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日本エイサー、国内事例も披露したChromebook発表会

 日本エイサー株式会社は23日、7月16日付けで国内発売を発表したChrome OS搭載ノートPC「Chromebook C720」の製品発表会を開催した。

 冒頭で挨拶に立った、同社代表取締役社長のボブ・セン氏は「Acerは、人を中心に製品を考える“Human”、好奇心を持った製品作りを行なう“Curious”、常に進歩・進化する“Progressive”という3つのエッセンスを持って、ずっと製品を考えてきた。今回のChromebookも、こうした要素を盛り込んだもの」と製品を紹介。

 Chromebookについては、2012年に「Chromebook C7」を発売して参入。米国の調査では3月、4月にシェアナンバーワンを獲得している。「日本にもいち早く投入したかったが、タイミングや需要を計って、今回ようやく紹介できることになった」と述べた。

 ちなみに、「一時はご心配をおかけしたが……」と、同社の業績についても触れ、2013年は収益が120.02億ドル(日本円換算で約1兆2千億円)となり、黒字に転換できたと言う。収益比率はノートPCが約60%と多い状況に変わりないが、販売地域は変化しており、EMEAが60%にも達していた以前の状況に比べて米国での販売が伸びたことでバランスが取れてきているとした。

日本エイサー代表取締役社長のボブ・セン氏
Chromebookはスマートフォンやタブレットと並び、将来性のある製品群とする
米国ではChromebook C7、C720とも高評価を受け、3~4月にはシェア1位を獲得
赤字転落も経験したAcerだが、2013年は黒字に転換
2014年第1四半期の製品別および地域別の収益比率

広尾学園でのパイロット導入実績を披露

 同社でChromebookを担当するプロダクトセールス&マーケティング部 プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの西山隆康氏は、パイロットプログラムとして導入されている広尾学園の事例を紹介した。

 同社のChromebookは、米国では6つの学区と2つの官公庁に対して10万台規模の導入を実現しているほか、国内でもすでに10の教育機関で導入していると言う。その10機関の中の1つが、東京都港区の広尾学園である。

日本エイサー プロダクトセールス&マーケティング部 プロダクトマーケティング プロダクトマネージャーの西山隆康氏
国内でもパイロットプログラムを展開し、すでに10の教育機関で導入されている

 同校では、医進・サイエンスコースの1クラス35名および教員用に、Chromebook C720を導入。文章作成などタブレットでは難しかったクリエイティブな作業を、PCと同じように行なえるようになったことや、データ共有による生徒間でのコミュニケーションが活発になり、生徒同士の情報/知識共有という概念が生まれてきたという。

 一方、教職員の立場でも管理が容易になるメリットが生まれている。従来は1台1台にソフト導入などのキッティング作業を行なっており、ITに詳しい教職員が1学年250名のPCに対して3日掛かりで作業していたそうだが、Chromebookと「Google管理コンソール」の組み合わせで集中管理を行なうことにより、5分で済むようになったと言う。

 西山氏は「文部科学省のICT教育に対する方針に対して、プラットフォームに依存しないデバイスの1つとして大きな解になるのではないか」と、今後も教育機関への導入が進むと見込んでいる。

“何かを作る”というクリエイティブで、より高度な作業を行なえるデバイスとしてChromebookを導入。起動速度やGoogle Appsが使えることが重要だった
教職員の立場で見るとキッティング作業やポリシーの変更が容易に行なえ、特にキッティング作業は3日掛かっていたことを5分へ短縮
事前に授業動画を見て、実際の授業ではより深く学ぶ反転教育でも、Flash動画が見られるChromebookのメリットが出ている
データ共有が容易となり、生徒の間で情報/知識の共有という概念が生まれるなど、コミュニケーションが活性化したと言う

 Chromebook C720の特徴としては、「最長8.5時間のバッテリ駆動時間」、「7秒で起動できる高速性」などを挙げた。バッテリ駆動時間については、先の広尾学園の事例において、ほとんどの生徒がACアダプタを自宅に置いたまま通学し、利用していることを紹介した。

Chromebook C720の特徴
製品の仕様。国内ではメモリ4GBモデルのみ提供。日本語キーボードも搭載
バッテリ駆動時間は最大8.5時間
Chrome OS上のブックマークは、PCやAndroidのChromeブラウザと同期可能
Officeファイルの閲覧、編集が可能。オフラインで利用するアプリも増えている
言語切り替えも容易。国内では日本語に初期設定されて出荷
7秒以下で起動。従来のOSとの起動プロセスの差を示した
Google AppsほかGoogleのサービスを容易に利用できる
アプリも多く提供されており、特に教育系アプリが充実している点を強調した
リモートデスクトップの活用で、従来のOSでしか利用できないシステムも利用できる
Googleサーバーからの配信によりOSは自動的にアップデートされる
各プロセスがサンドボックス内で動作するので、セキュリティ上の問題が発生してもほかのプロセスへ波及しない
データは全て暗号化して保存される
ブート時にもセキュリティチェックを行ない、必要に応じてバックアップシステムから復元する
Google管理コンソールの説明
日本エイサーの「Chromebook C720」
国内発売版は日本語キーボードが搭載される
本体左側面にHDMI出力やUSB 3.0、音声入出力を備える
本体右側面にSDカードスロットとUSB 2.0。セキュリティロックスロットも備える
前面のLEDインジケータ
液晶パネルの上部にWebカメラを内蔵
液晶を最も奥まで倒したところ
Chrome OSのログイン画面
初期スタート画面の1ページ目
初期スタート画面の2ページ目
Chromeウェブストアでアプリを追加できる
画面右下にはネットワーク切り替えや設定画面へのショートカットなどが表示される
設定画面はChromeブラウザの設定画面に、無線LAN接続先やデバイスの設定などを追加した内容になっている

(多和田 新也)