大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

「Surface Pro 3は日本のユーザーに最適な1台」

〜米Microsoftのブライアン・ホール ジェネラルマネージャーに聞く

「Surface Pro 3」

 いよいよ日本でも「Surface Pro 3」が正式に発表された。米国時間の5月20日にニューヨークで発表された際には、米国では6月20日に発売されることが明らかにされていたが、日本を含むそのほかの国では、8月末までの間に発売される予定とされていた。今回発表された日本での発売は7月17日からと、当初見通しよりも早いタイミングでの市場投入となる。

 「ラップトップPCを置き換える初のタブレットがSurface Pro 3。軽くて、薄くて、画面が大きく、それでいてパワフルである。日本のユーザーにとっても最適な1台になる」と、Surface事業を担当する米Microsoft Surface & Windows Hardware セールス&マーケティング担当のブライアン・ホール ジェネラルマネージャーを語る。ホール ジェネラルマネージャーに、Surface Pro 3について話を聞いた。

米Microsoft Surface & Windows Hardware セールス&マーケティング担当のブライアン・ホール ジェネラルマネージャー

――5月20日にニューヨークでSurface Pro 3を発表して以降、市場の反応はどうですか?

ホール氏:Surface Pro 2から、Surface Pro 3への進化に、大変驚いたという声を数多くいただきました。これは個人ユーザーも、法人ユーザーも同様です。振り返ってみると、Surface Pro(初代、以下Surface Pro 1)のときには、新たなデバイスのカテゴリが生まれたという意味での驚きだったと言えます。タブレットのような形をしながら、高い性能を発揮するデバイスであるという点での驚きでした。また、Surface Pro 2のときには、Surfaceが作ったカテゴリの製品が、進化したという驚きだったと言えます。バッテリ寿命が伸び、キックスタンドの角度調整もできるようになった。ドックステーションによる拡張性にも評価が集まりました。しかし、タブレットとしては重く、ラップトップとして捉えると画面が小さいという課題もありました。

 そして、今回のSurface Pro 3への進化により、これ1台でタブレットとしても、ラップトップとしても使えるものにした。ラップトップを使っていた人も、この1台に置き換えられるデバイスが登場したと言えます。つまり、初めて登場したラップトップを置き換えるタブレットなのです。その点でも、これは革命的な製品です。ただ、Surface Pro 3は出荷前ですし、使っている人がまだ少ないので、まだその意味が伝わりにくいのも事実です。これから多くの人が、Surface Pro 3に触れていただくことで、我々が語る意味を感じてもらえるのではないかと考えています。とにかく、多くの人に使ってもらいたいですね。

――これまでのSurfaceビジネスを振り返ると、どんな影響を市場に与えたと考えていますか。

ホール氏:1つは、ハードウェアそのものというよりも、Microsoftが提供するソフトウェアとサービスがどれほど素晴らしいのかということを示せたという点です。Microsoftのソフトとサービスを組み合わせることでなにができるのかということを、Surfaceを通じて理解していただけたと思っています。

 また、Surfaceを出したからこそ、新たなカテゴリが生まれたと言えます。これを捉えて、OEMベンダーからも、2in1 PCや、Windowsタブレットといった製品が数多く登場するようになりました。Windowsの世界を活性化することができたと言えます。

 そして、日本の市場においても、Surfaceがタブレットのプラットフォームとして価値のあるものであるということを証明することができました。この延長線上において、Surface Pro 3では、素晴らしいタブレットというだけでなく、素晴らしいラップトップとしても、1台持てば大丈夫だという提案が行なえるようになります。iOSでも、Androidでも、Chrome OSでも、こんな機能を持ったデバイスはありません。

――これまでのSurfaceでは、タブレットにしようか、PCにしようかといったことを迷っている人に対しての回答がSurfaceであるというメッセージでした。今回は、ラップトップの置き換えということを前面に打ち出していますね。これはマーケティングメッセージの変更と捉えていいですか。

ホール氏:確かに、Surface 2では「ラップトップのように動くタブレット」という言い方をしていました。しかし、ラップトップを使っている人にとってみると、Surface 2の画面サイズは足りなかったと言えます。また処理能力がもっと欲しいという人も多かった。性能面での課題については、Surface Pro 2で解決することができましたが、やはり画面サイズに問題があった。しかし、Surface Pro 2の進化版であるSurface Pro 3では、ラップトップのように動くタブレットというよりも、ラップトップを置き換えることができるタブレットへと進化した。特にMacBookに対しても強みを発揮できるものだと言えます。

――現状のSurfaceのシェア、Windowsタブレットのシェアには満足していますか。

ホール氏:いや、まったく満足はしていません。まだまだ何百万もの人々に、Surfaceを使ってもらいたいですし、Windowsタブレットを体験していただきたい。まだまだ、これからです。

――今回の製品では、ユーザーからのフィードバックをずいぶん取り入れていますね。

ホール氏:もちろん我々のビジョンというものもありますが、今回の進化は、ユーザーの声によって出来上がったデバイスであるといっても過言ではありません。ユーザーの声に真剣に耳を傾けた結果、完成したのがSurface Pro 3です。本当にたくさんのことを学びました。

 Microsoftでは、Surfaceユーザーの声を数多く取り入れる仕組みを用意し、その仕組みを有効に活用しています。

 1つは、匿名性を保持する環境で、デバイスを購入してから、どんな使い方をするのかというデータの収集です。どんなアプリケーションを使用し、Surfaceをどのぐらいの時間使用し、どんな問題があるのかといったことを自動収集するレポーティングシステムです。

 2つ目には、早い段階にSurfaceを購入していただいたユーザーを対象にした聞き取り調査です。なぜ、Surfaceを購入したのか、どこが気に入っているのか、どこが気に入らないのか、どこの操作性が悪いのか、といった点を聞き、それを新たな製品づくりに活かしています。Surface Pro 3で、アドビのPhotoshopの使い勝手が大幅に向上したというのも、そうしたユーザーからの声を反映したものです。

 さらに、漫画を長時間書く人たちの声を反映し、それによってペンの操作性などを向上させました。アーティストのクリスティ・カラカス氏をはじめ、さまざまな人からのフィードバックを得ていますし、先週も私のチームのメンバーが、カルフォリニアからシアトルに移動する際に、飛行機の隣の人がSurface Pro 2を持ち出してきたので、そこですぐにヒアリングを始めました(笑)。このユーザーは構造工学のエンジニアであり、10分以上に渡って、Surface Pro 2の良いところ、悪いところについてご意見をいただきました。このユーザーによると、Surface Pro 1は個人で購入したが、Surface Pro 2は会社が社員にまとめて配布したそうで、今では社員全員が構造計算にSurface Pro 2を使用しているとのことです。そうした利用環境において、どんなアクサセリが必要なのか、どんなアプリケーションが必要なのか、どんな機能が欲しいのかということを聞き、それを次の製品に反映できるわけです。

――ホール ジェネラルマネージャーのプレゼンテーションでは、端々に、自分の3人の子供たちにSurfaceを使わせてみた際のエピソードが入りますね。Surface Pro 3では、子供たちからのフィードバックはありましたか(笑)

ホール氏:子供たちはお絵かきソフトが好きなのですが、Surface Pro 2ではあまりそれを使おうとはしませんでした。きっと子供が手に持つには重すぎたのでしょうね。ところが、Surface Pro 3を使わせてみると、すぐにお絵かきソフトを使い始めるのです。ペンの操作性がよかったということもあるのですが、軽さもポイントでしょうね。それと写真を撮影して、それをなぞるだけで絵が書けてしまうというアプリもありますし、子供たちが楽しむにもいいデバイスになっていますね。

ホール氏がお絵かきソフトを実演しているところ。日本マイクロソフトの藤本恭史業務執行役員たちを写真に撮影し、それをなぞって絵を描き、わずか数分で完成した

――日本のユーザーの声を反映した部分はありますか。

ホール氏:ユーザーの声を聞く活動は日本でも行なっています。日本マイクロソフトのSurfaceチームと連携して、誰がSurfaceを購入しているのか、なぜSurfaceを購入しているのか、どういった使い方をしたいのかといったことを聞いています。日本では、OneNoteだけでなく、Note Anytimeを入れた方がユーザーの利便性が高いということを、ユーザーの声をもとに判断し、これをインストールしました。OneNoteとNote Anytimeは競合製品ですが、それでも顧客が使いたいというのであれば、それは揃える、というわけです。

――Surface Pro 3では、OneNoteとの親和性が高いですね。今後、米国でも日本同様に、OneNoteだけでなく、Officeがプリインストールされるということはありますか?

ホール氏:米国のユーザーの声を聞くと、Officeを購入するか、しないかは、自分たちの選択肢にして欲しいというケースが多いですね。プリインストールすると、コストが上乗せされますから、そこまでは必要ないという声もあります。ただ、米国において、Officeのプリインストールはこれからも絶対にしないというわけではありません。

――12型ディスプレイの採用はかなり前から決めていたのですか。

ホール氏:そうですね、かなり前に決めました。もちろん、どのサイズがいいのかということはずいぶん検討しました。Surface Pro 2を投入したあとに、次は12型のサイズがいいのではないかということで開発を進めていたのですが、その時の条件が、10.6型のSurface Pro 2よりも、軽くて、薄くできるのならばやろう、ということでした。同じ厚さ、重さで、12型にしてもインパクトはありませんからね。

――ホール ジェネラルマネージャーが、Surface Pro 3で一番気に入っているところはどこですか。

ホール氏:フォームファクタそのものということになります。薄さ、軽さ、画面サイズというバランスを高い水準で実現し、そしてそれを美しいフォルムの中に凝縮した。これが1番気に入っているところです。

――気になるのは供給体制についてです。Surface Pro 2では、昨年(2013年)末から品薄が続きました。Surface Pro 3は安定的な供給が可能なのでしょうか。

ホール氏:Surface Pro 2では、我々の想像以上にラップトップとして使うという用途が多かったと言えます。それが結果として、Surface Pro 1以上に、初期3カ月の出荷台数が多くなり、品薄を招く原因となりました。3月には、Surface Pro 2の需要に供給が追いついたのですが、社内では、5月にSurface Pro 3を発表することが分かっていたわけですから、そこから増産するということも適切ではありません。

 今から考えれば、最初からもう少し多くの数を生産しておけばよかったと思います。しかし、Surface Pro 2の経験から、Surface Pro 3が市場においてどれぐらいのインパクトを及ぼすのかということを理解しています。それに向けて生産能力は、しっかりと対応できる形で用意しています。

――Surface Pro 3は、ラップトップを置き換えるタブレットですが、一方で、タブレットを置き換える次のSurfaceはありますか?

ホール氏:多くのユーザーは、タブレットとラップトップの両方が持つ優れた機能が欲しいのではないでしょうか。その点では、Surface Pro 3が最終形ではなく、まだまだ進化することになるでしょう。Surfaceは、どんな人が利用しても究極のデバイスといってもらえるというところまで突き詰めていきたい。そのためには、12型のデバイスだけを揃えていればいいというわけではないと考えています。

 Surface 2は、高いコストパフォーマンスを有し、モビリティも実現する製品であり、学生やファミリーユースからの人気も高い。今のところは発表はしていませんが、これだけの人気を誇る製品だけに、これからも、なんらかの形で次の製品が出てくる可能性は否定できません。

――Surface Pro 3はどうなれば成功だと言えますか。

ホール氏:成功と言えるのは、Surface Pro 3を使用したユーザーが、このデバイスがとにかく好きであると感じてもらい、それを友人に紹介するというサイクルができることだと思っています。結果として、Windowsタブレットそのものの需要が高まり、AppleのiPadや、Androidタブレットからシェアを奪うという流れができれば、成功だと言えるでしょう。

――日本では、Windowsタブレットのシェアが30%に達していますね。これはどれぐらいになればいいですか。

ホール氏:これからも継続的な形でシェアが伸びていくことを期待しています。また、それによって、多くのファンが生まれることを期待しています。そして、その方々の声を吸収して、新たな製品を出していくというサイクルができるといいですね。具体的なシェアについては、どうなるか分からないですが、今後も右肩上がりで成長を遂げると期待しています。

――最後に、日本のユーザーにメッセージをお願いします。

ホール氏:日本のユーザーのさまざまな声をいただくことで、今回のSurface Pro 3が出来上がったといえます。その点では大変感謝したい。ありがとうございます。Surface Pro 3は数々の素晴らしい機能を搭載し、日本の一般ユーザー向け製品では、Officeも標準搭載し、ペンによる操作性にも優れています。画面も大きく、美しいデザインも実現した。日本のユーザーに、絶対に気にいっていただける1台になると思います。ぜひSurface Pro 3を使っていただいて、その感想をフィードバックしてほしいですね。7月17日に、日本のユーザーにSurface Pro 3をお渡しできることを楽しみにしています。

(大河原 克行)