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Intel Developer Forumレポート

ライバルは次世代プレイステーション?


~NVIDIA GeForce 256衝撃のデビューを飾る!~


GeForce 256

'99年8月31日~9月2日 開催(現地時間)

会場:米パームスプリングス
ハイアットリージェンシーホテル

 NVIDIAからRIVA TNT2の直接の後継といえるグラフィックスアクセラレータのGeForce 256が発表されたのは、1日の「NVIDIA、50Gflopsのビデオチップ『GeForce 256』を発表」でもお伝えした通りだ。米国では8月31日(現地時間)にIDFが開催されているパームスプリングスコンベンションセンターのほど近くにあるハイアットリージェンシーホテルにて、プレス向けの発表会が開催された。このレポートではその発表会の模様をお伝えする。


●GeForce 256は「GPU」である

 発表会で行なわれたプレゼンテーションで盛んに使われた用語が、GPUという用語だ。GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、さしずめグラフィックス演算機とでもすればいいのだろうか。NVIDIAがこうした用語を使ったことには理由がある。
 3Dゲームなどで画面の描画は、かなり大まかに言えば以下のような手順で行なわれる。

(1)3Dの物体をずらしたりする座標変換(Transformation)
(2)物体に光源(例えば太陽など)から光が当たっていると考えて、
   日向になっている部分と日陰になっている部分を計算する光源計算(Lighting)
(3)物体をドットと呼ばれるカラムに分割する(ラスタライズ)
(4)そのカラムにテクスチャ(模様)を張り込んでいく(テクスチャマッピング)

IDFのNVIDIAブースに展示されていたGeForce 256を搭載したビデオカード。ビデオメモリは64MB。なお、コア、メモリともに動作クロックに関しては未公表ということだった
 現在の一般的な3Dグラフィックスアクセラレータは(3)と(4)のいわゆるレンダリングだけを行なっており、(1)と(2)のいわゆるジオメトリ演算という作業はCPUのFPU(浮動小数点演算ユニット)を利用して行なわれている。しかし、FPUはジオメトリ演算だけでなく、浮動小数点一般を計算するために設計されているほか、CPUは他の処理(例えばAIにより他のプレイヤーを動かしたりすること)も行なっており、必ずしも3Dゲームを行なうのに効率の良いものではない。そこで、GeForce 256ではこのジオメトリ演算をグラフィックスチップで行なえるように設計し(つまりジオメトリエンジンを内蔵)、CPUの負荷率を下げる工夫がされているほか、何よりもジオメトリ演算の性能をCPUで行なう場合に比べて大幅に向上させることが可能、つまり3Dの描画性能を向上させることが可能になるのだ。

 このため、3Dの処理はほとんどグラフィックスアクセラレータで行なわれることになり、NVIDIAはGeForceをGPUと呼んでいる訳だ。会場ではこのジオメトリエンジンを利用して、車などの細部を詳細に描画したデモが行なわれ、従来よりもよりリアルな描画に会場から注目が集まっていた。

 ただ、一見いいことずくめのジオメトリエンジンの内蔵だが、課題が無いわけではない。1つには、ソフトウェアのサポートの問題がある。3DゲームはGeForce 256のジオメトリエンジンをDirectX 7でサポートされる予定のAPIを通じて利用することができる。しかし、現状ではDirectX 7のハードウェアジオメトリAPIを利用するように設計されている3Dゲームは皆無で(そもそもDirectX 7自体が正式にリリースされていない)、現状では内蔵されているハードウェアジオメトリエンジンも宝の持ち腐れでしかない。

 2つ目の問題点はジオメトリエンジンを内蔵することで、トランジスタ数は非常に多くなる。GeForce 256のトランジスタ数は2,300万トランジスタとRIVA TNT2と比べて実に倍になっている。このため、消費電力が非常に大きくなってしまうほか、何と言ってもコストの面で非常に不利になる。記者会見ではチップ単体での値段は明らかにされなかったが、IDFのNVIDIAブースで担当者に質問をぶつけてみたところ「少なくともRIVA TNT2 Ultraよりは高い価格」と残念ながらあまり安くはなさそうだ。


●次世代プレイステーションも顔負けの高い表現能力

 GeForce 256の最も大きな特徴は、既に述べたようにジオメトリエンジンを内蔵していることだが、レンダリングの能力も従来のチップを大きく上回るものだ。その特徴をいくつかあげると

(1)256bitコアとメモリインターフェイス
(2)350MHzのRAMDAC
(3)ビデオメモリは128MBまでサポート
(4)レンダリングエンジンは4パイプライン
(5)Cube Environment mappingやTexture compressionなどDirectX 7の新APIをサポート

などだ。特に重要なのは(4)と(5)だ。GeForce 256はRIVA TNT/TNT2が2パイプラインだったのに比べると倍の4パイプラインになっており、1クロックの間に4ピクセルを同時に描画することが可能になっている。このため、テクスチャの描画能力の指標となるトライアングルは15Mトライアングル/秒、フィルレートは480Mピクセル/秒と、RIVA TNT2(9Mトライアングル/秒、300Mピクセル/秒)などに比べて大幅に向上していることが判る。

Cube Environment mappingのデモ。左画面中央に見える球体は詳細なテクスチャを書き込んだ状態で、様々な形に変形させて見せた
 また、Cube Environment mapping(球体に模様を張り込む技術)、Texture compression(テクスチャを圧縮して処理する)などのサポートも大きな性能向上のファクターだ。会場では非常に詳細なテクスチャを貼り付けた球体を自由に変形させながら移動させるCube Environment mappingを利用したデモが行なわれ、その描画性能の高さに会場からは感嘆の声が挙がっていた。

 以上のように、GeForce 256はその高い描画能力や表示品質などからこれまでの3Dアクセラレータとは一線を画す製品であることは間違いない。なお、「他のチップベンダーのようにボードベンダを買収する予定はあるか」という質問に対しては「それは本当によいやり方であるのか」と返すなど今後もチップを供給するチップベンダーとしての姿勢に変わりがないことを明らかにし、GeForce 256を搭載したビデオカードがCreative Technology、ASUSTeK Computer、LeadTek Research、ELSA、Guillemot、カノープスといったOEM先から出荷されるという姿勢を明らかにした。

 最後にプレス向けに配られた資料や会場で実際に語られた言葉を紹介しておこう

 「GeForce 256はプレイステーション2並みの性能をPCで実現します」

 確かに、デモではプレイステーション2と仮称される次世代プレイステーションに匹敵する表現能力を実現できていたのは事実だ。実際にそれをユーザーが使えるようになるためにも、対応ゲームやDirectX 7などGeForce 256が本来の性能を発揮できる環境が早期に整うことを期待したい。

従来のグラフィックスアクセラレータとの比較デモ。ドラムセットの描画だが、右側の従来のものによる描画に比べ、左側のGeForce 256の方は詳細の部分でよりリアルな描画が行なわれている

□IDFホームページ
http://developer.intel.com/design/idf/
□関連記事
【9月1日】NVIDIA、50Gflopsのビデオチップ「GeForce 256」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990901/nvidia.htm

('99年9月2日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp