平澤寿康の周辺機器レビュー

Intel MLC SSD「X25-M Mainstream SATA SSD」新モデル
〜ランダムアクセス時のIOPSが大きく向上



Intel MLC SSD「X25-M Mainstream SATA SSD」新モデル

 MLCタイプNANDフラッシュメモリを採用しながら、高速なアクセス速度で人気のインテル製SSD「X25-M Mainstream SATA SSD」に、製造プロセス34nmのMLC NANDフラッシュメモリを採用する第2世代モデルが登場。従来モデルと比較して反応速度が改善し、特にランダムアクセス速度が向上しているとされ、より魅力が向上しているものと思われる。X25-M Mainstream SATA SSDの新モデルは、従来モデル同様80GBと160GBの2モデルが用意されているが、今回はその中から160GBモデルの「SSDSA2MH160G2GC」を試用する機会を得たので、従来モデルと比較しつつ、パフォーマンスをチェックしていきたいと思う。

●ボディカラーがブラックからシルバーに変更

 ではまず、本体からチェックしていこう。

 本体の厚さは約7mmだが、厚さが約2.5mmのスペーサーが本体上部に取り付けられているため、実際の厚さは約9.5mmとなる。もちろん、SATAコネクタやネジ穴の位置などは2.5インチHDDと全く同じであり、厚さ9.5mmの2.5インチHDDと全く同じ感覚で利用できる。

 従来モデルでは、当初はスペーサーが取り付けられていないものも存在していたが、OEMモデルなどでは当初からスペーサーが取り付けられており、基本的に本体の形状やサイズは、従来モデルとほぼ同じと考えていい。ネジを外せばスペーサーを取り外すことも可能だが、厚さ9.5mm未満のSATA HDDしか利用できないノートPCは基本的に存在せず、標準でスペーサーが取り付けられていることが問題になることはないはずだ。しかも、スペーサーを取り外すことは本体の分解を伴うため、保証が受けられなくなることを考えると、取り外して利用する意味はないと考えていい。

 ボディカラーは、従来モデルのブラックからシルバーに変更されている。正確には、カラーの変更と言うよりは、ブラックでの塗装が省かれただけといった感じだ。もちろん、むき出して利用することはほぼないため、ボディカラーの違いは特に気にする必要はない。

デザインは従来モデルと同じだが、ボディカラーがシルバーに変更されている 本体上部には標準でスペーサーが取り付けられている 本体自体の厚さは従来モデル同様約7mmだが、約2.5mmのスペーサーが取り付けられ、ほぼ9.5mmの厚さとなっている。接続インターフェイスはSATAだ
側面のネジ穴などは2.5インチHDDと全く同じだ 旧モデル(上)との比較。ボディカラー以外は全く同じとなっている

●基板の構造はほぼ同じ

 内部の基板は、従来モデル同様、本体上部のネジを外すだけで簡単に取り出せる。基板の構造は、従来モデルとほぼ同じ。とはいえ、MLC NANDフラッシュメモリは34nmプロセスの新モデルが採用されているため、当然異なっている。加えて、コントローラチップおよびキャッシュ用のSDRAMチップも変更されている。

 MLC NANDフラッシュメモリチップは、容量128Gbitの「29F16B08JAMD1」を10個搭載。従来モデルでは、基板の表裏に10個ずつ、合計10個のチップを搭載していたが、新モデルでは表側に10個のみ搭載となっている。基板裏面にもチップ搭載用のパターンが10個用意されているので、20個搭載することで容量320GBを実現することも可能と思われる。

 コントローラチップは、「PC29AS21BA0」を搭載。従来モデルの「PC29AS21AA0」と型番が異なっており、パフォーマンスを改善するための変更が加えられていると考えていいだろう。

 また、キャッシュメモリには、Micron製の256Mbit SDRAMチップ「MT48LC16M16A2P-75IT」を搭載。従来モデルの128Mbitチップから容量が倍増しており、この点もパフォーマンス改善につながっていると考えられる。

基板表面。容量128Gbitの新MLC NANDフラッシュメモリチップ「29F16B08JAMD1」を10個搭載。コントローラは「PC29AS21BA0」、キャッシュメモリはMicron製の256Mbit SDRAMチップ「MT48LC16M16A2P-75IT」。キャッシュメモリ容量は従来モデルから2倍に増量されている 基板裏面。こちらにはフラッシュメモリチップは搭載されていない。パターンは10チップ分用意されているので、容量320GBの実現も可能と思われる
旧モデル(右)の基板との比較。基板自体の構造はほとんど同じだ 基板裏面の比較。こちらの構造もほぼ同じだ

●ランダムアクセス時のパフォーマンス向上を確認

 X25-M Mainstream SATA SSDの新モデルは、シーケンシャルアクセス時の速度こそリード250MB/sec、ライト70MB/secと、従来モデルと同等ではあるが、従来製品から反応速度を改善することで、ランダムライト時に高いIOPS(Input/Output Operations Per Second)を達成し、遅延時間も25%短縮して65μsecを実現、4KBランダムライト時で最大6,600IOPS、同リード時で最大35,000IOPSを達成。これによって、実際にPCに搭載して利用する場合のOSやアプリケーションの反応速度が高速化されるとしている。そこで、従来モデルとして80GBモデルの「SSDSA2MH080G1GC」を用意し、ベンチマークテストを通してパフォーマンスを比較してみた。利用したベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 2.2.0と、HD Tune Pro 3.50、Iometer 2008.06.28の3種類。テスト環境は下に示す通りで、シリアルATAの動作モードはAHCIモードで行なっている。

 ちなみに、X25-M Mainstream SATA SSD新モデルの初期出荷製品には、特定の条件で使用するとSSDが使用不能になるという不具合があった。この不具合を改善する新ファームウェアの提供は既に始まっており、今回はこの新ファームウェアを適用する前後でのテストも同時に行なっている。

テスト環境
CPU Core 2 Quad Q8200
メモリ PC2-6400 DDR2 SDRAM 4GB
マザーボード GIGABYTE EP45-UD3R
ビデオカード ATI Radeon HD 2400 PRO
OS Windows Vista Ultimate SP2

 Crystal Disk Markの結果を見ると、シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスともに新モデルのほうが速度が向上している項目が多い。中でも速度向上の幅が大きいのはライト速度で、シーケンシャルライトや512KBランダムライトの数値は特に大きく向上していることがわかる。また、差はそれほど大きくないものの、512KBのランダムリード、4KBのランダムリード・ライトも若干向上。このあたりは、反応速度の改善とともに、キャッシュ容量が2倍に増えたことが大きく影響していると考えられる。

X25-M(34nm)新ファームウェア
100MB 1000MB

X25-M(34nm)初期ファームウェア
100MB 1000MB

X25-M(50nm)
100MB 1000MB

 HD Tuneの結果では、シーケンシャルアクセス時の速度は新旧モデルの間に大きな違いは見られないものの、速度のブレがかなり少なくなっている。しかし、ランダムアクセスの結果を見ると、ランダムライトの結果がかなり向上。このあたりは、ランダムライト時のIOPSが大きく向上しているという新モデルの特徴がはっきり現れたと言っていいだろう。

X25-M(34nm)新ファームウェア
8MBリード 8MBライト
64KBリード 64KBライト
ランダムリード ランダムライト

X25-M(34nm)初期ファームウェア
8MBリード 8MBライト
64KBリード 64KBライト
ランダムリード ランダムライト

X25-M(50nm)
8MBリード 8MBライト
64KBリード 64KBライト
ランダムリード ランダムライト

 最後にIOmeterの結果だ。IOmeterのテストは、アクセスパターンとして「File Server Access Pattern」に加えて、4KB、16KB、64KBのランダムリード100%、ランダムライト100%の全7パターンを実行。実行時間は各テストとも5分とした。結果を見ると、全ての項目でIOPSが向上していることがわかる。特に、File Server Access Patternおよび4KB Ramdom WriteのIOPSは2倍以上に大きく向上。これだけのIOPS向上が実現されていれば、Windowsを導入して利用した場合の反応速度はかなり変わってくるはずで、体感の速度も大きく向上するものと考えていいだろう。

Iometer 2008.06.28 Intel X25-M(34nm) 160GB
新ファームウェア
Intel X25-M(34nm) 160GB
初期ファームウェア
Intel X25-M(50nm) 80GB
Queue Depth:1 Queue Depth:32 Queue Depth:1 Queue Depth:32 Queue Depth:1 Queue Depth:32
File Server Access Pattern Read IOPS 2951.506553 7468.370386 2763.236472 7000.289953 935.098425 6014.362242
Write IOPS 738.489949 1871.184148 691.468277 1752.534981 233.725439 1503.678891
Read MB/s 31.891219 80.745792 29.909375 75.761012 10.051609 65.037891
Write MB/s 7.996947 20.257405 7.480588 18.974234 2.532378 16.255765
Average Read Response Time 0.303784 3.432407 0.325113 3.664703 0.894088 4.256846
Average Write Response Time 0.133579 3.394278 0.140673 3.613266 0.694309 4.247192
Maximum Read Response Time 268.443196 282.180766 268.061793 280.921039 215.739361 281.308309
Maximum Write Response Time 268.562764 281.974944 85.44829 280.631826 17.643513 281.260747
4KB Random Read IOPS 5330.045276 38614.708776 5290.791264 38985.510727 1433.006183 36797.005913
Write IOPS 7820.559459 10136.381447 7755.240335 10102.981584 3191.615879 4551.301739
Read MB/s 20.820489 150.838706 20.667153 152.287151 5.59768 143.738304
Write MB/s 30.54906 39.59524 30.293908 39.464772 12.46725 17.778522
Average Read Response Time 0.186367 0.827049 0.187785 0.819186 0.696361 0.867907
Average Write Response Time 0.126599 3.154775 0.127695 3.165841 0.312023 7.029451
Maximum Read Response Time 2.504788 4.94588 2.81181 3.395473 2.882699 3.794197
Maximum Write Response Time 273.599089 310.775322 269.930256 304.752559 364.549335 543.810387
16KB Random Read IOPS 3999.175117 14659.85849 3987.523195 14724.631391 3434.407703 13899.829496
Write IOPS 1994.229791 2458.167491 2002.40645 2476.365957 1598.76187 1906.416829
Read MB/s 62.487111 229.060289 62.30505 230.072365 53.66262 217.184836
Write MB/s 31.15984 38.408867 31.287601 38.693218 24.980654 29.787763
Average Read Response Time 0.248809 2.181378 0.249561 2.171772 0.289914 2.300849
Average Write Response Time 0.500198 13.016453 0.498129 12.920266 0.624167 16.783834
Maximum Read Response Time 13.391367 5.209112 216.497208 5.031994 2.112838 5.321277
Maximum Write Response Time 301.638476 328.443699 294.210717 320.633418 502.97021 537.818913
64KB Random Read IOPS 2096.611444 4034.020371 2096.328374 4049.153304 1837.803172 3879.653601
Write IOPS 707.895253 737.996039 480.181685 624.085026 430.470364 500.715437
Read MB/s 131.038215 252.126273 131.020523 253.072081 114.862698 242.47835
Write MB/s 44.243453 46.124752 30.011355 39.005314 26.904398 31.294715
Average Read Response Time 0.475707 7.93123 0.475792 7.901586 0.542864 8.246865
Average Write Response Time 1.411356 43.359604 66.618731 1.601072 2.321694 63.899524
Maximum Read Response Time 2.597118 22.409273 2.758032 10.157576 2.108578 10.670351
Maximum Write Response Time 268.374053 303.967683 397.921663 279.124931 521.286295 565.421094

 ちなみに、不具合解消の新ファームウェアの導入前後でのパフォーマンス差は、一部でやや違いが見られる部分もあるが、全体的にはほとんど同じと考えていい。

●速度重視なら新モデルがおすすめ

 X25-M Mainstream SATA SSD新モデルは、34nmプロセスの第2世代MLC NANDフラッシュメモリの採用とともに、新コントローラとキャッシュメモリ容量の倍増などにより、ランダムアクセス性能だけでなくシーケンシャルアクセス性能も向上しており、第2世代モデルと呼ぶに相応しいパフォーマンス向上が実現されている。

 ただ、新モデルの登場によって、旧モデルの価格が大きく下落しており、価格の点から考えると、旧モデルの魅力が高まっているのも事実。価格を取るかパフォーマンスを取るかは、購入しようと考えている人の考え方次第だが、SSDを導入するのはHDDよりも快適な速度を得るためという場合がほとんどであり、そういった意味では、どうせ買うならパフォーマンスに優れる新モデルをおすすめしたい。

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(2009年 8月 21日)

[Text by 平澤 寿康]

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