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現在主流のノート用CPUは、モバイルPentiumⅢとモバイルCeleronである。CPUコア自体はデスクトップ用PentiumⅢやCeleronと基本的に同一だ。しかし、筐体サイズに制限のあるノートPCでは、パッケージが大きいCPUを利用することは困難だ。そこでノート用CPUでは、デスクトップ用CPUよりも小さいパッケージが採用されている。ノート用モバイルPentiumⅢは、BGA2、μPGA2、MMC2という3種類のパッケージで供給されている。BGA2は、端子がハンダボールとなっているため、マザーボード上に直接実装される(表面実装)。サイズ(W×D×H)は31×27.2×2.54mmと小さいが、一旦実装されたCPUを交換することはできない。μPGA2は、デスクトップでお馴染みのPGA(端子がピンになっている)を小型化したものだ。サイズ(W×D×H)は34.21×28.27×3.43mmで、BGA2とほとんど変わらない。μPGA2はCPUソケットに着脱する形状をとることもできる。より高速なCPUが登場すれば、簡単にアップグレードできるので、ベアボーンノートではμPGA2が採用されていることが多い。MMC2パッケージはボードの形で供給され、North Bridgeが統合されている。MMC2はボードごとのアップグレードが可能だ。ノートPCはバッテリでの駆動も考えねばならず、消費電力に対する要求はきびしい。消費電力を抑えれば発熱も小さくなる。
 そこで登場した技術がSpeedStepだ。SpeedStepは、AC駆動時とバッテリ駆動時でクロックと駆動電圧を動的に変更することで、AC駆動時の高パフォーマンスとバッテリでの長時間駆動を両立させる技術である。AC駆動時に850/800/750/700MHzで動作するモバイルPentiumⅢでは、AC駆動時(フルパワーモード)1.65V、バッテリモード時1.35Vで動作する(クロックはそれぞれ700/650/600/550MHz)。また、サブノート向けとして供給されている低消費電力版モバイルPentiumⅢ 600MHzでは、AC駆動時1.35V、バッテリモード時1.1Vで動作する(クロックは500MHz)。Intelは今後もノート用CPUに注力していくことを表明しており、2001年初頭には900MHzや1GHzで動作するモバイルPentiumⅢを投入すると予想されている。次世代製造技術である0.13ミクロンプロセスルールも、まずはノート向けCPUから採用されるようだ。来年半ばに登場する0.13ミクロンプロセスルールで製造されるモバイルPentiumⅢ(コードネームTualatin)では、駆動電圧がさらに下がる見込みだ。現状の0.18ミクロンプロセスルールのモバイルPentiumⅢについても、AC駆動時1.1V(クロック500MHz)、バッテリモード時1V以下(クロック300MHz)というミニノート向け超低消費電力版モバイルPentiumⅢが来年前半に登場する予定である。 (石井英男)

BGA2パッケージはマザーボードにハンダ付けされるタイプ


CPUの交換が可能となっているμPGA2パッケージ


ボードの形で供給され、交換も可能なMMC2パッケージ

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