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3ステップでマルチコア化を進める
Intelのサーバー&ワークステーション系CPU




●PaxvilleとDempseyが2006年第1四半期に登場

 IntelのXeonラインのデュアルコア化は、デスクトップCPUより一歩遅れて始まる。当初予想されていた2005年後半ではなく、2006年頭にマルチプロセッサ(MP)版とデュアルプロセッサ(DP)版それぞれのデュアルコアバージョンが登場する見込みだ。

 Xeon系のマルチコア化は、比較的整然としている。まず、90nmプロセス版のデュアルコアCPUが登場、その後、65nm版デュアルコアCPUが登場し、さらにその後、おそらく2007年頃に、新アーキテクチャのデュアル/マルチコアCPUが登場する。3段構えの戦略だ。

 もう少し詳しく見ていくと、Xeon系では、2006年の第1四半期にMP向けの「Paxville(パクスビル)」と、DP向けの「Dempsey(デンプシー)」が登場する。Intelは、この2CPUについて65nmプロセスとは言っていないため、製造プロセス技術は現行の90nmになると見られる。事実上、デスクトップ向け90nmデュアルコアCPU「Smithfield(スミスフィールド)」と同じダイ(半導体本体)か、あるいは、Smithfieldの派生品だと推定される。Smithfieldの登場は2005年第3四半期と見られるため、約2四半期遅れとなる。

 さらに、2006年後半には、これら90nmプロセス版デュアルコアCPUを置き換える形で、65nmプロセス版デュアルコアCPUが登場する。MP版は「Tulsa(タルサ)」で2006年第3四半期がターゲット、DP版の65nmデュアルコアCPUはまだコードネームがつけられていないが同時期だと見られる。

 Intelは何も明確にしていないが、この65nm世代デュアルコアCPUまでは、まだNetBurst(Pentium 4系)アーキテクチャと見られる。事実、Tulsaは、もともとIntelのNetBurst系デュアルコアとして以前からロードマップにあった。ロードマップが大幅に変わるまでは、シングルコアの「Potomac(ポトマック)」の次のCPUはTulsaになるはずだった。Intelは、これらの新コアでは、より電力効率がよくなると説明しているという。

 面白いのは、Intelが65nmプロセスデュアルコアCPUについて、周波数が上がることを決して強調していないことだ。電力効率の向上によって、電力コストが下がる点にポイントを置いている。このことは、サーバー&ワークステーションCPUもまた、周波数は頭打ちになる、あるいは伸びが鈍化することを示唆している。

CPU移行図
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●短期間で90nmから65nmプロセスへと移行

 Tulsaが2006年第3四半期に登場するということは、同系のコアを使う65nmプロセスのデスクトップ向けデュアルコアCPUは2006年前半に登場すると推定される。これまで、65nmのデスクトップ向けデュアルコアCPUのスケジュールは明確ではなかったが、サーバーCPUロードマップから推定できるようになった。このことは、Smithfieldから2~3四半期程度で次のデュアルコアCPUが登場することを意味する。ちなみに、65nmプロセスでは、シングルコアの「CedarMill(シーダーミル)」も登場すると伝えられている。

 現状では、Intelの65nm版デュアルコアCPUの詳細はわかっていない。しかし、65nmプロセス化によって、Intelはデュアルコア化がやりやすくなるはずだ。例えば、製造コスト。Smithfieldは、Intelの通常のデスクトップCPUのダイサイズ(半導体本体の面積)である100平方mm台を大きく超え、200平方mm以上になると見られている。

 しかし、65nmのデスクトップ/DP向けダイでは、L2キャッシュのサイズをSmithfieldと同じ2MBに止めるなら、ダイサイズ(半導体本体の面積)も100平方mm台のうまくゆけば前半にまで縮小できるだろう。逆に、MP向けではL2キャッシュを増量することも可能になる。

 Intelは、キャンセルになった2005年のNetBurst系CPU「Tejas(テハス)」が“最後のNetBurst系CPU”になるはずだったと説明していた。それは、NetBurstの次の新アーキテクチャが準備されていることを示している。現状では、NetBurstの次のアーキテクチャの正体はわからない。しかし、サーバー系CPUで、Tulsaの次になるとみられるマルチコアの「Whitefield(ホワイトフィールド)」からは、CPUマイクロアーキテクチャも一新される可能性が高い。だとしたら、Whitefieldと相対する位置に、デスクトップの新アーキテクチャCPUも登場するはずだ。

サーバー&ワークステーションCPU移行図
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●デュアルコアとともにチップセットを切り替える

 XeonラインはデスクトップCPUと、共通のCPUコアアーキテクチャを使う。そのため、サーバーCPUの戦略は、デスクトップCPUのアーキテクチャを反映したものとなる。90nm NetBurst→65nm NetBurst→新アーキテクチャの3ステップは、デスクトップCPUでも同じだろう。

 しかし、プラットフォームサイドでは、Xeon系とPentium 4系の戦略は大きく異なる。デスクトップでは、現状のチップセットアーキテクチャの延長線上に、デュアルコアのSmithfieldを載せる。しかし、DPサーバーではデュアルコアと同時に、チップセット側もアーキテクチャを大きく替える。

 具体的には、DP向けデュアルコアのDempsey投入と同時に、サーバー向けは「Blackford(ブラックフォード)」、ワークステーション向けは「Greencreek(グリーンクリーク)」と呼ばれる兄弟チップセットが登場する。Intelは、このチップセットから、システムアーキテクチャを切り替える。Blackford/Greencreekは、もともと、2005年のチップセットとして計画されていたが、デュアルコアと「Fully Buffered DIMM(FB-DIMM)」に合わせてスケジュールが後ろへずらされた。

 Blackford/Greencreekで、まず、目立つのは、デュアルのインディペンデント(独立した)システムバスを備える点。つまり、MCHとCPUは、共有バスでなく、ポイントツーポイントで接続される。Athlon MP型のデュアルプロセッサ構成になるわけだ。

 Intelの現在のFSB(フロントサイドバス)は、4wayまでのシェアードバスアーキテクチャで、Intel系デュアルプロセッサシステムでは、1つのFSB(フロントサイドバス)を2つのCPUで共有している。これは、AMDが早くからポイントツーポイントバスアーキテクチャを取ったのとは対照的だった。

 今回Intelは、バスアーキテクチャ自体は変更せず、チップセット側の改良で、事実上のトポロジーをポイントツーポイントに変更した。これで、各CPUは、バス帯域を共有するのではなく、フルに使うことができるようになる。つまり、各CPUが使うことができるピーク帯域は2倍になったわけだ。

●Feed the Beast問題を解決

 独立したシステムバスのアーキテクチャがデュアルコアCPUにとって有用なのは、デュアルコア化で増大するデータ転送ニーズに応えることが可能になるからだ。マルチコア系CPUは「Feed the Beast(獣を養う)」問題を抱えている。つまり、クロック当たりの処理性能が上がる分、より多くの命令とデータの転送が必要になり、そのために、より広いFSB帯域が必要になる。シェアードバスで帯域が制約されることは、デュアルコアにとって足かせになる可能性がある。Intelは、DPシステムではポイントツーポイント接続にすることで、問題の解決を図ると見られる。

 ちなみに、Intelがこうしたソリューションを持ってくることは、Intelが次の大きなバスアーキテクチャチェンジまでは、現行のバスを据え置きで使うつもりでいることを示している。Intelの次のCPUシステムバスは、シリアル系インターフェイスになると推定されている。サーバーサイドでは、次のシステムバスはシリアルバスになるだろう。

 Blackford/Greencreekは、FB-DIMMもサポートする。現在のDDR2 Registered DIMMはDDR2-400までだが、FB-DIMMによってより高速なDDR2/3メモリをサポートしながら、チャネル当たりのメモリ容量を増大させることができる。さらに、メモリチャネル数を増やすことで、メモリ帯域と容量をさらに拡大できる。つまり、CPU側へのバスが2倍の帯域になっても、FB-DIMMなら、それに見合うメモリ帯域を提供できるわけだ。

 逆を言えば、デュアルインディペンデントバスは、FB-DIMMの導入があって成り立つアーキテクチャとも言える。デュアルチャネルDDR2-400のままでは、システムバスはOKでも、メモリバスがボトルネックになってしまう。

 Intelは、MPシステムではデュアルコア化に合わせてチップセットを一新しない。2005年に登場する「Twin Castle(ツインキャッスル)」で、PaxvileとTulsaもサポートする。ただし、Twin Castleも従来の4way向けチップセットとは異なり、4個のCPUでシステムバスを共有する仕組みにはなっていないという。FSBのコントローラとメモリコントローラが分離されたモジュラー設計になっており、2Wayづつ独立したコントローラに接続すると言われている。

 Intelは、Blackford/GreencreekとTwin Castleがそれぞれ2世代のデュアルコアCPUをサポートするとしている。おそらく、その次のWhitefieldで、チップセットは新規設計に切り替わると推定される。Intelは、Whitefield世代から、IA-64とIA-32のプラットフォームを共通化すると説明している。そのため、この世代あたりからFSBも一新されると推定される。

 Intelは、今後の各種仕様の投入時期も明らかにし始めた。IntelはPrescott系CPUコアに、さまざまな機能拡張を実装した。このうち、「EM64T(Extended Memory 64 Technology)」はDPでは「Nocona(ノコーナ)」で有効化され、MPでは「Cranford(クランフォード)」から有効化される。

 今後はSpeedStepライクな電圧&周波数のダイナミック切り替え「Demand Based Swiching(DBS)」も、Noconaのキャッシュ強化版「Irwindale(アーウィンデール)」とCranfordから有効化される。さらに、2006年にはハードウェア支援仮想マシン機能「Silvervale(シルバーベイル)」テクノロジが有効化されることも明らかになった。

 IntelのIA-64系CPUのロードマップは、9月のIntel Developer Forum(IDF)時からほとんど変わりはない。デュアルコアの「Montecito(モンテシト)」ファミリがやや後ろへずれ、その結果、Madison 9MのFSB(フロントサイドバス)667MHz版が登場した程度だ。IA-64の目玉は、Montecitoで、これについては以前に詳報した通りだ。

□関連記事
【10月27日】【海外】Intelのロードマップから見えたPrescott 4GHzが消えた理由
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1027/kaigai129.htm
【10月22日】【海外】デュアルコアCPU“Smithfield”は来年第3四半期に登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1022/kaigai128.htm
【10月19日】Intel、4GHz版Pentium 4の開発中止を確認
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1019/intel.htm
【8月5日】【海外】Intelの2005年のデュアルコアCPU「Smithfield」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0805/kaigai108.htm
【8月9日】【海外】デュアルコアプロセッサ「Smithfield」のアーキテクチャ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0809/kaigai109.htm

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(2004年10月30日)

[Reported by 後藤 弘茂(Hiroshige Goto)]


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