■平澤寿康の周辺機器レビュー■
バッファローから、USB 3.0に対応した外付けのポータブルSSD「SHD-PEHU3」シリーズが登場した。USB 3.0による高速なデータ転送を実現するだけでなく、独自の高速化ツール「ターボPC」により、240MB/secという非常に高速なデータ転送速度を実現している点が特徴となっている。今回、いち早く容量256GBの「SHD-PEH256U3-BK」を試す機会を得たので、速度面を中心にチェックしていきたいと思う。ただし、今回利用した試用機は試作機のため、製品版とは仕様面で異なる可能性があるという点は、あらかじめご了承願いたい。
●小型・軽量ボディで携帯性に優れる
SHD-PEHU3シリーズは、USB 3.0接続で利用する外付けドライブとして特化されたポータブルSSDで、非常に小型かつ軽量なボディが特徴となっている。
本体サイズは57×97×12mm(幅×奥行き×高さ)。フットプリントは2.5インチドライブよりもかなり小さくなっており、1.8インチHDDを搭載するポータブルドライブに近いサイズと考えていいだろう。
重量はカタログ値で66g。試用機では、裏面のラベルが貼られていなかったこともあり、実測で64gとカタログ値よりも若干軽かった。また、付属のUSBケーブル込みの重量は78.5g(実測値)であった。このボディサイズと重量であれば、携帯性に問題を感じることは全くないはずだ。
ボディ素材はプラスチックを採用している。天板は鏡面処理が施されているが、底面はプラスチック感が強く、底面側から見るとやや安っぽく感じるかもしれない。
接続インターフェイスは、USB 3.0のみ。コネクタには、USB 3.0 Micro Bコネクタが採用されており、約25cmのケーブルが付属している。電源コネクタは用意されておらず、バスパワーのみでの動作となる。
●リード約170MB/sec、ライト約120MB/secを記録
では、早速データ転送速度を検証していこう。今回は、デスクトップPCにUSB 3.0拡張カードを取り付け、USB 3.0拡張カードにSHD-PEH256U3-BKを接続して速度を検証した。速度の検証には、CrystalDiskMark 3.0を利用。また、USB 3.0拡張カードは、ASUSの「U3S6」を利用した。テストに利用したデスクトップPCの環境は下にまとめたとおりである。
CPU | Core i5-750 |
マザーボード | Intel DP55KG |
メモリ | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 |
グラフィックカード | Radeon HD 4670 |
HDD | Western Digital WD3200AAKS(OS導入用) |
OS | Windows 7 Ultimate |
結果を見ると、テスト時のデータサイズによって若干のばらつきは見られるが、シーケンシャルリードが170MB/secほど、ライトが120MB/secほどであった。やはり、SSDを搭載しているだけあり、非常に高速だ。ちなみに、公称の速度である240MB/secよりもかなり遅い結果となっているが、この240MB/secという速度は、バッファロー独自の高速化ツール「ターボPC」などを導入した状態で発揮されるものであり、ターボPCを導入していない状態での速度としては、おおむね満足できる速度が発揮されていると言っていいだろう。
ちなみに、USB 2.0ポートに接続した場合の速度も計測したが、当然だがかなり遅くなっている。USB 3.0の威力はかなり大きいことが、この結果からもよくわかるだろう。
USB 3.0接続時100MB |
USB 3.0接続時1,000MB |
USB 3.0接続時4,000MB |
USB 2.0接続時100MB |
USB 2.0接続時1,000MB |
USB 2.0接続時4,000MB |
●ターボPCおよびターボコピーの利用により、さらなる高速化を確認
SHD-PEHU3シリーズには、バッファロー独自のユーティリティ「バッファローツールズ」が標準添付されている。このバッファローツールズには、メインメモリにライトキャッシュを確保して、ファイル転送を高速化する「ターボPC」と、複数のファイルを一度に転送する時などに、データをまとめて転送することで高速化する「ターボコピー」、高速なバックアップが行なえる「バックアップユーティリティ」、メインメモリにRAM DISKを作成する「ラムディスクユーティリティ」などのツールが含まれており、特にデータ転送時の効率を高めることで、PCの快適度を高めるというものだ。このうち、ターボPCとターボコピーを同時に利用すれば、SHD-PEHU3シリーズのデータ転送速度も大きく高まるとされている。そこで、テストマシンにターボPCとターボコピーを導入した状態で速度を検証してみた。
まずはじめに、ターボPCを導入した状態で、CrystalDiskMark 3.0を実行してみた。すると、シーケンシャルリードが220MB/sec前後、シーケンシャルライトが145MB/sec前後と、導入前と比較して、大幅な速度向上が確認された。公称の240MB/secには若干届いていないものの、これだけ速度が向上するのであれば、ターボPCの導入は必須と言える。
ターボPC利用時100MB |
ターボPC利用時1,000MB |
ターボPC利用時4,000MB |
次に、ターボコピーだ。ターボコピーは、Windowsのファイルコピーを拡張するものだ。ターボコピーを導入すると、右クリックメニューに「TurboCopyでコピー」、「TurboCopyで移動」というメニューが追加され、ファイルのコピーや移動時にそのメニューを選択することによって、ターボコピーによるファイル転送が行なわれるようになる。そこで今回は、実際にファイルを転送し、それにかかる時間をストップウォッチを利用して計測してみた。
用意したファイルは、容量約1GBの動画ファイルと、デジタルカメラで撮影した平均5MBのJPEGファイル200枚(容量は合計で約1GB)。動画ファイルは1ファイルのみ、JPEGファイルは200枚一括で、PCからSHD-PEH256U3-BKにコピー(書き込み)するのにかかる時間と、SHD-PEH256U3-BKからPCにコピー(読み出し)するのにかかる時間をそれぞれ計測した。計測は3回行ない平均を出している。
結果は下にまとめたとおりだが、ターボPCとターボコピーを利用した場合には、書き込み、読み出しともに高速化されていることがよくわかる。特に、書き込み時の速度向上は圧倒的で、体感でもはっきりと違いがわかるほどだ。また、複数ファイルを同時に転送する場合だけでなく、大容量のファイルを1個のみ転送する場合でも大きな違いが現れている。この結果を見るまでもなく、ターボPCとターボコピーの効果を体感すると、二度と手放せないと感じるだろう。とにかく、SHD-PEHU3シリーズを利用する場合には、ターボPCとターボコピーは常に利用したい。
ちなみに、バッファローツールズはSHD-PEHU3シリーズだけでなく、バッファロー製のメモリやドライブに広く添付されている。もしバッファロー製のメモリやドライブを利用しているなら、積極的にバッファローツールズを利用してみてもらいたい。
ターボPC+ターボコピーなし | 書き込み | 読み込み |
動画ファイル1個(約1GB) | 14.7秒 | 8.5秒 |
JPEGファイル200個(約1GB) | 15.8秒 | 9.7秒 |
ターボPC+ターボコピーあり | 書き込み | 読み込み |
動画ファイル1個(約1GB) | 8.5秒 | 7.5秒 |
JPEGファイル200個(約1GB) | 9.9秒 | 7.9秒 |
●大容量データを持ち出す機会が多い人におすすめ
SHD-PEHU3シリーズは、高速なSSDを採用するとともに、USB 3.0対応により、非常に高速なデータ転送速度が実現されている。また、バッファローツールズの利用により、さらなる転送速度の高速化も実現でき、頻繁にPC外部に大容量のデータを転送したい場合に重宝するはずだ。価格は、64GBモデルが26,400円、128GBモデルが47,700円、256GBモデルが100,900円。これはメーカー希望小売価格のため、実際に量販店で販売される場合には、もう少し安くなると考えていい。ただ、ポータブルドライブとして考えると、かなり高く感じる。特に256GBモデルは飛び抜けて高くなっており、少々手を出しづらいのは事実だ。
ただ、64GBモデルは、他のSSDと比較して飛び抜けて高価というわけではなく、比較的購入しやすいだろう。その上で、データ転送時の快適さを考えると、かなり魅力があると言える。価格を考えると、手放しでのおすすめは難しいが、大量のデジカメ画像、大容量のデータファイルなどを、PC外のストレージデバイスに転送して持ち運ぶ機会が多いという人なら、十分に満足できるはずだ。
(2010年 5月 12日)