山田祥平のRe:config.sys

その後のなんちゃってXi




 以前、ここで紹介したNTTドコモ「Xi」(クロッシイ)の裏技的契約変更だが、言い出しっぺかもしれないので、とりあえず、自分でやってみた。今回は、その顛末について紹介することにしたい。

●なんちゃってXiのメリット、デメリット

 ドコモの次世代通信網であるLTEを利用するXiだが、今、使っているFOMA端末のままでXiへの契約変更ができるかもしれないと思いつき、いろいろ調べてみた。

 その結果、以前、紹介したように、次のことが判明した。

1. Xiプランの契約において、Xi対応端末の購入は必須ではない。
2. FOMA端末のままでXiプランを使うことができる。
3. Xi対応端末以外ではFOMAと同様の環境になり、Xiの高速快適な環境は得られない。
4. FOMAからXiプランへの契約変更も、その逆もできる。
5.「Xiカケ・ホーダイ」も付加できる。
6. 契約変更ができるのはXi対応音声端末の発売日以降。
7. 月途中で契約変更した場合、パケ・ホーダイフラットなどは、月初めにさかのぼって再計算され、変更後プランの価格が適用される。
8. 契約変更には手数料として2,100円が必要。
9. 新規の契約で端末を購入せずに、Xiプランを選択することもできる。

 FOMAからXiへの契約変更により、次のメリットがある。

1. パケット定額サービス「パケ・ホーダイフラット」は、FOMAのそれ(5,465円)よりも500円高い(5,965円)が、テザリングをしてもこの上限は変わらない。FOMAの場合にテザリングをすれば8,190円なので、その差額は2,225円。

2. しかも、2012年4月30日まではXiスタートキャンペーンにつき上限額はさらに安い4,410円となり、5カ月間は1カ月につき3,780円安上がり。テザリングを使わない場合も、1,050円安上がりだ。

 その反面、次のデメリットがある。

1. FOMAからXiへの契約変更に伴い、月々サポートを受けている場合は、それが打ち切られる。

2. Xi契約をしてしまうとFOMA端末からFOMA端末への機種変更ができない。したい場合はFOMA契約に戻す必要がある。当然、契約変更にともない2,100円の手数料が必要(ヨドバシカメラの場合)。

3. 2012年10月1日からは、7GB超の通信について、送受信時最大128kbpsの通信速度となり、それがいやな場合は、2GBにつき2,625円の実質的従量制となる。

 このうち2は盲点だった。というのも、月々サポートはいったん打ち切られても、新たにGALAXY NEXUSへの機種変更をするつもりだったので、再び新たな月々サポートが始まると皮算用していたからだ。

 あとでサポートに問い合わせてわかったことだが、Xi契約ではFOMA端末からFOMA端末への機種変更ができないというのは、GALAXY NEXUSを購入したヨドバシカメラ(全店)独自のルールであり、ドコモとしては、そういう制限はしていないということだった。ただし、機種変更後、月々サポートを受けられないという点は同じだ。

●moperaの再契約で思わぬ余録も

 結局、さまざまな損益分岐点を検討して、それまで使っていたFOMA契約をXiに変更するためにドコモショップを訪れた。

 手続きは簡単で、いくつかの注意事項を言い渡されたあと、緑だったFOMAカードが赤いものに再発行され、持参した端末に装着しておしまいだ。

 毎月700円だった月々サポートは17カ月分残っていたので11,900円分をあきらめることになった。だが、毎月安上がりになる分、特にスタートキャンペーン中の5カ月で、その元はとれると判断した。それに、すでに書いたように、それまで使っていたSH-12Cは、すぐにGALAXY NEXUSへと機種変更するつもりだったので、どうせ月々サポートは受けられないから同じことだ。たとえ、月々サポートを受けたとしても、商売柄、24カ月にもわたって同じ端末を使い続けるとは思えない。

 通話部分については、それまでのFOMAタイプSバリュー(1,575円)を廃止し、タイプXiにねん(780円)とし、とりあえずXiカケ・ホーダイ(700円)をオプションとして付加した。もし、ドコモ端末への通話が毎月700円に満たないようなら、いつでも解除することができる。

 無料通話分はなくなるし、ドコモ宛以外の通話では30秒あたりの通話料も高くなる。ただ、もう1回線別のFOMA契約があるので、そのファミリー割引を分けてもらうことでうまく相殺できるんじゃないかと考えている。毎月の通話料をにらみながら、もう1つの契約のプランを変更していくつもりだ。そちらの契約では、ファミ割とひとりでも割が適用されているので多少は割安になる計算だ。

 また、SPモードやmoperaなどのISP料金についてはそのままだが、mopera Uは何の手続きもなく再申し込みがされたことになり、初回申し込み割り引き料として4カ月分が無料になった。申し込みをしたのは11月末だったので、各種パケット料金は11月頭にさかのぼって再計算され、通話プランについては日割りとなった。また、カケ・ホーダイだけは、数日間の利用でも丸ごと課金される。

 12月に入り、料金を確認すると、ドコモ以外にいっさいの通話をしていないようで、合計額は6,212円となっていた。4カ月後以降はmopera Uスタンダードプランの料金が515円加算されるので、その際の金額は6,712円となるはずだ。

 FOMA時代の典型的な料金は6,832円だったが、これは月々サポートが適用された額であり、しかもテザリングをしていない金額だ。サポートキャンペーンが終了して、パケット定額が値上がりする来年の5月以降は毎月500円でテザリングができると考えて納得することにする。

●なんちゃってXiではFOMA端末からFOMA端末への機種変更ができない

 Xi契約ではFOMA端末からFOMA端末への機種変更ができないというヨドバシカメラのルールをのんだ場合、GALAXY NEXUSは、もう1つのFOMA回線の機種変更で対応するしかない。前機種はGALAXY Tabだったので、端末購入サポート解除料7,200円が必要となってしまい、これは痛い。先にもらったお金を返すというのはつらいものだ。

 さらに、月々サポートを受けるには、パケ・ホーダイダブル(390円)をパケ・ホーダイダブル2(2,100円)にする必要がある。GALAXY NEXUSの月々サポートは1,155円なので、1カ月あたりの料金はこれまでよりも550円値上がりしてしまう。寝かせ回線コストとしては大きすぎる。

 月々サポートはあきらめて、パケ・ホーダイダブルに戻してしまうかどうか。いろいろ考えて、結局、一般のドコモショップでの機種変更をすることを検討している。ただ、この場合、ヨドバシカメラのポイントが得られない。ドコモにもドコモポイントがあるが、その差はけっこう大きい。しかも売価も高いとくる。悩ましいところだ。

 FOMA端末でのXi契約は、誰にでも勧められることではないが、少なくともスマートフォンでテザリングをしたいというユーザーには、かなりの節約になる。ただし、ドコモ以外への通話の多いユーザーは微妙なので、自分の使い方をよく調べた上で実行に移してほしい。逆に、iモード端末を長く使っていて、月々サポートなどは関係ないというユーザーで、ドコモ宛通話が多いのなら、こちらも契約変更の価値はありそうだ。さすがに、次の機種変更では、Xi端末を選ぶことになるだろう。まさに、ドコモの思うつぼにはまっているのかもしれない。ちなみに、ちょっとだけ心配だったおサイフケータイも、何の設定変更をすることなく、以前と同じように使い続けられているし、チャージなどについても問題がないことを記しておきたい。

 こうして、携帯電話に要する料金を1円でも安上がりにしようと悪戦苦闘してきた。いろいろなことを調べるために使った時間を考えると、果たして本当にトクしているのかどうか。今回わかったことは、月々サポートのような割り引きは、回線を寝かせる用途には向いていないということだ。また、Xi契約では、契約継続期間が長くても、そのメリットはほとんどない。使う端末を使うときに回線を契約するというのが、結局は安上がりになるということがよくわかる。キャリアメールアドレスに固執しないのであれば、機種変更ごとにMNPでキャリアを変えるというのもありなのかもしれない。