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WORLD PC EXPO 99 基調講演レポート
Phil Schiller氏による基調講演は事前登録で満席に
~ 日本語版のMac OS 9をデモンストレーション ~

会場

会期:9月7日~11日(7日は特別招待日)

会場:幕張メッセ HALL 1~8


 連日開催されているWORLD PCフォーラムの基調講演。'99年9月9日と、9が並んだこの日は、米Apple Computerでプロダクトマーケティングを担当する上級副社長“Phil Schiller”氏が来日。「進化続けるMac - アップルが創る新しいパラダイム」と題して講演を行なった。講演では、日本語化されたMac OS 9を使って、初めてのデモンストレーションが披露されたほか、国内での販売価格も明らかになった。


■Mac OS 9は、米国より一足はやくApple Storeで受付を開始

 Phil Schiller氏による基調講演は、活発化しているApple Computerの動向に加え、聴講者に「iBookのTシャツ」がプレゼントされるというプロモーションも効を奏し、ホームページからの事前登録者だけで会場はほぼ満席。当日に聴講を申し込んだ来場者の多くは、別会場で生中継映像によるサテライト聴講となった。
 講演内容はおおきく3つにわかれる。まず「QuickTime」、「Mac OS 9」、そして同社の「プロダクトライン」についてだ。概要は、7月に開催されたMacworld EXPO/NewYorkと、先日のSEYBOLD SENIMARSのダイジェスト版といったところ。これらは、本誌をはじめ多くのメディアで報じられているので、既知の聴講者も多かったと思われる。しかし、日本での公開と、実際に見る機会ははじめてということで、講演中もしばしばどよめきと拍手が巻き起こった。

 「QuickTime TV」の紹介では、おなじみのSTAR WARS Episode1の映像や、ストリーミング放送による英国のBBCニュース、MacromediaのFlashと組み合わせたDisneyのコンテンツなどをデモンストレーションした。こうしたコンテンツを提供する無料のQuickTime Streaming Serverは、Windows NTやLinuxなどMac OS以外のプラットホームでも動作し、同社の進めるDarwin Open Sourceプロジェクトの成果のひとつとなっている。

 続いてこの日のメイン「Mac OS 9」の紹介にうつる。50を超える新機能のなかから、Sherlock2やマルチユーザー機能、声紋認識によるログインなど代表的な9つの機能を紹介するのはSEYBOLD SEMINARSと同様だが、今回はすべて日本語OS上でデモンストレーションされたのが特徴。実際のデモンストレーションは、アップルコンピュータの櫻場氏が担当し、Sherlock2を使ってニュースの検索や、E-コマースサイトでの商品検索などを披露した。ニュースの検索には、検索先として毎日新聞社のプラグインがすでに用意されていたが、E-コマースサイトではAmazon.comやeBayなど米国のサイトばかり。国内のサイトにも対応予定とコメントされたが、Mac OS 9の発売日までにどれだけ対応が進むか注目される。

 またマルチユーザー機能では、声紋認識(Voice Print)によるログインに挑戦。映し出されたユーザーの一覧に「えいこう」、「てつお」、「なおひさ」(つまり、日本のエグゼクティブメンバー)とあったことで、会場からは笑いも漏れた。櫻場氏によれば「今日の講演のなかで2番目にリスキーなデモ」とのこと(ちなみに、1番目は回線状況の影響を受けるQuickTimeによるストリーミング)。同氏の『私の声がパスワード』という発声に、1度は認識を失敗して会場の爆笑を誘ったが、2度目でログインが無事成功し爆笑が拍手に変わった。あとを受けたPhil Schiler氏は、「ボクが挑戦しても良かったんだけど、ちょっと日本語が難しくて」とユーモアも見せた(「声紋」なのだから、言語は問わないはず。ただ、たどたどしい発声やイントネーションでは認識率が下がる)。

 そして、日本語版のMac OS 9が1万2800円で提供されることと、同日付けでApple Storeと全国の正規代理店での予約受付をアナウンスした。また、日本にやや遅れて、米国でも9月9日の早朝からApple StoreでMac OS 9の予約受付がスタートしている。日本が先行した背景は、9月9日という日付へのこだわりと推測される。

大きなアクションで講演するPhil Schiller氏。スライドの更新はJobs氏のようなリモコン操作ではなく、ステージ上のPowerBook G3を直接操作 Mac OS 9などのデモを担当したアップルコンピュータの櫻場氏。声紋認識では会場のノイズなどでも影響が出るため、ちょっと緊張した様子も Mac OS 9は12,800円で販売される。講演中、アップグレード価格に関する質問も飛んだが、Mac OS 8.5と同様に、同一価格と予想される


■ついにベンチマークで勝利したPhil Schiller氏

 プロダクトラインの紹介では、Mac OS 9とは違って、日本ならではという情報はほとんどなかった。とはいえ、AirPortとiBookを使った無線LANのデモンストレーションや、G4とPentium IIIの速度比較、PowerMac G4とCinema Displayの紹介など、随所に見どころがあり、会場の反応は総じて良好といえる。

 また、いつもは、同社の暫定CEO、Steve Job氏の欠かせないパートナーとしてデモンストレーションを担当するPhil Shiller氏も、この日は主役。G3 vs Pentium II、G4 vs Pentium III、G4 vs G3など、これまでの数あるベンチマーク競争では、いつも負ける側のマシンをクリックし続けてきた同氏(WWDC99レポート等参照)が、ついに今回の「PowerMac G4 vs Pentium III」のデモで、G4側をクリック。Pentium IIIを担当した櫻場氏に勝利したことをあわせて伝えておこう。

 少々気になったのは、講演中に使用されたスライドの内容。製品の価格など一部は日本語化されているが、ほとんどは前回までの講演で使用された英語表記と米国のコンフィギュレーションのまま。日本では発売されていない21インチのApple Studio Displayなどが表示されていたりするなど、気になる点もあった。このあたりは、米国本社と日本法人との連携を少々密にするだけで解消できるので、朝早くから会場に駆けつける日本の熱心なユーザーや聴講者のためにも今後は改善されることが望まれる。

 WORLD PC EXPOへの出展と講演を終え、Apple Computerの次なる大きなイベント出展は、9月15日からパリで開催されるApple expo。昨年に続いて基調講演を務めるSteve Jobs氏の講演内容が、同社の次なる話題として注目される。

AirPortを紹介するPhil氏。使用可能エリアの150フィート(約45メートル)をフットボールコートの約半分と説明。全面をカバーするにはふたつ買ってと笑わせた Macworld EXPO/NewYorkでも披露されたフラフープを使ったデモ。ケーブルレスでインターネットに接続していることをアピール Phil氏 vs 櫻場氏のG4 vs PentiumIIIベンチマーク対決。心配げにのぞきこまなくとも、今日の勝利は見えている


□WORLD PC EXPO 99のホームページ
http://wpc99.nikkeibp.co.jp/
□アップルコンピュータのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□関連記事
【7月22日】Macworld Expo New York '99開幕
~ Steve Jobs基調講演レポート ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990722/macw_02.htm
【9月1日】SEYBOLD SEMINARS SFレポート
Stave Jobs氏基調講演レポート~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990901/seybold2.htm

('99年9月9日)

[Reported by 矢作 晃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp