大きくハードウェアの変わったUX50だが、内蔵ソフトウェアに関しては、従来機種とほとんど同じである。基本的には、
である。また、PC側で動作するクリエDesktopもCD-ROMに同梱されている。 従来機種との大きな違いは、UX50では付属ソフトが予めすべてインストールされており、ユーザーがインストールしなければならないのは、辞書やサウンドファイル程度になったという点である。特にWebブラウザであるNetFrontやPicsel Viewerは、Palm用としては巨大なアプリケーションなので、インストールも大変だった。最初から組み込まれているなら、リセットやバッテリ切れでアプリケーションを失う可能性もないし、すぐ使い始めることができて便利だ。 ●標準PIMソフトウェア
PalmOSに搭載されている標準ツール類(表2)は、UX50のハイレゾリューション画面に対応している。アドレス帳プログラムは、顔写真などの画像ファイルに対応しているほかは、基本的に従来のものと同じ。 ただし、同じ5.2を採用しているTungsten Cとは、若干違っている。Tungsten Cに搭載されているPalm OS 5.2では、いくつかの標準ツールやシステムモジュールが更新されているのに対して、UX50では、従来のPalm OS 4.0と同じツールやモジュールが使われている。 たとえば環境設定プログラムは、TungstenCでは新しいユーザーインターフェースに切り替わっているが、UX50のものは従来と同じものが使われている。そのほか、Network経由でHotSyncを行なう「ネットワークHotSync」は、UX50ではバージョン4.0であるのに対し、Tungsten Cでは5.0となっている。Tungsten Cでは、ローカルネットワーク内をスキャンして見つかったホストのリストから、HotSync先を指定できるのに対し、UX50では従来通りIPアドレスなどを指定してやらねばならない。また、HotSync先となるプライマリPCの指定で、ホスト名が指定してあると、無線LAN経由でHotSyncができないバグも従来と同じ(このときは、プライマリPC名として“!!”を指定して、IPアドレスだけを設定しておく)。 細かくは検証していないが、UX50はカーネル部分にPalm OS 5.2を採用しているが、Palm OSの標準ツールに関しては、ほとんどPalm OS 5.0のものを使っているようだ。もっとも、Grafity2など、Palm OS 5.2から導入された機能も取り込まれてはいるので、全部が全部、5.0のものというわけでもない。 ●ソニーのツール
ソニーが追加しているソフトウェアには、表3のようなものがある。このほかにラウンチャー画面には、クリエStyleとクリエDEMOの2つのアイコンがあるが、前者はNetFrontが起動し、後者はFlashプレーヤーで再生が始まる。 細かいバージョンアップはあるが、基本的には従来のクリエシリーズとほとんど同じだ。今回のUX50では、前回解説したように動画再生機能などが向上しているので、持ち歩きAVプレーヤーとしては、ほぼ完成の域に達したといえるかもしれない。実際に、録画したテレビなどをメモリースティックに入れて外出先で見てみたが、再生に違和感はなく、十分使えた。 もっとも便利に使えるのは、バイオと組み合せた場合だ。筆者の環境では動画を変換する手間がかかるので、そんなには使わないだろうと思っている。
●その他のツール
組み込まれているサードパーティのソフトウェアには、表4のようなものがある。このうち、NetFrontやPicsel Viewerは、バージョンアップもあるが、ヒープ領域が大きくなったこともあって、体感速度やデータ量限界が上がったようである。たとえば、NZ90に付属していたPicsel Viewerではサイズが大きすぎて読み込むことができなかったファイルなども、UX50では表示が可能になっている。 最近クリエシリーズに付属するようになったDecuma Japaneseは、いわゆる日本語の手書き文字認識システムだ。これによりアプリケーションへの入力を手書きで行なえるようになるが、キーボードがあるのであまり必要性を感じない。 NetFrontは、画面が横480ドットになったこともあって、さまざまなWebページが見やすくなった。また利用できるメモリも大きくなったためか、大きなページを読み込んでも黙ってしまうことが少なくなった。ただし、相変わらず、別ウィンドウを開くページには未対応だ。シャープのLinuxザウルスSLシリーズ用では、タブで別ウィンドウを表示できるようになっている。メモリなどの問題もあるのだろうが、このあたりなんとかしてほしいところだ。 Picsel Viewerも、メモリや液晶の横幅が広くなった関係で、やはり使いやすくはなっている。ただし、一部のPDFファイルなどでは、英単語間のスペースが崩れて文書が読めなくなることがある。日本語ではスペースが無いので問題は起きないが、筆者は各種の資料などをPDF化しているため、これはちょっと痛いところ。もっともPDFのバージョンやPDF Makerの問題という可能性もあり、必ずしもPicselの責任ともいえない。 Picsel Viewerは、以前クリエシリーズに登載していたDocument To Goと比較すると、ファイルの編集はできないものの、対応するフォーマットが多く、ドキュメントの表示品質も高い。どっちがいいのかは使い方によりけりだが、Adobeが日本語版のPalm OS用Adobe Readerを出荷していない(年内には日本語版が出るという話だが)現状では、Picsel Viewerのほうがバンドルソフトとしては正解と思われる。なお、Document To Goの日本語版は、エクセルソフトが販売しているので、必要ならば入手が可能。これに対してPicsel Viewerは、現時点ではパッケージ販売が行なわれていない。 ●Tungsten Cと比べて
同じように無線LANを内蔵しているTungsten Cを筆者は常用していたのだが、これをUX50に乗り換えるかどうかで迷っている。ハイレゾリューション画面はやはり魅力的で、Webブラウザの表示などを見るとUX50にしようかとも思ってしまう。これに対してTungsten Cには、PPTPに対応したVPN機能があり、外出先からの自宅のメールサーバーのチェックなどに重宝している。UX50にはVPN機能がないため、自宅へのアクセスができない。プロバイダのメールサーバーへのアクセスは問題ないが、筆者のようにVPNを多用するユーザーには辛いものがある。
操作感は、UX50のキーボードがかなり良くなったので、細かい違いしかない。具体的には、ジョグダイヤル対5Way Navigationキーである。筆者の好みは5Way Navigationキーだ。というのは、GUIに対する操作は5Way Navigationキーのほうが自然なのである。 たとえば、アドレス帳への入力時、5Way Navigationキーを下に押せば、次のフィールドへカーソルが移る、そのまま下げていけば画面がスクロールする。しかし、ジョグダイヤルでは、画面がスクロールするのみでカーソルは移動しない。編集を行なうには、別途画面をタップする必要がある。UX50のカーソルキーを使ってもカーソルは移動しない。カーソルを前後のフィールドに移動させるためには[Ctrl]+[O]/[Ctrl]+[P]を使うが、これは両手を使うためにちょっと操作が面倒だ。こういう細かい点で、5Way Navigatinキーのほうが使いやすく感じる。 VPNとキー操作以外は、機能、性能ともUX50のほうが上なので、乗り換えてもいいかと思っているのだが。
□製品情報 (2003年8月28日)
[Text by 塩田紳二]
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