Click


スタパ齋藤

すげえ快適なDTV
~VAIO PVC-R70のその後~



■ VAIO PCV-R70のその後

ソニー VAIO PCV-R70
オープンプライス。品薄ぎみの製品なので、今から入手は難しいかも。着々とバージョンアップしてきている製品なので、路線変更がなければ後継モデルが出ることが予想される。これからなら、次期モデルを待ってみるのもいいかもしれない
 先日買って「これはナイスな感じ!!」と思ったソニーのDTV向けマシンことマイクロタワー型VAIO、PCV-R70が、ホントに非常に良かったので、今回はその後の経過などをご報告したい。

 まず、俺がR70を使って何をやっているのかについてだが、これはほとんどDVカメラで撮った映像を撮り込んでのDTVである。
 R70にはテレビ番組をMPEG-2録画できるという、なんか超最新型ビデオデッキみたいな機能があるのだが、実はコレはあんまし使っていない。理由は、その機能がつまらないとか使えないとかいうコトではなくて、R70によるDTVがすこぶる快適だから、テレビ録画の方はほとんどいじっていないという感じ。

 また、R70にはCD-R/RWという比較的有り難いCDドライブが内蔵されているが、これも全然使っていない。最初は、DTV用の気に入ったオリジナル素材などをどんどんCDに焼いちゃおうと思っていたのだが、どうも外付けのSCSIのMOばかり使ってしまう。

 ともあれ、俺のR70は、DTV専用マシンとしてかなり頻繁に活用されているのであった。



■ すげえ快適なPremiere 5.1J

 ここしばらくR70を使った結論として、まず自信を持って言えるのが、R70でのDTVはすっんげぇ快適だということだ。

 R70以前は、PCV-S600やPCV-S710を使ってDTVを楽しんでいた。これらのVAIOは、R70と同じく、DVデッキ等をiLINKで直結してDV動画をデジタル信号のまま撮り込むことができるマイクロタワー型コンピュータだ。

 で、S600やS710でも、十分快適にDTVできていたと思ったのだが、途中、Adobe Premiereの5.1Jが登場してからは、かつてのDTVがイマイチなものだということがわかった。その最大の理由は、Premiere 5.1Jは“プレビューが超っ速”だから。

 Premiereを使ったDTVの場合、動画と動画のオーバーラップとか、動画中へのテロップ挿入とか、あるいは動画へのフィルタリングなどの“特殊効果”は、そのままでは画面上に再現できない。実際にその特殊効果がどんなふうに現れるのかを見るためには、プレビューという処理を行なう必要がある。プレビューは、最終的な編集結果と同じ動画を生成するプロセスで、早い話、結局どんなふうな映像に仕上がっているのかが見られる処理だ。素材映像と、それに加えられた特殊効果を合成し、新たな動画を生成するプロセスだと言い換えることもできる。

 で、このプレビュー、多くのPremiereユーザーは頻繁に行なう。Premiere慣れしたセミプロみたいなPremiereユーザーならともかく、多くのPremiereDTV野郎は、編集中、頻繁にプレビューを行ない、編集の経過を実際に目で確かめているのである。

 が、Premiere 5.1J以前でのプレビュー処理にはかなり時間がかかった。時間的に長い区間や特殊効果が多い部分のプレビューをするとなると、プレビューを開始して部屋から出てトイレに行ってお湯をわかしてカップを出してコーヒーを淹れてコーヒーを飲んでタバコを吸ってカップや灰皿の後始末をして部屋に戻ってもまだ全然処理が終わってないなんてこともザラだった。プレビューは重い処理だったのである。なお、S600やS710などに入っていたPremiereは、これ以前のバージョンやライト版などである。

 ともあれ、Premiere 5.1Jが登場してから“プレビューは重いよネ”って常識が一変した。何でもPremiere 5.1Jでは、メモリ上にプレビュー用の映像を展開するようになったとかで、本当にもの凄く劇的にプレビューにかかる処理時間が短縮されたのだ。体感速度だと100倍とか300倍とか、そーゆー高速化がなされた感じだ。

 PremiereによるDTVにつきものだったプレビュー処理が、このように高速化されたゆえ、俺の意識は「DTVはおもしろいけどけっこう時間がかかるもの」から「DTVはおもしろくて速攻でやれるもの」に変わった。



■ すげえ快適なscan

 それから、VAIOでDTVするときにやはり必須のDV動画撮り込み関連ソフトであるDV Gate motionがVer.1.4になったことも、R70でのDTVを「快適だゼ!!」と思わせる一因だ。
 DV Gate motionは、VAIOにDV動画を撮り込んだり、あるいはVAIOからDVデッキ等に動画を書き戻したりする、VAIOとDV機器の関門となるようなソフトだ。従来のバージョンでも特に問題なく便利に使えていたソフトなのだが、Ver.1.4から新たにDV Gatescanという機能(ユーティリティとして動作するソフト)が加わった。で、コレが思った以上にDTV作業の効率を上げまくってくれた。

 DV gate motionを使う作業のうち、最も面倒というか時間がかかりがちなのが、DV動画の撮り込み、すなわち動画素材の確保だ。どうして時間がかかるのかと言えば、まず何度となく映像を再生し、再生しつつある種のポイントを指定する必要がある。

 これは、VAIOに動画を撮り込む際、まずテープ上のどこからどこまでを撮り込むのかを、素材の数だけ指定する必要があるからだ。具体的には、テープの時間軸上順方向に、A地点を撮り込み開始点、B地点を撮り込み終了点とするなら、A地点をIN点として指定し、B地点をOUT点として指定する必要があるのだ。

 また、1本のDVテープの中には複数の“素材として撮り込みたい映像”が入っているので、A地点とB地点の1組のIN点OUT点だけではなく、他にもC地点やD地点やE地点やF地点やG地点やH地点やI地点やJ地点やK地点やL地点やM地点やN地点やO地点やP地点やQ地点やR地点やS地点やT地点やU地点やV地点やW地点やX地点やY地点やZ地点やそれ以外のたくさんの地点があったりして、面倒くさくて何だかもう自殺したくなってくるほど何度もIN点OUT点を指定しなければならない。

  このような超面倒な作業を、これまでは全部手動で行なっていた。まあ、テープ全体を数個の動画ファイルとして大雑把に撮り込んでおいて、Premiere上で細かくIN点OUT点を指定するということもできるのだが、それをやるとなるとHDDに十二分な余裕がないといけないし、結局はIN点OUT点を手動で指定することには変わりなかったので、“素材映像を確保する”というのはやはり面倒で時間がかかる作業だったのである。

 ところが、DV gate motionがVer.1.4になって新登場したscanが、前述の面倒な手作業を全て肩代わりしてくれるようになった。scanは、DVテープ上の、録画の切れ目を、自動的に認識し、その点を自動的にIN点やOUT点として設定してくれるのだ。例えば、DVハンディカムなど(ていうかビデオカメラ)で撮影していると、何度となくあの赤いボタンを押し、いろいろなシーンを録画することになる。俺は男の中の男だから1本のビデオテープの中にはワンシーンしか録らない!! つまり60分のテープなら60分間連続した動画!! というような熱血宣言派は別として、普通は、十数秒から数十秒程度の比較的細切れの動画(シーン)が次々に録画される。で、scanはそれら細切れのシーンを、それそれ個別のファイルに保存するという手続きを自動的にやってくれるのである。

 というわけで、DV gate motion Ver.1.4のユーザーは、VAIOとDVデッキ等をつないでscanを起動すれば、あとはテープの再生を見ているだけで、IN点とOUT点が自動的に設定されるのである。もはやテープを何度も巻き戻して再生してチェックしつつIN点OUT点をマウスクリックで指定する必要はないのである。まあ、時にはひとつのシーンの中から複数の動画ファイルを作る必要も出てくるが、そういう時は、そこだけ後で手動でIN点OUT点を指定して撮り込んだり、あるいはPremiere上で1本の動画ファイルを複数に分割して使用すれば済む。ちなみに、scanで指定したIN点OUT点は、そのままDV gate motion(DVデッキから動画を撮り込んでファイル化するなどの機能を持つソフト)に受け渡され、クリック数発で動画キャプチャーは完全に終了する。

 あ~なんか、scanというソフトについてかなり長々と書いてしまい、ユーザーでない方には何のコトやらサッパリという感じかもしれない。が、ともかくscanは、力説しまくりたいほど、劇的な楽勝感をもたらしてくれたのであった。



■ すげえマトモなPCカードスロット

 実は、今だから思いっきりハッキリかつキッパリと言うのだが、初期というかだいたい'97年頃のVAIOのノート型には、俺的には絶対に許せない問題があった。いやVAIOだけではなく、他のメーカーのノートパソコンにもわりと見られた現象なのだが、コレふざけてんじゃねえよこのタコ!! という感じの、非常にダメな問題があった。

 それは、PCカードスロットの問題。例えば、俺が愛用していたVAIOノートのPCG-715は、そのPCカードスロットにフラッシュメモリカードとかモデムカードとかを挿すと、かなり高い確率でシステムがお亡くなりになった。たまには挿しても平気なことがあったが、そのカードを抜いた瞬間お亡くなりになることも非常に多かった。つまり、PCカード=VAIOノートキラーであった。この件は、PCG-715の世代のVAIOノートを使っている人の常識であり、その世代のVAIOノートユーザーの合い言葉は「PCカードを挿すときは祈れ!!」だと言われている。ちなみに、それ以前に使っていたDECのHiNote Ultra IIにも、わりと似たような現象が起きていた。ついでに、過去俺が使った東芝やIBMのノートマシンではこのようなPCカードスロット問題が全然起きなかったので、ノート買うなら東芝かIBMでしょやっぱ~などと思っているが、なんか最近ではこういうようなPCカードスロット絡みの問題はほとんど体験したり聞いたりしないようになったので、もはや過去のコトなのかもしれない。

 ところで、R70には、PCカードスロットが装備された。ソニーのパソコンにPCカードスロット……。俺はPCG-715の、前述のとおりのトラブルを想像した。もしかしたら、R70も……、などと不吉なことを想像してしまったのである。

 だが、R70のPCカードスロットは至って快調。すんげえ快調。全然問題なし。俺は主にフラッシュメモリカードとSCSIカードを使っているが、PCカードスロット絡みの問題は全然起きていない。なるほど時代は変わった、というかPCカードスロットがしっかりマトモに動いてくれて安心であり便利である。

 特に便利なのは、やはりフラッシュメモリカードやMOなどのストレージの利用だ。俺の場合はメインマシンがノートパソコンで、例えばちょっとした素材の静止画などはノートに入っていることが多い。こういう素材等をノートからR70に移行する場合、やはりPCカードスロット経由で使えるストレージは便利だ。フロントアクセスなので、一度設置したマシンを動かす必要ナシにいろいろなデバイスを接続できる。LAN経由でやりとりすればもっと便利って話もあるが、DTVマシンには余計な負荷をかけない方がいいと言えよう。しかも、定期的にパケットを受けたり送ったりするようなネットワークの負荷は、なーんかこう映像データを編集するマシンにかけたくない。なので、挿した時だけシステムに組み込まれるPCカード系デバイスが好きだったりもする。



■ 増設しまくりな俺

 新しいPremiereと新しいDV gate motion、それからPentium III 550MHzでHDD容量20GBで標準メモリ容量128MBのスペックで、かつてないほどすげぇ快適にDTVを楽しめている俺は、よりいっそう快適になりてぇという貪欲さから、メモリとHDDを増設した。

 メモリは128MBのを。HDDは10GBのを。結局、増設し終えたけど、なんかこう体感的な快適度の差というのは味わえなかった。特にメモリの方は……コレって効果あったのかなぁ……まあいいや、という感じであった。しかしDTVにおいてHDD容量は多い日も安心もとい多いほど安心であり快適だ。まあ、最初に確保された15GB(パーティションが設定されてDドライブとして用意されている)でも、十分問題なくDTVできる。例えば俺の場合、約10分ほどの動画を作ったが、それに要した素材等ワークスペースの容量は10GBだった。けっこう大雑把で無計画な使い方をしたのに、10GBで足りた。なので、こまめにHDDの整理をしていけば、まあたいていの場合、15GBで足りるだろう。だからプラス10GBの容量は大いなるフリースペースなのだ。

 と思ったのだが、なーんか市販のベアドライブがヤケに安いので、ちょっとだけ10GBの増設を後悔した。どうせなら20GBを増設すればよかったなぁ、と。しかし!! 10GBのHDDを増設してもなお、R70にはまだHDDを増設できるスペースがあるのだッ!!

 って言ってもかつてのマイクロタワー型VAIOユーザーじゃないと全然驚かないと言えよう。実は、R70の世代のマイクロタワー型VAIOは、それまでのマイクロタワー型VAIOよりも、物理的にちょっとだけ背が高いのである。その背の高さの分、ドライブ増設用のスペースが確保されている。場所は、CD-R/RWドライブとFDDの間で、5インチドライブサイズのデバイスならいろいろ増設できるようになっている。もちろん、CD-ROMドライブのように、マシン前面からアクセスする必要のあるデバイスでもOKだ。

 ともあれ、俺は、ココに20GBのHDDを増設してみた。結果、デフォルトの20GB+初増設の10GB+追加増設の20GB=50GB!! キャー!! こんなに容量あってどうすんだよ>俺!!

 などと突っ込まれそうだが、純粋にDTV用のスペースとして使えるのはおおよそ40GB程度。10分程度のPremiereプロジェクト(編集に必要なココのデータ集等)に必要な容量はだいたい10GB。この10GBの素材等から生成される編集結果としての完成版AVIファイル(10分程度)がだいたい2GB。つまり、俺の場合、フツーに10分程度の動画を編集するのに必要なスペースは、12GB要るのだ。加えて、部分的に直した動画を次々に新たな完成版AVIファイルとして追加したりする。同時に、もはや不要である旧完成版AVIファイルや、全然使ってない素材動画ファイルを消せない貧乏性な俺!!

 こうして、20GBくらいはすぐに埋まってしまうのであった。そう考えると、外部ストレージなし、つまり内蔵の40GB程度だと、10分程度の動画をふたつ編集できるだけなのだ。

 ん~、まあ15GBでもとりあえず足りるけど、やっぱりHDD容量はあればあるほど面倒がなくていいと言えよう。

 そんなわけで、R70のパフォーマンスやPCカードスロットの便利さ、DV gate motionとAdobe Premiere 5.1Jの効率の良さ、ついでに大容量HDDで、R70最高っスよ大満足っスよ買いっスよ買い!! とか思っている俺なのだが、なんかいつものソニーさんらしく、R70は市場では品薄というかほとんど店頭在庫がないとかちょっとあるとか。きっとしばらくするとR70をさらに速くしたマシンとかが出てくるんだろうなぁなどと思う。

□VAIO PCV-R70製品情報(ソニー)
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/PCOM/PCV-R/index.html
□Adobe Premiere 5.1J製品情報(アドビ)
http://www.adobe.co.jp/product/premiere/prodinfo.html

□週刊スタパトロニクス バックナンバー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/wstapa.htm

[Text by スタパ齋藤]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp