西川和久の不定期コラム

「EPSON R-D1で夏休み!」



佐藤万葉

佐藤万葉

 Cyber-shot UIXY DIGITAL 200a以来、2年ぶりに夏休み企画再開! 今年一発目はエプソン R-D1の登場だ。このカメラの最大の特徴は何と言っても「世界初のレンジファインダーデジカメ」であること。従来のデジカメとしては無かったジャンルであり、筆者としても興味津々。早速カメラ片手に江ノ島まで行ってきた。

 ただし、撮影時にはまだβ機で、RAWでの撮影のみOKとなっている限定版だ。従って現像ソフトのEPSON Photolierを使いJPEG(AdobeRGB)へ変換、Photoshopでトーンカーブやシャープネス、sRGBへの色空間変換などを行なった画像を掲載している。この点は予めご了承頂きたい。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●レンジファインダー初挑戦!

 デジタル一眼レフカメラ育ちの筆者にとって、マニュアルフォーカスのレンジファインダーは初体験(CONTAX G2は持っているものの基本的にAF機)。届いて一番に困ったのは視度調節機構が無いため眼に合わず、ピントが全く見えないことだった。-4~-5m-1必要なので接眼補助レンズが欲しいところであるが、純正品があるハズもなく、ニコンのFA/FE2/FM2/FE/FM用が使えることがわかりさっそく-5m-1を購入。撮影数日前の週末はマニュアルフォーカスの特訓に明け暮れた(笑)。

 レンズはVoigtlander ULTRON 28mm F1.9 Aspherical/NOKTON 35mm F1.2 Aspherical/NOKTON 50mm F1.5 Asphericalの3本を使用。どれも見るからに良さそうなレンズである。筆者が普段仕事で使うのは24mm/35mm/50mm/85mmと画角的にも似ているので扱い易い。カメラの設定はISO200のF5.6。露出はシャッタースピードで調整もしくは絞り優先AEにした。ホワイトバランスはDaylight固定で撮影、現像時も触っていない。サムネイル先の画像は600万画素あるので要注意!

●実際使っての感想

 マニュアルフォーカスで一番困ったのは、いつもやっている左手でレフ板持って、右手でAFロック&シャッターを切る技ができないことだ。フォーカスリングを左手で回す必要があり、こればかりはどうにもならない。今回は黄色い水着の時以外ほとんどレフ板を使わず撮影したものの、三脚を使うなり助手を使うなりしないとこの手の撮影は厳しいかも知れない。

 また、縦位置で撮ったとき、距離計窓にフォーカスリングを持つ手がかかってしまい距離計像が現れなくなったり、巻き上げレバーを操作し忘れシャッターを切り「あれ!?」っと思うこと多数。ただこれは慣れの問題でカメラの性格上、一眼レフのようにガチャガチャ枚数を撮るカメラではなく欠点とは思わない。他の部分に付いても非常によく考えられていて、不満どころかこのカメラが欲しくなってしまった。

 今回使用したレンズの写りも抜群! 特に黄色い水着の岩場に溜まっている海水の色や、赤水着横位置の砂のグラデーションは見事だ。ただ残念なのは、各レンズの最短撮影距離がそれぞれ70cm/70cm/90cmと、普段一番使っているAi AF Nikkor 35mm F2Dの25cmより遠くなってしまうことだ。イマイチ寄り切れていない写真が多いのはこれが原因だ。

 現像ソフトに関しては、単独で動くPhotolierは良いが、Photoshop用のPlug-inに難がある。と言うのもversion 7.0以上でないと動かないのだ。7.0以上は、写真のレタッチに関係無い機能をバージョンアップしたいがために付けた雰囲気。作動も重くバギーでよくハングする。このため筆者としては6.0を愛用しているのだ。ファンクション的に問題無いのであれば是非6.0にも対応して頂きたいと思う。

 Photolierに関しては、できればトーンカーブが欲しい。現像のパラメータはいろいろ実験したところ、標準値以外になったものは、コントラスト:2/ノイズ低減:2/エッジ強調:-5と言った感じだろうか。特にエッジ強調は標準値0だとかなり強調されるので、リサイズが前提だとジャギが目立つ。拡大するにしても縮小するにしても、必要サイズへ補完した後にUnsharpMaskするのがベターだ。

 JPEGに関しては、まだチューニング中だと思われるが、このクラスのカメラであれば、色空間はsRGBに加えてAdobeRGBにも対応すべきだろう。とは言え、普段はハイエンド一眼レフでもJPEGしか使わない筆者にとってRAW現像を真面目に何枚も操作するのは久々だ。いろいろパラメータを変更して自由に絵が作れるので面白い。

 露出に関しては、アンダー側で-0.7、オーバー側で+0.3の範囲なら然程画質を損なわずに現像時に補正可能だ。今回の作例の中にも補正したものが数点ある。現像パラメータはある程度決まっているものの、いろいろなパターンが混在している。


●総論

EPSON R-D1

EPSON R-D1とレンズ三本

 余談になるが、最後のカットを撮って片付けをしている最中に、犬の散歩をしていた年配の方から「ライカですか!?」と話しかけられた。何やらいろいろなカメラを持っているらしい。デジカメであることを説明するとかなり驚いた様子。しかし価格を言っても「ふ~ん…。」といった感じで全く動じなかった。きっとこのR-D1は、こんなユーザーをターゲットにしているのだろう。

 マニュアルフォーカスとは言え、少し訓練すれば(スピードは別として)何とか許容範囲に収まるようになる。お金があれば是非1台欲しいカメラだ。ただその前にボロボロのNikon D1Xの代替機を買わなければならないので、すぐとは行かないのが残念だ。普段カット数量産型の撮影ばかりしている筆者にとって、全く逆の落ち着いて一枚一枚丁寧に撮るタイプのR-D1は是非プライベート用として使いたい。こんな素敵なカメラを世に送り出した同社には頑張って欲しいと思う。


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(2004年7月23日)

[Text by 西川和久]


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