山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

ソニー「Xperia Z3 Tablet Compact」

〜厚さわずか6.4mm、約270gの薄型軽量8型Androidタブレット

Xperia Z3 Tablet Compact。今回試用したのは海外版のSIMロックフリーモデル。技適も取得しており国内でも利用できる

 「Xperia Z3 Tablet Compact」は、約270gという軽量筐体が特徴の8型Androidタブレットだ。薄型軽量は同社Xperia Z Tabletシリーズの大きな特徴だが、本製品は初代の7.2mm、2代目の6.8mmをさらに下回る6.4mmという薄さ、さらに8型にして約270gという軽さと相まって、可搬性に優れていることがポイントだ。

 今回は、国内で販売されているWi-Fiモデルではなく、海外でのみ展開されているSIMロックフリーのLTEモデル(SGP621)を元に、主に電子書籍端末としての用途を中心にレビューする。

画面比率は16:10。左右のベゼル幅が狭く、上下が広いため、かなりの縦長筐体
厚みは約6.4mm。背面はカメラ部などの突起もなく、ほぼ完全にフラットだ
右側面上にイヤフォンジャックを搭載。防水仕様の本製品だがここはキャップなどに覆われていない
右側面中央に電源ボタン、音量調整ボタンを備える。これらボタン類が中央に配置されるのはXperia Zシリーズの多くに共通する意匠
左側面にはmicroSDカードスロットと、SIMカードスロットを備える。左隣に見えるのは充電クレードルに立てる際の端子
下部のUSBコネクタはキャップに覆われており、USBケーブルを用いた充電の際には一手間余計にかかる

iPad miniシリーズに比べて「やや縦に長く」「やや幅は短い」

 電子書籍を読むための端末を選ぶ際、本体の軽さと薄さを優先するならば、まず筆頭に上がるのがKindleシリーズに代表される電子ペーパー端末だ。ここに「電子書籍以外の用途にも使える汎用性の高さ」という条件を加えると、6〜8型のタブレットが候補になるわけだが、その中で本製品は約270gの超軽量筐体、かつ見開き表示もぎりぎり可能な8型というサイズで、候補の最右翼に挙げられる存在だ。同クラスのタブレットと仕様を比較してみよう。


Xperia Z3 Tablet Compact Google Nexus 7 (2013) iPad mini 3
メーカー ソニー ASUS Apple
サイズ
(幅×奥行き×高さ、最厚部)
123.6×213.4×6.4mm 114×200×8.65mm 134.7×200×7.5mm
重量 約270g 約290g 約331g
OS Android 4.4 Android 4.3→5.0 iOS 8
解像度/画面サイズ 1,200×1,920ドット/8型 1,200×1,920ドット/7型 1,536×2,048ドット/7.9型
メモリカードスロット 対応
通信方式 IEEE 802.11a/b/g/n/ac IEEE 802.11a/b/g/n IEEE 802.11a/b/g/n
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 約12時間(Wi−Fi Web閲覧時) 約10時間 10時間(Wi−Fiオン)
価格(発売時) 43,500円(16GB)
49,500円(32GB)
27,800円(16GB)
33,800円(32GB)
42,800円(16GB)
53,800円(64GB)
64,800円(128GB)
備考 防水対応(IPX5/8)

 ここでは3製品ともWi-Fi版を比較しているが、やはり注目となるのは、8型にして270gという本製品の軽さだろう。7.9型のiPad mini 3(331g)を約60gも下回るのはもちろん、本製品より画面サイズが一回り小さいNexus 7(2013)よりも軽量というから驚異的である。これより下、200g台の前半になると、6.8型のKobo Aura H2O(233g)など重量級の電子ペーパー端末があり、このクラスのタブレットの重量が、いよいよ電子ペーパー端末の領域に近づきつつあることが分かる。

 また厚みについても、6.4mmと驚異的な薄さだ。小数点以下のわずかな差異ではなく、iPad mini 3に比べて1.1mm、Nexus 7(2013)に比べて2.25mmも薄いのだから相当なものだ。ちなみにiPhone 6の厚みは6.9mm、iPhone 6 Plusの厚みは7.1mmなので、やはり本製品の方が薄いことになる。

 現行モデルで本製品より薄いタブレットは、iPad Air 2(6.1mm)、デルのVenue 8 7000(6mm)があるが、前者は9.7型と大きく、後者は8.4型とほぼ同等ながら305gとやや重いので、そうした意味でも本製品がユニークなポジションにある製品であることが分かる。

 本体サイズは、Nexus 7(2013)と比べた場合は「縦横ともに約1cm大きい」、iPad mini 3と比べた場合は「横は1cmちょっと短く、その分縦に1cmちょっと長い」といった違いになる。Nexus 7(2013)はわしづかみで持つのはなんとか可能だが、本製品は幅があるためさすがに難しく、ページをめくらずただ表示しているだけの場合を除き、基本的に両手で使うことになるだろう。

 筐体を構成するFRPパネルの剛性については、力を入れてもまず曲がらないであろうNexus 7(2013)、iPad miniに比べると、実際に使っていてやや怖さはある。あくまでも感覚的なものだが、素材的にもiPad miniのような金属素材ではないため、多くの人が同様の評価を下すだろう。筆者個人は屋外に持ち出す際は、ひとまずサードパーティ製の保護カバーを装着するようにしている。

左から、Nexus 7(2013)、本製品、iPad mini 2。機材の関係でiPad mini 3ではなくサイズが同じiPad mini 2を用いている。なおこの写真以降、本製品のベゼル部がグレーがかって見えるのは、保護シートを着用しているためなのでご了承いただきたい
左から、本製品、Nexus 9、iPad Air 2。本製品以外の2製品はいずれも画面比率が4:3ということで、大きさの違いよりもむしろ本製品のスリムさに目が行く
厚みの比較(いずれも左側が本製品)。上から順に、Nexus 7(2013)、iPad mini 2、iPad Air 2、Nexus 9、iPhone 6 Plus。iPad Air 2には唯一負けているものの、ほかの製品と比較するとその薄さが際立つ
手で握った場合の比較。左から、Nexus 7(2013)、本製品、iPad mini 2だが、指を届かせるのがやっとのiPad mini 2に比べると、本製品の方が実用範囲で持ちやすさを保っている。ただし親指のかかり方を見てもらえれば分かるように、Nexus 7(2013)の方がしっかりと握れる

メモリカードスロット、IPX5/8対応の防水仕様も読書に有利

 続いて、電子書籍を読むニーズに絞った場合に競合となりうる、電子ペーパー端末の高解像度モデルKobo Aura H2O、およびKindle Voyageと比較してみよう。


Xperia Z3 Tablet Compact Kobo Aura H2O Kindle Voyage
メーカー ソニー 楽天 Amazon
サイズ
(幅×奥行き×高さ、最厚部)
123.6×213.4×6.4mm 129×179×9.7mm 117×162×7.6mm
重量 約270g 約233g 約180g
解像度/画面サイズ 8型/1,200×1,920ドット 6.8型/1,080×1,430ドット 6型/1,080×1,440ドット
ディスプレイ カラー液晶 モノクロ16階調 E Ink電子ペーパー(Carta) モノクロ16階調 E Ink電子ペーパー(Carta)
通信方式 IEEE 802.11a/b/g/n/ac IEEE 802.11b/g/n IEEE 802.11b/g/n
内蔵ストレージ 16/32GB 約4GB 約4GB
メモリカード microSD microSD
ページめくり タップ、スワイプ、音量調節ボタン タップ、スワイプ タップ、スワイプ、ボタン
防水・防塵機能 あり(IPX5/8) あり(IP67)
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 約12時間(Wi−Fi Web閲覧時) 約7週間(ライトおよびWi−Fiオフ、約1分/1ページで1日30 ページ読書時) 6週間(ワイヤレス接続オフ、1日30分使用時)
価格(発売時) 43,500円(16GB)
49,500円(32GB)
19,980円 21,480円(キャンペーン情報つき)
23,480円(キャンペーン情報なし)

 バッテリ駆動時間については、さすがに数週間単位で充電不要な電子ペーパー端末には及ばないが、Wi-FiでのWeb閲覧時で約12時間、ビデオ再生時で約15時間というのはなかなかのものだ。今回は正確なテストはしていないが、電子書籍の閲覧だけであればバッテリの減りはさらに緩やかで、体感的にはiPad/iPad miniに近い。重量は、ほかの2製品より画面の対角サイズが二回り大きいことを考慮すると、十分健闘しているといっていいだろう。厚みに至っては圧勝だ。

 メモリカードスロットは、Kindle Voyage、さらに前述のNexus 7(2013)およびiPad mini 3には搭載されておらず、本製品の強みの1つになりうる。電子書籍用途で使う場合、自炊本を大量に持ち歩くことが可能になるため、ライバルと比べた場合に大きなメリットと言っていいだろう。

 もう1つ、IPX5/8に対応した防水仕様であることも本製品の強みだ。水に濡れた状態ではタッチ操作こそ不安定になるが、ページめくりを音量調整キーに割り当てられるアプリと組み合わせれば、快適に読書が行なえる。音量調整キーが中央付近に配置されているので、どちらかの辺に寄った位置にレイアウトされる他のAndroidタブレットに比べると、操作性は今一歩劣る印象だが、タッチ操作にしか対応しないKobo Aura H2Oに比べると扱いやすさは上だ。

左から、本製品、Kobo Aura H2O、Kindle Voyage。天地の長さが際立っているが、意外なことに横幅は大きな違いはなく、むしろKobo Aura H2Oの方が幅がある
厚みの比較(いずれも左側が本製品)。上から順に、Kobo Aura H2O、Kindle Voyage。Kindle Voyageは現行の電子書籍端末の中で最薄となる製品だが、本製品の方が薄い
タッチ操作が反応しにくい場合、ページめくりを音量調整キーに割り当てられる電子書籍ビューワアプリを使えば、快適なページめくり操作が行なえる

薄型軽量筐体はなにより魅力。ただしホールド感は今一歩

 本製品のAndroidバージョンは4.4。今回試用している海外モデルは将来的にAndroid 5.0に対応することが発表済みだが、現時点ではまだリリースされていない。それゆえセットアップ手順はAndroid 4.4そのままで、特に奇をてらった手順はない。今回使用している海外版のSIMロックフリーモデルの場合、一部のソフトウェアがそれに準じた構成になっているが、変更すれば特に問題ない。アンインストールが不可能なアプリは、ひとまず無効にしておくとよいだろう。

インストール直後のホーム画面
アプリの一覧。一部に海外版ならではのアプリもあるが、ほとんどは国内版でも見かけるアプリで、不要なアプリが多数プリインストールされているといったこともない

 ざっと使った限りの感想としては、薄型軽量の筐体はやはり何よりも魅力で、これだけで使い続けるモチベーションになりうる。筆者はNexus 7(2013)を購入後、その重さと厚みから徐々に電子書籍用途では使用しなくなってしまったが、そのNexus 7(2013)とは20g程度しか違わない本製品は、体感的にはそれ以上の差があるように感じられ、使い勝手は上々だ。コミックの単行本は一般的に180〜250g程度なので、本製品の270gとほとんど変わらず、そうした意味でも違和感は感じにくい。

 ただ、軽いからといって無条件に持ちやすいかというとそうではなく、横向きに持った際のホールド感だけ比較すると、画面が一回り大きいNexus 9やFire HDX 8.9の方が優れていると感じる。本製品がフラットかつベゼルが細すぎて指をかける際に気を使うことに加え、これら2製品は背面に滑り止め加工が施されているためだ。

 もう1つ、本製品のホーム画面はNexus 7(2013)などと同じく縦向きが前提で、Nexus 9のように横向きが前提ではない。そのため横向きをメインに使おうとすると、ドックが右側に一列に並んでしまう。慣れでカバーすべき問題なのだが、1カ月ほど使っていてもなかなか慣れないというのが正直なところだ。この手のインターフェイスに神経質な人は注意した方がよいだろう。

本製品を横向きにすると、ドックが右端に整列させられる。これはNexus 7などと同じ挙動で、やや慣れを必要とする
Nexus 9では画面を横向きにするとドックも下部に移動する。ちなみにiPadシリーズも同様で、アイコン同士の幅が広がる問題はあるものの、同じ感覚で操作できる

 また左右のベゼルの幅が狭いため、本体を握った際にここに指がかかることで不意にメニューを開いたり、ページをうっかりめくるなどの誤操作を起こしやすい。iPadでは縁の部分に指が当たった場合、それがタップか否かを判断して反応するしないを決める検出技術があるが、本製品はそうした意味で、意図しない反応が起こる確率がiPadより高いように感じられる。個人的には、左右のベゼルはここまで狭くなくとも、もう少し広い方が持ちやすかったように思う。

電子書籍ビューワアプリごとに表示サイズが異なる点に注意

 ところで以前Nexus 9のレビューの際にも触れているが、Androidの電子書籍ビューワアプリの中には、全画面表示しても下部にナビゲーションバーが表示されたままになるアプリがある。本体を縦向きに使う場合には特に問題ないのだが、横向きに使う場合はただでさえ狭い天地が圧迫され、逆に左右に大きな余白ができてしまう。また今回試用したモデルのように本体のベゼルが白いと、ページとベゼルの間にナビゲーションバーの黒帯が挟まる格好になり、非常に目障りな状態になるだ。

 具体的に見てみよう。以下の画像はそれぞれ、上段左がKindle、右がkobo、下段左が紀伊國屋書店Kinoppy、右がBookLive!という、代表的な4ストアでの表示を比較したものだ。テキストは太宰治著「グッド・バイ」、コミックはうめ著「大東京トイボックス 1巻」を用いている。

「テキスト」×「縦表示」の例。Kindle(左上)と紀伊國屋書店Kinoppy(左下)は全画面表示になるが、Kobo(右上)とBookLive!(右下)は下にナビゲーションバーが残ったままになる
「テキスト」×「横表示」の例。こちらも同じくKobo(右上)とBookLive!(右下)は下にナビゲーションバーが残ったままになる。Kindleと紀伊國屋書店Kinoppyでは、ページ内の上部と下部に無駄な余白が生じにくい紀伊國屋書店Kinoppyの方が優勢か
「コミック」×「縦表示」の例。ページそのものの表示サイズはどれも同じだが、本体のベゼルが白いためKobo(右上)やBookLive!(右下)のナビゲーションバーの黒帯は非常に目障りだ。最も望ましいのは紀伊國屋書店Kinoppy(左下)だが背景色がわずかにグレーがかっているのが惜しい
「コミック」×「横表示」の例。ナビゲーションバーが残ったままになるKobo(右上)とBookLive!(右下)はページ全体が縮小されてしまう

 本製品は画面比率が16:10で、iPad miniなど画面比率が4:3比率の端末と違って横向きにした際の天地にあまり余裕がない。そのためナビゲーションバーが表示されたままになるのに合わせてページ全体が縮小されると、表示サイズが小さい上に左右に巨大な余白ができ、見るからにアンバランスな状態になってしまう。またナビゲーションバーが非表示になるKindleや紀伊國屋書店Kinoppyも、画面の対角サイズでは本製品よりも小さいiPad mini(7.9型)の方が表示サイズが大きいという逆転現象が起きる。

コミックの見開き表示では、画面の対角サイズが本製品より小さいiPad miniシリーズ(7.9型)の方が大きいサイズで表示できる

 こうしたことから、コミックを読むことを目的に本製品とiPad mini 3とどちらがお勧めかと聞かれると、軽さや薄さといった利点を無視してでも、筆者はiPad mini 3を推す。ただし縦向きの単ページ表示で使うのであれば、縦横比率の違いで発生した余白にナビゲーションバーがすっぽり収まる形になるので、多くの電子書籍ビューワアプリではハンデにはならない。

 また繰り返しになるが、これは固定レイアウトのコンテンツの場合のみ発生する現象で、可変レイアウトのコンテンツでは画面いっぱいまでテキストがリフローするので、こうした問題は起こらない(ただしKindleのように上下の余白がやたらに大きいといった違いはある)。このあたりは縦向きに使うか横向きに使うかといった違いや、読むコンテンツの種類によって評価が変わる部分と言えそうだ。

本体色がホワイトだと、白いベゼルと白いページの間に黒帯がサンドイッチされた状態になるため見栄えがよくない(写真左)。画面比率が4:3であるためこうした問題が起こりにくいiPad mini(写真右)とは対照的だ
Nexus 7(2013)と並べたところ。テキストコンテンツは問題ないが(写真左)、コミックコンテンツでは黒帯のサンドイッチ現象が起こる(写真右)。Nexus 7(2013)のように本体色がブラックの方が違和感を感じにくいことが分かる

2.5GHzクアッドコアCPUを搭載。動画や音楽の鑑賞に向いたスピーカー配置

 最後に電子書籍とは関係ないところで、気になった点にも軽く触れておこう。

 本製品が秀逸なのはスピーカーのレイアウトだ。昨今のタブレットではスピーカーは側面もしくは背面に向いていることが多く、ある程度音量を上げないと正面から聞こえない(その一方で周囲からはそこそこ騒々しい)欠点があるが、本製品はベゼルの端に正面に向くよう配置されているため、こうした問題とも無縁で、動画や音楽の鑑賞が快適に行なえる。

 ベンチマークソフト「3DMark Ice Strom Unlimited」を用いた他製品との比較は以下の通り。2.5GHzクアッドコアCPUを搭載していることで、Nexus 7(2013)に比べると高い数値を弾き出しているが、Nexus 9ほど高い値ではなく、Nexus 9で問題なく再生できるNAS上のフルHD(1,920×1,080ドット)動画が本製品ではコマ落ちしたり遅延するといった現象が見られた。

 もっとも、DLNAを用いたネットワーク経由の再生、かつ11acではなく11aを用いた場合なので、性能が不足しているわけではなく、ローカルにいったんコピーしたフルHD動画はなんの問題もなく再生できたことを補足しておく。もちろん、電子書籍用途では気にする必要はまったくない。


Xperia Z3 Tablet Compact Fire HDX 8.9 Nexus 9 Nexus 7 iPad Air 2
Ice Storm score 18060 17928 25642 10545 21766
Graphics score 19719 19670 38540 10347 31638
Physics score 13951 13686 11809 11300 10404
Graphics test 1 107.6 FPS 100.4 FPS 217.1 FPS 52.8 FPS 148.1 FPS
Graphics test 2 71.3 FPS 74.5 FPS 136.5 FPS 39.2 FPS 128.4 FPS
Physics test 44.3 FPS 43.4 FPS 37.5 FPS 35.9 FPS 33.0 FPS
OS 4.4.4 4.4.3 5 4.4.4 8.1.1

注:Fire HDX 8.9はFire OS 4.5.2でテストしているが、OS表示はAndroidベースで「4.4.3」と表示される
SIMカードはnanoSIM規格

 SIMロックフリーモデルを選ぶ意義についても触れておこう。電子書籍の専用端末といえば、かつては3G回線を搭載し、通信費無料でコンテンツをダウンロードできる製品が多数存在していたが、今では下火になっている。継続して3Gモデルを提供しているKindleも、3G回線でダウンロードできるのはテキストコンテンツのみで、コミックなどのコンテンツには対応していない。

 その点、SIMロックフリーの端末であれば、こうした制約もなく、外出先で自由にダウンロードが行なえる。3Gモデルといえど利用できるコンテンツに制約のある専用端末に比べて、これらをメリットと感じる人も多いだろう。

 もっとも、高解像度化に伴ってコミック1冊あたりの容量は増えつつあり、1冊ダウンロードしただけで転送容量を100MB近く消費してしまうので、いくら外出先でインターネットに接続できるからといって、やみくもな利用は考えものだ。電子書籍用途で使うにあたってSIMロックフリーモデルを選ぶ意義は、ストアの参照や読みかけのページの同期などにあり、コンテンツのダウンロードはWi-Fiに任せるのが、現実的な使い方ということになるだろう。

長く使えるコンパクトなタブレット。薄さと軽さを求める人に

 以上見てきたように、1カ月ほど使った印象をそのままテキストに起こすと「ここは注意した方がいい」という箇所が意外に多くなるのだが、薄さと軽さがそのマイナス部分を軽々と上回るのが、まさに本製品らしさということになるだろう。

 余白の少ない見開き表示にこだわるのであればiPad miniシリーズ、それに加えてホールド感を求めるのならNexus 9といった選択肢もあるが、やはり本製品の薄さと軽さは魅力だ。基本性能には何ら非の打ちどころがなく、長く使えるコンパクトなタブレットとして幅広くお勧めしたい。

 なお今回試用したSIMロックフリーモデルは、海外から購入すると16GBモデルでも6万円オーバーと、そこそこの価格になる。筆者は外出先での利用を考慮していたためSIMロックフリーモデルを選択したが、自宅を中心に使うのであれば32GBでもギリギリ4万円台で手に入るWi-Fiモデルの方が良いだろう。

(山口 真弘)