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デスクトップなのにCPUはノート用!NEXTGEAR初のIntel機の狙いが新しい

~【TGS2026】マウスコンピューター取材レポート

「NEXTGEARの新モデル」が登場。あえてモバイル向けのIntel® Core™ Ultra 5 Processor 245HXを搭載した異色のゲーミングPCだ

 ゲーミングPCを選ぶとき、まず気になるのはゲームがどれだけ快適に動くかだろう。ただ、購入したPCでゲームだけをするとは限らない。Webを見たり、動画を楽しんだり、仕事や勉強に使ったりする時間もある。そうした普段使いまで考えると、動作音や消費電力も気になるところだ。

 マウスコンピューターが東京ゲームショウ2026で発表した「NEXTGEARの新モデル」は、まさにそこに目を向けたゲーミングPCだ。同ブランド初となるIntelプラットフォームを採用し、ミニタワー型のデスクトップPCに、あえてモバイル向けのIntel® Core™ Ultra 5 Processor 245HXを搭載しているという異色の存在だ。

 ゲーム性能と日常の使いやすさを両立するために、マウスコンピューターがなぜこの構成を選んだのか。発表ステージと、その後の取材から狙いをひもといていこう。

初めてのIntel採用で重視したのは日常の使いやすさ

TGS2026のG TUNE/NEXTGEARブース
東京ゲームショウ2026のマウスコンピューターブース。G TUNE/NEXTGEARの新製品発表に加え、実機に触れられる展示も用意された

 発表ステージには、マウスコンピューター代表取締役社長の軣 秀樹氏と、開発・購買本部 製品部 製品企画室でプロダクトマネージャーを務める林田奈美氏が登壇。Intelからもクライアント・コンピューティング&フィジカルAIグループ シニアディレクター兼チャネルエコシステム担当ゼネラルマネージャーのMarcus Piper氏と、インテルの技術営業本部 セールス・アプリケーション・エンジニアの矢内洋祐氏が参加し、新モデルの特徴や開発の背景を紹介した。

 NEXTGEARは「ゲームを楽しむ、すべての人に」を掲げるゲーミングPCブランド。マウスコンピューターはゲーミングPCブランドとしてコアゲーマー向けの「G TUNE」も展開しているが、NEXTGEARに関しては、これからPCゲームを始める人や、すでに楽しんでいる人の買い替えなど、選びやすい製品を目指したブランドといえる。

初心者にも選びやすいNEXTGEARのブランドコンセプト
NEXTGEARのブランドコンセプト。性能や価格に加え、カスタマイズ、ケースカラー、保証なども含めて選びやすさを目指す

 林田氏によると、今回の新製品を企画した際に重視したのは、 ゲーミング性能と日常での使いやすさの両立だった という。

 高性能なゲーミングPCでは、発熱や消費電力に加え、冷却ファンの動作音も気になりやすい。そこで着目したのが、消費電力や発熱を抑えられる、ノートPC向けに設計されたモバイルCPUだ。冷却設計と組み合わせることで、性能を確保しながら動作音にも配慮しやすい。この狙いに合う選択肢がIntelのゲーミング向けモバイルプロセッサだったことが、NEXTGEAR初のIntel採用につながったという。

左からマウスコンピューターの軣氏、林田氏、IntelのMarcus Piper氏、矢内氏

ゲーミングノート向けのCPUをデスクトップで生かす

 ここで「モバイルCPUでは、デスクトップPC用として性能が物足りないのでは」と思う人もいるだろう。しかし、モバイル向けといっても、薄型軽量ノートPC向けから、大型のゲーミングノートPC向けまで性格はさまざまだ。

 今回採用されたIntel® Core™ Ultra 5 Processor 245HXは、高性能なゲーミングノートPCを想定したプロセッサ。高性能コアのPコアを6基、高効率コアのEコアを8基備える14コア構成で、最大動作クロックは5.1GHzとなる。矢内氏も「 薄くて軽いノートPCではなく、大きくてパワフルなゲーミングノートPCを思い浮かべてほしい 」と説明。その性能をデスクトップの形で引き出すのが、今回の使い方だとした。

Intelの矢内洋祐氏。「火力は十分です」と、ゲーミングノート向けCPUの処理能力を強調。そのパワーをデスクトップでさらに引き出すのが今回の使い方だと説明した

 Piper氏は「 高い性能と電力効率を備えたモバイルプロセッサをmicroATXのデスクトップ設計と組み合わせることで、ユーザーに柔軟な選択肢を提供できる 」と説明した。CPUだけでPCの性格が決まるわけではない。どの筐体で、どの冷却機構やグラフィックスと組み合わせるかまで含めて考えることで、モバイルCPUの特性を生かせるというわけだ。

IntelのMarcus Piper氏。Core Ultraのモバイルプロセッサを「プロセッサ界のアスリート」にたとえ、消費電力や発熱を抑えながら高い性能を発揮する設計をアピールした

 実際、新モデルの外観はNEXTGEARらしいミニタワー型で、ビデオカードはデスクトップ向けを搭載する。小型ノートPCをそのまま箱に収めたような構成ではなく、ゲームの描画を担うGPUや拡張性はデスクトップの利点を生かしている。

 一方、CPUはマザーボードに実装済みで、BTOでの変更や、あとからの交換には対応しない。メモリはノートPCでおなじみのDDR5 SO-DIMMを採用し、メモリやSSDの容量はBTOでカスタマイズできる。CPUと冷却機構を一体で設計しつつ、用途に合わせて容量を選べる構成だ。

ノート向けCPUとデスクトップ向けGPUを組み合わせた内部構成
モバイルCPUを採用しながら、デスクトップ向けビデオカードを搭載するミニタワー構成。CPUは実装済みで、メモリにはSO-DIMMを使用する

RTX 5060搭載機と水冷RTX 5070搭載機を用意

 ステージで紹介されたのは、GeForce RTX 5060を搭載する「NEXTGEAR JG-I5G60」と、水冷仕様のGeForce RTX 5070オーバークロック版を搭載する「NEXTGEAR JG-I5G7L」の2モデルだ。いずれもIntel® Core™ Ultra 5 Processor 245HXを採用し、2026年9月17日12時に販売を開始した。

 16GBメモリ、500GBのNVMe SSD、650Wの80PLUS Bronze電源、Windows 11 Homeというスペックは共通で、JG-I5G60は23万9,800円から、JG-I5G7Lは34万9,800円からとなっている。

 JG-I5G60は、これからPCゲームを始める人に向けた選択肢。林田氏も「 GeForce RTX 5060搭載モデルは最初の1台として手に取りやすい価格にまとめられた 」と説明している。より高い描画性能やGPUの冷却にもこだわりたい人には、JG-I5G7Lという選択肢が用意された形だ。ゲーミングキーボードやマウスなども本体と合わせて選べるため、周辺機器も含めて環境を整えられる。

RTX 5060搭載のエントリーモデル「JG-I5G60」
NEXTGEAR JG-I5G60の構成。RTX 5060、16GBメモリ、500GB SSDを搭載する。価格は23万9,800円から(ブラック、ホワイト)
水冷RTX 5070 OC版を載せた上位モデル「JG-I5G7L
NEXTGEAR JG-I5G7Lの構成。GPUに水冷仕様のRTX 5070オーバークロック版を採用している(ブラック、ホワイト)
【表】NEXTGEAR JG-I5G60/JG-I5G7Lのスペック
NEXTGEAR JG-I5G60NEXTGEAR JG-I5G7L
CPUIntel® Core™ Ultra 5 Processor 245HX
GPUGeForce RTX 5060(GDDR7 8GB)GeForce RTX 5070(GDDR7 12GB)
水冷オーバークロック版
メモリDDR5-5600 16GB(8GB×2、最大64GB)
ストレージM.2 SSD 500GB(PCIe 4.0 x4)
電源650W 80PLUS Bronze
OSWindows 11 Home
汎用インターフェイスUSB 3.2 Gen 2x2 Type-C、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 9基
映像出力DisplayPort 3基、HDMI
ネットワーク機能2.5Gigabit Ethernet
その他インターフェイス音声入出力
本体サイズ約220×418×410(突起物含む)
質量約8.5kg約9.0kg
本体色ブラック/ホワイトブラック/ホワイト
直販価格23万9,800円~ ※BTOオプションあり34万9,800円~ ※BTOオプションあり

ゲームをしていない時間のファン音にも配慮

 新モデルの特徴として、もう1つ注目したいのがセミファンレス設計だ。アイドル時など負荷が低い状態では、対象のファンを停止して動作音を抑え、冷却が必要になると回転させる。ステージでは、ファンが止まっていても故障ではないことが紹介された。

低負荷時にファンが止まるフロントのGPU用ラジエータ
JG-I5G7Lは水冷GPU用ラジエータをフロント側に配置。低負荷時に対象ファンを止めることで、日常使用時の動作音にも配慮する

 林田氏は「 ゲーム中の性能だけでなく、ゲームをしていない時間にも目を向けた 」と説明。静音性を強調するだけでなく、日常の使いやすさを高めることが狙いだという。なお、PC内のすべてのファンが止まるわけではなく、CPUファンは動き続ける。また、水冷GPUの説明では、フロント側に設置したGPU用ラジエータのファンが低負荷時に停止する仕様も紹介されている。セミファンレスを「PC全体が無音になる」と受け取らないようにしたい。

 囲み取材では、林田氏がこの設計にいたった背景をさらに説明してくれた。初めてゲーミングPC、あるいはデスクトップPCを購入した人は、動作音の大きさに驚くことがあるという。必要なときにはしっかり冷やしながら、普段使っているときにはできるだけ音が気にならないようにする。それが、初めての1台としても選ばれるNEXTGEARに必要だと考えたわけだ。

 ゲーム中はヘッドセットを使うから、PCの音はあまり気にならないという人もいるだろう。それでも、Web閲覧や文書作成などでは、ゲームの音に隠れていたファン音が耳に入りやすくなる。ゲーミングPCを普段使いのPCとしても活用するなら、低負荷時の動作に配慮した設計には意味がある。

モバイルCPUだからこそ求められた性能と使いやすさ

 モバイルCPUをデスクトップに搭載するアイデアは、選んで取り付けるだけで製品になるものではない。林田氏によると、開発ではゲーミングPCとして必要な性能を確保することに加え、モバイルCPUを使うなら静かさも期待される、という両方の要求に応える必要があったという。

 なお、囲み取材でマウスコンピューターは、直前まで開発を進めており、ステージに掲載できるベンチマークスコアの用意までは間に合わなかったと説明している。ただ、製品化にあたってはゲームが問題なく楽しめることを社内で確認しており、今後は製品ページなどで性能の目安を示していきたいとのことだった。

 Intel採用は、CPUのメーカーを先に決めて進めたというより、作りたいゲーミングPCに合う選択をした結果だという。マウスコンピューター側からIntelに企画を持ちかけ、協力を得ながら開発を進めたとのこと。今後のラインナップについても、その時々の製品コンセプトに合う選択をしていく考えを示している。同じCPUを採用する製品は、法人向けのMouseProでも展開予定だ。

 価格についても、林田氏はPC市場全体のコスト上昇を理由に、購入しやすさを諦めたくはないと説明した。単に安いかどうかだけでなく、この内容なら選びたいと思ってもらえる製品を作り、PCゲームを始めるときに候補として思い出してもらいたい。NEXTGEARの製品開発は、そうした考えが土台になっているという。

マウスコンピューターの林田奈美氏。ゲーミング性能を確保しつつ、初めて購入する人にも扱いやすい製品を目指したという

最初の1台をゲーム以外の時間からも選ぶ

 ゲーミングPCでは、CPUやGPUの型番と価格が選択の大きな軸になる。今回のNEXTGEARは、そこに「ゲームをしていない時間にどう使うか」という視点を加えた製品だ。高性能なモバイルCPUとデスクトップ向けGPUを組み合わせ、低負荷時のファン制御にも手を入れる。各部品の得意なところを生かして、1台のPCとしてまとめている。

 軣氏は今回のIntel採用について、NEXTGEARが次のステップに進んだと説明した。初めてのゲーミングPCはもちろん、ゲームも普段の作業も1台で済ませたい人にとって、性能と日常の使いやすさを一緒に考えた今回の新モデルは、選ぶ際に注目したい存在だ。