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WORLD PC EXPO 99 展示会場レポート 自作PC/パーツ編
Athlon用新チップセット、Intel820搭載マザーボードなどが初お目見え

会期:9月7日~11日(7日は特別招待日)

会場:幕張メッセ HALL 1~8

 今回のWORLD PC EXPO 99には、多くの台湾のPC関連のベンダーが出展している。マザーボードメーカーのASUSTeK Computer、GIGA-BYTE TECHNOLOGY、MSI、AOpen、ABIT Computer、SOYO Computer、SOLTEK COMPUTER、チップセットベンダのVIA Technologies、ビデオカードベンダのLeadtek Researchといったベンダが参加しており、自作派ユーザーには注目の製品がいくつか展示されていた。


■VIA TechnologiesのAthlon用チップセットApollo KX133がデビュー

VIA Technologiesのブースに展示されていたVIAのAthlon用チップセットのApollo KX133(VT8371)。PC133 SDRAM、AGP 4Xなどに対応している

 台湾のチップセットベンダーVIA Technologiesは8月10日のAMD Athlonプロセッサ発表時にプレスリリースを発表していたAthlon用チップセットのApollo KX133の展示を行なった。Apollo KX133は7月のPlatform99の時点ではApollo K7というコードネームで呼ばれていたチップセットで、現状でAMDがAthlon用としてリリースしているAMD-750チップセットに比べると、いくつかの点で機能が強化されている。

 例えば、AMD-750はサポートしているメインメモリはPC-100 SDRAMのみで、AGPも2Xモードまでしかサポートしていない。さらに、サウスブリッジは現在の多くのマザーボードでサポートされているAC-97コーデックがサポートされていないなど、Intelが今月中にリリースすると言われているIntel820チップセット(メインメモリはDirect RDRAM、AGP 4Xモードサポート、AC-97コーデックサポート)に比べるとAMD-750はやや古い世代に属するチップセットだと言える。特に、NVIDIAのGeFORCE 256のようにAGP 4Xに対応したビデオチップが今後続々と発売されていくことを考えると、AGP 4Xに対応していない点などはかなり痛いと言うことができる。

 これに対してApollo KX133ではメインメモリはPC133 SDRAMをサポートしており、AGPも4Xモードをサポートしている。サウスブリッジはMVP4と同時にリリースされたSuper South(VT82C686A)が利用でき、AC-97コーデックの利用も可能になっている。そうしてみていくと、Apollo KX133はAthlon用チップセットの本命と言え、マザーボードメーカーの中にはApollo KX133までAthlon用マザーボードは作らないと明言しているところもあるほどだ。現時点ではかなり初期のサンプルであるようだが、既に実際にマザーボードに搭載されて動作しており、会場では実際にApollo KX133が搭載されたPCでゲームを動かしてユーザーが体験できるようになっている。VIA TechnologiesのMarketting Specialist Shane Dennison氏によると「サンプルはまもなく出荷を開始し、実際の製品がでそろうのはCOMDEX(11月半ば)後の12月」ということで、実際の製品出荷が年末になるということだ。逆に言えば、AMDにとってはAGP 4Xや新世代のメモリに対応したチップセットは年末まで待たなければならないということを意味しており、Intel820が今月中にもリリースされることを考えあわせると、チップセットに関してはAMDに厳しい状況にあると言えるだろう。

 なお、今回のWORLD PC EXPO 99ではVIAのロードマップには更新が加えられることは無かった。しかし、来週の13日に台北で、16日に東京で開かれるVIA Technologies主催のセミナーでは新しいロードマップが公開されると言われており、そちらに期待したい。

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■Intel820搭載マザーボードが灰色デビュー

 先週開催されたIntel Developer Forumで情報が公開されたCaminoことIntel820チップセットだが、IDFで技術情報だけ先行公開という異例の情報公開になったためか、Intel820を搭載したマザーボードを一般来場者に見えるところで公開してよいかは、マザーボードメーカーによって見解が分かれており、そうした意味ではとても興味深かった。IDFでの公開=展示OKという説を採っていた(つまりはIntel820搭載マザーボードを公開していた)のは、TMC(Taiwan My Comp)とLeadtek Researchの2社でいずれも一般来場者の目に付くところにIntel820搭載マザーボードが展示されていた。逆に言えば、それ以外のメーカーは展示しない(つまりはIntelは展示を許さない)という姿勢を見せており、いずれも型番のみの公開というメーカーが多かった。出荷時期に関してだが、本来8月末にIntelからマザーボードメーカーに出荷されるはずだったのだが、実際には3週間ほどスケジュールが遅れているらしく、今月中にもあると思われる正式発表に間に合うかどうかは微妙だという。

TMC(Taiwan MyComp)のブースに展示されていたIntel820搭載マザーボードのTI6CAA VIA TechnologiesのApollo Pro133Aを搭載したSOLTEK COMPUTERのSL-67FV1+。多くのベンダーがApollo Pro133Aを搭載したマザーボードを展示していた MSIのSiS 630を搭載したMS-6189。グラフィックスアクセラレータを内蔵している統合型チップセットでありながら、AGPスロットが用意されている

Leadtek ResearchのIntel820搭載マザーボードWinFast 9000RX

 なお、今回公開されていたIntel820搭載マザーボードはいずれもDirect RDRAMのみをサポートしたマザーボードで、マザーボード上にMTH(Memory Translator Hub、Intel820マザーボードでSDRAMを利用するのに必要なチップ)を搭載したマザーボードは1つも無かった。いくつかのマザーボードメーカーによるとMTHの最終的な仕様(S-RIMMで利用するのか、マザーボード上に搭載するのか)というのがOEMに告げられたのは割と最近で、実際にデザインを終了しているベンダーはほとんどないらしい。マザーボードベンダによってはまだ仕様変更があるのではと疑っているところもあり、MTHを搭載したマザーボードがすぐに入手できるようになるかは、こちらも微妙な線であるらしい。

 今回各マザーボードベンダを取材していて気がついたのは、とにかくIntel820に対して前向きな発言をしているマザーボードメーカー関係者が全くいなかったことだ。ほとんど全ての関係者がIntel820に関して否定的な意見を持っており、今後も440BXマザーボードを販売していきたいというメーカーが多かった。果たしてIntelがこうした「逆境」をはねのけて、Intel820を普及させることができるのかには注目していきたい。

 この他、VIAやSiS(Slicon Integrated Systems)などの最新チップを搭載したマザーボードも数社から公開されていた。VIAからはPC133 SDRAM、AGP 4Xに対応したVIAの最新のチップセットApollo Pro133A(コードネームApollo Pro133/4X)を搭載したマザーボードが各社から公開されていた。また、6月のCOMPUTEX TAIPEIで初公開されたSiS 630に関してもMSIからもMS-6189として展示されている。注目すべきは、SiS 630がグラフィックスアクセラレータを内蔵している統合型チップセットであるのに、AGPのソケットが用意されていることだろう。SiS 630は3D描画能力の点でRIVA TNT2に匹敵すると言われているSiS 300を内蔵しているのでとりあえずは不満はないと思うが、将来内蔵のグラフィックスアクセラレータに不満が出たときには、このAGPスロットを利用して増設することができる。統合チップセットとしては高い3D描画能力を持ち、かつアップグレーダビリティまで確保されていて比較的安価なSiS 630は、絶対性能のみがものを言う秋葉原市場はともかく、OEM市場では高い人気がでそうだ。

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■GeFORCE 256は10月か?

 今回はビデオカードの分野では特に新しい製品はなく、話題に乏しかった。先週のAKIBA PC Hotline!で早速Leadtek ResearchのGeFORCE 256搭載カードの話題がでたので、Leadtek Researchに行ってみたが残念ながら影も形も無かった。同社によると現時点では同社もかなり初期のサンプルを入手しているだけで、実際にNVIDIAからの量産出荷は9月の末となるようだ。秋葉原などのリテールマーケットで販売されるようになるには10月に入ってからになりそうだ。

 この他、ボードベンダでブースを持っていたのはATI Technologiesぐらいで、同社のブースでは既に発表済みのAll-in-Wonder 128とRAGE Fury PRO(RAGE128 PRO搭載)が展示されていた程度で、特に新しい話題はなかった。とあるビデオカードベンダによると、GeFORCE 256を搭載したビデオカードを公開してよいのは13日以降ということになっているようで、ちょうど本イベントは悪いタイミングになってしまったということのようだ。

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■Intel vs. AMDはAMDの作戦勝ち?

 AMDがAthlon/650MHzを発表すれば、すかさずIntelがIDFでCoppermineの出荷前倒しを発表するなどIntelとAMDのCPU戦争は激化の一途をたどるばかりだが、両社のブースはそれぞれ目と鼻の先の、それぞれが見とおせる位置にある。WORLD PC EXPO 99でも、熱い戦いが繰り広げられていた。

 両社のブースではそれぞれ自社のCPUをアピールするプレゼンが行われていたが、写真で見てわかるようにIntelのプレゼンががらがらであったのに対して、AMDのプレゼンは毎回満員で立ち見がでるほどだった。Intelが新製品の発表前で従来製品のアピールであるのにたいして、AMDは新製品をアピール可能という有利な立場にあるのが最たる理由なのだろうが、AMDのプレゼンが盛況なのには理由がある。実はAMDのプレゼンのシートには毎回Athlonロゴ入りの滋養強壮剤「リゲイン」が置かれていたのだ。非常に広い会場を回って疲れている来場者にとってこれほどナイスなプレゼントはなく、休憩をかねて気になっているAthlonのプレゼンを見るというユーザーが多く、その満員の聴衆がさらに立ち見を呼ぶという好循環になっていたようだ、今回の勝負はAMDの作戦勝ちと言えるだろう。

 なお、AMDブースではAthlon 650MHzが実際に展示されており、ユーザーがパフォーマンスを体験することができるようになっている。Athlonのパフォーマンスが気になるユーザーはAMDブースをチェックしたい。また、余計なお世話かもしれないが、IntelもIntel820やCoppermineなどを事実上IDFで公開してしまったようなものなのだから、本イベントで公開した方がアピール度が高かったのではないだろうかと思う。次回からはAMDに負けないようにがんばってアピールしていただきたいものだ。

IntelのPentium IIIのプレゼンは、観衆がやたらと少なく非常に寂しいものだった こちらはAMDのAthlonのプレゼン。席は満席で、立ち見もでるほど盛況だったのだが、その裏には……… AMDブースの椅子にはAthlonロゴ入りのリゲインとAthlonのハンドブックが置かれていて、座った人がゲットできる仕組みになったいたのだ!

AMDのブースではAthlon/650MHzマシンを実際にユーザーが操作できる 日本AMDの堺社長(中央)自らがが陣頭にたって来場者に説明する力の入れよう。ただ、お客さんがIntelの大きなバックを持っているのが何とも皮肉ではある


□WORLD PC EXPO 99のホームページ
http://wpc99.nikkeibp.co.jp/

('99年9月7日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp