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スタパ齋藤

グッとクるワイヤレスノート
~Let's note A1R~



■ グッとクるワイヤレスノート

松下 Let's note A1R
オープンプライス。店頭価格は28万円前後の見込み。車の外装と同じような塗装という「クリアメタルコート」がカッコいい。カッコだけでなく、キズもつきにくいのだ。この塗装はぜひ店頭で見てほしい。無線は基本的にPIAFSなので64kbps(ただしPHS端末とPIAFS直結はできない)。
 むっ、むむっ、むむむっ、と思わず汗してしまうノートがパナソニックから登場した。Let'sNoteシリーズの最新型で、売りは何と言ってもワイヤレスのシリアルアダプタ(?)とでも言うのだろうか、とにかく無線による通信機構を備えた、ちょっと斬新なマシンだ。
 で、例によってやっぱりメーカーさんのご厚意によってその問題のマシンをお借りすることができたので、ここは一発いじくりまくったりなんかして、どんな感じなのかをお伝えしていきたい。

 借りたのは、Let's noteシリーズの通称A1Rというモデル。CPUにモバイルceleronの366MHz、メモリ64MB(最大128MB)、6GBのUltraATA HDDを搭載しているのに、いわゆるB5ファイルサイズのコンパクトさであるにも関わらず、液晶ディスプレイはXGA(1,024×768ドット)だと言う、去年あたりにノートパソコンを買った人は羨ましさを通り越してムカつきとなってしまうような先端的スペックだ。

 コンピュータ的なスペックがまったく同じモデルで、A1Vというのがあるが、こちらは前述の無線による通信機構がない。そのかわりに、56kbpsのモデムが内蔵されている。
 ともあれ、A1RおよびA1Vに関する詳細情報は、パナソニックのLet's noteのサイトをご覧いただきたい。ちなみに、このウェブページは、なんかこう時期を追うごとに見やすくなっていて、かなりよくできている。もしかしたら俺のレビューなんか読むよりパナソニックの紹介サイトをじっくり調べた方が時間の無駄にならなくていいかも~、なんて思ったりして。

 さて、このマシン(A1R)に触れて、やはり最初にグッとクるのは、ワイヤレス通信モジュールの利便。ワイヤレス通信モジュールは、電話回線側に付くワイヤレスステーションと、A1R本体側に内蔵されているアンテナ(とモジュール)が、一組になって動作するもの。大雑把に言うと、A1Rのシリアルポートと、電話回線側のに付けたワイヤレスステーションのシリアルポートを、無線で直結するようなシクミである。なお、無線で通信できる距離は、見通し半径100メートル以内ということだ。

 ワイヤレス通信モジュールはどういうふうに使うのかというと、時には“電波のシリアルケーブル”として、時には“電波のシリアルケーブル&56Kモデム”として、さらには“ケーブル接続用の電波のシリアルケーブル+電波のシリアルケーブル&56Kモデム”のようにも使える。

 つまり、ISDN回線の人なら、TAとワイヤレスステーションをシリアル接続すれば、パソコン(A1R)とTAの間は一切の結線をせずに64Kのデータ通信ができる。 アナログ回線の人なら、壁とかにあるモジュラージャックとワイヤレスステーションをモジュラーケーブルで接続すれば、やはりパソコンと壁の穴の間は一切の結線をせずに56K(アナログモデム)でのデータ通信ができる。

 さらに、電話回線とは関係なく、ワイヤレスステーションのシリアルポートに別のパソコンをつなげれば、そのパソコンとA1Rの間は一切の結線をせずに、ケーブル接続によるファイル共有などができる。

 ちなみに、ワイヤレスステーションにはシリアルポートがひとつしかないので、A1RをTAとつないだうえ他のパソコンとケーブル接続することはできない(当たり前ですな)。逆に、アナログ回線へモジュラーケーブルでワイヤレスステーションをつなぎ、同時に(ワイヤレスステーションの)シリアルポートに別のパソコンをつなげば、A1Rはインターネットもケーブル接続も無結線でこなせるマシンになるわけだ。

 要するに、今まではパソコンと電話回線の間にはいつも必ず何らかのケーブルが這っていたのだが、A1Rのワイヤレス通信モジュールを使えば、あの忌々しいケーブルが不要になるってわけだ。

 ケーブル不要でネットに接続できるってことはつまり、モバイルにおいてケータイなどを使っていつでもどこでも通信するのと同じ利便があることだ。しかも、デジタル携帯電話やPHSに比べたら格段に安くて相対的に速いフツーの電話回線こと加入回線を使える。なので、A1Rを使えば、トイレの中だろうと屋根裏だろうと庭先だろうと、あるいは風邪ゆえベッドの中から出られなかろうと、電話回線の場所にほとんど左右されずにネットを使えるのだ。

 まあ、これまでにも、無線によってシリアルケーブルの代役をさせるような装置はいくつかあった。が、A1Rのワイヤレス通信モジュールはA1R内にコンパクトに収まっている点と、前述のように単なる無線シリアル結線だけにとどまっていない点が、ちょいとグッとクる魅力なのである。



■ ワイヤレス以外の点はどーなのか

 けっこうイイ感じなのが、A1Rのボディの感じ。まあ、単なる平たい板っ切れという点においてはフツーのノートパソコンなのだが、表面の塗装処理がキレイ。最初見た時は、松下製のケータイっぽいというイメージだった。水滴を落とせばその表面張力で確実に水玉が転げ落ちるであろう、滑らかな表面処理。顔がクッキリ映るような光沢。この、クリアメタルコートと呼ばれる表面処理は、これまでのいわゆるB5モバイルパソコン(銀パソ系)にはちょっとない、落ち着いていてシックな質感だ。サイバーだぜハイテックだぜテクノロジーだぜ~、という感じは全然せず、なんかこう、家具調というか、限りなくツルツルしてて気持ちイイというか、そんな新しいタッチだ。

 あと、デジタル携帯電話(PDC)およびPHS用のデータ通信アダプタを内蔵しており、別売のケーブルで手持ちのPDCなりPHSなりに接続すれば即、データ通信ができるという点も、パナソニックお得意のギミックだ。
 それから、i.LINK端子が搭載されたので、パナソニックのDVカメラ等から動画や静止画を(デジタルデータのまま)撮り込める。例えばビデオメールなんかが手軽にできる機能なのだが、DV映像が撮り込めるからDTVだーっというわけにはいかない。撮り込める動画は最大約1分(約230MB)という上限があるから、本格的なビデオ編集は現実的ではない。

 まあ、その他は特に「おっ!!」という感じはしなかったのだが、一歩引いてよーく考えてみたら、A1Rって全体的にかなりヒキが強いと感じる。パワフルな処理能力でしょ、広い画面でしょ、コンパクトさでしょ、そんでもって前述のワイヤレス通信モジュールでしょ、あとなんかオトナっぽいキレイさを持つ筐体。

 パナソニックのノートのわりと多くがそうなのだが、誰もが絶対に喜ぶようなギンギンのギミックはない代わりに、カタログを手にしてじっくり考えるとジワジワ押し寄せるような魅力が感じられる。A1Rもそんな感じで、この記事を書いている途中、俺のA1Rへの物欲はなだらかな右肩上がりで上昇しているので、そろそろ書くのをやめていきたい。


□Let's note A1R製品情報(松下電器)
http://www.pcc.panasonic.co.jp/letsnote/
□関連記事
【08/26】松下、ワイヤレスネットワークに対応し、i.Link端子搭載のB5ノート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990826/pana.htm

□週刊スタパトロニクス バックナンバー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/wstapa.htm

[Text by スタパ齋藤]


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