライプが彫り込まれていることで、光沢仕上げとは違った存在感がある。また、キーボード面と底面がシルバーで統一されていることも、安っぽさを感じさせない要因だろう。

 本体サイズは、263×192.3×25.4〜30.8mm(幅×奥行き×高さ)。フットプリントはNB100からひとまわり大きくなっているのに対し、高さは2〜4mmほど薄くなっている。フットプリントが大きくなったのは、後ほど紹介するように、10.1型液晶を採用したためだ。その上で、本体の薄型化を実現している点は嬉しい。

 本体重量は、実測値で1,179g。HDD搭載のNB100は1,059g(実測値)、SSD搭載のNB100/HFは1,025g(実測値)だったため、120〜150gほど重量が増していることになる。しかし、本体サイズが大きいためか、実際に手に持っても、それほど重く感じない。本体の薄さもあり、携帯性はほとんど損なわれていない。

本体正面。左にブリッジメディアスロット、右にインジケータが見える 左側面。高さは25.4〜30.8mmと、NB100より薄くなっている 背面。中央にバッテリが取り付けられている。バッテリはNB100との互換性はない
右側面。底面にかけてもシルバーで統一されており、プラスチック感は薄い 高さは、NB100(右)より2〜4mmほど低くなっている 天板部分。斜めにストライプが彫り込まれ、安っぽさは感じない。また、dynabookロゴが目立つ
フットプリントは、263×192.3mm(幅×奥行き)。DOS/V POWER REPORT誌よりも若干小さい NB100(右)よりも一回りほど大きい
底面もシルバーで統一され、NB100のような安っぽさは感じない 本体重量は実測値で1,179g。本体が大きくなったため、NB100より120〜150gほど重くなっている

●dynabook初の独立型キーボードを採用

 デザイン面で最大のポイントとなるのが、キーボードだ。dynabook UXでは、キーが独立したキーボードが採用されている。独立型キーボードといえば、ソニーのVAIOやアップルのMacBookなどがおなじみだが、dynabookシリーズとしては、このdynabook UXが初の採用だ。実際に液晶パネルを開けると、独特な存在感のあるキーボードが目に飛び込んできて、NB100はもちろん、他のdynabookシリーズとも異なる印象が醸し出されている。

 dynabook UXのキーボードは、キーピッチが19mmと余裕がある。Enterキー付近の一部のキーはピッチが狭くなっているものの、タッチタイプも余裕で可能。ピッチの狭いNB100のキーボードよりも余裕を持って扱えることは間違いなく、タッチタイプのやりやすさはかなり上だ。配列は、Fnキーがカーソルキーの隣に配置されている点を除き、他のdynabookシリーズのキーボードとほぼ同じだ。右Ctrlキーを多用している人や、Fnキーを併用する機能を利用する場合には戸惑うことがあるかもしれないが、左CtrlとFnキーが隣接していないため、従来のキーボードのFnキーの位置に不満がある人にとっては、Fnキーの移動は嬉しいかもしれない。

 独立型キーボードは、使い勝手に賛否両論あるようだが、個人的には、使い勝手で特に問題は感じなかった。キートップが平らなため、使い始めは若干違和感を感じる場面もあったが、慣れてしまえば全く気にならず利用できる。見た目だけでなく使い勝手という点でも独立型キーボードの採用は成功していると言っていいだろう。

 ところで、キーボードは液晶ヒンジ部ギリギリまで奥に配置されており、かなり広いパームレストが確保されている。それに応じて、大きな面積のタッチパッドが搭載されるとともに、クリックボタンもパッド手前に配置されていて、タッチパッドの使い勝手はかなり快適だ。ネットブックのタッチパッドは、面積が小さかったり、クリックボタンがパッド左右に配置されていたりと、使い勝手の悪いものも少なくないが、dynabook UXのタッチパッドで、使い勝手に不満を感じることはまずないはずだ。

dynabook初の独立型キーボードを採用。独特のデザインと統一されたカラーで、これまでのdynabookシリーズにはないスタイルを実現 Enter付近など一部キーはピッチが狭いが、主要キーは19mmピッチと余裕があり、かなり扱いやすい
Fnキーがカーソルキーの隣に配置され、右Ctrlがなくなっている キーボードが液晶ヒンジギリギリまで奥に配置されたことで、大型のタッチパッドが搭載され、こちらも非常に扱いやすい

●液晶は、表示品質はそのままに、10.1型へ大型化

 先ほども紹介したように、dynabook UXでは、10.1型ワイド液晶が搭載されている。NB100の8.9型液晶に比べると、その存在感は数字以上。表示解像度は1,024×600ドットと従来と同じだが、文字やアイコンの表示サイズが大型化していることもあって、見やすさは大きく向上している。

 もちろん、液晶パネルは、NB100でも評価の高かった、優れた表示品質を誇るClear SuperView液晶を引き続き採用している。鮮やかで自然な発色が実現されているとともに、LEDバックライトによる高輝度も特徴。液晶の表示品質は相変わらず他のネットブックを完全に凌駕している。

 液晶表面は光沢処理が施されているが、同時に低反射処理も施されている。天井の照明などの映り込みが全く気にならないということはないが、他の光沢液晶に比べるとその割合は低い。とにかく、優れた液晶の表示品質がそのまま受け継がれている点は、大いに評価したい。

1,024×600ドット表示対応の10.1型Clear SuperView液晶を搭載。解像度はそのままだが、大型化によって液晶の見やすさは大きく向上している 液晶の表示品質は、NB100(右)とほぼ同じ。高輝度かつ鮮やかな発色が実現されている
液晶上部には、Webカメラ用の30万画素CMOSセンサーが搭載されている NB100では、液晶が180度ほどまで開いたが、dynabook UXは140度ほどまでとなった

●HDDプロテクションなど付加機能も充実

 dynabook UXの基本スペックは、CPUこそ動作クロックが1.66GHzのAtom N280に変更されているものの、チップセットはIntel 945GSE Express、メインメモリ1GB、160GB HDD搭載と、ネットブックとしておなじみのものとなっている。ネットワーク機能は、100BASE-TX対応有線LANと、IEEE 802.11b/g対応の無線LANを標準で搭載。NB100に標準搭載されていたBluetoothが省かれている点は少々残念だ。

 ちなみに、メインメモリスロットとHDDベイには、本体底面のフタを開けるだけで簡単にアクセスできる(ただし、HDDベイのフタを開けるにはトルクスドライバーが必要)。HDDは、SATA仕様の9.5mm厚2.5インチHDDが利用可能。また、メインメモリは最大1GBまでのサポートとなっているが、2GBモジュールを取り付けても正常に動作した。

 基本スペックは、ネットブックのカテゴリに属する以上、他のネットブックと大きく変わる部分はない。しかし、dynabook UXでは、その他の付加機能は充実している。

 まず、3次元加速度センサーの搭載により、本体の落下などを検知し、外部からの衝撃が加わる前にHDDのヘッドを待避させる「東芝HDDプロテクション」を標準搭載。また、本体がスタンバイ、休止状態、シャットダウンの状態でもUSBポートに給電を行ない、USB機器や携帯電話などの充電が行なえる「東芝USBスリープアンドチャージ」機能も搭載する。しかも、Windows上で利用するツール「東芝USBスリープアンドチャージユーティリティ」を利用して動作モードの設定が行なえるため、使い勝手にも優れる。加えて、dynabookで培った省電力技術を盛り込むとともに、省電力ユーティリティ「東芝省電力」で省電力設定を細かく設定できる点もポイントが高い。こういった付加機能は、他のネットブックには搭載されていない場合が多く、かなりの優位点となるはずだ。

 ところで、NB100では付属ソフトがほとんどなかったが、dynabook UXには、「旺文社 英和中辞典・和英中辞典・国語辞典・カタカナ語辞典」や音声認識・音声合成ソフト「LaLaVoice」などが標準でプリインストールされている。また、「Microsoft Office Personal 2007 2年間ライセンス版」が付属するモデルも用意されている。

 ネットブックは、2台目以降として購入されることが多く、付属ソフトは重要視されないことがほとんどだ。ただ、最近では1台目のPCとしてネットブックを購入する人も増えているために、そういったユーザーに向けて付属ソフトの充実を図ったものだ。とはいえ、一般のノートPCに比べると、付属ソフトは最小限で、充実しているとまでは言えない。どうせなら、Office付属モデルは、価格が高くなるとしても、さらに多くのソフトを付属させてもよかったように思う。

本体正面左には、SDカード/SDHC/MMCに対応するブリッジメディアスロットがある 左側面には、アナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)、マイク/ヘッドホン端子、有線LAN、USB 2.0×1を用意 右側面のUSB 2.0ポートは、電源が落ちている場合でも給電が行なえる「東芝USBスリープアンドチャージ」に対応している
右側面には、USB 2.0×2と電源コネクタが用意されている 底面のフタを開けると、HDDとメインメモリスロットにアクセスできる。メインメモリは非サポートながら2GBモジュールも認識した HDDは厚さ9.5mmの2.5インチHDDを搭載。フタを開けるにはトルクスドライバーが必要だが、交換は容易だ
3次元加速度センサーが搭載され、外部の衝撃を感知してHDDのヘッドを待避させる「東芝HDDプロティション」機能を標準搭載 dynabookシリーズで培った省電力機能も盛り込まれ、専用ユーティリティ「東芝省電力」を利用して細かな省電力設定が行なえる USBスリープアンドチャージも、専用ユーティリティで動作設定が行なえる

●品質、機能、サポートを重視する人におすすめ

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類。比較用に、従来モデルのNB100およびNB100/HF(OSはXPおよびVista)の結果も加えてある。

 結果を見ると、CPUの動作クロックが向上している分、CPUやグラフィックのパフォーマンスが向上していることがわかる。それに対し、HDDのパフォーマンスはNB100とほぼ同等。NB100/HFに搭載されるSSDに比べると、当然だがかなりパフォーマンスが劣っている。

 


dynabook UX NB 100/HF NB 100/HF NB100
CPU Atom N280(1.66GHz動作) Atom N270(1.6GHz動作) Atom N270(1.6GHz動作) Atom N270(1.6GHz動作)
ビデオチップ Intel 945 GSE Express Intel 945 GSE Express Intel 945 GSE Express Intel 945 GSE Express
メモリ 1GB 1GB 1GB 1GB
OS Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Professional SP3 Windows Vista Home Basic SP1 Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score 1561 1749 1594 1535
CPU Score 1538 1471 1387 1473
Memory Score 2490 2352 2296 2368
Graphics Score 621 594 417 596
HDD Score 4246 9216 9239 4639
HDBENCH Ver3.40beta6
All 37149 41803 N/A 35042
CPU:Integer 97458 94038 88050 94127
CPU:Float 67445 64591 61597 64626
MEMORY:Read 50151 48088 47766 48023
MEMORY:Write 50421 48502 48055 48522
MEMORY:Read&Write 89091 85333 84523 84590
VIDEO:Recitangle 17517 16400 3101 16786
VIDEO:Text 20800 8992 3935 19968
VIDEO:Ellipse 4692 4216 2715 4256
VIDEO:BitBlt 258 249 102 245
VIDEO:DirectDraw 29 29 6 29
DRIVE:Read 55501 89667 N/A 44872
DRIVE:Write 38994 22908 N/A 45169
DRIVE:RandomRead 16715 51586 N/A 13427
DRIVE:RandomWrite 22990 18354 N/A 20603
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
LOW 1514 1400 1111 1433

 次に、バッテリ駆動時間のチェックだ。テスト方法は、省電力機能を切るとともに、液晶輝度を最大に設定し、無線LANを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させるというものだ。

 結果は、約1時間53分と、NB100/HFに比べると駆動時間はかなり短い。とはいえ、dynabook UXに標準添付の「バッテリパック31Q-S」は容量が25Whと、NB100/HF付属のバッテリ(38Wh)よりも容量がかなり少ないため、この結果は特に悪いというわけではない。省電力機能を有効にすれば3時間は十分に利用できるだろう。ちなみに、より長時間のバッテリ駆動を実現したいなら、オプションで用意されている大容量バッテリ「バッテリパック 61Q-S」を利用すればいい。今回はテストが行なえなかったが、カタログスペックでは約10時間の駆動が可能とされており、フルパワーでも4時間ほどは余裕で動作するものと考えていいはずだ。

 ちなみに、付属のACアダプタがNB100に付属するものよりもかなり小型・軽量となっている。本体と同時にACアダプタも気楽に持ち歩けるようになった点は、常に持ち歩こうと考えている人にとって嬉しい変更だ。

バッテリ駆動時間
dynabook UX 1時間53分
NB100/HF 2時間46分
NB100(PABAS155利用時) 1時間48分
NB100(PABAS156利用時) 2時間25分

標準添付の「バッテリパック31Q-S」は容量が25Wh。NB100/HF付属のバッテリよりも容量が少ない 付属のACアダプタは小型・軽量で、持ち運びも苦にならない NB100付属のACアダプタ(上)と比較すると、かなり小さくなっていることがわかる
ACアダプタのみの重量は、実測値で173g 電源ケーブル込では277g。短い電源ケーブルを用意すれば、さらに軽く持ち歩けるはずだ

 dynabook UXは、東芝が満を持してdynabookブランドとして投入したネットブックということもあって、やはり他のネットブックとはひと味違う完成度となっている。本体のデザインや細かな部分の仕上げを見ても、あからさまにコストダウンを感じさせることがなく、dynabookシリーズで培ったさまざまな技術がフィードバックされており、機能面でも隙がない。また、使い勝手を考慮しつつ、dynabookシリーズで初となる独立型キーボードを採用するなど、いい意味での冒険もある。他のdynabookシリーズと同じサポートが受けられるという点も、安心感という意味で非常に心強い。

 そういった中で、他のネットブックと比べて弱点と思える部分は、価格だろう。発表時には、店頭予想価格が6万円前後と、5万円前後で販売されている製品が多く、価格重視で選択されることの多いネットブックとしては少々不利という印象が強かった。しかし、オンラインショップを中心に既に5万円を切る価格で販売される例が増え、大手量販店でもポイントを考慮すれば5万円前後で購入できるようになっており、価格面での不利もほとんど感じられなくなっている。

 基本スペックこそ他のネットブックとほぼ同じだが、優れたデザイン性、表示品質に優れる液晶、充実した付加機能、安心できるサポート面など、魅力の多い製品であることは間違いなく、広くおすすめしたい。

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(2009511日)

[Text by 平澤 寿康]

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