非同期通信レポート 第39回
COMDEX/Fall'98 Telecomレポート・速報編
COMDEX/Fall'98で見かけた通信関連機器
米国ラスベガスで開催されているCOMDEX/Fall'98。昨年に続いて、今年もレポートをお送りするが、まだすべてのブースを回りきれていないため、これまでに見つけた通信関連機器をピックアップして紹介しよう。詳しいレポートは帰国後にお送りする。
成熟度を増したWindows CEマシン
今回のCOMDEX/Fall'98は、IBMやIntelなどが出展を見合わせ、OFFICE2000やSQL Server7.0といったもの以外に大きなトピックがなかったためか、内容的には今ひとつという声が多い。そんな中で各社がCOMDEX/Fall'98に合わせ、製品を投入してきたのがWindows CE 2.2マシンだ。PC Watchでも既報の通り、9月にWindows CEの最新版となるWindows CE 2.2(開発コード名:Jupiter)が発表されたが、COMDEX/Fall'98では同時に発表されたWindows CE 2.2マシンも数多く展示されていた。
NEC MobilePro800 |
HP JORNADA |
会場で見かけたWindows CEマシンとしては、NECのMobilePro800、VADEMのCLIO、シャープのMobilonPro PV-5000、LG電子のPHENOM、Hewlett-PackardのJORNADA、Samsungなどがある。Windows CE 2.2では解像度の向上(VGA化)、USBのサポート、タッチパネル以外のポインティングデバイスのサポートなどの改良が図られているが、実際に製品を見てみると、メーカーによって対応がかなり異なる。たとえば、解像度についてはPHENOMがWindows CE 2.0マシンと同じなのに対し、その他のマシンは640×480ドットをサポートしている。USBについてはMobile ProやJORNADAが本体に標準装備、SamsungはポートリプリケータにUSBポートを備えていた。ポインティングデバイスはタッチパネルとパッド式が半々という状況で、メーカー側も迷っているように感じられた。
CE用のEntertainment Pack |
CPUはMobilePro800、CLIO、SamsungがMIPS系、PHENOMがSH-3、JORNADAがStrongARM SA-1100を採用していた。国内向け製品が出荷されなければ、まだ何とも言えないが、会場でデモ機を触った限りでは、MobilePro800とJORNADAが一歩リードしているという印象だった。
また、MicrosoftではWindows CE市場を盛り上げるためか、Windows CE用の『Entertainment Pack』(写真右)も展示していた。日本での発売も期待したい。
家庭向けワイヤレスLANに注目
NetWorld+Interop'98 LasVegasのレポートではワイヤレスLAN製品が豊富であることをお伝えしたが、今回もいくつか製品を見ることができた。なかでも注目なのがProximのSymphonyというラインアップだ。他の多くの製品が企業をターゲットにしているのに対し、Symphonyはその外見からもわかるように、家庭での利用を想定している。
Promix Symphonyシリーズ |
Symphonyには、56kbpsモデムを内蔵したSymphony Cordless Modem、PCカードタイプのSymphony PC Card、ISAバス用のSymphony ISA Card、10Base-T対応Ethernetポートを備えたSymphony Cordless Ethernet Bridgeがラインアップされている。価格もかなり手頃で、Symphony Cordless Modemが299ドル、Symphony PC Cardが199ドル、Symphony ISA Cardが149ドル、Symphony Cordless Ethernet Bridgeが399ドルとなっている。周波数帯は2.4GHzで、最大到達距離は150feet、最大10台までのPCでネットワークを構築できる。これらのうち、Symphony Cordless ModemとSymphony ISAカードが親機の機能を搭載しているため、最もシンプルな組み合わせ(ISAカードとPCMCIA)ではわずか約350ドルでワイヤレスLAN環境が利用できるようになるわけだ。
Symphonyの国内販売先は未定だが、すでに数社と交渉を持っているようなので、日本でも安価なワイヤレスLANが利用できることになりそうだ。
モデムのスタイルが変わる?
昨年から出る出ると言われながら、実際に製品を見る機会が少なかったUSBモデムだが、今回はようやく実際に稼働する製品を見ることができた。
たとえば、Multitech Systemsでは、一般向けのUSB Modemと4回線のアナログポートを接続できるUSB Modem Concentratorを展示していた。USB Modemの方は背面にUSBコネクタとPhone Lineしかないというシンプルな構造で、電源はPC本体からUSBポートを通じて供給されるようになっている。
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Multitech Systems USB Modem |
モデムチップメーカーのConexant(Rockwell International)やLucent Technologiesでは、同社製モデムチップを採用したUSBモデムのサンプル品も展示されていた。Lucent Technologiesのサンプル品は実際に稼働しており、こちらも電源はUSBポート経由で供給される形だ。国内の周辺機器メーカーではLucent Technologies製チップを採用するところがあまり多くないが、ようやく国内でもUSBモデムが発売されそうだ。
WAISECOMのV.90&HomeLanカード |
また、後藤弘茂氏のレポートなどでも伝えられているAMR(Audio Modem Riser)対応モデムもいくつか見ることができた。しかし、いずれも実際に稼働する製品ではなく、マザーボードにカードを接続した状態での展示のみだった。AMRカードはメーカー製PCをターゲットにしているため、一般向けにはあまり関係ないが、ほとんどのチップセットメーカーがAMRに対応するため、秋葉原などにも製品が出回るかもしれない。
さらに、家庭内の電話用屋内配線を利用したHomeLanの機能を取り込んだモデムも出品されていた。写真右は台湾CIS GroupのWAISECOMの製品だ。HomeLanについてはNetWorld+Interop'98 LasVegasのレポートでお伝えしたが、同じ電話配線を利用するモデムと一体化することで、LANとモデムの機能を1枚のカードで実現しようというわけだ。COMDEX/Fall'98では10Mbps対応製品も登場し、さらに市場が盛り上がりそうな気配だ。
□COMDEX/Fall'98のホームページ(英文)
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=248
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【5/7】非同期通信レポート 第31回:NETWORLD+INTEROP '98 LasVegas 速報レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980507/nplusi.htm
[Reported by 法林岳之]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp