元麻布春男の週刊PCホットライン

レノボ「IdeaPad U350」をWindows 7にアップグレード



●独自ユーティリティ3つがWindows 7互換性に難あり
届けられたWindows 7優待アップグレードキット

 前回購入したレノボのIdeaPad U350だが、Windows 7の優待アップグレードを申し込んで約1週間でキットが手元に届いた。キットの内容は、Windows 7 Home Premium(32bit)のアップグレード・メディアと、レノボのU350、Y550、G530、G550用のドライバが1枚のメディアに収められたドライバディスクの2枚、さらにMicrosoft Windows 7アップグレード・ガイドと題された小冊子が1部だ。

 Windows 7のアップグレード・メディアは、プリインストールのWindows Vistaに対して、アップグレードインストールとクリーンインストールの両方をサポートする。しかし、ドライバディスクに含まれるのが、本当にドライバだけで、プリインストールされているユーティリティ類が含まれていないから、クリーンインストールを選択すると、これらを利用することができなくなる。というわけで、Windows Vistaに対しアップグレードインストールを行なうことにした。

 Windows 7のインストールに際し、アップグレードインストールを選択して実行すると、互換性のレポートで、

・Easycapture
・Lenovo VeriFace
・OneKey Recovery

の3つに関して、「アップグレード後に正しく動作しない可能性があります。」という警告が表示され、アンインストールすることを推奨された。上記のアップグレード・ガイドには、互換性のレポートの指示に従うよう記述されているが、それではユーティティが提供している機能が失われてしまい、当初の目論見から外れてしまう。そこで、アンインストールせず、そのままアップグレードインストールを強行した。

 インストール作業完了後、上記3種類のユーティリティの動作を確認したところ、すべてに関してWindows 7のプログラム互換性アシスタントによりブロックされた。うち、EasycaptureとVeriFaceについては、既知の互換性の問題があるとしながらも、プログラムを実行することが可能なのに対し、OneKey Recoveryに関しては実行が許されなかった。

【画面1】内蔵Webカメラで静止画や動画を撮影するEasycaptureは、互換性の問題が指摘されるものの、実行することができる【画面2】Webカメラの画像により顔認証を行なうVeriFaceも動作がブロックされるが、実行は可能であり、本ユーティリティによるログオンも可能だ【画面3】バックアップ/リストアソフトのOneKey Recoveryは、ブロックされ実行することができない

 既知の互換性問題があるというのだから、すべての機能を利用することはできない、あるいは利用した場合に障害が発生するのだろうが、とりあえずEasycaptureとVeriFaceを起動することは可能だった。また、VeriFaceを用いて、Windows 7にログオンすることもできる。しかし、OneKey Recoveryが使えないというのは痛い。確かにWindows 7にはイメージバックアップを行なうユーティリティが添付されており、バックアップができなくなるわけではない。が、OneKey Recoveryが使えないと、Disk to Diskにより最新状態にリカバリすることができなくなる。

 すでにレノボは、U350の冬モデルにWindows 7をプリインストールしており、それにはこれら3つのユーティリティのWindows 7対応版が含まれている。せっかくWindows 7のアップグレードキットを提供するのであれば、ドライバだけでなくこれらユーティリティのアップデート版も提供するべきだと思うのだが、今のところレノボのWebサイトからダウンロード可能になってはいない。

●7にしてもバックアップイメージがVistaのまま

 レノボに限らず、このところDisk to Diskリカバリを採用するベンダーが増えている。ユーザーにとっては手軽で、ベンダーにとってはコスト削減効果が期待できるDisk to Diskリカバリだが、OSのメジャーバージョンアップが生じると、その有効性が一気に低くなるという問題が生じる。旧OSに対応したバックアップ/リカバリソフトの新OSとの互換性や、ディスク上にあるバックアップイメージの陳腐化(利用しているOSはWindows 7なのに、バックアップイメージはWindows Vistaのまま)は、解決するのが難しい問題である。

 今回のOneKey Recoveryの問題も、Windows上のユーティリティだけでなく、HDD上の隠しパーティションにプリインストールされているOneKey Rescue(Windows PE上のユーティリティ)まで更新しなければならないのだとすると、かなり厄介な問題だ。市販のユーティリティには、ユーザーがDisk to Diskリカバリ用の隠しパーティションを作成可能なものもあるが、システムの起動に関わる部分だけに、初心者にも簡単に利用できるというものではない。

 アップデートが完了したU350秋モデルだが、ドライバをアップデートする前の状態で、有線LANを除き、ほぼすべてのデバイスが動作していた。が、Windows Updateで自動更新されるもの以外は、ドライバディスクに含まれているドライバで更新しておいた方が良い。ドライバディスクに含まれているドライバより、現在Webサイトからダウンロード可能なドライバはさらに新しいものが多く、こちらを利用した方がベターだが、有線LANの事例を考えてもドライバディスクを提供する意義はあると言えるだろう。

●Windows 7にするメリットはマルチメディア関連

 さて、U350のOSをWindows 7に切り替えて変わる最大のポイントはユーザーインターフェイスだが、これはすでに多くの人が語っていることであり、ここで繰り返すことはしない。一言だけ加えるとしたら、Intel GS40 Expressの内蔵グラフィックスでも、Aeroは十分快適に使える、ということくらいだ。ここではWindows 7が持つ別のメリットを紹介することにしよう。

 前回、Windows Vista上でYouTubeのHD動画の再生を行なったが、U350にとっては性能ギリギリのアプリケーションだった。Windows 7になっても、IE8でYouTubeのHD動画を再生することは厳しく、前回と同じ動画を再生させると、時折CPUが飽和するなど、再生は完全にスムーズとは言い難い(画面4)。ダウンロードした動画ファイルをこれまた前回と同じGOM Playerで再生させると、ギリギリ再生できている感じだが、CPU占有率は相当に高い(画面5)。ただし、Windows Vistaからメモリの使用量は改善されており、Windows Vistaでは1.36GB(GOM Player)あるいは1.42GB(IE8)使用していたのが、Windows 7では769MB(GOM Player)あるいは905MB(IE8)と大幅に削減されている。

【画面4】IE8によるインライン再生では、Windows 7になってもCPUの占有率は高く、時々CPUが飽和(CPU占有率が100%に到達)している。(c) Intel Corp.【画面5】ダウンロードした動画ファイルをGOM Playerで再生しても、Windows Vistaの時から大きな変化は見られない。(c) Intel Corp.

 そこで今度は同じファイルをWindows 7に付属のWindows Media Player 12で再生させてみる。Windows 7ではH.264が標準でサポートされたため、これが可能になった。画面6はその様子だが、CPU占有率が15%~25%前後で推移していることが分かる。これは劇的な改善である。MicrosoftはWindows 7で単にH.264のサポートを行なっただけでなく、GPUによる動画再生アクセラレーションのサポートも行なった。メモリの使用量は若干増えるが、それを上回るメリットと言えるだろう。

 では、このメリットは誰もが享受できるのかというと、実はそうではない。画面7は、ネットブック(HP mini 1000)で画面6と同じことを行なったものだが、こちらではCPU占有率がほぼ100%に張り付く。当然、再生する動画はカクついたものになる。現行のネットブックプラットフォームが採用するIntel 945GSE Expressチップセットでは、アクセラレーションが効かないのである。現時点でネットブックとCULVではチップセットが2世代異なるが、その差がこういうところにも現れる。945GSEベースのネットブックプラットフォームでも、Windows 7は十分に利用可能だが、やはりチップセットの世代的にもベストマッチなのはWindows XPだと思う。

【画面6】プレイヤーをWMPに変え、Windows 7の内蔵CODECで再生すると、CPUの占有率が劇的に下がる。GPUの動画再生アクセラレーション機能を利用しているおかげだ。(c) Intel Corp.【画面7】しかしネットブック(945GSEチップセット)では、動画再生アクセラレーションの恩恵はなく、CPUは飽和してしまう。(c) Intel Corp.


 というわけでU350に話を戻すが、OSをWindows 7にアップデートする価値は十分にある。特に、1,680円でアップグレード可能な優待アップグレードキャンペーン期間中(2010年1月31日まで)ならなおさらだ。現時点でWindows 7に対応していない3種類のユーティリティについても、Easycaptureの代わりなら、フリー、シェアウェア含めて代替アプリケーションは見つかると思う。難しいのはOneKey RecoveryとVeriFaceの代替だが、最悪なくても済むといえば済む。

 筆者が本気でU350を使うのであれば、保証が切れるのを承知の上で、Windows VistaがインストールされたHDDはそのまま保存しておいて、別のHDDあるいはSSDにWindows 7をクリーンインストールするだろう。バックアップはサードパーティ製のユーティリティを使うか、Windowsのバックアップツールを使って、外付けのUSB HDDにでもとるようにする。残念ながらログオンはパスワードを使うことになるが、これだけはしょうがない。顔認証のログオンを諦めても、3万円台で持ち運べるWindows 7ベースのノートPCが入手できるのだから文句はない。

 【12月25日追記】文中でWindows 7未対応とされているアプルケーションについても、アップデートが公開されています。下記URLをご参照ください。ご教示いただいた皆様に感謝いたします。

http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-72983