山田祥平のRe:config.sys
PCそのお役御免
2017年7月7日 06:00

電子機器では専用機の役割が汎用機に乗っ取られるケースをよく見てきた。たとえば専用ワープロがそうだった。最近ではカメラだろうか。スマートフォンがカメラ専用機の役割の多くを奪ってしまったということに異論を唱える方は少ないだろう。ある意味では腕時計なども役割を奪われたデバイスの1つといってもいいかもしれない。そのスマートフォンは電話そのものの機能も乗っ取った過去もある。
専用機は汎用機に置き換わる
スマートフォンよりもずっと前からあったPCは、専用ワープロをはじめ、いろんな機器の役割を奪ってきた。ソロバンは電卓になり、電卓は汎用PCで稼働する表計算アプリに乗っ取られている。音楽プレーヤーなども同様だ。段階的ではあっても汎用機が最終的にすべてを引き受けてきた。掃除機や冷蔵庫が専用機のままで進化しているのに対して、コンピュータデバイスはそうではないケースが多い。
今、ぼくらの周りで起こり、ぼくらが体験しているのは、汎用機としてのPCがスマートフォンという新参者の汎用機に乗っ取られるという現象だ。スマートフォンはPCがたどってきた四半世紀の道のりを、そのぼほ5分の1の期間ですべてをなぞってきた。いいことも悪いこともなぞってきたとしたら、そのうちスマートフォンの役割を奪う存在も出現するかもしれない。その一方で、スマートフォン全盛のこの時代にもガラケーはチヤホヤされているし、専用機としての電卓なしではこの世の中は成り立たないくらいの現場も少なくない。
急ぎすぎるスマートフォン
この先、何が起こるのかを知る術はないが、アラン・ケイがいうように、未来を知る最良の方法は、その未来を発明することだ。
そもそも今のスマートフォンが、PCはもういらない的な動きに発展するほど受け入れられたのはなぜだろう。ほんの20年前は、近い将来の電車内ではほとんどの人がPC的なデバイスを使っているはずという予測をすると、そんなことがあるはずないとバカにされたものだ。個人的には頭脳の延長としてのPCの役割は、それを多くの人々が求めるだろうし、あらゆることを引き受ける汎用デバイスの懐の深さは、手放せない存在として受け入れられるに違いないと思っていた。
でも、実際には、家庭で使われるPCの多くは、一度も外に持ち出されることなくそのライフサイクルを終えるし、企業で使われるPCの多くはセキュリティを理由に持ち出し禁止になっていたりする。
ところがスマートフォンは、PCと役割が酷似していたにもかかわらず、持ち出すことが当たり前のものとして受け入れられた。いったいどこに違いがあったのか。やっていることは似たようなものであるにもかかわらず、PCを日常的に持ち歩くのは現実的ではなく、スマートフォンは常時携帯が当たり前と認識された。
スマートフォン登場以前にはPDAというモバイル通信機能を持たないスマートデバイスがあった。一部のユーザーには熱狂的に受け入れられ、彼らはそれをなんとかインターネットに接続してメールを読み書きしたり、スケジュールを管理したり、メモ帳代わりに使ったりしていた。でも、それはマニア的なユーザーのものにすぎなかった。
スマートフォンは手のひらの延長であるという説がある。だから、手のひらにスッポリと収まるサイズ感が重要だ。そうしたサイズ感のスマートフォンには根強い人気がある。その一方で、スマートフォンの画面は大型化の一途を辿ってもいる。それは専用機としてのカメラの役割を奪い、デジタル写真を楽しんできたビューワの役割も奪う必要があったからかもしれない。リビングルームのTVは写真を楽しむためには十分すぎるほどのサイズ感を持っているが、いかんせん持ち出して外出先で楽しむわけにはいかない。かといって、5型程度の画面では写真の迫力に欠ける。せめて、今となっては死語となったL版サービスサイズ程度の大きさはほしい。つまり、役割を奪うからには、以前と遜色がないか、それ以上でなければならないという原則があるようにも感じる。人間は贅沢なので、サービスサイズより大きなタブレットは論外だったりもする。
今も昔もやっていることは同じ
四半世紀前にNECのPC-9800シリーズの640×400ドットというガラパゴス的な解像度や、PC-100の720×512ドットの縦置き、横置きなどで自分自身がはじめたパーソナルコンピューティングのことを思い起こすと、今のスマートフォンの解像度は驚異的といってもいい。それでも黎明期のPCに夢中だったあの日あのときは、それでも十二分に、ブラウン管画面の向こうに未来を感じることができていた。
当時のMS-DOS環境は、マルチタスクなどとは縁がなく、通信ソフトとワープロソフトを切り替えながら、場合によっては並べた2台の98を行ったり来たりしながら、ブラウン管画面の向こうに将来の可能性を夢見ていた。
今も昔もコンピュータデバイスを使ってやっていることにそう大きな違いがあるわけではない。確かに解像度が向上して画面は美しくなったが、人間から見たときには、解像度ではなく画面のサイズがものをいう。持ち運びの難易度も画面サイズに依存する。10型前後のPCを毎日持ち歩くという点ではこの四半世紀、何も変わっていないのだ。クラムシェルというクラシックなタイプのPCは廃れそうで廃れない。手を変え品を変えてイノベーションがさまざまな恩恵をもたらすし、これからもそうだろう。
現在のインターネットを使ったコンピューティングには欠かせない通信についても、もうすぐ5Gの時代がやってきて、世の中を大きく変えるだろう。インターネットは、長い時間をかけてお題目的には国家の垣根を取り除いたし(もちろん取り除かれていない部分もたくさんある)、前回紹介したように、EUのローミング料金撤廃のような施策が、コスト的な垣根も取り除くようになっていく。
ちなみに、前回スペインのTuentiのSIMがイタリアで使えなかった旨を書いたが、東京への戻り便で使ったベルギー・ブリュッセルの空港で試したところ、何ごともなかったかのように利用できた。どうも、イタリアのみが状況的におかしかったようだ。原因はまだわからないが、このハイテクノロジの時代にも、そういうことがある。
今、自分自身の等身大のパーソナルコンピューティングをかなえるという点では、スマートフォンよりタッチ対応の10型クラムシェルがしっくりくる。人間が何かをアウトプットするためにデバイスに文字や図形をインプットしている時間よりも、デバイスの表示によるアウトプットを人間がインプットしている時間のほうが圧倒的に長い。個人的にはPCよりもスマートフォンを使う時間のほうが圧倒的に長くなったが、やはりしっかりしたキーボードつきのデバイスは、当面の間自分自身に欠かせない道具として君臨し続けるだろう。
思えば遠くに来た感のあるパーソナルコンピューティングだが、この先起こることに興味はつきない。何て楽しい時代に生きているのだろうかと思う。
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