どうやら、Intel 820チップセット騒動に、ついにけりがついたようだ。米Intelは、11月15日(現地時間)から米ラスベガスで開催される「COMDEX Fall '99」で、820をお披露目するらしい。
複数のOEMメーカーからの情報によると、IntelはCOMDEXの初日を、820の事実上の発表日にすると伝えてきたという。というのもOEMメーカーには、COMDEXで820搭載製品を表だって展示する許可が出たらしいのだ。まだ、Intelがどんな形で820を発表するかは明らかになっていないが、少なくとも820システムや820マザーボードが、COMDEXで展示されることだけは確実だ。
本日(11月2日)行なわれた、Intelのクレイグ・R・バレット社長兼CEOの発言も、この情報を裏付けている。バレット氏は、「Intel eーBusiness Forum '99」のあとに行なわれた記者会見で、820について「1週間前後のうちに発表する予定」と言及した。複数のメーカーの証言に加えて、バレット氏も近日中の発表を認めたことから、COMDEXデビューは間違いないと思われる。
●これまで進展がなかった820のスケジュール
820の件について、以前のコラムで伝えてから3週間、実はあまり進展は無かった。10月13日のコラムでは、10月15日にIntelがOEMメーカーに820のスケジュールをアナウンスすると伝えたらしいと報じた。しかし、結局、15日は20日にスリップし、20日の時点でもOEMメーカーに伝えられたのは、年内という曖昧なスケジュールだけ。820のリリース日程は、再デザインした820マザーボードの出せる日付ということだが、Intel製の820マザーボードについても、検証作業が順調に進んでいるという情報しか伝えられなかったという。
ただし、820マザーボードのリデザインが通達されたのが9月末なので、設計と検証に2ヶ月として、11月末には発表はできるという見方は広がっていた。そのため、焦点は11月中旬のCOMDEXに間に合うかどうかに絞られていた。OEMメーカーによると、Intelは当初、COMDEXでも820システムの表立った展示はNGだと伝えていたらしい。それが、ここへ来てCOMDEXでOKということに変わったようだ。
●まだ残るRDRAMの問題
820のリリース。これでIntelやようやく重荷をおろすことができるわけだが、実は、まだやらなければならないことが残っている。それはRDRAMの再立ち上げだ。
業界筋の情報によると、820の延期でDRAMベンダーはRDRAMの量産出荷をほぼストップしてしまっているという。DRAMベンダーが、RDRAMラインへのウエーハの投入を止めていたり、RDRAMラインをSDRAMラインに転換していると、ウエーハ投入を再開しても、RDRAMがある程度のボリューム出回るようになるのは、先のことになってしまう。この状況では,820がリリースされても、迅速に820+RDRAMシステムが立ち上がることは望めない。
また、RDRAM開発はDRAMベンダー4社が先行していたが、あとのメーカーは様子見のところが多かった。今回の件で、そうした様子見メーカーのRDRAM移行もさらに遅くなる可能性がある。すでに820延期前の時点で、RDRAMは、生産予定量から見て、来年のDRAMのマジョリティにはなれないと言われていたが、これでますます生産量が減る可能性がある。DRAMは、主流になった品種だけが価格が大幅に下がる傾向があるため、RDRAMの生産量が限られた場合は、820の今後の普及戦略に支障が出てくる可能性がある。
このあたり、Intelがどのような手を打つのかが注目される。
('99年11月2日)
[Reported by 後藤 弘茂]