1カ月集中講座

パーソナル3Dプリンタ導入の手引き 第1回

~3Dプリンタを購入するときにチェックしておきたいポイント

 2013年、広く話題を集めた製品の1つが「3Dプリンタ」である。3Dプリンタ自体は、製造業の現場では20年近く前から使われており、決して最近登場した製品というわけではない。しかし、数年前に3Dプリンタの基本技術の1つである熱溶解積層方式(FDM)の特許が切れ、FDM方式の安価な3Dプリンタの製造が可能になったため、話題を集めるようになった。

 業務用の3Dプリンタは、安いものでも100万円を超えており、個人が気軽に購入できるものではなかったが、個人やSOHOをターゲットにした安価な3Dプリンタは、10万円を切る製品も登場している。PC業界に例えれば、DECのミニコン「PDP-8」や「PDP-11」から、10万円前後のマイコンが登場したようなイメージだ(少々例えが古いが、筆者は今のパーソナル3Dプリンタは、機能的にそれくらいだと考えている)。

 こうしたパーソナル3Dプリンタは、精度や信頼性は業務用機には及ばないが、ものづくりを趣味としている人にとっては、非常に大きな武器となる。2013年11月に開催された「Maker Faire Tokyo 2013」では、パーソナル3Dプリンタやその活用例が多数展示されており、パーソナル3Dプリンタに興味を持ったという人も多いことだろう。

 しかし、そこはやはり立体物の造形ということもあり、個人向け製品だからといって一筋縄でいくものでもない。そこで、4回に渡ってパーソナル3Dプリンタの最新事情や選び方、使い方について解説していきたい。後半の2回では実際に3D出力の方法なども紹介する。

3Dプリンタの方式とその特徴を知ろう

 今回は、3Dプリンタ(本講座では基本的に数十万円以下で購入できるパーソナル3Dプリンタを対象とする)を購入する際に知っておきたい基礎知識を解説する。まずは、3Dプリンタの方式とその特徴を紹介しよう。

 通常のプリンタにも、インクジェット方式やレーザー方式、感熱方式など、さまざまな方式があるように、一口に3Dプリンタといってもさまざまな方式がある。ここでテーマとしているパーソナル3Dプリンタは、一部の例外を除いて、全て糸状の樹脂を融解して積層する熱溶解積層(FDM)方式を採用しているのだが、ここでは業務用3Dプリンタに用いられているFDM以外の方式についてもまとめてみた。3Dプリンタメーカーによって、ほぼ同じ方式でも別の名称で呼んでいることもあるが、3Dプリンタの代表的な方式をまとめたのが以下の表だ。

【表】3Dプリンタの代表的な方式とその特徴
方式名原理利用できる材料装置の価格帯長所短所
熱溶解積層方式糸状の樹脂(フィラメント)を熱で溶かし、溶解ヘッドから押し出してプラットフォーム上に積み重ねていくことで造形する。FDM(Fused Depisiton Modeling)とも呼ばれるABS樹脂/PLA樹脂/ナイロン樹脂など数万~数百万円基本特許が切れたため、オープンソースベースの低価格な機器が登場している。材料の取り扱いも比較的容易であり、パーソナル3Dプリンタのほとんどがこの方式である。材料色の選択肢も多い原理的に積層跡が目立ちやすく、精度もそれほど高くはない。低価格な製品ではサポート専用材料を利用できないため、サポート部分の除去に手間がかかる
光造形方式紫外線を照射すると硬化する液状の紫外線硬化樹脂を利用し、光硬化性樹脂を満たした槽に紫外線レーザーを照射して1層ずつ造形する。STL(STereo Lithography)とも呼ばれるエポキシ系樹脂/アクリル系樹脂数十万~数千万円精度が高く、積層跡もほとんど気にならない。FDMに比べて積層ピッチも細かいサポート材料が必要であり、材料色の選択肢もあまり多くない。太陽光下での劣化が起こりやすい
粉末焼結方式粉末状の材料にレーザーをあてて焼結させる造形方式。樹脂だけでなくセラミックや銅、チタンなども材料として利用できる。SLS(Selective Laser Sintering)とも呼ばれるナイロン樹脂/セラミック/銅/チタンなど数千万円以上精度が高く、造形物の耐久性も高いため、デザイン試作だけでなく、実際に動作する機能試作にも利用できる。サポート材も不要装置が非常に大きく、価格も高額
粉末石膏方式石膏粉末の薄い層にインクジェットで塗料と固着材を吹き付けることで、1層ずつ造形する石膏数百万~数千万円フルカラーでの造形が可能であり、人物フィギュアなどに向いている。サポート材も不要石膏を固めて造形するため、造形物が重くて脆い
インクジェット方式液状の紫外線硬化樹脂をインクジェットで吹き付け、紫外線を照射することで1層ずつ造形するアクリル系樹脂/ABSライク樹脂/ラバーライク樹脂/ポリプロピレンライク樹脂など数百万~数千万円精度が高く、2種類の材料を自由な割合で混合して造形できる製品もある太陽光下での劣化が起こりやすい
熱溶解積層方式を採用したMakerBotのパーソナル3Dプリンタ「Replicator 2X」
光造形方式を採用した3D Systemsの業務用3Dプリンタ「ProX 950」
粉末焼結方式を採用した3D Systemsの業務用3Dプリンタ「ProX 500」
石膏粉末方式を採用した3D Systemsの業務用3Dプリンタ「ProJet 660Pro」
インクジェット方式を採用したStratasysの業務用3Dプリンタ「Objet500 Connex」

 このように、3Dプリンタにはさまざまな方式があり、それぞれ長所と短所があるのだが、熱溶解積層方式以外の方式は低価格化が難しく、現時点でのパーソナル3Dプリンタは、光造形方式を採用した「Form 1」や「B9Creator」を除いて、ほとんどの製品が熱溶解積層方式を採用している。そのため、次節以降では熱溶解積層方式のパーソナル3Dプリンタの選び方を中心に解説していくが、将来的には他方式の3Dプリンタも低価格化が進む可能性はあるので、これらについても長所/短所は理解しておくとよいだろう。

PCから制御するかスタンドアロンで動作するか

 パーソナル3Dプリンタは、PCからの制御で動作するタイプと、造形データをSDカードやUSBメモリなどから読み込むことで3Dプリンタ単体での動作(スタンドアロン動作)が可能なタイプに大別できる。

 前者は、造形中ずっとPCの電源を入れておく必要があるのに対し、後者は、PCとは独立して動作するため、その必要はない。スタンドアロン動作の方が気軽に造形できるが、PC接続タイプは設定や造形の進行状況などをPC画面で確認できるというメリットがある。

 PC接続タイプは、インターフェイスとしてUSBを使うものが多いが、無線LAN経由での接続に対応した製品もある。スタンドアロン動作が可能な製品の多くはPC接続にも対応しているので、設置場所や目的に応じて、使い分けられるという点では、スタンドアロン/PC接続両対応の製品のが便利であろう。ただし、両対応製品は価格が高めだ。

 PC接続タイプの代表としては、ホットプロシードの「Blade-1」やオープンキューブの「SCOOVO C170」、Genkeiの「atom 3Dプリンター」、岡田商店の「CellP」などが挙げられ、スタンドアロン/PC接続両対応の製品としては、MakerBotの「Replicator 2」、「Replicator 2X」、3D Systemsの「Cube」、「Cube X」などが挙げられる。

SCOOVO C170は、USB経由でPCと接続し、PCからの制御で動作する
Raplicator 2Xは、SDカードスロットと液晶ディスプレイを備えており、スタンドアロンで動作する

シングルヘッドかデュアルヘッドか

 熱溶解積層方式の3Dプリンタは、フィラメントと呼ばれる糸状の樹脂を高温で溶かし、溶解ヘッドから押し出すことで造形を行なう。そこで重要になるのが、搭載している溶解ヘッドの数だ。

 パーソナル3Dプリンタは、溶解ヘッドの数によって、使い勝手や機能が大きく変わってくるのだ。溶解ヘッドが1基のみの製品をシングルヘッド、2基搭載したものをデュアルヘッド、3基搭載したものをトリプルヘッドと呼ぶ。低価格なパーソナル3Dプリンタは、シングルヘッドが中心だが、デュアルヘッドが標準となっている製品や、バリエーションモデルとしてデュアルヘッドモデルやトリプルヘッドモデルが用意されている製品もある。

 シングルヘッドモデルでは、造形に1種類の材料しか使うことができないので、造形物は1色のみになり、サポート部分(オーバーハングする部分は、下に支えとなるサポート部分の造形が必要)も造形材料と同じ材料で造形されることになる。サポート部分は造形完了後、取り除く必要があるが、同じ材料だと綺麗に除去するのがかなり大変である。

 それに対し、デュアルヘッドモデルでは、2種類の材料を同時に利用することが可能なので、2色の造形が可能になるほか、サポート専用材料を利用して、サポート部分を造形することができる機種もある。サポート専用材料は、水やリモネン、アルカリ溶液などの溶媒に浸けることで溶解するようになっているため、サポート部分の除去が容易である。造形物をいくつかのパーツに分けたり、造形方向を変えるといった工夫で、極力サポート部分を減らすことは可能だが、複雑な形状の造形を行なうことが多いのなら、サポート専用材料を利用できるデュアルヘッドモデル(またはトリプルヘッドモデル)をお勧めする。

 トリプルヘッドモデルでは、同時に3色を使った造形が可能になるほか、2色+サポート専用材料での造形も可能だが、サポート専用材料への対応が公式に謳われていない製品もあるので、そのあたりもしっかりチェックしておきたい。

Cubeはシングルヘッド構成なので、サポート専用材料は利用できない
Replicator 2Xは、デュアルヘッド構成であり、2色の材料を使って造形することやリモネンに溶けるサポート専用材料の「Dissolvable Filament」を使うこともできる
Replicator 2Xでの造形例。赤色と白色の2色の樹脂を使って造形している

最大造形サイズはどの程度か

SCOOVO C170の最大造形サイズは、175×150×150mmで、パーソナル3Dプリンタとしては大きい方だ

 業務用3Dプリンタは、冷蔵庫やタンスくらいの大きさのものが多いが、パーソナル3Dプリンタは、デスクトップ3Dプリンタと呼ばれることもあり、その名の通り、机の上に気軽に設置できるサイズである。そのため、業務用3Dプリンタに比べて、造形できる最大サイズは小さい。ほぼ同じ本体サイズのパーソナル3Dプリンタであっても、プラットフォームの駆動方法の違いなどで、最大造形サイズは異なってくる。例えば、最大造形サイズが100×100×100mmの製品では、長辺の長さが200mmになる物体を1度で造形することはできないが、最大造形サイズが200×200×200mmの製品なら、1度で造形可能だ。

 大きな物体を1度で造形しようとすると、出力時間がかなり長くなってしまい、途中でプラットフォームから剥がれてしまうなどのトラブルも起きやすくなるため、大きな物体を造形する場合は、いくつかのパーツに分割して出力して、後で合体させることも多い。しかし、最大造形サイズが大きい方が3Dモデリングの自由度は高くなる。3Dプリンタで、何を作りたいのかによっても、必要な最大造形サイズは変わってくるが、同じくらいの価格帯なら、最大造形サイズの大きな製品を選んでおいた方が潰しが効いて便利であろう。

造形に利用できる材料は何か

MakerBotが開発したサポート専用材料「Dissolvable Filament」。Replicator 2Xで利用できる

 熱溶解積層方式の3Dプリンタでは、フィラメントと呼ばれる糸状の樹脂を熱で溶解して造形を行なう。機種によって、利用できるフィラメントの素材も異なるので、注意が必要だ。

 パーソナル3Dプリンタでは、フィラメントの素材としてABS樹脂またはPLA樹脂を利用する製品が多い。ABSの方がPLAよりも高温で溶解させる必要があり、冷える際の収縮率も大きいため、基本的にはプラットフォームにヒートベッド(後述)が必要になる。

 PLAは、ABSよりも低温で溶解でき、ABSに比べて収縮も少ないため、プラットフォームから造形物が剥がれるトラブルが生じにくい。ABSの方が強度が高いとされているが、PLAも決して弱いわけではないので、小さな物体の造形ならそれほど違いはない。ただし、PLAは高温には弱いので、例えば熱湯がかかるような用途などには向かない。

 ヒートベッドを備えた製品は、ABSとPLAの両素材に対応しているものが多いが、ヒートベッドを装備していない製品は、PLA専用のものが多い(Cubeのようにヒートベッドを装備していなくてもABSを利用できる製品もある)。また、デュアルヘッドモデルやトリプルヘッドモデルでは、造形用材料のほかにサポート専用材料も利用できることが多いが、サポート専用材料の素材が異なると、サポート除去方法も異なるので、そのあたりもチェックしておきたい。例えば、Replicator 2Xでは、MakerBot純正のサポート専用材料「Dissolvable Filament」が用意されているが、その除去にはリモネンを利用する。

サードパーティ製フィラメントの利用が可能か

 フィラメントについては、ABSかPLAかという素材の選択とは別に、メーカー純正品以外のサードパーティ製フィラメントを使えるかどうかもポイントだ。

 業務用3Dプリンタは、基本的にメーカー純正のフィラメントしか利用できないが、オープンソースのRepRapプロジェクトをベースとするパーソナル3Dプリンタは、メーカー純正のフィラメントだけでなく、サードパーティ製フィラメントも利用できる製品がほとんどである。ただし、安価なサードパーティ製フィラメントは品質にバラツキがあり、フィラメント詰まりなどが生じる可能性もあるので、メーカー純正フィラメント以外の利用は保証外とされていることも多い。

 例えば、3D SystemsのCubeおよびCube Xは、専用カートリッジに入った純正フィラメントしか利用できないので、フィラメントの入れ替えは楽だが、造形コストは比較的高くなる。サードパーティ製フィラメントを利用できる製品は、メーカー純正フィラメントとしては用意されていない場合や、サードパーティ製の新素材フィラメントも設定次第で利用できる可能性がある。あくまでもユーザーの自己責任とはなるが、木材の粉を混ぜたウッドライクフィラメント「LAYWOO-D3」や弾力のある「NinjaFlex」など、メーカー純正以外のフィラメントを使って造形できることは魅力だ。

Blade-1に付属するフィラメント。単にフィラメントをリールに巻いただけなので、純正品以外のフィラメントも利用可能だ
Cube用のフィラメントカートリッジ。専用形状であり、純正品以外のフィラメントを利用することはできない
NinjaFlexは弾力のあるフィラメントで、指で押すと曲がるような造形物を作ることが可能だ

ヒートベッドとは何か

CellPでは、オプションパーツとしてヒートベッドが提供されている

 熱溶解積層方式のパーソナル3Dプリンタのスペック表には、“ヒートベッド付き”や“ヒートベッドはオプション”など、ヒートベッドに関する記述があることが多い。

 ヒートベッドとは、造形プラットフォーム全体を温めるヒーターのことで、ヒートベッドがある方が、造形途中でプラットフォームから造形物が剥がれてしまうというトラブルが少なくなる。ただし、ヒートベッド付きのプラットフォームは、90℃前後まで温度が上昇するので、造形中にうっかりプラットフォームを触ってしまうと火傷をしてしまう恐れがある。PLAよりもABSの方が温度低下時の収縮が大きいので、ABS対応の3Dプリンタはヒートベッドを備えていることが一般的だが、ヒートベッド非搭載でABSに対応した製品もある。

積層ピッチは細かいほどいいのか

Cube Xでの積層ピッチを変えた場合の造形例。左から積層ピッチ0.1mm、積層ピッチ0.25mm、積層ピッチ0.5mmとなる

 熱溶解積層方式の3Dプリンタでは、溶解ヘッドから押し出される溶けた樹脂を積層していくことで造形を行なうが、この積層の細かさ(上下方向)を積層ピッチと呼ぶ。

 例えば、積層ピッチが0.2mmなら、高さ50mmの物体を造形するには、50÷0.2で250層を積み重ねることになる。同じ高さ50mmの物体を造形する場合でも、積層ピッチが0.1mmなら、500層積み重ねる必要がある。基本的には、積層ピッチが細かい方が積層段差が小さくなるので積層跡が目立ちにくくなり、より精細な造形が可能になるが、その分出力時間も長くなる。また、積層ピッチの細かさとヘッドの位置決め精度は直接関係するわけではないので、積層ピッチが細かくても、位置決め精度が低ければ、造形物の精度は向上しない。用途にもよるが、最小積層ピッチについては、それほど気にしなくてもよいと言える。

 パーソナル3Dプリンタでは、積層ピッチ0.1~0.5mm程度に設定できる製品が多いが、積層ピッチ0.1mmでは出力時間がかなり長くなってしまうので、積層ピッチ0.2~0.25mm程度がお勧めだ。

筐体がシャーシやカバーで覆われてるほうがいいのか

 熱溶解積層方式のパーソナル3Dプリンタは、その外観によって、プラットフォーム部分の周囲がシャーシやカバーなどで覆われているタイプと、プラットフォーム部分が剥き出しになっているタイプに大別できる。

 前者の代表としては、Replicator 2やReplicator 2X、SCOOVO C170などが挙げられ、後者の代表としては、Blade-1やCube、PRN3Dなどが挙げられる。プラットフォームの周囲がカバーで覆われているタイプは、造形中にプラットフォームにうっかり触ってしまい、造形物がずれてしまったり、ヒートベッド付きモデルで、加熱中のプラットフォームに触れて火傷してしまうといった事故を防げることがメリットだ。その反面、剥き出しタイプの製品に比べると、筐体サイズが大きくなり、重量も重くなりやすい。

 また、Replicator 2Xは、単にプラットフォーム部分の周囲がシャーシで覆われてるだけでなく、上部に装着する透明カバーも付属しており、筐体全体をカバーすることが可能だ。筐体全体をカバーで覆うことで、外気の影響を受けず、安定した造形が可能になる。熱溶解積層方式の3Dプリンタにとって、エアコンや扇風機などの風は大敵だ。本体に直接エアコンの冷却風があたると、溶解ヘッドやヒートベッドの温度を一定に保つことが難しくなり、トラブルが生じやすい。夏に造形がうまくいかない場合は、エアコンや扇風機などの風が当たっていないか、確認しておこう。シャーシだけで覆われている場合やプラットフォームが剥き出しになっている場合は、ダンボールやアクリルなどで周囲を覆うケースを作ると、より安定した造形が可能になることもある。

Replicator 2Xは筐体全体がカバーで覆われているので、外気の影響を受けず、安定した造形が可能
「atom 3Dプリンター」はプラットフォーム部分が剥き出しになっている

本体サイズや重量、予算もチェック

 当然、本体サイズや重量も、前もって調べておくべき情報である。パーソナル3Dプリンタは、基本的に設置したら、持ち運ばずにその場所で使う製品なので、重量はあまり重要ではないが、設置予定場所に本体をちゃんと置くことができるかどうかは、しっかりチェックしておきたい。

 予算についても、5万円前後の製品から数百万円以上する業務用機まで、非常に幅広いが、10万円の製品と20万円の製品を比べても、PCほど性能差があるわけではない。精度の高い造形を行なうためのポイントは、本特集の4回目で解説する予定だが、低価格な製品でも、調整をしっかりして、最適な設定で出力を行なえば、より高価な製品と遜色のない出力結果が得られる。


 今回は、熱溶解積層方式のパーソナル3Dプリンタを購入する際にチェックしておきたい主要なポイントを解説した。次回は、今回の内容を踏まえ、現在日本で販売されている、代表的なパーソナル3Dプリンタを紹介する予定だ。

(石井 英男)