多和田新也のニューアイテム診断室

L2キャッシュ2MBのIntelの新CPUを試す




 2月22日、Intelは「Pentium 4 Extreme Edition 3.73GHz」および「Pentium 4 6xx」シリーズを発表した。これに先立ち、15日には「Irwindale(アーウィンデール)」の開発コード名で呼ばれた「Xeon」を発表。これにより、同社のラインナップはバリュークラスを除いては、エントリーサーバー/ワークステーションからコンシューマデスクトップに至るまで2MBのL2キャッシュを搭載し、さらにEM64Tをサポートすることになる。今回はこれらの製品の特徴とパフォーマンスを検証していきたい。

●L2キャッシュ2MBとEIST、EM64Tのサポートが目玉

 まずはデスクトップ向けのPentium 4 Extreme Edition 3.73GHz(以下Pentium 4 XE 3.73GHz)と6xxシリーズについて紹介していきたい。今回発表された製品は下記のとおりである(カッコ内は動作クロックと1,000個ロット時の価格)

 ・Pentium 4 XE 3.73GHz(103,900円)
 ・Pentium 4 660(3.60GHz、62,920円)
 ・Pentium 4 650(3.40GHz、41,700円)
 ・Pentium 4 640(3.20GHz、28,390円)
 ・Pentium 4 630(3.00GHz、23,300円)

 今回取り上げるのは、Pentium 4 XE 3.73GHzとPentium 4 660である。これらの製品と従来製品のスペックの違いをまとめたものが表1だ。

【表1 Pentium4スペック比較】
 Pentium 4
Extreme Edition
3.73GHz
Pentium 4
Extreme Edition
3.46GHz
Pentium 4
660
Pentium 4
570J
Pentium 4
560
コードネームPrescott-2MBGallatinPrescott-2MBPrescott
FSB1,066MHz800MHz
実クロック3.73GHz3.46GHz3.60GHz3.80GHz3.60GHz
L1データキャッシュ16KB8KB16KB
L2キャッシュ2MB512KB2MB1MB
L3キャッシュなし2MBなし
VID1.25-1.4V1.525-1.6V1.25-1.4V
ICC(max)119A84.8A119A
TDP115W110.7W115W
SSE3×
EM64T×××
NX××
EIST××××

 また、各製品の表面/裏面の写真(写真1、2)と、CrystalCPUIDの表示画面(画面1〜5)も、ここで示しておく。Pentium 4 660の結果を見ると、コアのステッピングはPentium 4 XE 3.73GHzと同じであることが分かる。

【写真1】Pentium 4の各製品。表面はまったく違いがない 【写真2】裏面は、唯一GallatinコアをベースとするPentium 4 XE 3.46GHzのみが異なる

【画面1】CrystalCPUIDにおけるPentium 4 XE 3.73GHzの結果 【画面2】Pentium 4 XE 3.46GHzの結果 【画面3】Pentium 4 660の結果。コアのステッピングはPentium 4 XE 3.73GHzと同じであることが分かる
【画面4】Pentium 4 570Jの結果 【画面5】Pentium 4 560の結果

 Pentium 4 XE 3.73GHzは、従来のExtreme EditionでGallatinをベースとしたコアを使用しつづけてきたのに対し、初めてPrescottコアが採用された。これにより、ようやくSSE3をサポートすることになる。

 そして、Pentium 4 XE 3.46GHzではL3キャッシュを2MB搭載していたが、Pentium 4 XE 3.73GHzではL2キャッシュを2MB搭載することとなった。Pentium 4のアーキテクチャではAMDのCPUとは異なりL1〜L3までのキャッシュが排他利用ではないため、最大容量である2MBが有効である点は変わらない。しかしながら、よりコアに近いL2キャッシュとなったことで、レイテンシが減り、キャッシュ速度が向上していることになる。

【お詫びと訂正】初出時に両機のキャッシュ容量を取り間違えていました。お詫びして訂正させていただきます。

 FSBはPentium 4 XE 3.46GHzと同じ1,066MHz。よってサポートするチップセットは現時点でIntel 925XEのみとなる。このほか、NX機能やEM64Tに対応し、ようやくセグメント上の直接のライバルとなるAthlon 64 FX-55と機能面でも肩を並べた格好といえる。

 一方のPentium 4 6xxシリーズであるが、こちらもL2キャッシュが従来の1MBから2MBへと増量された。ただし、従来の5xxシリーズでは最上位モデルとして動作クロック3.80GHzの570Jがラインナップされていたが、6xxシリーズの最上位モデルは3.60GHz動作の660となる。この点は、Pentium 4 XE 3.73GHzをハイエンド製品として引き立たせるための配慮とも想像される。なお、Pentium 4 6xxシリーズのFSBは800MHzであり、この点もExtreme Editionと差別化されている。

 このほかのEM64TやNX機能への対応等はPentium 4 XE 3.73GHzと同様だが、Pentium 4 6xxシリーズでは拡張版Intel SpeedStep Technology(EIST)をサポートする点が大きな特徴となる。モバイル用CPUなどで採用されている、電圧や動作クロックをダイナミックに変化させることで消費電力を抑える機能である。

 Pentium 4 6xxシリーズのEISTは、電圧は従来のPrescott同様に1.25〜1.4Vの範囲で変化する。この具体的な電圧については、2004年11月にC1Eステートなどの解説を行なったときに述べたとおり、CPUの個体ごとに別々の値が設定されているという。動作クロックについては、製品別に表すと、

 ・Pentium 4 660(3.6GHz、3.2GHz、2.8GHz)
 ・Pentium 4 650(3.4GHz、3.2GHz、2.8GHz)
 ・Pentium 4 640(3.2GHz、2.8GHz)
 ・Pentium 4 630(3.0GHz、2.8GHz)

の2〜3段階での変化となる。最低クロックでも2.8GHzとなり、この点、Athlon 64 4000+のCool'n'Quietでは5段階、最低1GHzまで下げるのに比べると、やや消極的な省電力機能という印象を受ける。

 ちなみに、Pentium 4 6xxシリーズ自体は、従来のIntel 925X/XEや915シリーズなどでも利用できる。ただし、EISTやEM64TをサポートしたBIOSが必要となる点に留意したい(画面6、7)。すでにABITASUSTeKMSIといったメーカーが対応製品を明確にしているほか、GIGABYTEもPentium 4 6xx対応BIOSをリリースしている。
【画面6】IntelのD925XECV2でPentium 4 660を認識させた結果。Prosessor Type欄に「EM64T Capable」の表示が見られる 【画面7】PowerメニューからEISTの有効/無効の切り替えも可能

 また、EISTについては、Windows XP SP2またはLinuxのKernel 2.6.9以降でのみサポートされる。これはEISTに対応したプロセッサドライバが旧OSに含まれないためである。なお、Windows XP SP2上では電源のプロパティから「ポータブル/ラップトップ」や「バッテリの最大利用」などを選択するとEISTが有効になる(画面8、9)。逆にそれ以外の項目を選択した場合は、EISTが有効にならない点には注意したい。

 このほか、Pentium 4 570Jなどで採用されていたC1Eステート、Thermal Monitor2といった機能は引き続きサポートされる。ただし、EISTやC1Eステートなどの省電力に関する機能は、Pentium 4 XE 3.73GHzではサポートされない。この理由は「Extreme Editionは常に最高性能を発揮させるため」とのことで、クロックを下げるような機能は同製品には不要と判断したためのようだ。

【画面8】Windows XP上でEISTを有効にするには電源のプロパティから設定が必要となる。デフォルトの「Home/Office」などでは有効になっている 【画面9】「ポータブル/ラップトップ」や「バッテリの最大利用」に変更して初めてEISTが有効になる。システムのプロパティで2.77GHz動作が確認できる

●Pentium 4各製品のパフォーマンスをチェック

 それでは、今回発表されたPentium 4 XE 3.73GHz、Pentium 4 660のベンチマークテストを行なう。比較対象として用意したのは、Pentium 4 XE 3.46GHz、Pentium 4 570J、Pentium 4 560、Athlon 64 4000+である。テスト環境は表2のとおりだ。なお、Pentium 4 660については、EISTをOS上で有効にした場合と無効にした場合でのパフォーマンス差もチェックしていくことにする。

【表2 テスト環境】
CPUPentium4 Extreme Edition 3.73GHz
Pentium4 Extreme Edition 3.46GHz
Pentium4 660
Pentium4 570J
Pentium4 560
Athlon 64 4000+
チップセットIntel 925XEnForce4 SLI
マザーボードIntel D925XECV2ASUSTeK A8N-SLI
メモリPC2-4200 DDR2 SDRAM 512MB×2PC3200 DDR SDRAM 512MB×2
ビデオカードNVIDIA GeForce 6800 GT(PCI Express x16/256MB)
DriverForceWare 66.93
HDDSeagate Barracuda 7200.7(ST3120026AS)
OSWindows XP Professional(SP2)+DirectX 9.0c

 まずはCPU性能を見るため、「Sandra 2005 SR1」の「CPU Arithmetic Benchmark」(グラフ1)と「CPU Multi-Media Benchmark」(グラフ2)の結果を参照してみよう。ここで目に留まるのは、Pentium 4 570Jの成績の良さだ。こうした演算性能だけを見るテストの場合、キャッシュ容量などはほとんど影響しないため、同アーキテクチャのコアなら動作クロックが速いものが結果が良くなるのは当然である。なお、Gallatinコアを使うPentium 4 XE 3.46GHzが、とくにiSSE2を使ったテストで健闘を見せるのは従来からの傾向である。

 さて、CPUベンチマークとしてもう1つ、「PCMark04」の「CPU Test」(グラフ3、4)の結果を見ておきたい。こちらのテストはアプリケーションを動作させるテストであり、もう少しキャッシュの影響を受けることになるのだが、結果を見る限り、Pentium 4 660と560はわりと近いスコアであるのに対して、Pentium 4 570Jが頭1つ抜け出している点を見ると、L2キャッシュ以上に、クロック差のほうが大きく影響している雰囲気だ。

 Extreme Editionの2製品を見てみると、コアの演算性能の違いにより3.46GHzが上回るテストはあるものの、全体では3.73GHzのほうが良い成績を出す傾向にある。それでもPentium 4 570Jを凌駕するほどでない点は、セグメント/価格差を考慮すると残念である。

 また、Pentium 4 660において、EISTを有効にした場合と無効にした場合でスコア差が出ているが、この点についての考察は後述することにしたい。

【グラフ1】Sandra 2005 SR1 - CPU Arithmetic Benchmark 【グラフ2】Sandra 2005 SR1 - CPU Multi-Media Benchmark
【グラフ3】PCMark04 - CPU Test 1 【グラフ4】PCMark04 - CPU Test 2

 続いて、メモリ性能をチェックするため、Sandra 2005 SR1の「Cache & Memory Benchmark」の結果を見てみたい。グラフ5に全結果、グラフ6に一部結果を抜粋して提示している。グラフ6に抜粋した結果のうち、まず4KBの結果についてだが、ここはPentium 4全製品がL1キャッシュの範囲内となる。この結果はPentium 4 XE 3.46GHzが高い性能を発揮しているが、これはコアの違いと考えていいだろう。クロックがより低い製品であることを考えれば特筆できる結果である。

 256KBの結果だが、相変わらずPentium 4 XE 3.46GHzが3.73GHzを上回る結果となっているのにも注目できるが、Pentium 4 660とPentium 4 XE 3.73GHzのふるわない結果も気になるところだ。L1キャッシュでは見られなかった傾向だが、例えばPentium 4 660と560は同じPrescottコアを搭載し同クロックで動作するわけだが、結果はPentium 4 560のほうが優れている。さらに高速に動作しているはずのPentium 4 XE 3.73GHzですら、Pentium 4 560の後塵を拝している。これは、L2キャッシュの容量が増えたために、オーバーヘッドが大きくなっているためだろう。

 ただし、Pentium 4 560/570JではL2キャッシュが1MBであるため、1MBのブロックサイズを転送するテストで実メモリへのアクセスが混じって速度が低下するのに対して、Pentium 4 XE 3.73GHz、Pentium 4 660はすべてL2キャッシュの範囲内で転送できるため、ここで差が出る。この差が実際のアプリケーションにどう影響するかはのちほど見ることにしたい。

 なお、この1MBのテストでは、Pentium 4 XE 3.73GHzはL2キャッシュ、Pentium 4 XE 3.46GHzはL3キャッシュの範囲内ということになるが、倍以上の速度差が表れている。有効な容量は変わらないがコアにより近いL2へとキャッシュを移動したことの効果は発揮されているといえる。

 最後の256MBの転送だが、Pentium 4 XE 3.46GHzはSSE3を搭載しないため、ほかのPentium 4製品に比べるとやや速度が劣って見える。ただ、FSB 800MHzのPentium 4 5xx/6xxに比べ、FSB 1,066MHzのPentium 4 XE 3.73GHzは明らかに高い性能を出しており、同条件であればFSBの差は比較的大きいことが分かる。

【グラフ5】Sandra 2005 SR1 - Cache & Memory Benchmark 【グラフ6】Sandra 2005 SR1 - Cache & Memory Benchmark(抜粋)

 次に、実際のアプリケーションを使ったベンチマークとして「SYSmark2004」(グラフ7〜9)、「Winstone2004」(グラフ10)、「TMPGEnc 3.0 XPress」(グラフ11)の結果を見てみたい。

 Pentium 4製品では、Pentium 4 XE 3.73GHzとPentium 4 570Jがわりと近い結果を収めている。EISTを無効にしたPentium 4 660は、同クロックでキャッシュ容量が小さいPentium 4 560よりは良い結果であるものの、Pentium 4 570Jには劣る結果で、L2キャッシュ倍増よりも200MHzのクロック差のほうが大きく影響した結果だ。

 また、先のPCMark04のところでも少し触れたが、Pentium 4 660ではEISTを有効/無効にした場合でかなりの性能差が表れている。これはクロックが下がるシチュエーションがあるEISTゆえ、当然ともいえる。

 SYSMark2004やWinstone2004では、アプリケーションの起動→終了→他のアプリ起動が繰り返される。こうしたケースでは、クロックや電圧の立ち下がり、立ち上がりも行なわれるため、PCMark04などよりも差が大きくなる。スコアからは、L2キャッシュ倍増の効果でEISTを有効にしてもPentium 4 560と同等の性能が得られる、といった印象になる

 TMPGEncなどのようにCPU使用率100%が続き、しかも結果はその状態で行なわれた作業の所要時間となるため、EISTによるスコアの差は出ていない。とはいえ、とくにアプリケーションの起動時などでは、従来のPentium 4 560よりも鈍さを感じることがある点には留意したい。

【グラフ7】SYSmark2004 【グラフ8】SYSmark2004 - Internet Content Creation
【グラフ9】SYSmark2004 - Office Productivity 【グラフ10】Winstone2004
【グラフ11】TMPGEnc 3.0 XPress3

 それでは最後に、3Dベンチマークの結果を見ておきたい。テストは「Unreal Tournament 2003」(グラフ12)、「DOOM3」(グラフ13)、「3DMark05」(グラフ14)、「3DMark03」(グラフ15)、「AquaMark3」(グラフ16)、「FINAL FANTASY Official Benchmark 3」(グラフ17)の6つである。

 ここはPentium 4 XE 3.73GHzの好結果が目立つが、それでもUnreal Tournament 2003のようにPentium 4 XE 3.46GHzの後塵を拝する結果もある。しかも、本来であれば3Dゲーマーなどのハイエンドコンシューマ向け製品であるExtreme Editionが、1つ下のセグメントに当たるAthlon 64 4000+に完敗といった結果であり、ここは重要視したいポイントだ。

【グラフ12】Unreal Tournament 2003 【グラフ13】DOOM3
【グラフ14】3DMark05 【グラフ15】3DMark03
【グラフ16】AquaMark3 - Average FPS 【グラフ17】FINAL FANTASY Official Benchmark 3

●エンコードで優れた性能を発揮するIrwindale

 エントリーサーバー/ワークステーション向けにリリースされたIrwindaleコアのXeonだが、こちらの製品ラインナップは以下のとおりである(カッコ内は1,000個ロット時の価格)。

 ・3.60GHz(89,350円)
 ・3.40GHz(72,450円)
 ・3.20GHz(47,770円)
 ・3.00GHz(33,180円)

 従来のNoconaコアとの違いは、キャッシュ容量が1MBから2MBへ増量された点と、NX機能を追加した点となる。このほかEM64Tのサポートや、サーバー向けSpeedStepとも呼べるDemand-Based Switchingといった機能は引き続き装備(画面10)。FSBも800MHzで、従来のIntel E7525/E7520/E7320などが利用可能だ。

 今回Xeon用として借用した評価キットは、写真3のとおり完成したPC(というかワークステーション)である。マザーボードはIntel E7525を搭載するSUPERMICROのX6DAE-G2。メモリはDDR2-400を8GBという構成である(写真4)。

【写真3】今回のテストに利用したXeon 3.60GHz×2の評価機 【写真4】中央に銅製ヒートシンクが被せられた2基のXeon 3.60GHzが搭載される。HDDはRAID構成ではなく、MAXTOR製の200GBモデルが1台のみ 【画面10】CrystalCPUIDにおけるXeon 3.60GHzの結果

 IrwindaleコアのXeonとOpteronデュアル環境での比較だが、こちらの結果も掲載してはおくが、参考程度に見ていただければ幸いだ。というのも、Xeon環境、Opteron環境ともに評価キットであるため、表3に示したとおり環境がまったく統一されていないからだ。絶対値としては参考になるかと思うが、相対評価としては適さないグラフなので注意されたい。

【表3 テスト環境】
CPUXeon DP 3.60GHz×2Opteron 248×2
チップセットIntel E7525VIA K8T800
マザーボードSUPERMICRO X6DAE-G2MSI K8T Master2-FAR
メモリRegistered PC3200 DDR2 SDRAM 8GB (1GB×8)Registered PC2-3200 DDR SDRAM 2GB(512MB×4)
ビデオカードNVIDIA Quadro FX 1300(PCI Express x16/128MB)NVIDIA GeForce 6800GT(AGP/256MB)
DriverForceWare 66.93
HDDMAXTOR DiamondMax10(6B200M0)Seagate Barracuda 7200.7(ST3120026AS)
OSWindows XP Professional(SP2)+DirectX 9.0c

【グラフ18】Sandra 2005 SR1 - CPU Arithmetic/Multi-Media Benchmark 【グラフ19】PCMark04 - CPU Test
【グラフ20】Sandra 2005 SR1 - Cache & Memory Benchmark 【グラフ21】SYSmark2004
【グラフ22】Winstone 2004 【グラフ23】TMPGEnc 3.0 XPress
【グラフ24】Unreal Tournament 2003 【グラフ25】FINAL FANTASY Official Benchmark 3

 さて、相対評価には適さないと言いつつも、今回あえてOpteron 248×2環境のベンチマークを掲載したのは、2004年8月に行なった結果を合わせて参考にしていただくためだ。NoconaコアのXeon 3.60GHz×2とOpteron 248×2の結果では、例えばSYSmark2004のOffice Prductivityは、NoconaコアではOpteronに完敗していたが、Irwindaleコアでは大きく成績を伸ばした。

 とくに良い性能を見せたのがエンコードである。とはいえ、PCMark04に含まれるWMVやDivXのエンコードについては、NoconaコアではOpteronにかなり劣っていたのがIrwindaleになって健闘できるレベルになった程度であるが、TMPGEnc 3.0 XPressで飛躍的に成績を伸ばしている。

 Pentium 4では、キャッシュ容量がアップしたことによる性能向上はそれほどでもない印象を受けているのだが、ことXeonに関してはかなり大きなものとなっているようだ。

●デュアルコアを待つのがベストな選択か

 L2キャッシュが2MBへと増量されたPentium 4とXeonのベンチマークを紹介してきたが、IrwindaleコアのXeonについては、文句なしに性能向上が見て取れる。価格差を考慮に入れても、これからXeon環境を組むならIrwindaleコア製品を選択するほうが良いだろう。

 一方、Pentium 4については、L2キャッシュの増量がそれほど大きく作用していないように感じられる。Pentium 4 XE 3.73GHzは確かに好成績を出してはいるが、下位セグメントのPentium 4 570Jに肉薄、または追い抜かれるテストも目立つし、決定的に最上位とは言い切れない状態だ。

 また、Pentium 4 660とPentium 4 570Jにしても、キャッシュ容量では660に分があるものの、クロックでは570Jのほうが高いため、結果を見ると570Jのクロックの高さが好結果に結びついたケースのほうが目立つ。EIST、EM64Tという付加価値に魅力を感じる人のみにお勧めできるCPUであって、パフォーマンス面と価格のバランスでは、Pentium 4 570Jがもっとも優れているように思われる。

 ただ、これらの選択肢の提案は、あくまで現時点で導入するなら、という注釈が付く。すでにIntelは第2四半期にデュアルコアのCPUを投入することを発表している。その後、Pentium 4 6xxシリーズはビジネスユーザー向けの市場へ特化し、コンシューマ市場にはデュアルコア製品と5xxシリーズが投入されるという。そうした点からみても、6xxはコンシューマ市場においては不安定な立場にあるわけだ。

 現時点で選択するならPentium 4 570Jがもっともバランスが良いと述べたが、これにしてもパフォーマンス面ではPentium 4 XE 3.73GHzと同等かそれ以下。Pentium 4 660ではパフォーマンスに不安があるが、EISTなどの機能面の魅力がある。つまり、Pentium 4のラインナップが増えつづけた結果、各製品が一長一短な状態になってしまっている。それならば、Smithfield(スミスフィールド)の開発コード名で知られるデュアルコアの製品を待ってから、その時点で導入する製品をチョイスするという案も、1つの選択肢として提案しておきたい。

□関連記事
【2月22日】Intel、2MB L2/SpeedStep搭載の「Pentium 4 6xx」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0222/intel.htm
【2月15日】Intel、L2キャッシュを2MBへと倍増したXeon DP 3.60GHz(Enterprise)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/hardware/2005/02/15/4613.html
【2月8日】Intel、デュアルコアCPUのシリコンを生産開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0208/intel.htm
【2004年11月16日】【多和田】最新Prescott Eステッピング採用の「Pentium 4 570J」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1116/tawada37.htm
【2004年8月5日】【多和田】Noconaコアへと生まれ変わった新「Xeon」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0805/tawada26.htm

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(2005年2月25日)

[Text by 多和田新也]


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