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| ソニー DSC-F505K 標準価格125,000円。光学5倍ズームのカールツァイス“バリオゾナー”レンズを採用し、USB端子を備えた211万画素デジカメ。もちろんメモリースティックスロットも装備。『505』という型番にソニーの意気込みがうかがえる |
まず、注目のスタイリングだが、もうコレはソニー以外のメーカーじゃちょっとできない（もしくはやらない）という、非常に挑戦的で斬新なデザインになっている。最初実機（β機）を手にして思ったのは、「意外にコンパクトだなぁ」というコト。PC Watchでの報道や、ソニーの紹介サイトで見るF505Kの写真は、前のサイバーショットプロを思い出させて、ついでにあの比較的デカいサイズも思い出させた。その印象からか、F505Kもきっとデカいと思いこんでいた俺であった。
F505Kは、レンズ部を無視して眺めると、だいたいF55K（ひと機種前のCyber-shot）と同じようなサイズだ。また、ハードウェア的な印象（ボタン類のおおよその配置や操作性そのもの）も、F55Kに非常によく似ている。
のだが、この太くて存在感のあるレンズ部。コレのインパクトは強い。カメラとして触ってみると、なんと言うか、ちょっと高速化して高機能化したF55Kという印象なのだが、モノとして眺めてみると、ちょっとこれまでなかった異彩を放ったサイバーなハードウェアという感じだ。
また、このレンズ部は非常にユニークであり、かつ、操作性も優れている。ユニークというのは、その動きだ。レンズ部が回転するというよりもむしろ、レンズ部に付いた本体が動くという感じで、なんかこう、まったく新しいタイプのデジカメのような印象を受ける（ホントは単にレンズ部の方がボリュームがあるだけなのだが）。
それから、このボリュームのあるレンズ部は、もしかすると本体よりもずっとホールド感が高いかもしれない。太過ぎず細過ぎず、ホールドするにはいい大きさだ。それと同時に、わりとよく使うボタン類がレンズ横にスッキリ並んでいるのもいい。手のひらに乗せるようにホールドしておき、フォーカスモードやホワイトバランス等を変える時だけ、一瞬手のひらを傾け、親指でボタンを押せる。ストロボ部分の収まりもスッキリきれいでいい。
使っていて（とは言っても半日程度だが）思ったのは、それほどクイックには動作しないような気がするなぁ、ということ。今時発売されるデジカメなんだから、きっとすげぇ速くキビキビ動作するでしょ～、と思っていたら、期待が大きすぎたのか、肩すかしを食った。
それから、画像に関しては、やっぱりこの程度本格的なレンズを使うと、撮れる写真も一味違うということ。スナップ向けっぽいデジカメだとなかなか見られない美しいボケ味をたっぷり楽しむことができる。その他、画像的により詳細な部分でのインプレッションは山田久美夫氏の『ソニー DSC-F505K β機レポート』をご覧いただきたい。また、F505Kの詳細についてはソニーのサイトをご覧いただきたい。
あ、あと、俺は以前Cyber-shot Proを使っていたのだが、アレに比べると、ソフトウェア的な操作感はすんげえ良くなっている。アレはアレで良かったような気もするのだが、でもF55Kの操作感を継承しているのはかなり正解だと思う。ていうか、今になって考えると、サイバーショットプロは、なーんかプロトタイプっぽい未完成感があったのかもしれない。特にあのシャキっとしないファインダーは……ややこしくなるのでココでは触れないことにしよう。
その一点とは、ホールド性だ。
F505Kは、通常は右手でボディを、左手でレンズ部をホールドして使うのだが、この右手のホールド感がイマイチ俺に合わないものなのだ。いや、実は、イマイチどころか全然合わない。
親指でボディ手前をホールドして、人差し指をシャッター上に軽く置き、その他3本の指でボディ前方を押さえるのだが、この時のホールド感がガタガタなのである。最高にガタガタなのは、人差し指だ。シャッターボタンが右に寄りすぎているため、シャッターの半押し～押下まで、他の4本の指が本体から離れて泳いでしまうような感じになる。また、仮にシャッターボタンがもっと左にあったとしても、親指を置く部分やボディ前方を押さえる3本の指がしっかり落ち着けるスペースが狭すぎる。ぜひともどうにかホールドしていきたい!! と思っても、例えば強引に親指を安定させようとすると、ボディ手前のいろんなボタンを押してしまうのである。
だったら左手でレンズを強く持って、右手は軽く添える感じにしよう!! というふうにやったら、まあ、ある程度はホールド感が高まるのだが、なーんかこう、いいフィーリングではないのだ。しっくり来ないのである。
野球のグローブとも言われている俺の手のデカさが問題なのかもしれないが、でもこのホールド感の気持ち悪さは何なのだろうか? 俺はソニー製のDVビデオカメラを4台使っているが、その4台にホールド感の悪さを感じたことはなかった。Cyber-shot Proもホールド感は良かったし、F55Kも悪くなかったし、初代Cyber-shotもこれと言った問題はなくフツーに持てた。なのにF505Kと来たら……。
ハッキリ言うと、俺がこのデジカメを使うと、たぶん、持ちづらくてイライラしまくるのだと思う。光学式のファインダーがないから、撮影時は顔からカメラが離れるって点も、俺のイライラを増幅させるだろう。ディスプレイが見られる位置までカメラを離すと、つまり脇が締まらないわけで、ただでさえ不安定になるのだ。また、このカメラにはズームレンズが付いており、基本的に“前方向に長い”から、カメラが上下に振れやすい。デザインや、デジカメとしての機能そのものは全然オッケーというか非常にグレートなのだが、本格的に写真を撮れる機材だけあって、やはり撮影時のホールド感が損なわれるとなると、つまりは“本格的な機材で本格的な写真が撮りにくい”わけで、ちょっと……考えてしまう。
でも、ちょっとイジワルな見方をすると、そんなにしっかりしたレンズを搭載したなら、どうしてもっとそのレンズの使い勝手を良くするスタイルにしなかったのか、と思う。例えば、もっとホールド感を高めるためにボディ部を大きくしてもいいのでは、とか、レンズをよりよく使いこなすための光学式ファインダーがあっても良かったのではないか、とか。
それから、前述のように、こういうレンズを持つこのクラスのデジカメとしては（とは言ってもコレとCyber-shot Proくらいかもしれないが）、実にコンパクトにまとまっている。だが、いわゆるフツーのその辺のデジカメを考えたら、F505Kはヤケにデカイ。こんなにデカくなった理由は光学5倍ズームの“せい”だとも言える。
画質や性能に関しては、プロスペックとも言える能力を持っていると思うのだが、果たしてこのカタチでこのホールド感で、プロは納得するのだろうか、などと思う。また、ある意味コンパクトで高性能なのは確かだが、フツーの人はコレをコンパクトだと思うのだろうか、とも思う。
なんかこう、考えれば考えるほど、中途半端な印象を受けてしまうのだ。誰がターゲット？ 超マジで撮る人？ デジカメだゼ～って楽しんで撮る人？ その辺がいまひとつよくわからない。
いや、まあ、実に良くできたデジカメであることはわかるし、外見も非常にカッコイイし、触った感触もイイ。山田久美夫氏のβ機レビューの写真を見れば、さすがの高品位レンズ、画質だって抜群にいいことがわかる。
でも、なーんかまだ、プロトタイプっぽいあやふやな存在感が見え隠れする。Cyber-shot Proを買い、な～んとも言えない思い、つまり性能は非常に良かったけど細かい点がまだまだこなれていなかったという（後々になって見えてきた）実感が、F505Kの魅力の上にだぶって浮かんでくるのだ。
なんか後味がよろしくない、シャキッともスパッともしないレビューで申し訳ないが、俺としてはかなり正直な感想である。
□ソニー Cyber-shot DSC-F505K製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/DSC/NEWMODEL/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/199908/99-0823/index.html
□関連記事
【8月23日】ソニー、光学5倍ズームとUSB端子を備えたCyber-shot
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990823/sony.htm
【8月23日】山田久美夫の「ソニー Cyber-shot DSC-F505Kβ機実写画像」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990823/sony2.htm
【8月27日】山田久美夫の「ソニー DSC-F505K β機レポート」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990827/sony.htm
□週刊スタパトロニクス バックナンバー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/wstapa.htm
[Text by スタパ齋藤]
機能的にはほぼ文句はないが……