Click


プロカメラマン山田久美夫の
デジタルカメラ・ランキング

'99年8月18日版

【総評】

 お盆も過ぎ、出遅れていた夏の新製品がすべて出揃った。また、今年前半は200万画素機に人気が集中していたが、最近では手頃な130~150万画素級モデルの注目度が高まりはじめている点も新しい展開といえる。
このほか、各社とも秋に向けて新製品を用意しているようで、すでにティザー広告が始まっている新型Cyber-shotをはじめ、海外サイトではいろいろと非公式の情報が飛び交っており、現在は“嵐の前の静けさ”といえそうだ。
 今回は、すでに出荷された「オリンパス C-21」を新たに加え、「200万画素単焦点機」のランキングを更新した。

注:各分野の得点はカメラの特徴をわかりやすくするために便宜的につけているものです。順位は製品の質とか使いやすさのような数字に表われない部分も含めて総合的に判断していますので、必ずしも合計点と順位は一致しません。


【200万画素級ズーム機】 
順位 メーカー名 機種名 画質 機能 操作性 軽快感 デザイン 携帯性 コストパフォーマンス
1 オリンパス C-2000ZOOM ★★★★ ★★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2
2 ニコン COOLPIX950 ★★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★★
3 コダック DC280J ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 ★★★★
4 富士フイルム FinePix2900Z ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★1/2 ★★★★
5 リコー RDC-5000 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★1/2 ★★★1/2
次点 京セラ SAMURAI 2100DG ★★★ ★★★ ★★★ ★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★

●200万画素級ズーム機

 200万画素級のズーム機は今回、新製品の登場で一気に6機種となった。そのため、今回はベスト5+次点となった。

 1位は、今回も「オリンパス C-2000ZOOM」とした。総合的な実力は2位の「COOLPIX950」とほぼ互角。しかし、本ランキングは一般的なユーザーを前提としているため、撮影のしやすさと軽快さを重視して、今回も本機をトップとしている。
 なお、本機はオートパワーセーブ後に電源が入らなくなるというケースが報告されているが、対処策も同Webで公開されているので、ユーザーは一読しておくことをオススメする。
【デジタルカメラ・サポート情報】

 2位も前回同様「ニコン COOLPIX950」。画質面ではC-2000ZOOMを上回っており、カメラのカスタマイズ機能なども充実した高機能モデルだ。だが、スタイリングが特殊で慣れを必要とする点と、液晶モニターが暗く、日中屋外での視認性が低い点で2位とした。また、いまだに品切れの店が多く、容易に入手できない点も気になる。この2機種については、具体的な違いについて比較レポートした「COOLPIX950 V.S. C-2000ZOOM」を参照してほしい。
 なお、本機のファームアップグレード(Ver.1.1)が7月中旬に公開され、バグがかなり解消されている。
 そのため、すでに購入したユーザーはバージョンアップすることをオススメする。ただし、シリアルケーブルが必要なうえ、バージョンアップ中にトラブルがあった場合、致命的な状態になる可能性もあるため、作業には細心の注意を払う必要がある。
【ファームウェアアップデート】

 3位はようやく市場に並んだ「コダック DC280J」とした。本機はこのクラスでは珍しく、高機能よりも日常的な使いやすさを重視したコストパフォーマンスが高い普及型200万画素ズーム機だ。
 価格は、オープンプライスだが、大手量販店の店頭価格は69,800円前後と、このクラスでもっともリーズナブルだ。コダックの歴代モデル同様、パソコンへの接続キットも同梱されていることを考えると、かなりのお買い得モデルだ。また、USB接続ができるため、対応機種であればシリアル経由よりも遙かに軽快なデータ転送ができる点も大きな魅力だ。
 本機は先に発売された「DC240」と同じボディーシェルを採用しているので、サイズは若干大きめだが、ズーム機としてはかなり薄型に仕上がっている。また、レンズがセンターに配置されたデザインのため、ホールド感も普通のコンパクトカメラに近い感じだ。
 レンズは新設計のワイド系2倍ズーム(35mmカメラ換算で30~60mm相当)を搭載しており、屋内撮影や建物の撮影などでの撮影に便利。使用感もなかなか軽快。バッファーメモリーの関係で、3枚目までは、3秒程度の待ち時間で軽快に撮影できる。残念ながら、そのあとの処理は遅いが、通常の撮影では実用十分なレベルだ。
 画質はコダックのモデルらしく、キレイで見栄えのするもので、肌色の再現性もなかなか優秀。解像度も十分に高く、シャープな写りが得られる。本機はズーム機ながらも、ハイパフォーマンス指向ではなく、実用性の高さを指向したもので、肩肘張らずに日常的に使える、高コストパフォーマンスな新感覚200万画素ズームだ。
【実写画像】

 4位は、「富士フイルム FinePix2900」とした。本機は実用性重視のモデルであり、C-2000ZOOMとCOOLPIX950のような“派手さ”や“色気”が感じられず、やや不器用な印象さえ受ける。しかし、シーン自動認識オートホワイトバランス機能の採用で、オートのままでも見た目に近い自然な色調が得られる点は大きな魅力。上位2機種のオートホワイトバランス機能が貧弱なだけに、この点は大きな魅力だ。また、原色系CCDならではのクリアな色調も特筆に値する。解像感もFinePix2700に比べて明らかに向上しており、細部の描写も2700ほど不自然な感じはない。ただ、5秒間の記録待ちはややストレスを感じるが、割り切ってしまえば待てない時間ではない。
 一時期は71,800円という破格な値段だったが、最近では大手量販店でも79,800円前後で安定しているのが残念だ。
【実写画像】

 5位は「リコー RDC-5000」。このモデルは、本格的な高機能機というよりも、シンプルで親しみやすい方向を目指したモデル。ズーム比は、2.3倍とやや寂しいがそのぶん薄型に仕上がっている。画質的には原色系CCDらしい明快な色調だが、画面周辺が暗くなる点は気になるところ。また、操作感の点でも軽快感に欠ける部分がある。とはいえ、ズーム機としては実販価格がかなり手頃な点は魅力。
 また、ファームウェアの有料アップグレードサービスが8月6日から開始されることが、同社のWebで予告されている。改良点は64MBスマートメディア対応などの機能面での強化がメインのようで、画質や処理時間などが改良されているかどうかは不明だ。
【アップグレードサービス案内】 【実写画像】

  次点は「京セラ SAMURAI 2100DG」。このモデルは、クラス最高の4倍光学ズーム搭載機であり、SAMURAIというネーミングから想像がつくようにデザインもきわめて個性的だ。使ってみると、やはり光学式4倍ズームは結構楽しく、操作性も個性的ではあるが、慣れるとなかなか使いやすい。ただ、実販で10万円近いモデルでありながらも、液晶表示品質が今ひとつで、機能面でもライバル機に比べてやや見劣りする部分があるのが残念。また、画質面では、解像度は十分に高いが、色や階調性にややクセがある。個性の強いモデルだけに、好き嫌いが分かれるところではあるが、もう少し基本性能をアップしてほしい。


【200万画素単焦点機】 
順位 メーカー名 機種名 画質 機能 操作性 軽快感 デザイン 携帯性 コストパフォーマンス
1 ニコン COOLPIX700 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★
2 オリンパス C-21 ★★★★ ★★★★ ★★★★1/2 ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
3 東芝 M4 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★ ★★★★1/2
4 ソニー DSC-F55K ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2
5 エプソン CP-800 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2
6 富士フイルム FinePix2700 ★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 ★★1/2 ★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2
7 コニカ Q-M200 ★★★ ★★1/2 ★★1/2 ★★ ★★★ ★★1/2 ★★1/2

●200万画素級単焦点モデル

 ますます混戦状態になってきた200万画素単焦点モデル。店頭での価格は59,800~69,800円に落ち着きつつあり、130~150万画素級モデルとの価格差も縮まっている。このクラスは、高機能な200万画素級のズーム機と、より手頃な130~150万画素級モデルに挟まれた形になっている。価格、性能ともに、バランスがいいクラスではあるが、その反面やや中途半端な印象もないではない。

 コンパクトさが売り物の「オリンパス C-21」が加わったことで、ますます選択肢が増えたが、やや乱立気味でどんぐりの背比べ的な印象だ。選択肢の多さを受けて、ランキングも7位まで広げている。

 このクラスは、評価ポイントにより、どの機種がトップになってもおかしくないほどの実力を備えており、実販価格の変動により、“オススメ度”も変わってくる。もちろん、機能や画質に違いはあるが、総合的に見たときの実力はほぼ伯仲している。そのため、ある意味ではどの機種を選んでも、さほど後悔することはないだろう。

 1位は前回に続き「ニコン COOLPIX700」。このモデルの魅力はバランスが良く、誰でも安心して撮影できる点。また、機能も充実しており、凝った撮影も十分に楽しめる。また、実販価格も59,800円前後の店が多く、お買い得感も十分にある。実にオーソドックスなモデルだが、トータルバランスがいいため、長い期間安心して愛用できるモデルとして、とくにオススメだ。
 ただ、以前レポートしたように、比較的暗めのシーンで若干フレアっぽくなる傾向がある点と、USB対応でない点はやや気になる。
【レポート】

 2位は「オリンパス C-21」。本機はクラス最小最軽量のモデルであり、デザイン的にもなかなか高級感がある。画質もクラストップレベルの切れ味のよさがあり、なかなか好感が持てる。また、以前レポートしたβバージョンに比べ、製品版では、操作部(シャッターボタンやレンズバリアなど)がよりスムーズに動くように改良されており、全体に軽快感が増した感じだ。ただ、各操作ボタンがきわめて小さく、使用頻度の高い再生ボタンが押しにくい点は気になるところ。電池も単三型ニッケル水素電池か、専用のリチウム電池のみという点もチェックポイントだ。実販価格は発売直後ということもあって68,800円前後と若干高めの設定だが、トータルバランスの高さから、今回は2位とした。実販価格が下がれば、トップになる可能性もあるモデルだけに、今後の市場価格に注目したい。
【レポート】

 3位はワンランク下がった「東芝 Allegretto M4」。だが、コンパクトで軽快さなモデルであり、59,800円というきわめて手頃な実販価格はいまも大きな魅力といえる。
 本機は、東芝が独自に設計した、コンパクトな214万画素モデル。デザインや質感は好みが分かれるところだが、わずか1秒で次のシャッターが切れる(液晶モニター使用時で撮影後のプレビューをOFFの場合)、現行機で最速の軽快さは大きな魅力。操作性も良好で、USB対応である点もなかなか便利だ。画質は、解像度が高く色調も適度に鮮やかだ。ただ、実効感度が低めでブレやすい点と電源が特殊形状の充電池である点はやや残念。
【実写画像】

 4位は「ソニー Cyber-shot DSC-F55K」。単焦点タイプとしては実販価格が高く、ズーム機と同レベルだが、デジタルカメラならではの楽しさを感じさせる数少ない200万画素モデルだ。また、限定発売のブラックボディもなかなか高級感がある。
 画質もなかなか良好で、原色系CCDらしいクリアでヌケのいい色調は大きな魅力。起動時間や記録待ちも早くて軽快であり、MPEG-1での動画撮影もきわめて便利。透過/反射両用の液晶パネルの使い勝手も良好だ。欠点としては、スローシャッターがないため、暗いシーンではゲインアップされてノイズっぽくなる点、絞り羽根の形状がいびつで点像のボケが四角くなる点、メモリースティックがまだ16MBまでしかない点などが挙げられる。個性的で魅力的なモデルであり、上位機種の登場で、もう少し価格がこなれてくるとうれしいのだが……。
【レポート】

 5位は「エプソン CP-800」。本機は実力のある好バランスモデルだが、実販価格が74,800円~79,800円とかなり高め。接続キットやソフト込みとしても、この価格差はかなり大きい。もちろん、使い勝手の良さや携帯性、画質の良さは大きな魅力であり、長期間愛用するのであれば、実力の高い本機をオススメする。だが、これだけの価格差があると、ちょっと考えてしまう部分もある。
【レポート】

 6位は「富士フイルム FinePix2700」。一部の店では6万円弱で入手できる。本機は、携帯性がよく、画質面でも色調や階調性はトップレベル。解像感はもの足りないが、サービス判程度のプリントなら十分な実力だ。また、起動は速いのだが、記録待ちには約7秒もかかり、再生時のコマ送りも遅い点はライバル機に対して見劣りがする。遅さや解像感がさほど気にならない人には、十分にお買い得なモデルだが、気軽に使うのであればむしろ、同社のFinePix1500のほうがオススメだ。
【レポート】

 7位は「コニカ Q-M200」。コンパクトカメラ風の高級感のあるデザインだが、単焦点モデルとしては、大きく重い点が気になる。また、全体の動作もかなり遅く、軽快感に欠ける。さらに、液晶モニターの表示品質も優れない。画質面では、解像度はまずまずだが、ハイライトが飛びやすい点が気になる。また、色調も悪くはないが、多少好みが分かれるところ。ライバル機を越える部分があまりなく、価格も飛び抜けて安いわけではないため、今回はあえて7位とした。


【200万画素未満(ズーム・単焦点)】 
順位 メーカー名 機種名 画質 機能 操作性 軽快感 デザイン 携帯性 コストパフォーマンス
1 富士フイルム FinePix1500 ★★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★
2 三洋電機 DSC-X110 ★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★★
3 オリンパス C-900ZOOM ★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★
4 キヤノン PowerShot A50 ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★1/2 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★★
5 コダック DC240 ★★★1/2 ★★★ ★★★1/2 ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★1/2
番外 ソニー DSC-D770 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
参考 三洋電機 DSC-SX150 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★★ ★★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★1/2

●200万画素未満

 ここに来て、魅力的な新製品が再び登場しはじめた200万画素未満のクラス。いまや、市場では200万画素クラスが主流になっているわけだが、今年登場した新製品は、いずれもがかなりの実力派。そのため、ともすると数値優先になりがちな200万画素クラスよりも、バランスのいいモデルや個性的なモデルが登場してきており、注目に値する動きを示している。

 もちろん130~150万画素クラスの画質は、使用目的がテレビ画面やPCのディスプレイでの利用には、必要十分過ぎるほどの実力。しかも、最新モデルでは、画質面や実効感度の面でも、昨年の130~150万画素機よりワンランクアップしており、解像度的に見ても、はがきサイズのプリントはもちろん、A5サイズでも十分耐えるレベル。さらに、階調や色再現性が優れているため、プリントから受ける印象は十分に見栄えのするものとなっている。また、実効感度の高さやデータのハンドリングの軽さという点では、200万画素機よりも有利な部分も多い。

 いろいろな意味で、最新の130~150万画素機は、気軽にデジタルカメラを使いたい人にとって、なかなか魅力的でコストパフォーマンスの高いクラスへと進化しつつある。

 1位は「富士フイルム FinePix1500」。薄型の150万画素(有効画素数131万画素)単焦点レンズ搭載機で、手軽で携帯性がいい。CCDは新設計のもので、画質は昨年のFinePix700よりも1ランク上で200万画素モデルに迫る実力を備えている。とくに、シーン自動認識オートホワイトバランスにより、オートのまま見た目に近い色再現性が得られる点も大きな魅力だ。
 起動時間は約2秒、記録待ちは約4秒と実用十分なレベル。電源は単三型2本だが、付属のニッケル水素電池では、液晶ファインダーメインでも100枚前後の撮影ができる。
 カラーバリエーションモデルも市場に並んでおり、購入時にボディーカラーが選択できる点も好ましい。実販価格もすでに5万円を切っており、気軽なスナップ用や入門用カメラとして安心してオススメできるモデルだ。また、“通の常用機”としてもオススメだ。
【実写画像】

 2位は「三洋電機 DSC-X110」。瞬間記録の超軽快85万画素モデル。本格的な動画対応も魅力的だ。実質的な後継機となる動画対応の150万画素モデル「DSC-SX150」が発表されたこともあって、実販価格がかなり下がっており、4万円台前半、場合によっては3万円台でも購入できるため、今回は2位とした。なお、ハードウエアは共通で、ファームが一世代前の「DSC-X100」の実販価格も下がっているため、場合によっては、DSC-X100を購入し、5,000円のファームのアップグレードサービスを受けた方がお買い得な場合もある。
 価格も手頃な、動画も撮れる超軽快なメモ用機としてオススメだ。
【実写画像】

 3位は「オリンパス C-900ZOOM」。昨年後半の大ヒット作であり、大きめだが完成度の高いモデルだ。最新のこのクラスの機種と比べると、遅さを感じる部分もあるが、デザインや親しみやすさといった点では現行機でもトップレベルの実力だ。しかも、実販価格はすでに大半の店で49,800円前後と十分に手頃な点を評価して、今回は3位とした。

 4位は「コダック DC240」。新世代130万画素ズーム機ながらも店頭では5万円台とお手頃。さらに、従来の同社モデルとは比較にならないほどの高速化が図られており、軽快で気持ちよく撮影できる。また、ファームウェアのアップデートにより、画質や液晶表示のレスポンスの向上がきちんと図られている点も高く評価したい。
【レポート】

 5位は「キヤノン PowerShot A50」。このモデルは、今春登場したこのクラスのなかでも、ひときわスタイリッシュ。価格も接続キット込みで6万円前後とお買い得だ。A5 ZOOMに比べると記録待ち時間も短くなり、画質も向上している。おとなしい色調は従来のままだが、さらに完成度の高いモデルに仕上がっている。

 番外は新製品である「ソニー Cyber-shot PRO DSC-D770」。価格の点で、今回もあえて番外としたが、いまだにパーソナル機で、本機ほど本格的な機能を備えたモデルが他に見あたらない。一眼レフファインダー、光学式5倍ズーム、フルマニュアル機能など、他機種では得られない世界を備えており、唯一無二のモデルというわけだ。しかも、今回のD770では、一眼レフファインダー上できちんとピントが確認できるようになった点と、ISO感度の50の画質優先モードの新設で、よりノイズの少ない画質を実現している点は高く評価できる。また、画像のヒストグラム(輝度分布)表示や、ピント合わせ用の液晶拡大表示機能なども実に便利だ。絵作りは比較的大人しいものだが、これは撮影後にユーザーが画像処理ソフトで自分の意図に最適な画像を作れるように考えられたものだ。高価ではあるが、本格的な作画用モデルとして、積極的に選ぶ理由のある真のハイスペックモデルだ。

 今回は、未発売の参考機種として「三洋電機 DSC-SX150」の星取り表も掲載した。このモデルは、「DSC-X110」の実質的な後継機であり、コンパクトなボディー、瞬間記録、本格的な動画撮影機能といった特徴がすべて盛り込まれた意欲作だ。画質はベータ版モデルでも優秀で、150万画素クラスでトップレベルの実力。しかも、CF Type2に対応しているため、340MBのMicroDriveを利用することもでき、フルサイズのノーマルモード画像であれば、1,300枚前後というとてつもない枚数の記録もできる。また、本機からは動画もQuickTime形式になっており、VGAの動画(秒間15フレーム)での高画質記録をサポートしている点も注目に値する。まだ、発売前であり、実販価格によっては、200万画素未満クラスはもちろん、動画対応機としても、トップクラスを狙えるポテンシャルを秘めたモデルだ。


【動画対応モデル】 
順位 メーカー名 機種名 記録形式 Mac対応 最長記録時間 画質(動画) 画質(静止画) 機能 操作性 軽快感 デザイン 携帯性 コストパフォーマンス
1 ソニー DSC-F55K MPEG-1 60秒 ★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★ ★★★1/2 ★★★ ★★★
2 三洋電機 DSC-X110 AVI(※1) 120秒 ★★★★ ★★1/2 ★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★1/2
3 シャープ VN-EZ1 MPEG-4 × 制限ナシ(※3) ★★ ★★ ★★1/2 ★★★ ★★★★ ★★★1/2 ★★★★1/2 ★★★1/2
4 ソニー MVC-FD91 MPEG-1 60秒 ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★1/2 ★★1/2
5 カシオ QV-5500SX AVI(※1) 9.6秒 ★★1/2 ★★★ ★★★1/2 ★★1/2 ★★★1/2 ★★★ ★★★ ★★★
番外 カシオ カシオペアE-507 CMF(※2) × 内蔵メモリに依存 ★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★1/2

※1 Open DML Motion JPEGフォーマット準拠(Apple QuickTime3.0以降が必要)
※2 MPEG-1ベースのカシオオリジナル(Windows Media Playerで再生可)
※3 記録メディアの容量に依存

●動画対応モデル

 1位は「ソニー DSC-F55K」とした。本機の最大の魅力は、静止画と動画のいずれも、クラストップレベルの画質と軽快さだ。CCDは211万画素タイプ。動画撮影時の画像サイズは、320×240ピクセルと160×112ピクセルの2種。画像フォーマットはMPEG-1を採用しており、データサイズも小さく、再生環境も幅広いので、ネット上での利用にも適している。
 動画時の画質も良好で、原色系CCDらしいクリアで鮮やかな色調は魅力。動画の動きもスムーズで、音声も明瞭だ。さらに、静止画時の画質も200万画素モデルらしい切れ味のいいものだ。その意味で本機は、これ1台で、動画も静止画も十分に満足できるレベルの画質を実現した、バランスのよいモデルだ。実販価格もキット込みで8万円を切っており、お買い得感もある。
 ただし、動画撮影が最長で1カット60秒までという制限がある点や、メモリースティックの最大容量が現時点では16MB止まりなのは気になる。
【レポート】

 2位は「三洋電機 DSC-X110」。“動画デジカメ”の愛称で知られる、コンパクトで軽快な85万画素モデルだ。動画画像サイズは320×240ピクセルと160×120ピクセルの2種。画像フォーマットは、AVIでコーデックはOpen DML準拠のMotion JPEGとなっている。MPEG-1タイプに比べ画質はいいが、ファイルサイズが大きくなるのは難点だ。そのため、Webやメールの添付ファイルなどの通信用途にはやや重い。画質がいいため、パソコン上で家族の動画アルバムを再生したり、カメラのビデオ出力機能を使ってテレビの大画面で楽しむなどの、簡易ビデオ的な用途に向いたモデルだ。カメラ本体にスピーカーが無いため、カメラでの再生時には画像のみになる点や、記録媒体がスマートメディアのため、メディアの容量が不足しがちになる点は残念だ。
 ボディーサイズはかなりコンパクトで携帯性も良好。また、静止画撮影時の記録時間もきわめて短く、軽快なモデルに仕上がっている。85万画素モデルだけに、そろそろ解像度の面ではやや物足りない感じもあるが、色再現性はなかなか良好。実販価格も4万円台と動画対応機のなかでも安価なうえ、画質の高い動画が撮影できる、コストパフォーマンスが高いモデルだ。
 なお、すでに上位機種「DSC-SX150」が発表されており、ここであげた欠点のほとんどが解決されていることから、登場を待つという選択肢もある。

 3位は「シャープ インターネットビューカム VN-EZ1」。世界初のMPEG-4カメラだ。本機の場合、ベースは動画カメラであり、静止画撮影機能は付加的なもの。また、“インターネットビューカム”という名称通り、基本的にはネット上での動画利用がメインであり、本体にはビデオ出力さえないという、かなり割り切ったモデルだ。
 CCDは35万画素タイプ。動画撮影時の画像サイズは160×120ピクセルがメインで、用途に応じ4段階のビットレートを選ぶことができる。画像通信を意識したストリーミング再生に対応したLPモードを備えている点も特徴だ。また、240×320ピクセルモードも備えているが、こちらはビットレートも低めでメインでは使えない。静止画撮影は640×480ピクセルのVGAサイズで、メモ用途と割り切った方がよい。
 記録形式はASFフォーマットのMPEG-4だ。先に述べたように再生環境はまだ限られており、現時点ではMacintoshでは再生ができない。そのため、インターネット上で公開する場合には視聴者を選んでしまう欠点がある。
 正直なところ、レンズ性能もあって画質面ではあまり期待できないが、PC上での簡単な動画スナップやWeb上で動画を利用したい場合には必要十分なレベルだ。また、長時間の動画記録ができるため、取材や講演などでは動画入りのサウンドメモ的な使い方もできる。
 サイズはきわめてコンパクト。実販価格も5万円を切るので、手頃な価格の動画スナップ専用機として魅力的な存在だ。
【レポート】

 4位は「ソニー デジタルマビカMVC-FD91」。このモデルは、FD記録式の85万画素機だ。動画フォーマットはMPEG-1。サイズは120×160ピクセルと240×320ピクセルで、記録時間はそれぞれ約60秒と15秒となっている。
 レンズは光学手ブレ補正機能付きの光学14倍ズームと本格的で、超望遠撮影が気軽に楽しめるという点では、現行機のなかでもきわめて貴重な存在だ。さらに、ファインダーは2.5インチ液晶のほか、液晶ビューファインダーも装備している。この液晶ビューファインダーは、一眼レフ感覚での撮影ができるうえ、日中の明るい場所でも視認性は良好。さらに、マニュアルフォーカス時のピント確認もしやすいなど魅力的な機能だ。
 私自身、インターネット上でのイベント取材や簡単な商品撮影に頻繁に利用する機材であり、豊富な機能や使い勝手のよさは相当なレベルにある。もっとも、記録媒体が1.44MBの3.5インチFDのため、容量が絶対的に不足してしまうのが難点。また、スローシャッターがなく、暗いシーンではゲインアップによる感度不足を補うタイプで、かなりノイズっぽくなるのも気になるところ。そして、高機能とはいえ、138,000円という価格(実売価格でも9万円台)は一般的ではないため、今回はあえて4位とした。

 5位は「カシオ QV-5500SX」。このモデルは131万画素の軽快な単焦点モデルで、同シリーズとしては初めて、カメラ内で最終動画ファイルを生成できる点が特徴だ。
 動画撮影時の画像サイズは、160×120ピクセルと320×240ピクセルの2種だが、連続記録時間は3.2秒、6.4秒、9.6秒の3種類しか選べず、最長でも10秒足らずという点は残念。画像フォーマットはAVIで、コーデックはOpen DML準拠Motion JPEGを採用している。
 本機は昨年発売された「QV-5000SX」をベースにしており、大容量バッファーの採用で静止画撮影には約0.5秒間隔での連続撮影を実現している。機能も豊富で、130万画素単焦点モデルのなかでもトップレベルだ。また、インターフェイスの面でも液晶モニター上に仮想の電子ダイアルを表示させることで、感覚的な操作ができるよう考えられている。
 画質面では、色や階調性はいいが、解像度がこのクラスのモデルとしては不足気味な点が気になる。また、ボディーサイズも単焦点モデルとしては大きめで、もう少し高級感が欲しいところ。実販価格が安く、機能も豊富だが、やや決定打に欠けるモデルのため、今回は5位とした。

 また、今回は番外として、ややジャンルは異なるが、あえて「カシオ カシオペアE-507」を選んだ。本機は基本的にWindows CE搭載のPalm-Size PCだが、35万画素でレンズ回転式のデジタルカメラユニットが標準セットになっている。
 本機のカメラ機能は、なかなかよくできており、このセットのみで640×480ピクセルの静止画と動画の両方が気軽に撮影できる。動画撮影時の画像サイズは320×240ピクセルと160×120ピクセル。画像フォーマットは、CMFと呼ばれるMPEG-1ベースのカシオの独自形式を採用。Windows Media Playerで再生可能だが、ASF形式のMPEG-4同様、初回のみコーデックのダウンロードが必要な場合もある。また、Macintosh環境では再生できない。
 画像の記録は内蔵メモリ専用。もちろん、Palm-PCのためCFカードが利用できるわけだが、撮影時にはCFスロットにカメラを装着するため、内蔵メモリに保存せざるを得ないわけだ。
 撮影感覚は独特。なにしろ、液晶サイズが大きいため画像が見やすく、ビデオカメラの大型液晶ファインダーで撮影しているような感覚で、なかなか気持ちよく撮影できる。また、MPEGベースなのでファイルサイズも小さく、意外なほど内蔵メモリを圧迫しない。
 動画時の画質は意外に良好で、MPEG-4カメラである「インターネットビューカム」を上回るほど。静止画時の画質は往年のQV-100を連想させるようなレベルだが、メモ用と割り切れば実用レベル。Palm-PCのコンセプト通り、デスクトップPCとの連携を重視した出先での情報収集携帯端末として実によく考えられたモデルだ。
 125,000円という価格は決して安いものではないが、カラー液晶搭載のPalm-PCとしての使い勝手の良さと、いつでも気軽に動画と静止画が撮影できる点で、通常の動画対応機にはない魅力を備えた異色の動画対応モデルとなっている。


□関連記事
マーケット関連情報一覧(デジタルカメラの実売価格調査と売れ筋ランキングあり)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/market/i_market.htm

■注意■

[Reported by 山田久美夫]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp