Click


非同期通信レポート第48回

COMDEX/Fall '99 速報編
~ COMDEX/Fall'99で見かけた通信関連製品 ~

会場内
期日:11月15日~11月19日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center
   Las Vegas Hilton

 

 米国ラスベガスで開催されているCOMDEX/Fall '99。2日目までに見かけられた通信関連製品を紹介するが、まだすべてのブースを回りきれていないため、詳しいレポートは帰国後にお送りする。


■1年でハッキリと答えを出したソニー

 MicrosoftのBill Gates会長兼CEOの「Personal ComputerからPersonal Webの時代へ」という基調講演に始まったCOMDEX/Fall '99だが、今回はインターネットを軸にした製品やサービスの多さが目を引く。しかし、製品レベルで捉えた場合、今ひとつグッと来るもの、目新しいものがなく、プレスルームなどでも「何かあった?」「いや、何にも……」といった声を耳にする。

 そんな中、筆者が最初に注目したのはソニーだ。ソニーは昨年、メモリースティックを利用した数多くのコンセプトモデルを展示していた。それらを見た筆者は「モックアップだけなら……今ひとつ現実感に乏しいのでは?」という印象を持った(昨年のレポートを参照)。しかし、ソニーは今年、メモリースティックウォークマンをはじめ、数多くの実際に動作する製品をCOMDEXに持ち込んできた。まずは、「有言実行」といったところだろうか。わずか1年の間に、モックアップだった製品を発売できるレベル、あるいはデモンストレーションできるレベルまで仕上げてきたことは見事だ。また、メモリースティック採用を決めた他社(たとえば、パイオニア)のブースにもメモリースティック対応製品が展示されるなど、単独で突っ走っていないところも注目に値するだろう。

 さて、そんなソニーが参考出品していた製品の中で、筆者が注目したのがi.LINKを利用した家庭内ネットワーク製品だ。11Mbpsの無線LANでPCを接続するだけでなく、居間に回線と接続するサーバを設置し、そこで必要に応じてデータ類を変換するという芸当まで考えられている。たとえば、MPEG-2のデータをMPEG-1へといった具合いだ。もちろんワイヤレス通信が高速化すればこうした必要もなくなるのだろうが、ホームサーバという切り口を現実的に解釈しているところは従来の同様のコンセプトモデルと異なる点だ。

ソニー ソニー ソニー
ソニーのホームサーバー VAIOのワイヤレスLAN メモリースティックを使った製品群


■どうした? Bluetooth

 今回のCOMDEX/Fall '99では無線関連の製品も非常に多い。たとえば、無線LANなどもそのひとつだが、筆者が事前に最も期待していたのはBluetoothだ。しかし、正直なところを言ってしまえば、期待はずれと言わざるを得ない内容だった。

 Bluetooth関連の製品はいくつかのブースで「with Bluetooth」といった言葉とともに紹介されているのだが、実際に稼働しているものは非常に少ない。強いて挙げるとするなら、東芝が展示していたPCカード程度だろう。もちろん、将来的にはPCMCIA BluetoothカードがPC本体に内蔵されることになるのだろうが、『2000年はじめに製品出荷』を謳う割には内容が乏しい。本来、BluetoothはPCや携帯電話、PDA、家電製品をも視野に入れた短距離無線通信規格のはずだ。しかし、未だにPC同士、PCと携帯電話というレベルでしかデモができないというのは残念だ。もっと、「あ、こんなこともできるのか」的なデモを見たかったのだが……。

 こうした期待はずれの印象は、Bluetoothパビリオンを訪れると、かなり納得がいく。Bluetoothパビリオンの展示は開発キットが中心で、現実的な製品は皆無に等しい。一昨年のUSB、昨年のIEEE-1394のパビリオンのレベルに達していないのだ。TDKがデザイン面で工夫を凝らした製品、東芝がBluetooth PCカードを装着したPCでのユーティリティのデモなどを行なっていたが、それ以外はほとんど工夫が感じられる製品を見かけることはなかった。ブースでデモンストレーションを行なっている担当者などにいくつか質問をしたところ、やはり現段階では開発キットを展示するレベル(つまり、これから開発を進める)で、実際の製品出荷は2000年の半ばから後半になるのではないかという回答もあった。

Bluetooth Bluetooth
東芝のBluetooth PCカード TDKの製品


■電話線ネットワーク vs 無線ネットワーク

 家庭内でいかにネットワーク環境を作るかという悩みは、日本でもアメリカでも同じだ。その回答となるのが電話線を利用したネットワーク製品や無線LANということになるのだが、今回もさまざまなブースでこれらの製品群を見ることができる。

 たとえば、Intelが展示していたAnyPointもそのひとつだ。これは電話線を利用したネットワーク環境の製品で、Intelとしては珍しい『家庭向け製品』ということになる。パラレルポート接続、USB接続、PCIバス用の3種類がラインナップされており、価格も50~90ドルと安い。ただ、通信速度が1Mbpsとあまり速くはない。

 一方、無線系では低価格の無線LAN製品が数多く出品されているが、クライアントPC用が200~300ドル程度で収まるのに対し、アクセスポイントが高価で、今ひとつ家庭向けというのは割高感が否めない。その点、昨年のレポートにも掲載した米PROXIMのSymphonyは家庭向けを強く意識している。国内ではアイ・オー・データ機器がWORLD PC/EXPO'99で参考出品していたが、今回のCOMDEX/Fall'99ではPCIバス用のネットワークカードも出品されていた。

 電話線ネットワークと無線ネットワークは、ともにホームユーザーをターゲットにした製品だが、こちらで展示などを見ていても無線系の方が来場者の興味も高いようで、電話線ネットワークは製品こそ充実しているものの、環境に制限があるためか、もうひとつ注目度が低い。いずれかに決める必要性はないのだが、今後、どちらのネットワークが家庭内で普及していくのかが興味深い。

3com Intel PROXIM
3comのワイヤレスLAN Intelが展示していたAnyPoint PROXIMのSymphony


□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
□関連記事
【11月17日】COMDEX/Fall '99 レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991117/comdex_i.htm

('99年11月18日)

[Text by 法林岳之]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp