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マッドキャッツのハイエンドゲーミングマウスを試す



Cyborg M.M.O. 7 Gaming Mouse

発売中
価格:12,800円〜14,800円


 マッドキャッツ株式会社は、ハイエンドの有線ゲーミングマウス「Cyborg M.M.O. 7 Gaming Mouse」(以下MMO7)と、無線ゲーミングマウス「Cyborg R.A.T 9 Gaming Mouse」(以下RAT9)を発売した。価格は前者が12,800円、後者が14,800円だ。今回編集部で2モデルともに借用できたので、試用レポートをお届けする。

●Cyborg M.M.O. 7 Gaming Mouseのハードウェア

 MMO7はその名前からわかるよう、MMO(Massively Multiplayer Online)ゲームに特化したゲーミングマウスだ。カスタマイズ可能なボタンは13個に及ぶ。

 この製品を手にしてまず、風変わりな形状なパッケージに驚かされるだろう。長方形の箱から上面と右側の2つのエッジが三角に切り取られたような形状でありながらも、パッケージ前面が開くようになっている。内装のプラスチックパッケージもそれに合わせて切り取られており、まずは頭を使って本体を取り出すことになる。

奇抜なデザインのパッケージ

 しかしながら、内容物は本体のほかに、カスタマイズ可能なパーツやオモリが収納された箱、それから説明書やドライバCD-ROMと、意外とあっさりしている。

 本体についても、ニュースや店頭などで既にご覧になっている方も多いと思うが、奇抜なデザインが最大の特徴と言えるだろう。すべての面で直線を多く取り入れた本体デザインは、一般的なマウスが持つ「エルゴノミクス」論、つまり曲線を多用したデザインからは、相当かけ離れた存在であり、普通の人が「これはマウスだ」と見て一発でわかることは少ないだろう。

 本体は右手専用のデザインを採用。ボタン配置としては、まず上から見ると左右クリック、ホイールクリック、ホイール下部のDPI調節ボタンのほかに、左右クリックに挟まれる形でクリックロックボタン×2(ActionLock)を、左クリックの左側にはモード切替ボタンを装備。そして薬指部にもボタン(後述するモードシフトボタン)を装備している。左クリックの下、戻る/進むボタンの横あたりに、横に回転するホイールを備えている。

 親指が当たる左側面はもっとも賑やかで、進む/戻るボタンのほかに、4方向+クリックができるスティック(5Dボタンと呼ばれる)、その前後にボタンを1つずつ、さらに親指を置くスカートの部分にボタンを1個備える。

付属品など センサーには保護シールがされている MMO7本体を上から見たところ
側面の5Dボタン 斜め左後部から 斜め右後部から
斜め右前部から 斜め左前部から

 このうちカスタマイズ可能なのは、ホイールクリック、横ホイール(左/右)、進む、戻る、親指スカート部ボタン、4方向スティック+クリック、そしてその前後の2つの合計13個。これだけ多くのボタンを用意しているのは、一連のさまざまなコマンドを割り当てて実行する必要があるMMOゲーム向けゲーミングマウスならではと言えるだろう。

 本体後部のネジは、取り外すと六角レンチとして機能する。この六角レンチを用いることで、親指のボタン/スカートの前後の位置調整(ネジ回転により無段階)や、右側面のスペアパーツの交換などが可能となっている。右側面のスペアパーツは、滑りにくいラバータイプと、スカートが広がっているタイプの2種類が添付されている。

 また、本体後部もスペアパーツと交換可能で、こちらもラバータイプと、標準よりやや高いタイプが付属する。なお、後部はレバーで位置調節が可能で、手の大きさに合わせて4段階で長さ(奥行き)が調節できるようになっている。

 このほか、本体後部にオモリを通せるようになっており、付属の5個のウェイト(1個あたり6g)で重量が調節可能なっている。オモリを収納できるカートリッジも付属する。

 ケーブルは約180cm。ファブリックコーティングされており、柔らかいため操作しやすい。コネクタはゲーミングマウスで当たり前になりつつある金メッキ仕様となっている。

後部のネジを外すと、六角レンチになっていることがわかる 六角レンチで左側面ボタンの前後調整が可能 右側面のスペアパーツは交換可能
後部パーツはレバーで長さ調節や交換が可能 交換可能な部位は2カ所 左側面を前に寄せたところ
左側面を後部に寄せたところ 後部を詰めたところ 後部を広げたところ
付属のカスタマイズパーツ 後部と側面のパネルの形状 後部を高さのあるタイプに変更
後部をラバータイプに変更 側面を広めのスカートに変更 右側面をラバータイプに変更
後部、側面ともにラバータイプに変更 PCに接続すると、左クリックと右クリックのLEDが点灯する
付属のオモリ 後部のネジを外すと取り付け可能になる 底面にオモリを装着したところ

●Cyborg R.A.T 9 Gaming Mouse

 一方RAT9は、FPS(First Person Shooter)ゲーム向けの無線ゲーミングマウスだ。こちらはカスタマイズ可能なボタン数はMMO7の半分以下の6個にとどまる。

 こちらもパッケージはMMO7と同様のデザインを採用。しかし無線アダプタ収納スペースがあるため、若干大型になっている。内容物は本体と無線レシーバのほかに、カスタマイズ可能なパーツやオモリが収納された箱、それから説明書やドライバCD-ROMとなっている。

RAT9のパッケージ こちらも見開きになっている
パッケージの開封には工夫が必要だ 付属品など

 本体のデザインは、下位のRAT3/RAT5/RAT7や、先述のMMO7を基本的に踏襲するが、本製品で何よりもユニークなのはバッテリだ。RAT9は無線を使用するため、専用バッテリを採用するが、これがなんとフタなしで、本体後部から直接装着するようになっている。側面からはバッテリの一部とロゴが見え、まるで最初から取り付けられた本体の一部のようだ。

 また、このバッテリは2個添付されており、1個使用中に、もう1つを無線レシーバに装着して、充電するようになっている。レシーバ側もフタなしで、突出した形での装着となる。この仕掛けのため、“バッテリを交換する”というより、むしろ“燃料タンクを交換する”といったイメージで、本体の奇抜のデザインもあわせて、このままどこか飛んで行きそうだ。

 ボタンは、MMO7からActionLockやモードシフトボタン、5Dボタン、その前後、およびスカート部のボタンを省いた形。その代わり、DPI切り替えボタンは上下ともにできるようになり(MMO7はサイクル切り替えのみ)、進む/戻るボタン下部に精密ターゲットボタンを備える。

RAT9本体 斜め左後部から 斜め右後部から
斜め右前部から 斜め左前部から バッテリ室
バッテリを装着したところ バッテリが2個付属するため、充電しながら使える 付属のレシーバ
レシーバはバッテリ充電と、オモリの収納が可能 バッテリとオモリを装着したところ 動作中はLEDが点滅したり、充電ランプが赤になったりする(満充電時は緑)

 スペアパーツなどについては、素材および絵柄がやや異なるものの、MMO7とほぼ同等のものを交換可能となっている。また、オモリも同様に6gが5個付属する。なお、RAT9ではこのオモリの収納カートリッジをレシーバに挿入して、紛失を防ぐようになっている。

 ただ、装備されている六角レンチで親指部の角度を少し調節できるようになっているのが、MMO7にはない特徴で、手の幅が少し広いユーザーにも対応できる。MMO7自体にも、調節できそうなネジはあるのだが、幅は調節できない。

カスタマイズ可能な部位はMMO7とほぼ共通だが、こちらは左側面の角度の微調整が可能

●見た目によらず操作感は非常に良好

 先述のように直線的なデザインがユニークな両製品だが、見た目によらず操作感は非常に良い。上から見るとエッジが立っているものの、側面から見れば一般的なマウスと同様、エルゴノミクスデザインに沿った曲線を採用しており、フィット感は非常に高い。さらに先述のように、後部の高さや側面のフィット感なども調節可能なので、一般的なユーザーであれば十分満足が得られるだろう。

 底面のソールも、ロジクール製の「G700」などに比べると面積が狭いため、不安を覚えたが、実際の滑りは想像とは裏腹にG700に勝る。

 ただし両製品ともに重量がややある。MMO7は有線マウスであるにもかかわらず実測で138g(ケーブルをどかした状態)、一方RAT9はバッテリ込みだと実測165gという重量。オモリをフル搭載すれば198gだ。一般的なゲーミングマウスは100g前後のため、いずれも重量級と言えるだろう。そのため、低解像度で頻繁に持ち上げるような使い方には向いていない。

MMO7の重量 RAT9の重量 RAT9にオモリをフル搭載したときの重量

 センサーはいずれも“ツイン アイ”と呼ばれるレーザーセンサーを採用。解像度は25dpiから6,400dpiまで25dpiずつ調節可能。最大加速度は50G、対スピード性能はMMO7で6m/sec、RAT9が5.4m/secとされている。

 分解をしていないため、底面の外観からの推測であるが、この“ツイン アイ”センサーはRazerのゲーミングマウス「Lachesis」や、CoolerMasterのゲーミングマウス「Inferno」に採用されているものと同じ物だ。

 筆者は以前この両製品を実際に使ったことがあるため、このセンサーのクセを挙げさせてもらうと、マットな感触のマウスパッド上では、高感度でのクリック時にカーソルがわずかに動いてしまう問題、そしてマウスを動かしながらゆっくり引き上げると、リフトオフディスタンスが長くなり、1cm前後でも反応してしまう問題がある。いずれも精密な操作を必要とするFPSなどでは致命的になるので、やや光沢感のあるマウスパッドをオススメする。

 一方、レスポンスは、両製品ともに良好であり、軽くゲームをプレイしたところ大きな問題は見受けられなかった。ただし、MMO7はポーリングレートがきっちり1,000Hzをキープできるものの、RAT9は筆者の環境では750Hzが上限だった。実用上十分な反応速度ではあるものの、ロジクールのG700やROCCATの「PYRA WIRELESS」のように、無線でもきちんと1,000Hzが出せるマウスが登場してきているため、今後の改善に期待したい。

MMO7のポーリングレート RAT9のポーリングレート 参考として、有線のゲーミングマウス「Xai」の結果

 このうちMMO7についてあえて欠点を述べさせてもらうと、ActionLockボタンを後述するソフトウェアでも無効にできない点が挙げられる。このため誤操作でロックしてしまい、ドラッグしたままになったことが何度かあった。

●とっつきにくいソフトウェア

 本体の多様な設定は、独自の「ST(Smart Technology)ソフトウェア」から行なう。なお、インストールおよび利用には、あらかじめ本体のドライバをインストールしておく必要があり、デバイスマネージャーからMMO7やRAT9として認識されない限り、利用はできない。やや注意が必要だ。

 メイン画面には現在接続している製品の画像が現れ、設定のタブでDPIなどの設定、プログラミングのタブでマクロの設定、サポートのタブで製品サポートページへのリンクや、ソフトウェアの表示言語の変更などを行なう。なお、デフォルトでは英語になっているので、サポートのタブで日本語に変更しておいたほうが無難だろう。以下は、MMO7接続時をメインに説明していく。

起動時にはTipsが表示される 初回時は、サポートのタブで、言語を変更しておくと良い 日本語に設定したあとのトップ画面。一部フォントが異なるのはご愛嬌といったところか

 まず設定のタブから見て行こう。DPI設定のサブのタブでは、X軸とY軸個別にDPIを設定でき、なおかつ4つのプロファイルを保存できる。ややわかりにくいが、真ん中の赤いバーがX/Y軸が同期して設定できる、X/Y軸にある青い矢印は個別設定できるスライダーとなっている。

 一方精密ターゲットのサブのタブでは、MMO7では5Dボタン垂直押下時に減らす移動量を、パーセンテージで設定する。ボタンが押下されている間だけ、マウスカーソルの移動量が減り、100%時ではいくらマウスを動かしても動かなくなる。なお、RAT9の画面では「精密ターゲット」である説明がまったくないため、筆者はマウスの動きを補正する機能だと勘違いしていた。パーセンテージではなく、DPIで設定できるとわかりやすかったのだろう。

 ライティングのサブタブでは、マウスの左クリックおよび右クリックの模様の色を、カラーチャートから自由に選択できる。ActionLockオフ時と、オン時の個別設定もできるため、本機能を使う場合、見分けも簡単だ。ただし与えられている自由度ほど、LEDの色の発色があるわけではないため、ある程度の妥協が必要だ。

感度に関する設定 精密ターゲットの設定 カラーの設定
カラーバーから色をピックできる。色はリアルタイムに反映される RGBの値を使って指定することもできる

 プログラミングのタブでは、13個あるボタンをカスタマイズできる。UIでは説明がないため非常にわかりにくいが、順を追って設定方法を紹介していくと、まず本製品にはMODE 1〜3の3つの基本プロファイルモードが用意され、先述の左クリックの左の小さなボタンで切り替えられるようになっており、13個のプログラマブルのボタンに自由に機能を割り当てできる。

 一方、薬指または小指で操作できる位置にある小さな側面のボタンが、キーボードで言う「Shiftキー」に相当し、これが有効になっている時にはさらに13個の機能が自由に割り当てられる。ROCCATのPYRAシリーズで言う「EASYSHIFT+」に相当するわけだ。

 これを念頭に入れてソフトウェアを見ていくと、MODE 1〜3がそれぞれのモードにおけるマクロ設定、そしてその下段にあるMODE 1 SHIFT〜MODE 3 SHIFTが、それぞれのShiftモードに相当する機能を設定することになっている。

 Shiftを表す大きい矢印のアイコンをクリックすると、南京錠でロックされるようになる。ロックされるときは、このShiftキーを1回押すだけで、以降再度クリックされるまでずっとShiftモードに移行したままとなる。一方ロックがないときは、Shiftキーを押下している間だけ、Shiftモードに移行する仕組みだ。

 マクロの設定もややわかりにくいので、順に説明していこう。ボタンに機能を割り当てるためには、まず設定したいボタンを選ぶ。そうすると右側に小さい矢印があるので、詳細設定を行なう。なお、親指で操作する側面のボタンをカスタマイズするためには、画面右にあるアイコンでビューを切り替えなければならない。

 「キープレスの新規設定」はキーボードやマウスの1つのキーと同様に働く。例えば「D」を割り当てた場合、1回押せばDが入力され、Dをずっと押下しているとDがリピートされる、といった感じだ。しかしWとAを両方記録した場合、押された順番を一度再現するだけで終了する。割り当ては、欄の中にフォーカスを当て、キーボードなどを押していけば良い。

 一方「マクロの新規設定」は、キーボードやマウスの一連の動きを再現する。こちらはプレスとは異なり、リピートはされない。

 当初、キープレスではCtrl+Cのような「1つのキーを押しながらもう1つのキーを押す」といったものは再現できないと思われたが、実際コマンドは同時に送信されてしまうようで、実行できてしまった。一方マクロではタイムラグも記録されるのかと思ったが、こちらは再現されていないので、正直使い分けに困るかもしれない。

 一方、「詳細コマンドの新規設定」の画面は、これもまた説明がないためわかりにくいにくいが、ボタンを押下した瞬間(プレス)、押下している間の繰り返し(リピート)、ボタンを離した瞬間(リリース)を個別設定できる。プレスとリピートに関しては、マクロのチェックをONにすれば、タイムラグ(ディレイ)も再現されるため、細かい操作も可能だ。ディレイは後から調節可能となっている。

 なお、ボタンはもちろん「割り当てなし」にも設定可能。「フォールバック」はわかりにくいが、いわゆるデフォルト設定だ。また、ラッチにチェックを入れておくと、再度押されるまで、設定したマクロを繰り返す仕組みとなっている。

 さて、これらを設定した後、「プロファイルを適用」のボタンを押す。初回時は、いったんPC上のどこかにプロファイルを保存する必要があり、保存しないとプロファイルが適用されない。

プログラミングの画面。 設定したいボタンをクリックして選択する キープレスやマクロはこの画面で編集できる
キープレスなどを設定したら、名前をつける。エンターキーを押せば自動的に保存される こちらは詳細コマンドの設定画面。プレス、リピート、リリースごとに設定できる ディレイ値なども設定可能

 この仕組みから推測できるユーザーも多いと思うが、本製品には近年流行しているプロファイル保存用メモリを搭載していない。すべてPCのソフトウェアで実現しているため、こういう仕様になっているわけだ。つまり、ほかのPCでプロファイルを再現するためには、USBメモリに入れて別のPCでロードするなど、工夫が必要となる。また、ハードウェアベースで再現されないため、ゲームによってはチート防止のため無効にされてしまう恐れもある。これを念頭に入れて、本製品を選ぶ必要があるだろう。

RAT9でも、やや画面構成は異なるが、設定項目はほぼ同様だ。ただし精密ターゲットの説明がないのはやや不親切だろう

●弱点もあるが、ゲーミングデバイスとしては面白い

 以上、両製品を見てきたが、センサーのチョイスやソフトウェア、本体メモリ非搭載などにやや難があるものの、奇抜なデザインや、エルゴノミクス、本体をカスタマイズできるという観点では、至って真っ当なゲーマー向けマウスと言えるだろう。

 ことデザインに関してはまさに唯一無二の存在であり、人とは違う、ちょっと変わったゲーミングマウスがほしいというユーザーは是非手にしてもらいたい。

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(2012年 3月 28日)

[Text by 劉 尭]