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Coppermine遂に登場
Coppermine VS Athlon勝利者はどっち?



 インテルからコードネームCoppermineで呼ばれていた製造プロセス0.18μmの新しいPentium IIIが秋葉原にも登場した。早速、これまでのPentium III(コードネームKatmai)とどの程度パフォーマンス差があるのか、また宿命のライバルと言えるAthlonとどの程度差があるのかを検証していこう。


●L2キャッシュがオンダイになることの効果

 今回インテルが発表したCPUはデスクトップ用の新Pentium III(KatmaiコアのPentium IIIと紛らわしいので以下新Pentium IIIをCoppermine、旧Pentium IIIをKatmaiに統一する)だけでも9製品もある(製品ラインナップに関しては10月26日付けの「米Intel、新型Pentium III 15機種を一斉に発表」を参照されたい)。

 インテルはCoppermineの主な技術的強化ポイントとして以下の2点を挙げている

(1)Advanced Transfer Cache(ATC)
(2)Advanced System Buffer(ASB)

Coppermine(上)とKatmai(下)のコアの比較。Katmaiに比べてコアが小さくなっているのにもかかわらずCoppermineはL2キャッシュを内蔵している
 Advanced Transfer Cache(ATC)は、いかめしい名前が付いているが、要するにL2キャッシュを強化したということだ。冒頭でも述べたようにCoppermineでは製造プロセスがKatmaiの0.25μmから0.18μmへ微細化されている。同じダイサイズのCPUであっても製造プロセスが微細なほうが、その中に詰め込めるトランジスタ数を増やすことができる。例えば、Katmaiでは128mm2のダイサイズに、950万トランジスタが詰め込まれている。これに対してCoppermineでは106mm2とKatmaiよりもダイサイズが小さくなっているのに、トランジスタ数は2,810万と逆に増えているのだ。

 一般的にトランジスタの数が多ければ多いほど、CPUの機能を増やす、つまり性能を向上させることが可能になるのだが、Coppermineはこの増えたトランジスタの多くをL2キャッシュに回している。KatmaiではCPUモジュール上に外付けされていたL2キャッシュが、CoppermineではCPUダイ上に搭載されているのだ(一般的にこのようにCPUダイ上に搭載されることをオンダイという)。ただし、L2キャッシュの容量はKatmaiが512KBであったのに対して、Coppermineでは256KBと半分になっている。

 L2キャッシュがオンダイになったことのメリットは、なんといってもL2キャッシュの動作クロックが大幅に高速になることだ。KatmaiのL2キャッシュはCPUコアの半分のクロックで動作していた。このため、Katmai 600MHzのL2キャッシュは300MHzで動作している。これに対して、L2キャッシュがオンダイになっているCoppermineでは、当然CPUコアクロック=L2キャッシュクロックとなる。つまり、同じ600MHzであっても、Coppermine 600MHzのL2キャッシュは600MHzで動作しているのだ。

L2キャッシュのクロック
Katmai 600MHz300MHz
Coppermine 600MHz600MHz

 このほかにも、キャッシュヒット率に関係しているセット・アソシエイティブ(キャッシュをいくつかの部分に分けて、読み出すデータのアドレスに応じて読み出す部分を固定する方式)のウェイ(キャッシュをいくつかに分割した部分のこと)数が4から8に増えていたり、キャッシュバスがKatmaiの64bitから256bitに拡張されたりなどのキャッシュ周りの改善が行なわれている。

 また、Advanced System Buffer(ASB)とは、CPUとプロセッサバスの間にありデータの受け渡しをスムーズに行なうために設けられている外部バッファの機能強化のことだ。具体的にはフィルバッファ、バスキューエントリ、ライトバッファの3つのバッファの数が増やされている。これは133MHzのプロセッサバスに最適化するための強化だ。

 それでは、これらの強化によりCoppermineはKatmaiに比べてどの程度パフォーマンスが向上しているのだろうか? グラフ1はプロセッサバス(FSB)が133MHzのPentium III(Coppermine) 600EB MHzとPentium III(Katmai) 600B MHzを比較したものだ。見てわかるようにすべての結果でCoppermineが上回っている。特にCPUmark99のスコアの上がり方は著しい。これは、CPUmark 99が「L2mark 99」と揶揄されているベンチマークの傾向を考慮に入れる必要があるだろう。CPUmark 99はL2キャッシュのクロックが高ければ高いほどよい結果がでるという傾向があり、同クロックのPentium IIIとCeleronの比較でもCeleronの方が高いスコアがでるということもあった。こうしたCPUmark99で非常にスコアがあがるところを見ると、Coppermineの性能向上にL2キャッシュのクロック向上が多くの部分を占めていえるだろう。

【グラフ1】
Business Winstone 99CPUmark99
Pentium III 600EB MHz35.1 55.7
Pentium III 600B MHz32.9 44.2


●ソケット版も登場したものの古いマザーでは利用不可

 また、CoppermineからはSC242(いわゆるSlot1)用のSECC2パッケージだけでなく、PGA370(いわゆるSokect370)用のFC-PGA(Flip Chip-Pin Grid Array)パッケージも併せて用意されている。フリップチップとは通常プラスチックの中に封入されているダイを、そのままの状態でPGAの基盤に張り付けるタイプのパッケージのことだ。

 ピン数に関してはPGA370のCeleronと同じだが、ピン配列に関してはCeleronの上位互換となっている。具体的にはCeleronではReserve(現在は使われていないが将来のために予約されているピン)になっていたピンが、利用されるようになっており、このピンをきちんと利用されるように設計されているマザーボードでなければ利用することができない。Intel810Eのデザインガイドによると、Celeron用のPGA370ソケットをLegacy PGA370、FC-PGAのCoppermineにも対応したPGA370ソケットをFlexible PGA370と呼んでいて明確に区別がされている。つまり、今後登場するFlexible PGA370に準拠したPGA370マザーボードでは、CoppermineとCeleronの両方を利用することができるが、Legacy PGA370にしか対応していないPGA370マザーボードではCeleronのみが利用でき、Coppermineは利用できないということになる。

 問題は現在市場にあるPGA370マザーボードがLegacy PGA370に準拠したマザーボードなのか、Flexible PGA370に準拠したマザーボードなのか外見では区別がつかないことだ。この点はユーザーにとって非常に迷惑な話で、実際にFC-PGAのCoppermineを挿してみないと使えるのか使えないのかわからないのだ。できれば、Legacy PGA370とFlexible PGA370のどちらに対応しているのかソケットの形を変えることで明確にするなどの措置をとって欲しかった。インテルにとっては自作PC市場やCPUアップグレード市場は非常に小さなマーケットかもしれないが、ユーザー側の無用の混乱を避ける意味でも今後何らかの改善を望みたい。

SOLTEK ComputerのSL-02A+ C-Tune。FC-PGAのPentium IIIを利用することができるようになったニューバージョン。Celeronを使う場合には従来と同じようにデュアルオペレーションも可能

 なお、いくつかのマザーボードメーカーからPGA370をSC242に変更するアダプタで、Flexible PGA370に対応した新バージョンを出荷しているところもある。今回はSOLTEK ComputerのSL-02A+ C-Tuneを利用したが、ジャンパスイッチで「FC-PGA」に設定したところ問題なく利用することができた。


●ビジネスアプリケーションではAthlonをわずかに上回る

 今回は通常CPUのテストをやっているのと同じように、ユーザーがPCで利用することが多いと思われる

(1)ビジネスアプリケーション
(2)ハイエンドアプリケーション
(3)マルチメディアアプリケーション
(4)3Dゲーム

の4種類のアプリケーション環境におけるPCの性能を計測するアプリケーションベンチマークを用意し、それぞれにおけるパフォーマンスを計測してみた。利用したベンチマークは以下の通りだ。

(1)Business Winstone 99 Version1.2
(2)High-End Winstone 99 Version1.2
(3)MultimediaMark99
(4)3DMark99 Max

それぞれのベンチマークの説明に関しては過去の記事(「Athlonに対抗できるのか?~Pentium III 600MHzとCeleron 500MHz~」を参照していただきたい。

 今回はPentium III(Coppermine、Katmai)とAthlon 700MHzを用意し、それぞれのクロックにおけるパフォーマンスを計測した(なお、CoppermineとKatmaiに関しては用意できるだけのクロックを計測した)。なお、テスト環境は文末の通りで、マザーボードにはプロセッサバス(FSB)が133MHzのCoppermineとKatmaiに関してはチップセットにVIA TechnologiesのApollo Pro133Aを搭載したSOLTEK ComputerのSL-67KVを利用し、プロセッサバスが100MHzのCoppermineおよびKatmaiには440BXを搭載したABIT ComputerのBE6(BIOSはCoppermineに対応した11/11/1999の日付のバージョンを利用した)を利用した。133MHzに対応したCPUにApollo Pro133Aを搭載したマザーボードを利用したのは、現時点ではスタンドアローンのビデオカードを利用でき133MHzを正式にサポートしたものがApollo Pro133A(およびApollo Pro133)だけだからだ。

(1)Business Winstone 99 Version1.2

 Microsoft OfficeやWebブラウザなどビジネスアプリケーション環境におけるパフォーマンスを計測するBusiness Winstone 99では、Coppermine 700MHzがAthlon 700MHzをわずかではあるが上回った。以前L2キャッシュがオンダイになったCeleronやK6-IIIがそうであったように、L2キャッシュのオンダイ化によるL2キャッシュの高速化は整数演算能力が重要なビジネスアプリケーションでは大きなパフォーマンスアップにつながると言ってよい。このことから、少なくとも多くのユーザーが重要視するビジネスアプリケーションに関してはCoppermineがAthlonをわずかであるが上回っていると言っていいだろう。

Business Winstone 99
Pentium III 733MHz 37.9
Pentium III 700MHz 38.2
Pentium III 667MHz 36.9
Pentium III 650MHz 37.3
Pentium III 600EB MHz35.1
Pentium III 600E MHz 36.4
Pentium III 600B MHz 32.9
Pentium III 600MHz 33.8
Pentium III 550MHz 32.4
Pentium III 533EB MHz33.9
Pentium III 533B MHz 31.4
Pentium III 500MHz 31.0
Pentium III 450MHz 29.6
Athlon 700MHz 37.9

 ただ、Apollo Pro133A+Coppermine 733MHzはAthlon 700MHzと同じスコアで、Coppermine 700MHzを下回る結果になった。これはSL-67KVのBIOSが現時点ではCoppermineに最適化されていない(SL-67KVのBIOSはCoppermine出荷前の日付である8/31/1999という日付になっていた)かApollo Pro133A自体のパフォーマンスが低いということが考えられるだろう。

(2)High-End Winstone 99 Version1.2

 AdobeのPhotoshopやPremiereなどのハイエンドアプリケーション環境におけるパフォーマンスを計測するHigh-End Winstone 99では、Athlon 700MHzが同クロックのCoppermine 700MHzはもとより、Coppermine 733MHzをも上回って見せた。これはHigh-End Winstone 99に含まれるアプリケーションに、浮動小数点演算を多用するアプリケーションが多いからだろう。例えば、浮動小数点を利用して演算する科学計算を行なって一般的な浮動小数点演算能力を計測するZiff-Davis,Inc.のWinBench 99 Version1.1に含まれるFPU WinMarkでも、Athlon 700MHzはCoppermineを上回って見せた。このことを見ても、AthlonのCPUコアの浮動小数点演算能力の優秀さは明らかといっていいだろう。

High-End Winstone 99
Pentium III 733MHz 29.8
Pentium III 700MHz 31.9
Pentium III 667MHz 28.9
Pentium III 650MHz 30.5
Pentium III 600EB MHz27.8
Pentium III 600E MHz 29.4
Pentium III 600B MHz 26.5
Pentium III 600MHz 28.5
Pentium III 550MHz 27.2
Pentium III 533EB MHz26.5
Pentium III 533B MHz 25.1
Pentium III 500MHz 25.9
Pentium III 450MHz 24.6
Athlon 700MHz 32.9

(3)MultimediaMark99

 MultimediaMark99ではCoppermineがAthlonを上回った。この理由は明白で、MultimediaMark99がPentium IIIの拡張命令であるインターネット・ストリーミング拡張命令(SSE)に対応しているのに対して、Athlonの同様の拡張命令であるエンハンスド3DNow!には対応していないためだ。従って、この結果はSSEには対応しているが、3DNow!には対応していないアプリケーションではどうした違いがでるかということの指標にするといいだろう。

MultimediaMark 99
Pentium III 733MHz2,014
Pentium III 700MHz1,960
Pentium III 667MHz1,897
Pentium III 650MHz1,821
Pentium III 600EB MHz1,742
Pentium III 600E MHz1,736
Pentium III 600B MHz1,738
Pentium III 600MHz1,772
Pentium III 550MHz1,648
Pentium III 533EB MHz1,586
Pentium III 533B MHz1,568
Pentium III 500MHz1,506
Pentium III 450MHz1,379
Athlon 700MHz1,826

(4)3DMark99 Max

 3DMark99 Maxは3Dゲームにおける総合的なパフォーマンスを計測する3DMarkとCPUによるジオメトリ演算の能力(実際にはジオメトリ演算時の浮動小数点演算能力)を計測する3D CPUMarkの2つの結果が出される。総合値の3DMarkに関してはCoppermine 700MHzがAthlonを上回ったものの、3D CPUMarkに関しては逆にAthlon 700MHzがCoppermine 733MHzさえも上回った。総合値でAthlonがCoppermineに対して劣っているということは、Athlonがチップセットやドライバの拡張命令への最適化も含めた総合的な面でCoppermineに劣っているということを意味している(例えば、カノープスはSPECTRA7400用にAthlonでのDirect3Dのパフォーマンスをあげるドライバを公開している)。

3DMark99 MaxCPU 3DMark
Pentium III 733MHz6,550
11,119 
Pentium III 700MHz6,345
10,420 
Pentium III 667MHz6,263
10,286 
Pentium III 650MHz6,088
 9,807 
Pentium III 600EB MHz5,912
 9,404 
Pentium III 600E MHz5,846
 9,255 
Pentium III 600B MHz5,657
 9,103 
Pentium III 600MHz5,672
 9,006 
Pentium III 550MHz5,333
 8,393 
Pentium III 533EB MHz5,529
 8,535 
Pentium III 533B MHz5,225
 8,190 
Pentium III 500MHz4,975
 7,715 
Pentium III 450MHz4,551
 6,980 
Athlon 700MHz6,114
12,164 

 ただ、純粋に3D環境におけるCPUの処理能力を計測する3D CPUMarkでAthlonがCoppermineを上回ったことから見ても、AthlonというCPU自体の持つ演算性能に関しては優れていると言っていいだろう。

 なお、今回WinBench 99に含まれる、CPUmark 99とFPU WinMarkも計測したので、掲載しておく。ほかのベンチマークデータと併せて参照して頂きたい。

CPUmark 99FPU WinMark
Pentium III 733MHz66.0 3,930
Pentium III 700MHz62.4 3,760
Pentium III 667MHz60.9 3,570
Pentium III 650MHz58.4 3,490
Pentium III 600EB MHz55.7 3,210
Pentium III 600E MHz54.9 3,220
Pentium III 600B MHz44.2 3,030
Pentium III 600MHz44.2 3,040
Pentium III 550MHz40.7 2,790
Pentium III 533EB MHz50.3 2,850
Pentium III 533B MHz39.6 2,690
Pentium III 500MHz37.1 2,530
Pentium III 450MHz33.6 2,280
Athlon 700MHz65.0 3,800

【テスト環境】
マザーボード

Coppermine Katmai(FSB133MHz):SOLTEK Computer SL-67KV
Coppermine Katmai(FSB100MHz):ABIT Computer BE6
Athlon:AMDリファレンスマザーボード
ビデオカード
カノープス SPECTRA5400 Premium Edition(RIVA TNT2、32MB)
メインメモリ
Coppermine Katmai(FSB133MHz):PC133 SDRAM(CL=3)
Coppermine Katmai(FSB100MHz)、Athlon:PC/100 SDRAM(CL=3)
ハードディスク
Winstone以外:WesternDigital WDAC14300
Winstone:WesternDigital WDAC29100


●お買い得度ではKatmaiが一歩リード

 さて、上記のベンチマークテストを元に前回も行なったCPUお買い得度チェックを行なってみよう。今回はマザーボードの値段も考慮に入れることにして、Business Winstone 99と3D CPUMarkにおける1万円当たりのスコアを出すことでお買い得度を計算してみることにした。CPU価格のデータはAKIBA PC Hotline!(11月6日)の最安値(リテールパッケージがある場合はリテールの値段、ない場合はバルクの値段+ファン代2,000円を足した値段)を採用し、それにマザーボード(133MHzのPentium IIIはSL-67KV、100MHzのPentium IIIはBE6-II、AthlonはMS-6167)の値段を足したものだ。なお、マザーボードの値段は秋葉原のPCショップであるPCiNのホームページで調べた11月12日付けの以下の価格を採用した。

(1)Business Winstone 99におけるお買い得度

 ビジネスアプリケーションにおけるお買い得度は以下のような計算式で算出した。

 Business Winstone 99÷(CPU値段+マザーボード値段)×10,000

CPU 3DMark合計金額お買い得指数
Pentium III 733MHz11,11999,6001,116
Pentium III 700MHz10,420101,6001,026
Pentium III 667MHz10,286n/an/a
Pentium III 650MHz9,80787,6001,120
Pentium III 600EB MHz9,40463,2001,488
Pentium III 600E MHz9,255n/an/a
Pentium III 600B MHz9,10352,6001,731
Pentium III 600MHz9,00663,3801,421
Pentium III 550MHz8,39353,3001,575
Pentium III 533EB MHz8,53547,6001,793
Pentium III 533B MHz8,19042,6001,923
Pentium III 500MHz7,71541,5801,855
Pentium III 450MHz6,98036,2801,924
Athlon 700MHz12,164101,6001,197

 結果はグラフの通りだが、Coppermine 700MHzが最もコストパフォーマンスが悪く、次いでCoppermine 733MHz、667MHz、Athlon 700MHzとなっている。ただ、こうしたコストパフォーマンスを悪くしている要因としてマザーボードが高価であることが上げられるだろう。440BXを搭載したマザーボードとAthlonマザーボードでは5千円もの違いがある。こうして見ていくとKatmaiのコストパフォーマンスは意外に悪くはなく、値段が下がったKatmaiを買うという選択肢もあるということがわかる。

(2)3D CPUmarkにおけるお買い得度

 同じく3D CPUmarkにおけるお買い得度は以下のような計算式で算出した。

 3D CPUMark÷(CPU値段+マザーボード値段)×10,000

Business
Winstone 99
合計金額お買い得指数
Pentium III 733MHz37.999,6003.81
Pentium III 700MHz38.2101,6003.76
Pentium III 667MHz36.9n/an/a
Pentium III 650MHz37.387,6004.26
Pentium III 600EB MHz35.163,2005.55
Pentium III 600E MHz36.4n/an/a
Pentium III 600B MHz32.952,6006.25
Pentium III 600MHz33.863,3805.33
Pentium III 550MHz32.453,3006.08
Pentium III 533EB MHz33.947,6007.12
Pentium III 533B MHz31.442,6007.37
Pentium III 500MHz31.041,5807.46
Pentium III 450MHz29.636,2808.16
Athlon 700MHz37.9101,6003.73

 この3D CPUMarkで最も良いスコアを残したのがKatmai 450MHzで、次にKatmai 533MHzとなった。このように、KatmaiはCoppermineの登場により値段の下落が著しく、特に不人気のKatmai 533MHzとKatmai 600B MHzは非常にコストパフォーマンスが高くなっている。ビジネスアプリケーションでも、3Dでもコストパフォーマンスに優れたCPUという観点で見れば、今Katmaiは割とよい選択かもしれない(ただ、今回はAthlon 600/550/500MHzなど低いクロックが用意できなかったので、必ずしもKatmaiがベストとは言えないのだが)。


●総合性能ではAthlonが若干上をいくが、メーカー製PCはCoppermine搭載PCばかり

 以上のように、L2キャッシュのオンダイ化によりビジネスアプリケーション環境においてはCoppermineがAthlonから覇権を取り戻す形になったと言える(最高クロックという意味でもCoppermineの方が上だ)。この点は素直に評価していいだろう。ただ、正直なところL2キャッシュのオンダイ化によってP6コアの基本設計の古さを覆い隠したにすぎないという感もなくもない。また、Intel 820の遅れにより、せっかくのプロセッサバス133MHzのCoppermineが100MHzのCoppermineより遅くなってしまったりという点もすっきりしない。そういった意味ではぜひとも早期にこれからの主流であるPC133 SDRAMをサポートしたメインストリーム向けのチップセットが望まれるところだ。

 Athlonに関してだが、確かにCoppermineの登場により最高クロック・ビジネスアプリケーション最速の座は奪われたことは認めなければならないだろう。しかし、少なくとも浮動小数点演算を多用するアプリケーション(ハイエンドアプリケーションや3Dゲームなど)ではリードを保っているといってよく、ビジネスアプリケーションでもCoppermineとの差はあまり大きくないので、総合的な性能ではAthlonに若干のマージンがあると結論づけられるだろう。できれば、早期にL2キャッシュのオンダイ化に着手し、さらにビジネスアプリケーションでのパフォーマンスをあげることができれば言うことはないだろう(なお、AMDはAnnual Analyst MeetingL2キャッシュをオンダイ化したAthlonであるThunderbirdのプラン(PowerPointのデータ)を公開している)。ただし、3DMarkの結果でも述べたようにSlotAプラットホームという観点に立てば、AMD-750チップセットを搭載したマザーボードは6層基板で高コストだったりパフォーマンスがいまいちだったりと課題は多い。そうした課題をどう解決するのかがAMDの課題と言える。
 それでは現時点での最適チョイスと言えるCPUはどれだろうか。以下ユーザーごとに分けて考えていく。

(1)自作PCユーザー

 自作PCユーザーではビジネスアプリケーション、ハイエンドアプリケーション、3Dなどバランスに優れたAthlonがお奨めと言える。ただ、現時点ではマザーボードがやや高価なのでコストパフォーマンスでは優れた選択とは言えない。

 コストパフォーマンスが重視であればお買い得指数のところで述べたように、安くなったKatmaiを選択するのがよいだろう。また、クロックアップという観点において、Coppermineはなかなか魅力的な存在だ。既に多くのインターネットサイトなどにもCoppermineを購入したユーザーからクロックアップの報告が相次いでおり、Coppermine 600MHzを800MHz化することに成功したなどの成功例も多いようだ。もちろん、メーカーやショップの保証は絶対に受けられないが、そうしたことを狙ってCoppermineを購入するというのもありだろう。

(2)大手メーカー製PCを購入するユーザー

 残念ながら、メーカー製PCを購入しようと考えているのであれば、選択肢はCoppermineしかない。なぜならば、いわゆる大手メーカーは1社たりともAthlon搭載PCを出荷していない(何度も言っているがAMDにはがんばってはやく何とかして頂きたいものだ)。従って、大手メーカーからPCを購入しようと考えているユーザーにとっては同じPentium IIIでもCoppermine搭載の製品を買うか、安くなったKatmai搭載の製品を買うかの選択になるだろう。その場合はCoppermineがお奨めと言える。なぜならば、インテルのロードマップ(後藤氏の「Intelのロードマップとコードネームを大整理」を参照のこと)によると、インテルは2000年第4四半期にリリースが予定されているWillametteまで大きなコアの変更がないからだ。これは、クロックがあがることはあっても少なくとも今後1年は大きなコアの変更がないことを意味しており、近い将来により高速なCPUコアの製品が発売されて悔しい思いをすることがないだろう。

□AKIBA PC Hotline! 関連記事
【11月6日号】Coppermineこと0.18μm版Pentium IIIがようやくデビュー
667MHz以外のデスクトップPC用は全モデル姿を現す
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/991106/coppermine.html

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[Text by 笠原 一輝@ユービック・コンピューティング]


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