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これまでのバージョンと違って、「Flight Simulator 2000」は2種類のパッケージで供給されている。スタンダード版となる「Flight Simulator 2000」と、その拡張版「Flight Simulator 2000 Professional Edition」だ。
詳細は機能比較表(文末に添付)を見ていただくとして、両者の最大の違いは、パッケージに含まれる機体と都市のデータに差があること。機能的にはどちらもほとんど変らないのだが、「Flight Simulator 2000」には東京の都市データ(建造物や地表の詳細なデータ)が含まれていない。せっかくの最新版なのに、新宿やお台場周辺の「見所」が旧版並みのグラフィックでは、楽しさも半減してしまう。実売価格で2,000円程度の差であることを考えれば、やはりここは「Flight Simulator 2000 Professional Edition」を選んだほうが賢明だろう。
商品の差別化そのものは(ユーザーの選択肢が広がるという点で)好ましいことではあるのだが、日本語版なのに東京の都市データがオプション扱いになっているのは、少々酷ではないかと思う。価格の安い「Flight Simulator 2000」をエントリーユーザー向けのパッケージと位置づけるなら、「とりあえずフライトシミュレータを試してみたい」という初心者こそ、親しみやすいデータが必要なはずだ。次作ではぜひ標準で含まれるよう、マイクロソフトに願いたい。……というか、ちょっとだけ太っ腹なところを期待したい。
Bell 206B JetRanger IIIに乗って、西新宿の高層ビル群を空中散歩 | 東京タワーの大展望室スレスレで急旋回!! | Cessna Skylane 182R RGのコクピットからベイブリッジを望む |
コンコルドやボーイング777のデータが追加
既存機や地表のデザインも一新された
新しく追加されたボーイング777-300 |
既存機のデザインや、各都市の地表データも一新された。高層ビルにはそれらしいテクスチャが貼られ、スタジアムや橋、タワーなどランドマークとなる建造物もリアルに再現されている。地表の風景は65,536色で描かれ、上空からの眺めも格段に自然になった。気象状況や季節、時間、飛行場の選択も、これまでよりずっと簡単に設定できるよう改善されている。
その一方で、機体の操縦方法やコントローラーの使い方はほとんど変っていない。計器類のデザインに若干変更が加えられているものの、旧版の操作に親しんだプレーヤーならマニュアルなしでも飛ぶことができるだろう。
天候については格段の進歩を遂げている。昨年発売されたフライトシミュレータ「Fly!」にも搭載されていたが、インターネットに接続した環境下であれば、「気象データのダウンロード」ボタンを押すだけで現在のフライト地域の気象情報を取り込み、現実世界とフライトシミュレータ内で自分が飛んでいる天候がリンクするようになっている。また一歩、現実世界に近づいたと言える。
新しく追加された“怪鳥”コンコルド。フォルムの美しさは絶品 | 離陸直後のコンコルド。ディテールまで美しい | 機体に描かれたマークまで再現。サウンドも迫力がある |
超美麗なグラフィック、機体のモデリングも絶品!!
複葉機Sopwith Camelでロンドンブリッジの間をくぐる |
機体のデザインも見事としかいいようがない。丸みを帯びた機首や胴体が美しくモデリングされ、主翼や尾翼のペインティングも自然な色合いで描かれている。高解像度の画面で表示すると、まるで航空雑誌のグラビアページを見ているかのようだ。ソフトそのものの操作性も良好で、気持ちよくフライトを楽しむことができた。
ただし、動作について2~3気になる点があったので、ちょっとだけ補足しておきたい。スペック上では「64MBのメモリが必要」ということになっているが、事実上、これは最小限の要求だ。64MB程度のシステムではHDDへのスワップアウトが頻発し、せっかくのフライトに水を注されてしまう。できれば128MBか、それ以上のシステムを用意したほうがいいだろう。対してCPUは、今回K6-2 400MHzを使用したが、とくに不満は感じなかった。
操縦はキーボードとマウスだけでも可能だが、やはりいまひとつリアリティに欠ける。できれば、何か適当なジョイスティックを用意したほうが楽しめるはず。また「Flight Simulator 2000」は、インストール時に半ば強引にDirectX 7を組み込むため、ビデオカード用のドライバもDirectX 7対応のものを用意すること。
充実したレッスンモード。初心者でも少しずつ操縦を覚えることができる | 季節や時刻を自由に設定することが可能 | 新宿上空。コクピットから見降ろす夜景が美しい |
初心者でも楽しく操縦を学べる。レッスンモードがうれしい
初級アドベンチャー「危険な着艦」。セスナで空母に降りる |
「Flight Simulator 2000」の「レッスン」モードは、エンジンの起動から計器飛行のやり方まで、カリキュラムを区切りながら少しずつ学んでいくことができる。やらなければならないことを音声とメッセージで指示してくれるので、まったくの初心者でも無理なくステップアップしていくことができるはずだ。
また「Flight Simulator 2000」には「アドベンチャー」というモードもあり、こちらもなかなか楽しい。空母への着艦や、モクスワ「赤の広場」への強行着陸など、様々なシチュエーションでフライトを楽しむことができる。ある程度腕に自信がついたら、アクションゲーム感覚でトライしてみるのもいいだろう。
Flight Simulator 2000 | Flight Simulator 2000 Professional Edition | ||
新3Dシーナリーシステム採用。65,536色で風景を再現 | ○ | ○ | |
世界の民間空港の大部分にあたる2,000箇所の空港データを収録 | ○ | ○ | |
詳細な都市データ | 高解像度の都市データが収録されていない場合、地表のテクスチャは65,536色で再現され、オブジェクト表示はFlight Simulator 98と同等レベルになる | ||
ロンドン、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ | ○ | ○ | |
東京、ボストン、ワシントンDC、シアトル、ベルリン、ローマ | × | ○ | |
追加された航空機 | コンコルド | ○ | ○ |
ボーイング777-300 | |||
ムーニーブラボー(単発ターボ6気筒エンジン) | × | ○ | |
キングエア350(双発ターボプロップ) | |||
前バージョンまでの航空機もリニューアル | ○ | ○ | |
ビル、タワー、スタジアム等の建造物など、多彩な3Dオブジェクトを収録 | ○ | ○ | |
IFR(管制官の指示に従い計器飛行するルール)トレーニングパネル | × | ○ | |
エアクラフトエディタ(機体特性の調整、サウンド、計器パネルなどの編集が可能) | × | ○ | |
現在位置や飛行コースなどをリアルタイムに表示する、GPS計器のシミュレーション | ○ | ○ | |
空港、滑走路などを表示するマップを利用したフライトプランナー | ○ | ○ | |
現地の気象データをWebからリアルタイムにダウンロード | ○ | ○ | |
雨、ヒョウ、雪などを表現 | ○ | ○ | |
マニュアルのページ数 | 230ページ | 324ページ | |
英語の音声ファイルを収録 | × | ○ | |
CD-ROMのディスク枚数 | 2枚 | 3枚 |
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【筆者紹介】
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