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★ ゲームソフトインプレッション ★

年末スペシャル 2

 年末なので今年取り上げきれなかったゲームを一挙公開。とりあえずこのゲームを遊ばずして年は越せないと言うことで、合計9本のゲームを選びました。第2弾は、ストラテジーゲームとシミュレーションRPG、そして普段はほとんど取り上げないギャルゲーを取り上げます。

[ストラテジー]
● エイジ オブ エンパイア II:エイジ オブ キング
● 真・マスターオブモンスターズ Final

[シミュレーションRPG]
● エレメンタルアーツ

[ギャルゲー]
● 魔法少女大作戦あつめて☆ミ~ル


● エイジ オブ エンパイア II:エイジ オブ キング

  • ジャンル:リアルタイムシミュレーション
  • 発売元:マイクロソフト株式会社(開発元:Ensemble Studios
  • 価格:オープンプライス(推定小売価格9,800円)
  • 対応OS:Windows 95/98/NT 4.0
  • 発売日:発売中
  • CPU:Pentium 166MHz以上
  • メモリ:32MB以上
  • HDD:240MB以上(実行時100MB以上必要)
  • 解像度:800×600、256色以上表示
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上のCD-ROMドライブ


ローマ帝国の崩壊、そして戦いの歴史は続く

 「エイジ オブ エンパイア II:エイジ オブ キング」は、以前このコーナーでも紹介した「エイジ オブ エンパイア」とその追加シナリオ(拡張パック)「エイジ オブ エンパイア:ライズ オブ ローマ」の続編に当たる作品だ。ゲームはローマ帝国の崩壊後から始まり、その後の「暗黒時代」と中世封建時代、そして帝政時代へ続く1000年間を闘う。いくつもの部族が入り乱れて戦ったこの時代は、人類の歴史上まさに暗黒の時代、血塗られた1000年間でもあった。「エイジ オブ エンパイア II:エイジ オブ キング」は高度なストラテジーゲームであると同時に、人類の壮絶な歴史をパソコン上に再現するドラマチックな作品でもある。
 画面のデザインや操作は前作とほとんど同じだが、時代設定が進んだぶん、戦闘シーンは格段に激しくなった。ぶ厚い壁で守られた城壁と、周囲を守る石造りの塔。その城壁を突き破る巨大な攻城兵器や、敵を蹂躙する装甲騎兵の一団。巨大な投石器やバリスタ、大砲などの飛び道具も登場し、凄まじい破壊力で敵を打ち砕く。部隊編成の自由度が増して、歩兵や騎兵、弓兵の各部隊に細かくフォーメーションを指定できるようにもなっている。

個性豊かな13種族が登場

 プレーヤーが選択できる種族(文明)も、日本、フランク、ビザンティン、バイキング、モンゴル、ケルト、サラセンなど13種族に増えた。種族によって独自の部隊を編制できるほか、城や街並みのデザインも変る。以前この作品のゲームデザインを手がけたENSEMBLE STUDIOSのBruce Shelly氏にインタビューした際、こうした種族間の違いは戦史や歴史書をベースにして決めたという話だったが、なるほど、これは思った以上に個性的だ。強い弱いは相手次第だが、しかしどの種族を選ぶかによって戦い方はかなり変るだろう。
 なによりおもしろいのは、実際には起らなかった架空の戦いを試すことができるという点だ。中世の日本は大陸から遠く、また実質的な鎖国政策を行なっていたために、2度の元寇以外に他民族と戦ったことがない。日本の武士たちが、フランク族の騎士やサラセン人の騎馬兵と出会っていたら、いったいどんな戦闘になっていたのだろうか。日本の城は、ヨーロッパの攻城兵器にどこまで耐えることができるのか? 武士道対騎士道。長弓対短弓。こうした歴史の“もし”をあれこれ試せるところもまた、「エイジ オブ エンパイア II:エイジ オブ キング」ならではの醍醐味だ。

初心者でも安心のテュートリアルモード

 日本語の移植も申し分ない。ゲーム中に表示されるメッセージはもちろん、ヘルプや用語の説明まで細かく訳されている。ナレーションもすべて日本語に吹き替えられ、移植版とは思えないほどの仕上がりだ。プレイしながら学べる、テュートリアルモードの出来もいい。画面に表示されるメッセージやナレーションに導かれるまま操作するだけで、基本的な操作方法から初歩的な戦略まで会得することができる。シミュレーションゲームは操作やルールを覚えるまでが大変だが、これなら初心者でも無理なく入っていくことができるだろう。
 最後にひとつだけ苦言を許してもらうなら、翻訳とナレーションの一部にツメの甘い部分があった。読みを間違えているところがいくつかあるし、歴史用語の誤訳も気になる。ゲームそのものの質がよいぶん逆に目立ってしまったという気はするものの、ここさえしっかりしていれば完璧だっただけに、ちょっぴり残念(レビューには最終ベータを使用)。[Reported by 駒沢丈治]


(c)1999 Microsoft Corporation. All rights reserved.


● 真・マスターオブモンスターズ Final

  • CPU:Pentium 133MHz以上
  • メモリ:32MB以上
  • HDD:40MB以上
  • CD-ROMドライブ:倍速以上のCD-ROMドライブ


ユニットを育てて戦うシミュレーションゲーム

 「真・マスターオブモンスターズ Final」は、かつてPC-9801(MS-DOS)用として発売された「マスターオブモンスターズ Final」を、Windowsに移植したリメイク版だ。「マスターオブモンスターズ」といえば、もはや定番のシミュレーションゲーム。パソコンだけでなくゲーム専用機にも移植され、幅広い層に楽しまれている。もともとは「大戦略」シリーズをベースにアレンジされた作品なのだが、設定をファンタジーに置き換えることによって、まったくテイストの異なるゲームとなった。
 たとえば「大戦略」シリーズの場合、損害を受けたユニットを回復させるためには補給部隊との接触や合流、もしくは基地や都市で直接ユニットの補給を受けるしか手はない。前線の維持とともに、補給路の確保や輸送の効率化が重要で、部隊の大量生産→大量輸送→大量投入が基本戦略といっていいだろう。実際、近代戦とはまさに物量戦や消耗戦であり、「戦争」を正確にシミュレーションすればするほどそうなるのは当たり前のこと。
 しかし『マスターオブモンスターズ』シリーズでは、補給路の確保はあまり大きな問題ではない。物量よりも、むしろユニットの属性やレベルが重要になる。どのユニットを配置して、どの敵と戦わせるか。効率よく成長させることが大切で、レベルの高いユニットをどれだけ持てるかによって戦況は大きく変る。システムや操作方法こそ似ているが、両者の楽しみ方はまったく違うのだ。

格段に進化したアルゴリズム

 「真・マスターオブモンスターズ Final」では、アルゴリズムが格段に強化されている。DOS版ではコンピュータ側の思考にこなれていない部分があり、たとえば陽動作戦や側面攻撃、別働隊を使った塔の占領が有効な戦術だった。
 しかし「真・マスターオブモンスターズ Final」ではこの“穴”が埋められ、以前ほど簡単に勝つことができなくなっている。安易に別働隊を切り分けると、そちらのほうが急襲され、各個撃破されてしまうことも少なくない。陽動作戦そのものは依然として有効な戦法だが、単独でも十分戦えるレベルの高いユニットを派遣したり、大魔法やアイテムを使ってサポートするなど十分に作戦を練ってから戦わないと、思わぬ被害に苦しむことになるだろう。コンピュータ側の戦略は的確で、無意味な移動や自滅的な攻撃も少なかった。ユニットの思考ルーチンはシステムソフトの御家芸ともいえる技術だが、本当によく作られている。

 ただし、グラフィックや画面のデザインについては、いまひとつと感じたのも確か。DOS版の雰囲気を忠実に再現したかったという気持ちはわかるのだが、SVGAやXGAが当たり前となった現在、どうしても古くさく見えてしまう。画面いっぱいにマップを広げて戦ったり、複数のウィンドウをオーバーラップさせてプレイしたいと思うユーザーも、少なくないはずだ。マップやキャラクターのデザインはDOS版をそのまま継承したとしても、操作性についてはもう少し違った……というか、イマ風のアレンジがあったほうがよかったかもしれない。[Reported by 駒沢丈治]


(C)1992-1999 SystemSoft Corporation


● エレメンタルアーツ

  • ジャンル:シミュレーションRPG
  • 発売元:バロック
  • 価格:9,800円
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:発売中
  • CPU:Pentium 133MHz以上
  • メモリ:32MB以上
  • グラフィックアクセラレータ:DirectX 6.0以上に対応した4MB以上搭載の3Dグラフィックアクセラレータ


 「エレメンタルアーツ」は、ストーリーを追いながら戦闘マップをクリアしていくシミュレーションRPG。2D表現のキャラクターと、3D表現の背景や演出が調和した画面は一見の価値ありだ。魅力的なキャラクターたちを手がけたのは、クオリティの高さと作業の早さで定評のある山本和枝氏。年に何本のゲームに関わり、どれだけの原画を描いているのかを考えると、まったく頭の下がる思いだ。

 「エレメンタルアーツ」の大きな特徴に、タイトルにもなっている“アーツ”の存在がある。これは、通常のRPGなどでいう魔法のようなものなのだが、個人の資質(エレメント)と装備品の持つ属性を組み合わせることで、さまざまな効果のアーツを使うことができるというシステムになっている。装備品はマップ間で購入するほか、敵を倒したときの報酬や、マップ内に隠されたアイテムとして入手することができ、それらの属性を組み合わせて使用できるようになるアーツの種類は100以上にのぼる。さまざまな効果を持つこれらのアーツを、すべて探し出すためにプレイを重ねるのも楽しいのではないだろうか。

 ジョイパッドなどにも対応しており、操作面ではかなりコンシューマを意識した作りになっている。ディスプレイやサウンド、操作系などの設定も簡単で、代表的なディスプレイカードは事前に登録されているものを選択するだけで最適な設定を行なってくれるというように、極力ユーザーの負担を減らすシステムには好感が持てた。
 ただ、操作系の設定を変更した場合、ゲーム起動時に環境設定メニューからゲームを開始しないと変更が反映されず、ゲーム中は設定の変更ができないなどの不備が目についたのは残念。また、ゲーム自体もマップを転戦していくだけで街中やフィールドを自由に歩くといった要素がないため、全体的にこじんまりとした印象を受けてしまう。このあたりは、今後の課題ということになるのかもしれない。

 1マップあたりのプレイ時間はそれほど長くないので、毎日少しずつ進めていくこともできるのは、この種のゲームとしては珍しいかもしれない。難易度も低めなので、シミュレーションタイプのゲームになじみのない方にもおすすめしたいタイトルだ。[Reported by 山城 宏]


(c) 1999 BAROQUE All rights reserved.


● 魔法少女大作戦あつめて☆ミ~ル

  • ジャンル:テーブルゲーム
  • 発売元:南風楼
  • 価格:6,800円
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:発売中
  • CPU:Pentium 166MHz以上
  • メモリ:32MB以上


 雑誌イラストなどを手がけるC次郎氏をはじめ、緻密で繊細なCGで定評のある南風楼。もともと同人サークルとしてスタートしたこのグループの、初の商業作品が、この「魔法少女大作戦 あつめて☆ミール」だ。ゲームは、ダイス1個を使用したスゴロク形式。プレーヤーが動かすミールと、2人のライバルがカードをめぐって盤上を進んでいく。途中のマスにはカードのほか、ライバルを邪魔するためのアイテムや、魔法を使うたびに消費する魔宝石などが配置され、カードを入手すると、そのカードに描かれた絵がCGとして表示されるというシステムだ。また、止まったマスによってはCG付きのイベントが発生する場所もあるので、これを探しながらプレイを進めていくのも楽しみ方のひとつになるだろう。ライバルが入手したカードは、アイテムなどを使用して横取りすることもできるので、魔法やアイテムの使い方がカードを集めるためのポイントになる。ゴールを目指すよりは、カードを集めることに主眼をおいたゲーム作りは、いかにも南風楼らしいといえるだろう。

 このソフトには、ゲームから独立したCGギャラリーも用意されている。ここではオリジナルのCGが用意されているほか、ゲームの方ですべてのカードを集めてクリアすると、カードに描かれた絵をより高解像で表示することができるようになる。ゲームコンプリート後は、CG集として楽しむことができるというわけだ。

 難しいルールもなく、基本的にはダイスを振ってコマを進めて行くだけなので、誰にでも気軽に楽しむことができる。Y2Kで忙しい年末年始を迎えるような方でも、ちょっとした息抜きにプレイすることのできるタイトルだといえるだろう。[Reported by 山城 宏]


(c) NAMPURROW 1999 2000

【筆者紹介】
  • 名前:駒沢丈治
  • プロフィール:パソコンからコンシュマーまで、あらゆるゲームを愛する中年ゲーマー。この年末はいいゲームが揃いすぎ!! 「スペースチャンネル5」に「遊戯王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶」、「ポケットモンスター金・銀」。夏に買った「ファイアーエムブレム トラキア776」も手つかずのままだし、「エイジ オブ エンパイア II」で3徹も確実だ。こんなにシアワセでいいのか、駒沢よ!!
レビューハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(K6-2/400、メモリ 128MB、HDD 6.4GB、24倍速CD-ROM、3D Blaster Banshee、ESONIQ PCI Audio)

【筆者紹介】
  • 名前:山城 宏
  • プロフィール: 企画・著述業兼システムエンジニア。ゲーム制作のお手伝いもちょっとだけ。2000年問題も関係ないのに、なにやらこの年末は妙に忙しい日々を送る。この原稿で年内は打ち止めなので、この後はモロ星人に踊らされる予定モロ。
レビューハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Pentium II 400MHz、RAM 256MB、HDD 約20GB、2倍速DVD-ROM、3D BLASTER Banshee(AGP 16MB)、SOUND BLASTER AWE64、IF-SEGA/ISA+セガサターンパッド)

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp