すでに表明されているとおり、AMDはDDR2 SDRAM対応となるK8シリーズの新リビジョンを投入する。メモリコントローラの変更に伴いソケットの形状が新しくなるのが特徴で、この新ソケットに対応するCPUを最上位のAthlon 64 FX-62からエントリー向けSempronにまで、一気にラインナップを揃えてきた。ここでは、そのDDR2対応Athlon 64の性能を見てみたい。 ●940ピンの新ソケット、Socket AM2を採用 まずは、今回投入されるSocket AM2対応製品を表1に記した。いわゆるK8アーキテクチャのRevision Fと呼ばれるコアを採用しており、いずれも90nm SOIプロセスで製造される。今回の製品ラインナップにおける主要な変更点を挙げると、 (1)DDR2 SDRAMのサポート といったところである。 【表1】Socket AM2版Athlon 64/Sempronシリーズラインナップ
まず、DDR2 SDRAMへの対応は、今回もっとも重要なトピックといえる。K8のアーキテクチャはCPU内にメモリコントローラを搭載することで、メモリのレイテンシを極力下げる方向性で設計されている。だがこれは、対応メモリを変更する際に、CPUの再設計が必要になるということにもなり、これはK8登場時からデメリットとして指摘されてきた点だ。 実際、Intelはおよそ2年前の2004年6月22日に発表したIntel 925X/915チップセットにおいて早々にDDR2へ移行していたことを考えると、かなり遅れた印象は感じる。 また、2005年秋ごろからDDRとDDR2の価格差が急激に縮まっており、もう半年早い投入であったなら印象も違ったのではないかと思う。もっとも、この価格差の縮小が安定していることで価格面の心配なくDDR2を選択肢として加えられる状況になっており、このタイミングでの登場は、あながち遅すぎるとは言い切れないのかも知れない。 AMD Virtualization(AMD-V)は、「Pacifica」のコードネームで呼ばれていた仮想化技術で、およそ1年前に仕様を公開していたものである。ちなみに、AMD-Vが有効になっているのは、Athlon 64のブランドを持つ製品のみであり、Sempronは非対応である。 低消費電力版であるが、これもすでに発表されているとおり、TDP65W/35Wの低消費電力で動作するバージョンが投入されるということだ。 日本の自作市場のみならず、AMDのTurion 64、IntelのCoreシリーズやPentium Mといったモバイル用PCを利用した小型のフォームファクターが注目を集めている。AMDからもモバイル向けデュアルコアCPUである「Turion 64 X2」が発表されたものの、デスクトップ用マザーボードで、BIOSの更新のみで利用できる低消費電力版のリリースは魅力的で、注目を集めると思う。 ちなみに、英文リリースでは65W版を「Energy Efficient Desktop Processor」、35W版を「Energy Efficient Small Form Factor Desktop Processors」と表記しており、その対象とするところの違いが分かるが、日本語表記では両版とも「低消費電力版」と表記される。国内のリテールパッケージがどのような形で登場するかは不明だが、発売された折には、どちらのバージョンかが明確に分かるようなパッケージになることを望みたい。 Sempronのデュアルチャネルメモリインターフェイス実装も大きなポイントといえる。シングルチャネルメモリインターフェイスのSocket 754のラインナップがメインであったSempronにも、デュアルチャネルメモリインターフェイスのSocket 939対応版は存在したものの、秋葉原でも極少数が流れただけで、AMDのWebサイトからもいつの間にか消えてしまっているほどのレアな製品だった。 今回のラインナップでは、Athlon 64 FXからSempronまでトップツーボトムでソケットを統一し、メモリもデュアルチャネルインターフェイスを持たせている。CPU-チップセット間のHyperTransport Linkが800MHz(Up/Down)である点や、L2キャッシュ容量が少ないなど、バリュー向け製品の特徴も残るものの、大きな進化を遂げたと表現していいだろう。 このほかの特色としては、AMD64、NX機能、Cool'n'Quiet(CnQ)機能といった従来どおりの機能をサポートしている。ただし、Sempron 3000+のみCnQはサポートされていないので注意されたい。 今回試用するのは、全ラインナップ中最上位に位置づけられる「Athlon 64 FX-62」と、メインストリーム向け最上位モデルとなる「Athlon 64 X2 5000+」である。Athlon 64 FX-62は構成変更が認められていない評価キット(写真1)、Athlon 64 X2 5000+はMSIのnForce570 Ultra搭載マザー「K9N Platinum」と組み合わせてテストを行なう(写真2、3)。 表2はAMDから配布された資料に基づいて作成した、両製品のスペックである。トランジスタ数とダイサイズが異なっているのは、L2キャッシュの差と考えていいだろう。当然、CPUIDにも相違がある(画面1~2)。 【表2】Athlon 64 FX-62/X2 5000+スペック表
Athlon 64 X2 5000+のOPNは「ADA5000IAA5CU」となっているが、OPNのルールが従来どおりであるとすると、今回見ることのできないAthlon 64 FX-62のOPNは「ADAFX62IAA6??」という形で、モデルナンバーとL2キャッシュ容量、ステッピングを表す部分が異なっていると推測される。 ちなみに、OPNの各桁の意味だが、先頭の「ADA」がブランド名、続く4桁がモデルナンバー、「I」がSocket AM2、「A」が固定されていない定格電圧、次の「A」が固定されていないT.Case値、「5」または「6」がL2キャッシュ容量で、前者が512KB、後者が1MB、末尾2桁がステッピングを表す。 では、新しくなったソケットを見てみたい。写真4が新しいSocket AM2、写真5が従来のSocket 939、写真6が各CPUの裏面となるが、ソケット写真左上のホールの有無により1ピン増えていることが確認できる。また、ピンを配置しない位置を変更することで、939ピンのCPUはSocket AM2へ装着できないようになっている。 さらに、Socket 939からAM2になって、CPUクーラーを固定するリテンションパーツにも変更が加えられた。従来のSocket 754/940/939ではクーラーを固定する3個の爪と、レバーを固定するための1個の爪を、両側に備えるリテンションパーツが採用されていた。 それに対し、Socket AM2では両側1点ずつで固定する方式へと変更されている(写真7)。固定位置の高さは変更されていないので、従来のCPUクーラーが“固定できるならば”流用は可能とされている。だが、従来製品の多くはレバーを端の爪に引っ掛けてクーラーを固定するタイプであり、こうした製品は利用できないので注意したい。 ●AM2に合わせて登場したNVIDIAの新チップセット「nForce 500」シリーズ さて、今回のテストで使用するマザーボードのうち、Athlon 64 FX-62の評価キットで採用されているのはnForce 590 SLI搭載のASUSTeK「M2N32-SLI Deluxe」であるし、Athlon 64 X2 5000+で利用するのはnForce 570 Ultra搭載製品である。これら、nForce 500シリーズについては、すでに今年3月にはラインナップが公表されていたが、このSocket AM2の登場に合わせて正式にリリースされた。 まず、nForce 500シリーズのラインナップと主な仕様の違いは表3にまとめたとおりである。ちょうど、nForce4 SLI X16、nForce4 SLI、nForce4 Ultra、nForce4というラインナップの後継としてマッチする関係になっている。 とはいえ、AM2版Athlon 64はCPU-チップセット間は相変わらずHyperTransport Linkが採用されており、新しいチップセットが必ずしも必要であるとは言えない。このタイミングでチップセットを投入してきてはいるが、大きな特徴は新たに追加されたサウス側の機能面にある。
ここでは、nForce 590 SLIのリファレンスマザーとなるFOXCONNの「C51XEM2AA」(写真8)を利用しつつ、その機能を紹介しておきたい。 まず、表中にも示した、nForce 590 SLIのみで提供される「Link Boost」機能についてだ。図1に示した資料が概要となるが、定格動作ではSPP-MCP間は5×200MHzの16bit幅で上下合わせて8GB/secでリンクされ、さらにビデオカードを接続するPCI Express x16も上下合計8GB/secの帯域幅を持つ。 これに対し、nForce 590 SLIでは、ビデオカードにGeForce 7900 GTXを搭載した場合のみ、この帯域幅を10GB/secへ拡大する(画面3)。GeForce 7900 GTを含む、そのほかのビデオカードを接続したときは定格動作のままとなるので、利用できる環境は限られるが、興味深い機能だ。 また、同社が「SLI Ready Memory」と呼ぶ、「EPP (Enhanced Performance Profiles)」対応メモリのサポートも、こうしたパフォーマンス強化機能の1つである。EPPについては、すでにNVIDIAから公表されているほか、Corsair Memoryからも実際の製品が発表されている(写真9)。JEDECが警告を発したことで物議も醸し出しているが、このEPPはメモリパラメータなどを保持しているSPDを拡張して、SPDが持たない情報やプロファイルを持たせるものである(図2)。
このSLI Ready Memoryのメリットの1つとして、オーバークロックの例が挙げられている。FOXCONN製マザーではBIOS上でCPUの動作クロックを何パーセント上昇させるかを指定すると、SLI Ready MemoryのEPPから動作可能なメモリクロックを読み取り、バスクロックとCPUの倍率を自動調整するといった機能が付いている(画面4~7)。今回の使用した環境では200MHz×13が266MHz×10へ変更されただけと、わりと単純な動作ではあるが、バスクロックの上昇によるパフォーマンスアップは望めるだろう。 ちなみに、こうした機能はチップセットの機能というよりは、BIOSレベルで行なわれる話である。そのため、SLI Ready Memoryを活用できるかどうかは、搭載チップセットというよりは個々の製品に依存することになる。 このほかのところではネットワーク機能に大きな特徴がある。1つはTCP/IP Offload機能である(図3)。これは、サーバー向けのnForce Professional 2200/2050にはすでに搭載されている機能なのだが、TCP/IPの処理の一部をチップセットでハードウェア処理することで、CPU負荷を下げるものである。 もう1つがTeaming機能だ(図4)。nForceシリーズでは、従来から2個のイーサネットMACを搭載するデュアルLANを1つの売りをしてきた。Teamingは、この2つのLANポートを組み合わせることで2倍の帯域幅を持たせる機能だ。1Gbpsの帯域幅を持つ2つのLANコントローラを利用して、2Gbpsの帯域幅を持つ1つのLANコントローラとして認識する。接続は2本のケーブルが必要になるが、もし1本の接続にトラブルが生じた場合でも、もう1本の接続は維持されるので(もちろん帯域は1コントローラ分となる)、冗長性の向上にもつながっている。 特にファイルサーバーなどに利用する際に役立ちそうな機能であり、コンシューマユーザーにとっても魅力が大きい。この制御はドライバレベルで行なっているとのことなので、2つのLANコントローラを有効に使う手段として、他メーカーにも追従してほしい機能である。 もう1つのネットワーク関連機能がFirstPacketである(図5)。一言でまとめてしまえば、送信するパケットに優先順位を付けるものである。図にある例に示されているのは、FTPを利用してファイルをアップロードしている最中に、ゲームサーバーへアクセスをした場合の応答速度が向上するという利用シーンだが、VoIPアプリケーションなどでも効果があるとしている。なお、これはあくまで上り方向の制御のみで、下り方向の制御は行なわれない。 このほか、ドライバの設定画面が刷新される。画面8に示す通り、エクスプローラライクな画面になり、ビデオカードからチップセット関連の機能までを1つの設定画面から作業できるようになる。また、nTuneもバージョンアップし、同一画面から制御できるようになる。 ストレージ周りでも、どのポートに接続したHDDに障害が発生したかを分かりやすく示す機能などが提供される(図6)。さらに、例えば、5台のHDDでRAID 5アレイを構築し、1台のHDDを予備として接続しておくと、RAID 5アレイに含まれるHDDに障害が発生した場合、予備の1台を利用してRAID 5アレイを再構築する、といった機能もある。nForce 500シリーズ登場のタイミングで、ソフトウェア面でも大きな変化が起こるので要注目だ。 ●DDR2化とクロックアップの効果を検証 それでは、ベンチマークテストを実施していきたい。本稿ではnForce 500シリーズについても言及しているが、ここではSocket AM2版Athlon 64シリーズの評価に留め、nForce 500シリーズの性能については改めて紹介することにしたい。 テスト環境は表4のとおり。今回、評価キットや自前で用意した環境が入り混じっており、特にメモリ環境で相違点が多く発生してしまった。これが影響したと思われる結果については、随時言及していきたい。
●CPU性能 では、CPU性能から順に見ていきたい。まずは、Sandra 2007の「Processor Arithmetic Benchmark」と「Processor Multi-Media Benchmark」の結果である(グラフ1)。ここは、特に同一アーキテクチャ製品間で、動作クロックどおりの性能差が発生するかに着目してみたいが、ご覧のとおり、ほぼクロック比どおりの結果となっている。 ただ、同じ2.6GHz動作となるAthlon 64 FX-60とX2 5000+では、若干ながら後者のほうが性能が良い傾向が見られる。マザーボードも違うので、この程度の性能差はいたしかたないが、気に留めておきたい点である。
次に、より実際のアプリケーションに近いシチュエーションでCPU性能を見る、PCMark05の「CPU Test」(グラフ2、3)の結果を見てみたい。ここは、以前に行なったPentium XE 965のテストと傾向に大きな違いは見られない。シングルタスクのテストではAthlon 64シリーズとPentium XE 965の得手不得手によって一進一退のスコアとなるが、マルチタスクではPentium XE 965の論理4CPUが活きる結果となっている。 Athlon 64シリーズ同士でいえば、Sandra同様、基本的には動作クロックの差が性能順に表れている印象だ。また、Athlon 64 FX-60とX2 5000+で、後者のほうが安定して同等以上のスコアを出す傾向にあるのも同様である。
●メモリ性能 続いてはメモリ性能である。テストはSandra 2007の「Cache&Memory Benchmark」である(グラフ4)。まず、このグラフで目に留まるのが、クロックに同期して動作するはずのキャッシュメモリの速度がおかしいという点である。 グラフでは、Athlon 64 FX-62とFX-60がほぼ同一で、X2 5000+がやや劣るといった位置付けになっているが、本来であれば、Athlon 64 FX-62がもっとも性能が良く、Athlon 64 FX-60とX2 5000+がキャッシュの容量範囲内であれば同等のスコアとなるはずだ。
ひょっとしてキャッシュメモリのレイテンシが増したのかと思ったが、「EVEREST」を使ってメモリのレイテンシを測定してみても、そういった傾向は見られない(グラフ5)。つまり、BIOSがまだキャッシュの性能を引き出せていないという判断が妥当になるだろう。新しいCPUゆえに起こり得る事態だが、今後のチューニングに期待したい。 さて、今回の主題であるDDR2 SDRAMへの移行による性能の変化だが、一般的なメモリよりクロックのわりにレイテンシが低いDDR2 SDRAMを利用しているため、ちょっと評価が難しい。だが、同じく低レイテンシのDDR400を使用しているAthlon 64 X2 4800+環境と比較しても、Athlon 64 FX-62環境で20%前後、Athlon 64 X2 5000+環境で10%弱程度はアクセス速度が向上している。とりあえず、メモリアクセス速度は確実に向上していると判断しても良さそうだ。
●アプリケーション性能 次に、実際のアプリケーションを利用したベンチマーク結果を紹介したい。テストは、「SYSmark2004」(グラフ6)、「Winstone2004」(グラフ7)、「CineBench 2003」(グラフ8)、各種エンコードテスト(グラフ9)、「Intel Multitasking Scenario Builder」(表5)である。 パフォーマンスリーダー争いという点では、これまで一進一退といった状況だったAthlon 64 FX-60とPentium XE 965だが、今回のAthlon 64 FX-62の登場で、Pentium XE 965のスコアが勝るテストは極わずかとなった。Pentium XE 965以降はNetBurstアーキテクチャのデスクトップ向けCPUは出ない予定であり、K8アーキテクチャの2.8GHz動作の登場で、とりあえず勝負が決した印象だ。 Athlon 64シリーズ内で比較すると、Athlon 64 FX-62は動作クロックに加え、メモリアクセス速度も優秀であったので、ほかの製品に負ける要素は何もないはずなのだが、唯一DivX 6.2.2でのみ、Athlon 64 FX-60に土をつけられている。 そもそも、このAthlon 64 FX-60の数字はちょっと異常なほどの速さである。もちろん映像ソースやビットレート、エンコード品質は同じ条件であるし、何度テストしても誤差の範囲内に収まる程度の違いしか生まれない。ということは、Pentium XE 965の記事の折に触れた、DivX側がCPUを判断して処理を切り替えている、という想像が、ひょっとするとここにも適用できるのかも知れない。DivXのチューニングが進んで、Athlon 64 FX-60の性能をフルに引き出しているのだろう。 さて、同一クロックとなるAthlon 64 FX-60とX2 5000+の比較であるが、こちらは、キャッシュメモリ容量で勝る前者と、テスト環境のメモリアクセス速度で勝る後者という関係になっているわけだが、トータルでは若干後者に分がある結果となった。 デュアルコア世代になって、2つのコアからのメモリアクセスが発生することでメモリのアクセス速度は、より重要度を増している。そのため、キャッシュメモリの容量差があったとしても、メモリアクセス速度の影響のほうが色濃く表れる状況になっているのだろう。 なお、ちょっと今回影が薄いAthlon 64 X2 4800+は、Athlon 64 X2 5000+の引き立て役になっている印象だ。気が付けば、Athlon 64 X2 4800+は、ほぼ1年間、メインストリーム向けAthlon 64 X2の最高モデルナンバー製品として活躍してきたことになる。 新ソケットになってようやく登場した上位モデルのAthlon 64 X2 5000+が、キャッシュメモリ容量差を補って余りある性能を見せている。環境差の影響は大きいものの、逆にいえば、このAthlon 64 X2 5000+は上手に使えばハイエンドモデルを脅かせるわけで、メインストリーム向けの新CPUとして期待以上の製品になっているといえる。
【表5】Intel Multitasking Scenario Builder 1.0.1 Trialの結果(全処理が終了した時間が赤字)
●3D性能 では、最後に3D性能である。テストは「3DMark06 CPUTest」(グラフ10)、「3DMark06」(グラフ11)、「3DMark05」(グラフ12)、「3DMark03」(グラフ13)、「DOOM3」(グラフ14)、「Splinter Cell Chaos Theory」(グラフ15)である。 ここで1つお断りなのだが、今回のAthlon 64 FX-62の環境はnForce 590 SLIを利用しているが、ASUSTeKのM8N32-SLIDeluxeにLink Boostが有効になっているかを示す設定画面が用意されていなかった。そのため、Link Boostの状態で動いているか否かを判断できていない。 ただ、結果を見る限り、ビデオカードの性能への依存度が高い3DMark05や3DMark03で、ほかのAthlon 64シリーズに比べて明らかに低いスコアが出ており、ビデオカード周りで何かをしようとしているような挙動を見せている。ただ、それがLink Boostによる影響なのかは、分かっていない。この結論は、後に行なう予定の、FOXCONN製マザーを利用したnForce 590 SLIのテストで確かめる予定だ。 しかしながら、3DMark06のCPUテストや3Dゲームを使ったベンチマークのように、CPUへの依存度が高いアプリケーションでは、Athlon 64 FXの印象に即したスコアが出ている。ゲーム性能を求めるならAthlon 64 FXという構図は、まだ続くようだ。 Athlon 64シリーズについては、低レンテンシのメモリの効果がかなり大きい。Athlon 64 FX-62はそれを差し引いても飛び抜けたスコアである印象を受けるが、判断の難しい結果にはなっている。
●DDR2化による着実な進化を遂げた製品 ということで、環境の違いが大きく影響してしまい見づらい結果になってしまったが、ひとまずDDR2化の効果と、2.8GHzへのクロックアップの効果の2点は見えた。デュアルコアが当たり前になり、メモリのパフォーマンスが全体の処理速度に及ぼす影響が大きくなる中、より帯域幅の広いDDR2対応を果たしたことは歓迎できる。 ただ、プラットフォームの変更というユーザーに新たなコストを求める刷新があったわりには、インパクトのある結果とはいえない。その意味では、着実な進化を遂げた製品、という表現が適切だろう。 とはいっても、これまで本連載では、そのラインナップの豊富さからIntel製品はユーザーニーズの満たしやすいとしてきたが、今回のSocket AM2製品によりAMD製品は、この面でも同等の立場に立ったといえる。 パフォーマンス面では現在のデスクトップで最高といって差し支えない性能を持つ製品を筆頭に、モバイルCPU並みの低消費電力版、デュアルチャネルメモリ化でパフォーマンス向上が期待できる新Sempronといった、充実のラインナップになっている。このラインナップがSocket AM2躍進の大きな力となりそうだ。 □関連記事 (2006年5月23日) [Text by 多和田新也]
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