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★ ゲームソフトインプレッション ★

キミも悪のダンジョンマスターを演じてみないか?
ダンジョンキーパー2


スクリーンショット

 
【ゲームの内容】
     プレーヤーはダンジョンキーパーとして、洞窟内に攻め入る正義の味方などの侵入者を罠にかけたり、クリーチャーを使って撃退する戦略シミュレーションゲーム。前作より新たに3Dエンジンを搭載し、より迫力のあるゲームに仕上がっている。
【動作環境】
  • CPU:Pentium 200MHz以上(Pentium II 300MHz以上推奨)
  • RAM:32MB以上(64MB以上推奨)
  • HDD:350MB以上
  • 解像度:DirectX6.1対応グラフィックカード(Direct3D対応の3Dグラフィックアクセラレータ)
  • サウンド:DirectX6.1対応サウンドカード
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上のCD-ROMドライブ(24倍速以上推奨)

エレクトロニック・アーツ・スクウェアのホームページ
http://www.japan.ea.com/
「ダンジョンキーパー2」の製品情報
http://www.japan.ea.com/archive/dk2/
BULLFROGのホームページ(英文)
http://www.bullfrog.ea.com/
「Dungeon Keeper 2」のページ(英文)
http://www.dungeonkeeper.com/enter/enter.htm
□関連記事
【7月31日】ゲームソフトインプレッション「Dungeon Keeper」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970815/weekend.htm



 ファンタジーゲームの定番といえば、「悪の魔王 vs. 正義のヒーロー」というシンプルな構図。もちろんプレーヤーは正義のヒーローを演じて冒険を続け、旅の途中でレベルを上げたり強力な武器を手に入れたりしながら、最後は敵の本拠地「ダンジョン」へと乗り込む。襲いかかるクリーチャーをバッタバッタと斬り捨てて突入し、悪の魔王を倒して大団円……というのがお決まりの展開だ。

 しかし、ちょっと待ってほしい。よくよく考えてみれば、悪の魔王にだって悪の魔王なりの理由があって戦っているはずだ。ダンジョンの中で出会うクリーチャーたちも、上司とのしがらみや給与問題、穴掘り仕事や戦闘訓練で、意外につらい毎日なのかもしれない。
 そもそも、プレーヤーは本当に「正義のヒーロー」なのだろうか? 身勝手な正義や出世欲、名誉欲を満たすためにダンジョンに踏み込み、殺戮と強奪を続ける勘違い野郎である可能性はないのか?
 という、いままでのお約束とはまったく逆の立場で生まれたゲームが、'97年に発売された前作「ダンジョンキーパー」だった。そしてよりパワーアップした新作「ダンジョンキーパー2」が今回、発売された。

クリーチャーを配置し、罠を仕掛け、難攻不落のダンジョンを築け!!

ダンジョンキーパー2 ダンジョンキーパー2
手下モンスターその1、ファイアフライ。暗闇を素早く移動し、敵に襲いかかる 手下モンスターその2、トロル。「工房」で新しい武器を作ってくれる職人
 そんなわけで、「ダンジョンキーパー2」はこれまでのファンタジーゲームと違って、攻守が逆になっている。プレーヤーはダンジョンを支配するダンジョンキーパー(魔王?)として君臨し、次々と侵入して来る迷惑な「ヒーロー」たちと戦わなくてはならない。地下を堀り進んで通路を拡張し、様々なトラップを仕掛けて守りを固める。もちろん、手下となるクリーチャーの召喚やその訓練も必要だ。限られた予算を上手に遣り繰りしながら、最強のダンジョンを建設するのが、このゲームの目的である。

 遊び方は、こんな具合だ。
 プレイが始まると、まず最初に小さなダンジョンが与えられる。手下のクリーチャーも穴掘り専門の「インプ」のみで、とても戦える状態ではない。とりあえず通路を延ばして小部屋を作り、クリーチャーの寝る場所と食料庫を作る。クリーチャーはわがままで、居心地のいい寝室と豊富な食事がなければ、真面目に戦ってくれないからだ。続いて、呼び出したクリーチャーのレベルを上げるための訓練室や、新しい魔法を開発するための研究室、武器を量産するための工房などをあちこちに配置して、少しずつ戦力を貯えていかなくてはならない。
 悩ましいのが、各部屋の配置と優先順位だ。掘ることができる場所は限られているため、どこに何を作るかが難しい。不用意に掘ってしまうと、後から新しい部屋を配置できなくなってしまうこともある。またプレイ中に使える予算には限りがあるため、どの部屋を先に作るかも考えなくてはならない。十分な数のクリーチャーを呼び出すには、広い寝室と大きな食料庫が必要だが、数が増えれば当然大きな訓練室も必要だ。かといって、魔法の研究室や武器工房を後回しにすることもできず、それもまた早めに作らなくてはならない。どの順番でどこに何を作るかが、まず最初の問題となるだろう。

 そうこうしているうちに、「ヒーロー」とその手下が次々とダンジョンへ侵入してくる。防戦はクリーチャーが勝手に行なうが、プレーヤーが任意にクリーチャーを配置したり、特定のクリーチャーに「憑依」して直接戦うこともできる。あらゆる手段を使って侵入を防ぎながら攻撃部隊を編成し、最後に敵の親玉、つまり「ヒーロー」を倒せばその面は終了だ。逆に、ダンジョンの奥深くにある「ダンジョンハート」を侵入者たちに壊されてしまうと、プレーヤーの負けとなる。

ダンジョンキーパー2 ダンジョンキーパー2 ダンジョンキーパー2
エネルギーの源であるダンジョンハートを守りながら戦力を貯える 穴を掘ってダンジョンを広げ、様々な施設を建設 木人相手に訓練を続ける手下モンスター。鍛え上げて強力な戦士に育てろ


パズルゲームの難しさと、経営ゲームのおもしろさ

ダンジョンキーパー2
手下モンスターをつまみあげて、必要な場所に配置
 「ダンジョンキーパー2」は、ファンタジーという設定を借りているものの、実際はパズル性の高い経営シミュレーションである。限られた面積をどう使うかによって戦力が大きく変わるため、もっとも効率のいい配置を考えなくてはならない。こちらが穴を掘った部分は敵の進入路としても使われてしまうので、どのように通路を掘り進めるか、またどこにどんな罠を仕掛けるかも重要だ。
 経営的な難しさもある。このゲームでは何をするにも金塊が必要で、限られた資金をいかに有効に使えるかが勝敗を左右する。クリーチャーたちは気まぐれで、寝る場所や食料など次々と要求してくる。あるときは要求に応じて機嫌を取り、またあるときは叱責して戦闘意欲を高めるなど、士気のコントロールも欠かせない。ダンジョンを支配する魔王も、結構大変なのだ。

 しかしその反面、プレイの自由度は高い。少数精鋭で敵に挑むこともできるし、魔法中心で戦うこともできる。連鎖する罠を仕掛けて、侵入者を一気に葬り去るという手もある。特定のクリーチャーに乗り移って戦う「憑依」モードを使えば、自らが攻撃部隊のリーダーとなって敵に斬り込むことも可能だ。クリアの方法は必ずしも一通りとは限らず、思うままに戦えるところが楽しい。

ダンジョンキーパー2 ダンジョンキーパー2 ダンジョンキーパー2
モンスターに乗り移る「憑依」モードで敵と戦う 侵入してきた「英雄」を魔法で攻撃。これ以上奥へは進ませるな!! 倒した英雄から「ジェム」と呼ばれる宝石を奪い取る


丁寧な日本語訳でわかりやすいチュートリアル

ダンジョンキーパー2
その面の敵とクリア条件が示される、ブリーフィング画面
 そして素晴らしいのが、チュートリアル(練習モード)がよくできている点。このゲームは呼び出せるクリーチャーの種類や罠、魔法の種類が多く、マニュアルに目を通しただけでは全貌をつかみにくい。というか、「こんな複雑なゲーム、本当に遊べるのか?」と不安になるほど難しく感じると思う。実際、シミュレーションゲームとしてはかなり凝った内容で、難易度は高い。

 しかし、心配はご無用。シングルプレイモードを最初から始めると、ゲームの遊び方や操作方法、次に必要なアクションやダンジョンの掘り進め方まで、順を追って教えてくれるのだ。メッセージどおりに続けていけば、3~4面進む間にほぼすべての操作を会得することができるだろう。あとは、わからないところだけをマニュアルで確認すればOK。複雑な割には操作もシンプルで、マウスだけでも十分遊べてしまうところがすごい。
 日本語化が丁寧に行なわれている点にも好感が持てた。プロの声優を起用した、聞き取りやすいセリフとナレーション。ちなみにプレーヤーの手下「ホーニー」役は内海賢二氏が演じていて、「ブライキング・ボス」もしくは「ラオウ」張りの悪魔的な笑い声が最高にはまっている。「うんうん、わかってるじゃん!!」という感じでうれしかった。マニュアルやゲーム中に表示されるメッセージも、的確に訳されている。海外ゲームは、英語のメッセージや怪しい日本語訳がネックになることが多いだけに、これもポイントが高い。「日本語版というからには、こうでなくちゃね」という見本のような仕上がりだ。

 全編に漂うブラックユーモア。観ていて飽きないムービー。複雑な指示ができるにもかかわらず、シンプルな操作性。絶妙なゲームバランスと、ついつい繰り返して試したくなるパズル性。シミュレーションゲームの大御所、BULLFROGの底力を感じる傑作。この夏休みにゲームでイレコミたいのなら、ぜひこの「ダンジョンキーパー2」をお薦めしたい。

(C) 1999 Bullfrog Productions,Ltd.
(C) 1999 Electronic Arts.

【筆者紹介】
  • 名前:駒沢丈治(こまざわじょうじ)
  • プロフィール: プロフィール:パソコンからGAMEBOY、将棋、テーブルトークRPGまで、あらゆるゲームを愛する中年ゲーマー。罠を仕掛けて待ち伏せするゲームといえば、やはりルーツは「平安京エイリアン」でしょう。シンプルながらパズル性の高い名作でした。
レビューハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(K6-2/300、RAM 128MB、HDD 6.4GB、24倍速CD-ROM、3D BLASTER Banshee、ENSONIQ PCI AudioMicrosoft SideWinder Force Feedback Pro)

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp