Hothotレビュー
マウスコンピューター「G-Tune MASTERPIECE i1710PA1-SP」
~TITAN X SLIモデルの実力を探る
2016年12月29日 06:00
マウスコンピューターが展開するゲーミングPCブランドG-Tuneは、同ブランドのフラッグシップモデルである「MASTERPIECE シリーズ」を11月末にリニューアルし、強化ガラス製パネルを採用した新設計のPCケースを採用した。
今回、リニューアルされたMASTERPIECE シリーズの中から、NVIDIA TITAN Xを2枚搭載した上位モデル「MASTERPIECE i1710PA1-SP」を借用する機会が得られた。現行のゲーミングPCとしては最上級に近いスペックを誇る新MASTERPIECEシリーズの実力を探ってみた。
Core i7-6900KとTITAN X 2-way SLI構成の「MASTERPIECE i1710PA1-SP」
MASTERPIECE i1710PA1-SPは、Intel X99チップセットを採用したLGA2011-v3プラットフォームをベースとし、CPUに8コア16スレッドCPUであるCore i7-6900Kを搭載したPCだ。ビデオカードには、NVIDIA最新のウルトラハイエンドGPUであるTITAN Xを2枚搭載して2-way SLIを構築。ビデオカード間はSLI HB ブリッジで接続されている。
メインメモリは32GB(8GB×4枚)のDDR4-2400クアッドチャンネルメモリ。ストレージは960GB SSDと3TB HDDのハイブリッド構成。ハイエンド構成を支える電源ユニットには、80PLUS GOLD認証を取得した1,200Wの高効率/大容量電源を採用した。OSはWindows 10 Home 64bit。
標準構成価格は税別649,800円。パーツ構成はカスタマイズが可能であり、M.2タイプでNVMe対応の1TB SSDや、128GB(16GB×8)のメインメモリを搭載することができる。また、新型PCケースの特徴として、サイドパネルをライトスモーク使用の強化ガラスに変更(税別5,800円)するというユニークなカスタマイズも可能だ。
【表1】MASTERPIECE i1710PA1-SPの主なスペック | |
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CPU | Core i7-6900K(3.2~3.7GHz、8コア16スレッド) |
GPU | TITAN X(12GB) 2-way SLI |
メモリ | 32GB DDR4-2400(8GB×4枚、クアッドチャンネル) |
チップセット | Intel X99 |
システム用ストレージ | 960GB SSD(SATA 6Gbps) |
データ用ストレージ | 3TB HDD(7,200rpm、SATA 6Gbps) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
CPUクーラー | Cooler Master Hyper 212 EVO |
電源ユニット | 1,200W(80PLUS GOLD) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
本体寸法 | 215×490×501mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約19.2kg |
標準構成価格 | 649,800円(税別) |
ベンチマークテスト結果
ここからは、ベンチマークテストを使ってMASTERPIECE i1710PA1-SPの性能をチェックしていく。
実行したテストは、CINEBENCH R15(グラフ1)、x264 FHD Benchmark(グラフ2)、HWBOT x265 Benchmark(グラフ3)、TMPGEnc Video Mastering Works 6(グラフ4)、PCMark 8(グラフ5)、CrystalDiskMark、3DMark(グラフ6~9)、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク(グラフ10)、Watch Dogs 2(グラフ11)、ダークソウル3(グラフ12)、The Witcher 3: Wild Hunt(グラフ13)、アサシンクリードシンジケート(グラフ14)。
3DCGのレンダリングにおけるCPU性能を測定するCINEBENCH R15では、1コア使用時に164cd、全コア使用時は1,527cdを記録した。メインストリーム向けのCore i7-6700Kが全コアを使用しても900cdに届かない程度であることを考慮すると、8コア16スレッドCPUであるCore i7-6900Kのマルチスレッド性能の高さが伺える。
マルチスレッドCPUへの最適化が進んでいる動画のエンコードは、8コア16スレッドCPUであるCore i7-6900Kが得意とするジャンルだ。
NVIDIAが提供するゲームキャプチャー機能ShadowPlayをはじめ、近年はゲームのプレイ動画を手軽に録画できる環境が整っており、ゲーミングPCでも動画ファイルを扱う機会は増えつつある。録画したプレイ動画の編集やファイルサイズの圧縮のため、Core i7-6900Kのマルチスレッド性能が役立つこともあるだろう。
ベンチマーク結果では、x264 FHD BenchmarkやHWBOT x265 Benchmarkでは、1080p動画の変換を40fps以上のスピードで変換している。動画エンコード速度はビットレートなどの設定にもよるが、CPUを用いた動画エンコードでこの程度の速度が期待できるのは心強い。
また、TITAN Xを搭載するMASTERPIECE i1710PA1-SPは、対応アプリケーションではGPUが備えるハードウェアエンコーダ「NVENC」を用いて、H.264/AVC形式またはH.265/HEVC形式への動画変換が可能。CPUを用いるソフトウェアエンコードに対して設定できる項目や画質面での不利はあるものの、TMPGEnc Video Mastering Works 6ではCPUの5.4~7倍程度の速度で動画変換を完了している。
PCMark 8では、GPUを活用する場面の多いCreativeで優れたスコアを記録している。ただ、PCMark 8では、TITAN XのSLI構成や、Core i7-6900Kが持つ高いマルチスレッド性能がスコアに反映されているとは言いがたい。PCMark 8のスコアだけを持ってほかのPCと性能の優劣を判断するべきではないだろう。
CrystalDiskMarkの実行結果は以下のスクリーンショットの通り。システム用SSDには検証に用いる各種ベンチマークテストをインストールした状態だが、シーケンシャルアクセスではリード496.5MB/s、ライト476.5MB/sを記録。SATA 6Gbps接続のSSDとしては上々の速度だ。速度と960GBの大容量を兼ね備えたシステム用SSDは、大容量化が著しい昨今のAAA級ゲームのインストール先として申し分のないストレージであると言える。
3D性能を測る定番ベンチマークソフト3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」と、DirectX 11テスト「Fire Strike」のプリセット3種を実行した。
Time Spyの総合スコアは14,476に達している。現状のハイエンドGPUでも単体で1万を超えないテストであり、このスコアはウルトラハイエンドGPUでありTITAN XをSLI構成したことによるものだ。Fire Strikeでも、最も高負荷なFire Strike Ultraで1.2万、Fire Strike Extremeでは2万超、Fire Strikeも3万という破格のスコアを記録した。
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークでは、描画品質をDirectX 11の最高品質に設定した上で、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3画面解像度でテストを実行した。
結果を見てみると、フルHDで22,851なのに対し、WQHDで19,591、4Kで14,798となっている。フルHDとWQHDのスコアがかなり近いものになっているのは、CPU性能によってフレームレートが頭打ちになっているからであると考えられる。このような傾向はこの後紹介する実ゲームでのフレームレート測定でも確認することができる。
オープンワールドアクションゲームであるWatch Dogs 2は、高フレームレートを維持するためにはGPU性能だけでなくCPUのマルチスレッド性能が求められるゲームタイトルだ。テストでは、描画品質を「超高」と「最大」の2種類、画面解像度をフルHD、WQHD、4Kの3種類で実行し、フレームレートを測定した。
結果ではWQHD以下の画面解像度では描画品質の設定に関わらず、フレームレートは110fps弱で頭打ちとなっている。これはGPU性能というよりもCPU性能によってフレームレートが頭打ちになった結果と言えるだろう。一方、4Kでは「超高」で約77fps、「最大」では約65fpsとなっており、このあたりが60fpsを維持しながらゲームをプレイできる限界となりそうだ。
最大フレームレートが60fpsに制限されているダークソウル3では、描画品質を最高に設定した状態で、4K解像度まで一貫して60fpsを維持している。
Watch Dogs 2とは逆にCPUのシングルスレッド性能が求められるタイトルなのだが、Core i7-6900Kは十分な性能を発揮しているようだ。
The Witcher 3: Wild Huntでは描画品質のプリセットを最も高いものに設定し、これまでのテスト同様に3つの画面解像度でテストした。
結果としては、フルHDとWQHD解像度ではフレームレートが120fps付近で頭打ちとなり、4Kでのみフレームレートが84fpsまで低下している。フレームレートが低下したとはいえ、4K時のフレームレートは60fpsを大きく超えており、快適なプレイが可能な状態にあると言える。
アサシンクリード シンジケートは2015年末に発売されたゲームだが、高い描画品質でプレイするためにはPCに極めて高い性能が要求されるゲームの1つだ。このゲームでは描画品質を「非常に高い」と「最高」の2パターンでフレームレートの測定を行なった。
高品質な描画には高いGPU性能を要求するアサシンクリードシンジケートだが、MASTERPIECE i1710PA1-SPが60fpsを割り込んだのは、4K解像度で描画品質を最大に設定した時のみ。同じ4K解像度であっても、描画品質を上から2番目である「非常に高い」にすることで、60fpsは確実に維持できるだけのフレームレートを記録している。
最後にPC本体の消費電力を測定した結果を紹介する。
アイドル時の消費電力は80Wを切る数値まで低下するが、TDP 250WのGPUを2基、140WのCPUを1基備えているだけあって、ピーク時の消費電力は600Wを超えている。
各ベンチマーク中の消費電力はあくまでピーク値であり、実際のゲーム中はもう少し低い消費電力で推移していることも多い。高フレームレートを記録しているゲームなら、垂直同期などでフレームレートに上限を設ければ、より低い消費電力での動作も期待できるだろう。それでも、高解像度かつ高い描画品質でゲームをプレイする場合、相応の電力消費があることは覚悟しておく必要がある。
8コア16スレッドCPUの採用でオープンワールドゲームにも強いMASTERPIECE i1710PA1-SP
ゲーミングPCとしてMASTERPIECE i1710PA1-SPが持つポテンシャルは極めて高いものだ。TITAN XのSLI構成という現在最高のビデオカードを備えていることはもちろんだが、8コア16スレッドのCore i7-6900Kを備えたことによる利点も大きい。
かつてゲームにおいてはCPUのマルチスレッド性能より動作クロックの方が重要と言われていたが、近年流行しているオープンワールドアクションなどのジャンルでは、多数のNPCを制御するためにマルチコアCPUへの最適化が進んでおり、今回テストしたWatch Dogs 2ではCPU使用率は12スレッドをフル活用している状態に相当する70%に達していた。これからのゲームを快適にプレイするために、Core i7-6900Kの高いマルチスレッド性能は大いに役立つはずだ。
MASTERPIECE i1710PA1-SPは、最新のAAA級タイトルを4Kクラスの超高解像度でプレイ可能であり、今後登場するであろうグラフィックス重視のゲームでも高い性能が期待できるPCだ。究極のゲーミングPCを求めるコアなゲーマーにとって、価格に相応しい最上のゲーミング性能を得られる1台となるだろう。