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■森山和道の「ヒトと機械の境界面」■
第4回ROBO-ONE観戦記【ROBO-ONEジュニア・予選編】
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■嵐の前の静けさ? ROBO-ONEジュニアwithファミリー
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ROBO-ONEジュニア会場風景 |
既におなじみの大会となりつつある2足歩行ロボットの格闘大会ROBO-ONE。ロボコンとしては異例の注目を浴びる大会だ。今大会では実験的にROBO-ONEジュニアwithファミリーが開催された。
ROBO-ONEジュニアは名前のとおり子供の参加を前提とした大会。ロボット製作に大人が関与してもいいが、ロボットの自由度は10以下、重量は1kg以下に制限される。参加人数は2名以上、操縦者は中学生以下でなければならない。今回は8チームがエントリー、1チームが棄権し、7チームの参加となった。
フタをあけてみればROBO-ONEジュニアは、単なるジュニア大会というよりもむしろ、ROBO-ONEのレギュレーションでは見られないアイデア対決大会となった。
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杉山チームのストライクガンダム。やっぱりガンダム |
フクザワファミリーの「マルダ」。ドラえもんである。丸い体を利用して起きあがりこぶしのように1秒足らずで起きあがることができる。これはナイスアイデア! |
兄弟で出場、石田隆浩氏による「RVJR」。頭についているのは、もちろんハリセン |
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スギウラブラザーズによる「ダイナマイザーJr」。上半身と下半身をそれぞれ兄弟が担当して操縦。可愛い応援団つき。ロボットもきちんと起きあがる |
マリリンズによる「ロボマサ」。こちらはピアニカの応援つき。お母さんの叱咤激励が飛ぶ。基本的には講習会の1日だけしか時間はかかってないとか。体をひねって起きあがる |
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ドンアリウスチームの「ありまろ」。ハートマークに攻撃用の角、塗装も美しい。片足立ちほか、運動性能も抜群。製作費用は5,000円程度だというが、それは多分、お父さんの部品を使っているからでは。ボディは石けん箱だとか |
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マリモトチームの「M&M-01」。優勝ロボット。非常に高く足も上がり、蹴りを出すことができる。これが決め手となった |
ROBO-ONEジュニアに出場したロボットには、黒くて小さいサーボモーターを使っている機体が多い。また、下半身の構成が同じものが多いことに気づくと思う。これは、九十九電機とROBO-ONE委員会によって7月5日に秋葉原ダイドーホールで開催された「2足歩行ロボット組み立て講習会」の成果だ。
この講習会は韓国製のサーボモータである「AI-motor」を使い、8軸の歩行ロボットを組み立てるというもの。RS-232C経由でPCとロボットを接続し、動作モーションを組む。実際に講習会中に歩行できた人は30組中わずか2組だったようだが、ROBO-ONEジュニア参加者の中には講習会の1日だけしか時間はかかってないとか、それを改造しただけなので2日くらい、という参加者までいた。2足歩行ロボットなどできない、と言われていた時代がついこの間だったことを思い出すと、まさに隔世の感がある。
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講習会で作ったロボット |
委員長の西村氏 |
ROBO-ONE実行委員会委員長の西村氏によれば、講習会には、ネジ留めすらしたことないが、ロボットを造りたいという人も参加していたとか。「もっともっと家族でROBO-ONEに参加してもらいたい」(西村氏)そうだ。
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競技の合間にHOAP2が太極拳、逆立ち、そして習字。習字は参加者に贈られた |
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ストライクガンダム VS 「マルダ」 |
「RVJR」VS「ダイナマイザーJr」 |
「ロボマサ」VS「ありまろ」 |
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ROBO-ONEジュニア決勝戦は、「M&M-01」VS「マルダ」となった。結果は、クイックで起きあがってくるマルダを、M&M-01が巧みな操縦でとにかく蹴り飛ばしてスリーダウンを取って、優勝を決めた。1日30分×3回くらい操縦の練習をしたそうで、さすがの腕前を発揮 |
優勝したマリモトチーム。お父さんの中村素弘氏は「HSWR」シリーズで登場するROBO-ONE常連でもある。今回は娘さんのロボットにかかりきりだったとか |
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優勝ロボットと操縦者たち。お疲れさまでした |
今回、テスト的に行なわれたROBO-ONEジュニアはエンターテイメントとしても十分成立した面白さがあった。ただ、ルールには若干の変更が必要であることも明らかになった。ほとんど子供だけで造っているロボットと、お父さんがかなり力を貸しているものが同列で評価されるのも、観客として見ていると、操縦している子供たちはどちらも一生懸命なだけ、違和感がある。今後、新たな形で続いていくことになるだろう。
■嵐を呼ぶ男たちの祭典、ROBO-ONE開始! さて予選の結果は?
ROBO-ONEの出場ロボットは、20秒以内に5歩以上の歩行ができ、屈伸ができ、ボックスダンスができなければならない。以前は、これだけでも極めて高いハードルだった。だが、既に状況が一変していることが誰の目にも明らかになったのが今大会だったと言えよう。
結果を見れば、規定を満たすだけでは、出場できても予選通過はできない大激戦となったのだ。常連も凄いが、初参加でも凄いマシンをひっさげて登場した人々が多数、台風近づく川崎に集まった。西日本方面からの参加者のなかには、飛行機が飛ばなくて難儀した人もいたそうだ。初日には予選としてデモンストレーションが行なわれ、114台のロボット中、52台のロボットが出場した。
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左右ではなく前後に脚をつけた2足歩行ロボット、市川連合の「I-REN MASK」。デモンストレーション一番バッターには奇妙な姿が不利に働いたか、予選落ち。このロボットが戦う姿はちょっと見たかった |
OH SUNG NAM氏の「MYRO」。予選突破はかなわなかったが、見事「ROBO-ONE DOOR」を成功させた。細かい動作はマスタースレイブ |
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「Typhoon Ver. 1.1」を整備中のKang Sung Jun氏。韓国でのROBO-ONE優勝ロボットである。攻撃用の上半身が特徴だが、歩行もしっかり安定している。実は足裏が規定以上だったために、急遽、足裏を小さくしてのエントリーとなったとか。予選7位通過 |
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吉川芳秋氏の「ヨシ」。赤いボディの「雑魚」 |
下半身はフリーダム、頭は百式?の「舞夢」。高校生の研究チームがベース |
SISO氏の「G-Tune」。デストロイドモンスターを思わせるフォルム。予選21位 |
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ユーモラスな動作とバランスに優れた「ARIUS」。初出場ながら片足立ちほかを披露、6位の成績で予選突破 |
逆立ちを披露する森永氏の「メタリックファイター」。クローをつけて攻撃力もアップ、と期待されたのだが…。予選は9位 |
地味ながら安定した動きを見せる山崎氏の「雑魚」。リーチの短さが戦いには不利か。予選10位 |
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菅原氏の「A-Do」。「愛と海」がテーマの夏バージョンということで、顔には水中眼鏡、口にはシュノーケル(アンテナ入り)、背中の酸素タンク風CPUランドセルにはハイビスカスと「I love ROBO-ONE」の文字を背負って登場。9月に発売される新型サーボコントローラ「ROBO-UNICON」を搭載、動作から動作への移行も非常にスムーズ。片足立ちのまま片足をぶんぶん振っても、まったく不安を感じさせない抜群の安定感を誇った。予選1位、そして優勝ロボット |
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下笹洋一氏の「U-Knight」。まとまったロボット。予選22位 |
ジョニー氏の「てく太郎」。名前のとおり、てくてくと歩く。予選は15位で通過したが韓国ROBO-ONEの優勝ロボット「Typhoon」に敗退 |
Nobuaki Ookoshi氏の「Petapy Lx」。外力に応答できる。たとえば押されてもあとずさりしてバランスを取ることが可能 |
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首と尻尾を左右に振る鳥型、というか恐竜型ロボット。だが、足はなぜか鳥脚型ではない |
直動アクチュエーターを使った大型ロボット。腕はフレキシブルでどんな形にも変形可能。腕を振り回す怪しげな踊りで会場の爆笑を誘った |
マスタースレイブが特徴の「剛王丸」と津藤智氏。残念ながら今回は本来の実力を発揮できず不調に終わった |
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バットを振り回すユニークなロボットも。センサでボールを検知、それを打つはずだったが、大幅に振り遅れ |
杉浦富夫氏の「DYNAMIZER」。予選11位通過 |
諏訪東京理科大ロボット研究会の「Megene+」 |
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こじんまりと綺麗にまとまった「Fantoma」 |
バンダイカップでは子供たちに大人気、「不良学生助教授」&「宇宙ロボワンファイターX」の「BKG-3 6340(ムサシ丸)」。のち、ROBO-ONE DOORにも挑戦したが惜しくも時間切れ |
Yamaguchi Tooru氏と「鬼丸」。残念ながら当日はうまく歩行できず |
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予選日・本戦日とも昼休み中には株式会社イトーレイネツの吉村氏から、まもなく市販されるR-Iシリーズ:YDH-PDS( http://www.i-rt.co.jp/SH-Y.html )のデモンストレーションが行なわれた。当たり前のように逆立ちをし、片足立ちをして上半身をひねり、さらに飛行機のポーズまでやってのける。だがこれまでR-Iで人気を博していた吉村氏自身は、今回、この機体では出場しなかった。これができるだけでは勝てないという判断か、それともプライドなのか。ROBO-ONEのレベル上昇ぶりが逆に浮き彫りになっていると思うのは筆者だけだろうか |
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新設された競技、ROBO-ONE Corner to Corner。青コーナーに向かって立ち、回れ右をして反対の赤コーナーに10秒以内にダッシュすれば成功。歩行速度もさることながら、機体の旋回性能がものをいう。また自律でなければならないので、完全に180度ターンしたあと、真っ直ぐ歩行できる性能が要求される。トライするもののターンに時間がかかったり、素早くターンしたものの明後日の方向に歩いていってしまう機体が多かった。そんななか、坂本さんの「はじめロボット4号機」が見事に成功! 賞金十万円が贈られた。なお、腰に巻いているのは先だって行なわれたROBO-ONEバンダイカップの優勝ベルト |
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階段を上って降りる「ROBO-ONEステアーズ」では、前田氏のOMNIHEADが見事に成功。小さな体を大きく斜めにひねりつつ段を登り、降りた瞬間、会場からは大きな拍手が。OMNIHEADも拍手にこたえる |
(ROBO-ONE本戦レポートへ続く)
□ROBO-ONEのホームページ
http://www.robo-one.com/
□関連記事
【8月4日】おもちゃみらい博で「ROBO-ONEバンダイカップ」開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0804/roboone.htm
【2月10日】【森山】2足歩行ロボット競技大会「第3回ROBO-ONE」観戦記
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0210/kyokai03.htm
【2月3日】総勢93機が出場した2足歩行ロボット競技大会「ROBO-ONE」第3回開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0203/roboone.htm
バックナンバー
(2003年8月18日)
[Reported by 森山和道]
PC Watch編集部
pc-watch-info@impress.co.jp
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