会場:Las Vegas Convention Center
Sands Expo and Convention Center
Las Vegas Hilton
先週まで米国ラスベガスで開催されていたCOMDEX/Fall '99。すでに、速報編をお送りしたが、今回は速報編でお伝えできなかった通信関連製品をいくつか紹介しよう。なお、モバイル関連製品については、Mobile Centralの連載で紹介しているので、そちらをご参照いただきたい。
■2Mbpsから11Mbpsへ移行し始めた無線LAN
速報編で『盛り上がりに欠ける』と書いたCOMDEX/Fall '99だが、すべての会場を見て率直に「増えたなぁ」と感じられたのが無線LANだ。昨年のNetworld+Interop'98 LasVegasでも数多くの無線LAN製品を紹介したが、それに匹敵する種類の製品が出品されている。とてもすべては紹介しきれないので、代表的な製品をひとつ紹介しよう。
3ComのAirConnect。奥に設置されているのがアクセスポイント。最大11Mbpsに対応 |
この他の傾向として、ハッキリと見えてきているのが2Mbps対応製品から11Mbps対応製品への移行だ。ただし、それは2Mbps製品が消えるという意味ではなく、家庭向けを始めとするエントリー層の低価格製品は2Mbps、企業向けやパワーユーザー向けのハイエンド製品が11Mbpsという住み分けができつつあるということだ。主な用途がネットサーフィンということであれば、2Mbpsでもまったくストレスはないが、サーバーにMP3ファイルなどを蓄えておき、それをクライアントPCにコピーしたり、デジタルカメラの画像を頻繁にやり取りするということであれば11Mbpsという区分になる。もちろん、国内向け製品がどのようなスケジュールで、どれくらいで出てくるのかにもよるが、来年は今年以上に無線LANが身近な存在になることは間違いなさそうだ。
■V.90モデムからxDSLへ
ITU-Tの正式勧告から1年で、完全にスタンダードとなったV.90モデムだが、アメリカでの製品のトレンドはxDSLへの移行が始まっている。SoundBlasterや3D BlasterなどでもおなじみのCreative LabsといったメジャーブランドからもxDSLモデムが出荷されており、製品のバリエーションはかなり増えてきている。
Creative LabsのModem Blasterは、xDSLの国際標準規格G.lite(G.992.1及びG.992.2)に対応したxDSLモデムだ。最大転送速度は下り方向が1.5Mbpsを実現する。同社はV.90及びADSL関連製品で、米Lucent Technologiesとの提携を結んでいるため、チップセットはおそらくLucent Technologies製を採用しているものと予想される。また価格は179ドルと安い。
Creative LabsはG.liteに対応したModem Blaster ADSLを出品。179ドルで販売される予定 | Modem Blaster ADSL。外見は従来のV.90モデムとほとんど変わらない。国内ではあまり見かけない幅広タイプのボディを採用 |
一方、韓国のXrosstechは異なるチップセットを採用したXA-1100、XA-2100というADSLモデムを出品していた。ともにG.liteに対応しているが、XA-1100が米GlobeSpan製チップセット、XA-2100はカナダのCentillium製チップセットをそれぞれ採用している。両製品にはいくつかバリエーションがあり、PCとの接続がUSB、Ethernet、PCIバス(内蔵)のものがラインナップされている。
韓国のXrosstechはADSLモデムの他、Voice Over IP製品、DOCSIS対応ケーブルモデムなどを出品 | 写真はPCとUSBポート経由で接続するモデル。部品点数は非常に少ない |
国内でもNTTのMDF接続開放が検討され、xDSLを利用した低価格インターネット常時接続サービスが始まるが、こうした海外の製品がそのまま利用できるかというと、残念ながら「No」という答えになる。ひとつはxDSLのサービスを検討する事業者がどういう製品を推奨、もしくは指定するのかがわからないこと。もうひとつは最低でも日本のISDNとの干渉を解消したG.992.2 Annex Cに準拠した製品が求められるからだ。ただ、G.992.2 Annex Cへの対応は、ソフトウェアモデムなどでも知られるPCtelが「ファームウェアのアップグレードで対応可能」としており、きちんとローカライズすれば、問題が起きることはなさそうだ。
■その他の注目製品&サービス
PRETECのCF Type2カードのラインナップ。中央がGPSレシーバー |
米Inside Out NetworksのEdgeportシリーズ。シリアルポート×2の製品は電源が不要。最大通信速度は230.4kbpsまで対応する |
韓国のKeyin Telecomは、電灯線によるネットワーク環境を実現するMagicELineという製品を展示していた。このMagicELineは最大2~10Mbpsでのデータ転送を可能にするもので、110~380Vの環境で動作する。ちなみに、このKeyin Telecomは、Power-line Local Loopという電灯線を利用した回線サービスを提供できるシステムを持っている。つまり、コンセントに接続し、電力会社などがサービスを提供すれば、MaginELineと組み合わせたサービスが可能になるということだ。すでに、香港などでサービスを運用した実績もあるとのことだが、日本国内でもこうしたサービスの登場を期待したいところだ。
電灯線を利用するネットワークアダプタのMagicELine。一見すると、無線LANのアクセスポイントのよう | 同社は電灯線を利用した回線サービスの施設も販売しており、すでに香港などでサービスを導入した実績もある |
□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
□関連記事
【11月24日】法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」 COMDEX/Fall '99レポート 【Mobile Central】
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/column/catchup/1999/11/24/
【11月24日】COMDEX/Fall '99 レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991117/comdex_i.htm
【11月18日】非同期通信レポート第48回 'COMDEX/Fall '99で見かけた通信関連製品
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991118/comdex15.htm
('99年11月25日)
[Text by 法林岳之]