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愛・地球博プレスプレビュー

【乗り物編】
自動運転のIMTSや自転車タクシー、全高88mの大観覧車も

会期:3月25日から

会場:愛知県名古屋東部丘陵
    (長久手会場/瀬戸会場)



 愛・地球博の会場は非常に広い。徒歩で回るのは、かなり大変だ。そのため、会場内にはさまざまな乗り物が用意されている。これらの乗り物は、愛・地球博のテーマにのっとり、環境に優しいものばかりだ。また、自動運転システムや燃料電池バスなど、最先端の技術が使われており、乗り物での移動そのものが1つのアトラクションともいえる。ここでは、愛・地球博で登場する乗り物を紹介していこう。

●日本初の商用リニアモーターカー「リニモ」

リニモは3両編成固定なので、一般的な電車や地下鉄などに比べると輸送力は低い

 まず、愛・地球博会場への交通手段の1つ「リニモ」を紹介する。リニモは、日本で初めての磁気浮上システムを利用したリニアモーターカーであり、未来の電車として大きな話題を集めている。通常のレールと車輪を利用する電車と違って、浮上して走行するため、騒音や振動が小さく、乗り心地が快適なことや、摩耗部分が無く、車両やレールの保守費用を低減できるというメリットがある。また、全自動運転されることも特徴だ。

 リニモは、藤が丘駅から万博八草駅までの9駅(8.9km)を約15分で結んでいる。最高時速はスペックでは時速約100kmとされているが、実際に乗って確認してみたところ、最大でも時速90km程度しか出ていないようだ。3両編成固定で、乗車定員は244人(座席定員は104人)となっている。プレビュー2日目にして大混雑が生じたことからも分かるように、輸送力に関しては不安が残る。ちなみに、藤が丘駅から万博会場駅までの料金は大人340円、小人170円だ。

 さて、期待の乗り心地だが、確かにレールの継ぎ目を通過する際の定期的なガタンゴトンという振動は感じられないものの、路線のアップダウンやカーブが結構急なので、加減速ショックやそれに伴う横Gなどを受けるため、「リニアに乗ってる!」というほどの感動はなかった。山梨の超電導リニア実験線では、レールからの浮上高は最大10cmにも達するのだが、リニモの浮上高はわずか6~8mm程度だ。そのため、浮上しているという感覚もほとんどない。乗り心地のイメージは、東京のゆりかもめに似ている(速度はゆりかもめより速いが)。

名古屋駅から行く場合は、地下鉄東山線に乗って、藤が丘駅で降り、リニモに乗り換える リニモ藤が丘駅の下に設けられた藤が丘リニモ広場。駅が混雑して乗客があふれてしまった場合は、ここに並ぶことになる リニモの切符の販売所
リニモのレール。逆U字型をした軟鋼でできており、その上にアルミニウムのプレートが貼られている 路線にはアップダウンやカーブが頻繁にあるため、左右には結構揺れる リニモは全自動で運転される。ディスプレイにはドアの開閉状況やリニアモーターのコイルの状況などが表示されている

●万博会場を空から一望できる「キッコロ・ゴンドラ」と「モリゾー・ゴンドラ」

 万博会場を空から眺めたいという人にお勧めしたいのが、ゴンドラである。長久手会場内を南北に結ぶ「キッコロ・ゴンドラ」と、長久手会場と瀬戸会場を結ぶ「モリゾー・ゴンドラ」の2つのゴンドラがあり、前者は有料(大人600円、小人300円)だが、後者は無料となっている。

 ゴンドラからの眺めは非常に気持ちがいいのだが(特にキッコロ・ゴンドラは会場を縦断するので見晴らしがいい)、風が強い日は要注意だ。風が強いと、低速運行されたり、運行停止になる。プレスプレビューの初日午後は、モリゾー・ゴンドラが強風のため運休していたほか、キッコロ・ゴンドラも低速運行されていた。キッコロ・ゴンドラには初日と2日目と2回乗ったのだが、風が穏やかだった2日目はともかく、初日はかなり揺れて酔いそうになってしまった。

 また、モリゾー・ゴンドラは、近隣住民のプライバシーを守るために、途中でゴンドラの窓が真っ白に曇るようになっている。このゴンドラの窓は、液晶を利用した特殊なガラスが採用されており、電気的に透明と不透明を切り替えることができるのだ。曇っている時間は約2分間だが、特に予告などはないので、びっくりしていた人も多かったようだ(一応、駅やゴンドラ内にはその旨が記載されており、係員も途中で曇りますとは説明していたが)。

 周囲が見えないのは、わかっていても結構不安なので、あと何分で曇るとか、また透明になるとか、そういうインジケータみたいなものが欲しかった。曇った状態から、透明に戻る瞬間を動画で撮影したので、参考にしてほしい。

キッコロ・ゴンドラの北駅。日立グループ館の隣にある ゴンドラは8人乗りで、車椅子やベビーカーの利用者もそのまま乗り込める キッコロ・ゴンドラからの眺め。長久手会場を南北に縦断する
キッコロ・ゴンドラからグローバル・コモン3方面を眺めたところ。奥には、大観覧車が見える キッコロ・ゴンドラから日本ゾーン方面を眺めたところ。中央の塔が、「名古屋市パビリオン 大地の塔」だ キッコロ・ゴンドラからグローバル・コモン1方面を眺めたところ。グローバルループの様子もよくわかる
キッコロ・ゴンドラの北駅方面を眺めたところ キッコロ・ゴンドラは、池や森の上も通過していく
モリゾー・ゴンドラの長久手駅。トヨタグループ館の隣にある モリゾー・ゴンドラは、長久手会場と瀬戸会場を結ぶため、いったん会場の外に出る モリゾー・ゴンドラでは、住民のプライバシー保護のために、一時窓が曇るという説明がある
瀬戸会場を目指して、モリゾー・ゴンドラに乗り込む 道路やリニモの線路の上をモリゾー・ゴンドラが通過していく 瀬戸会場までの距離はかなりある
モリゾー・ゴンドラの近くをリニモがちょうど通過した 左に見えている円形の建物が、瀬戸会場の市民パビリオンだ これは窓が透明な状態。景色が普通に見えている
住宅が近づくと約2分間、このように窓が白く曇ってしまい、外の景色が見えなくなる 【動画】窓が曇った状態から、透明な状態に戻る様子。ほぼ一瞬で移り変わる
モリゾー・ゴンドラの瀬戸駅が近づいてきた モリゾー・ゴンドラの瀬戸駅

●全自動運転の次世代交通システム「IMTS」

 「IMTS」(Intelligent Multi-mode Transit System)は、トヨタが開発した次世代交通システムで、長久手会場内を2~3台の隊列を組んで走っている。道路の上をタイヤで走るため、バスに近いイメージだが、燃料として環境にやさしいCNG(圧縮天然ガス)を利用しているほか、専用道上を自動運転走行が可能なことが特徴だ。

 また、通常のバスとして運転手が乗車して運行することも可能で、自動運転と手動運転を組み合わせたデュアルモード走行システムを採用している。長久手会場内に、3つの駅と1つのバス停が設置されており、料金は大人200円、小人100円となっている。

トヨタが開発した次世代交通システムIMTS。次世代バスといった感じだ 連結器を使わずに、電子的に2~3台の隊列を組んだ自動走行が可能 IMTSの北ゲート駅。長久手会場内に3つの駅と1つのバス停が設置されている
北ゲート駅から西ゲート駅を経由して、EXPOドームに向かう車両と、北ゲート駅から西ゲート駅を経由して、メッセ前バス停に向かう車両がある 駅のプラットフォームにも自動ドアがあり、IMTSのドアと連動して開く 運転席には、運転手の代わりにモリゾーがすわっている
乗務員も一応乗っているが、通常は全自動で運転される 【動画】道のカーブにあわせて、自動的にハンドルが回っていく IMTS車内の様子。緑と白を基調にしており、明るい印象を受ける
対向車とすれ違う様子。対向車が通る道は別になっているので、ぶつかる心配はない 燃料として環境にやさしいCNG(圧縮天然ガス)を採用。ガスステーションで燃料を補給する

●グローバル・ループ上を走る「グローバル・トラム」や「自転車タクシー」

 長久手会場のメインストリートとなるのが、会場をほぼ水平に一周できる空中回廊「グローバル・ループ」だ。グローバル・ループの全長は約2.6kmあり、徒歩で一周すると約40分かかる。このグローバル・ループ上を移動するために用意されているのが、「グローバル・トラム」と「自転車タクシー」である。

 グローバル・トラムは、バッテリで駆動される3両1編成の電気自動車で、合計5編成が運行している。運賃は大人と小人が500円となっている。グローバル・トラムの速度は時速5km程度で、先導の係員が「トラムが通りますので道を空けて下さい」と周囲に呼びかけながら進んでいくという、かなりのんびりしたものだ。

 自転車タクシーは、3輪タイプの自転車をタクシーとして使うもので、当然排気ガスは一切排出しない。自転車タクシーには、いくつかのタイプがあり、大人2人+小人1人が同時に乗れるタイプもある。こちらも有料で、料金は大人300円、小人200円となっている。

 なお、グローバル・トラム、自転車タクシーともに停留所は決まっているので、自由な場所で乗り降りすることはできない。自分で自転車タクシーをこげれば楽しそうなのだが、それも残念ながら許されていない。また、グローバル・トラムと自転車タクシーは、グローバル・ループを上空から見て時計回りにのみ進むようになっており、逆回り路線は用意されていない。

3両1編成で、グローバル・ループ上を運行している電気自動車「グローバル・トラム」 グローバル・トラムのりば(北ゲート停留所)。グローバル・ループ半周を約20分かけて進むため、徒歩で行くのと所要時間はほとんど変わらない グローバル・トラムは、グローバル・ループの中央(茶色になっているところ)を走る
先導の係員が、トラム通過のアナウンスを行ないつつ、進んでいく 自転車タクシー。自分で自転車をこぐことはできない 自転車タクシーは、さまざまな形状のものが走っている
こちらはちょっとリカンベント風なデザインだ 自転車タクシーのりば。北ゲート停留所からコモン1停留所まで移動できる

●全高88m、東海一の高さを誇る大観覧車

 長久手会場の北西には「ファミリー愛ランド」や「ときめき愛ランド」と呼ばれる遊園地がある。これらの遊園地は子供向けアトラクションが中心で、規模もそれほど大きくはないが、高いところが好きなら、ファミリー愛ランドの大観覧車に乗ってみてはいかがだろうか。この大観覧車の全高は88mで、東海一の高さを誇る(ちなみに、東京・お台場のパレットタウンの大観覧車は全高115m)。キャビンは6人乗りで、冷房が完備されているのは嬉しい。一周は約13分で、料金は大人・小人ともに700円だ。

 大観覧車は長久手会場のかなり端のほうにあるが、「ワンダーホイール展・覧・車」よりも規模が大きい(全高が約1.8倍)ので、かなり遠くまで見渡せる。パビリオンの行列に疲れたら、観覧車に乗って、景色をゆっくり眺めてみるのもいいだろう(高所恐怖症の人にはお勧めしないが)。

ファミリー愛ランドのアトラクション「ファミリースインガー」 ファミリー愛ランドの大観覧車は、全高88mで東海一の高さを誇る 大観覧車からの眺め
大観覧車から日本ゾーン方面を眺めたところ。手前にあるのは、地球市民村 大観覧車からセンターゾーン方面を眺めたところ。中央に見える建物がグローバル・ハウスだ 頂点付近で真下を眺めたところ。人がまるでゴマ粒のように見える
他のキャビンを眺めたところ。キャビンは全て冷房完備なので、真夏でも安心だ 大観覧車から企業パビリオンゾーンA方面を眺めたところ 全高が88mあるので、万博会場全体を一望できる

□愛・地球博のホームページ
http://www.expo2005.or.jp/jp/
□「愛・地球博」レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/link/expo.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0617/nedo.htm

(2005年3月25日)

[Reported by 石井英男]

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