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★ ゲームソフトインプレッション ★

超重量級RPGシリーズの最新作が2本も登場
「ヒーローズ オブ マイト&マジック3」
「マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー」


マイト&マジック7
マイト&マジック7
フォー ブラッド アンド オナー
 「マイトマ」である。前作のレビューをしたのがついこの前だと思っていたのだけれど、調べてみたら昨年の暮れのことだった。月日が経つのは早いものだ。さて、この「マイトマ」。正式には「Might & Magic」という、海外では有名なRPGのシリーズで、外伝的に派生したシミュレーションRPG「HEROES OF MIGHT & MAGIC」というシリーズも擁している。昨年のレビューは、このうち本編であるRPGの方の6作目にあたる「マイト&マジック6 ~ザ マンデート オブ ヘブン~」だったのだけれど、今回はその続編「マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー」と「ヒーローズ オブ マイト&マジック3」の2本立て。同じ世界観を持ってはいるけれど、そのゲーム性は大きく異なっている。それでは、さっそく見ていくことにしよう。

イマジニアのホームページ
http://www.imagineer.co.jp/
New World Computing(3DO)のホームページ(英文)
http://www.nwcomputing.com/



ヒーローズ オブ マイト&マジック3 完全日本語版


  • ヒーローズ オブ マイト&マジック3
  • ジャンル:シミュレーションRPG
  • 発売メーカー:イマジニア
    (制作:New World Computing[3DO]
  • 価格:9,800円
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:7月30日
 
【動作環境】
  • CPU:Pentium 166MHz以上(Pentium 200MHz以上推奨)
  • RAM:32MB以上(64MB以上推奨)
  • HDD:210MB以上(250MB以上推奨)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上のCD-ROMドライブ(8倍速以上推奨)
  • DirectX 6.1必須



街づくりもまた楽しいシミュレーションRPG

ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3
 最初に紹介する「ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3完全日本語版」(以下「ヒーローズ3」)は、RPGテイストを加えたシミュレーションゲーム。「Might & Magic」の世界で活躍する勇者たちを雇い、ユニットに見立てて対立する他国のユニットやモンスターたちと戦い、領土を広げていくというのが基本システムだ。これらのユニットと戦って勝利したり、フィールド内にある財宝を発見することで経験値を得、レベルアップしていく。フィールドはその全体を見渡すことができず、勇者たちを移動させることでその周囲が見えるようになっていく。また、展望台や賢者の家など特定の場所を訪れると見える場所が広がるので、敵国の動きを早めに知るためにも、早めに視野を広げるようにしたい。

 支配下の街に魔道師ギルドなどの建物を増やしていくことで、様々な利益を得ることもできる。たとえば城塞を築けば敵の攻撃に対する防御効果が高まるだけではなく、徴兵できるクリーチャーの週ごとの増加率が上がるなどの特典があるし、魔術ギルドを建設すれば街に立ち寄った勇者がさまざまな魔法を使えるようになる。グリフォンやエンジェルなどのクリーチャーを徴用することもできるようになるし、さらにこれらの建物をレベルアップすることでクリーチャーのランクを高くすることも可能だ。ただし、建物の建設には費用と資源が必要になる。資源には木材や鉱石、水銀などがあり、それぞれフィールド上に財宝として配置されていたり、定期的に一定量が産出される鉱山などを支配下に置くことで入手することもできる。街が徐々に大きくなっていくのを見るのは「シムシティ」や「シヴィライゼーション」の楽しさに通じるところがあって、プレーヤーによっては街の発展の方に楽しさを見出すかもしれない。
 徴用できるクリーチャーの数には限りがあり、毎週一定数が増える以上に徴用することはできないのだけれど、これも街が大きくなるに従って増加数が増えていくようになっている。勇者の数が増えると、それに応じて必要になるクリーチャーの数も増えていくので、街を発展させていくのも重要なファクターであるということを忘れてはいけない。

 フィールドのあちこちには、先ほども触れた財宝や資材のほかに、アーティファクトと呼ばれる財宝も眠っている。その数は全部で120以上にもなるというので、これを全て探し求めるのもいいだろう。ただし、アーティファクトはモンスターによって守られているものもあるので、コンプリートは一筋縄ではいかない。また、フィールド上に散在しているということは、他国の勇者がすでに入手しているという可能性も当然のようにあるわけだ。これを入手するには、戦闘に勝利するしかないので、そのためにもレベルアップなどの戦力強化に努めるようにしたい。
 前作までは地上世界のみが舞台だった「ヒーローズ」シリーズだが、今回からは地下世界も加わり、世界が大幅に広がった。緑に覆われた緑地帯から、白銀の雪原地帯、暗いイメージの溶岩地帯、海、山、そして地下。世界の全てを支配下に置くには、かなり苦労させられることだろう。

複雑だがプレイアビリティは良好

ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3
 と、ここまで書いて読み返してみたら、なんとなく複雑なゲームに見えてきた。もちろん、全体のシステムはかなり複雑ではある。けれど「やらなければならないこと」は決して多くないので、プレイアビリティはすこぶる高いゲームであるということを強調しておきたい。複雑なだけのゲームは「やらなければならないこと」ばかりが多くなる。「ヒーローズ3」は「できること」は多いけれど、それが必ずしも「やらなければならないこと」ではないのがポイントで、プレーヤーのスタイル次第でさまざまな遊び方ができるシステムになっている。
 また、インターフェイスも優秀で感覚的にプレイできるのも大きい。移動は移動先を指定してボタンを押すだけだし、その他のコマンドもアイコンを押すだけで済むので、初心者でもなじみやすいはず。それでも不安な人には、操作やシステムを修得するためにチュートリアルマニュアル(アクロバット)に対応したマップも用意されているので、時間をかけずにゲームにとけこむことができるだろう。コンピュータにまかせていい部分は完全に自動化されているので、全体のシステムは複雑でもプレーヤーにかける負担は少なく、遊びやすいシステムが構築されている。戦闘も自動で行なうことができるので、宝探しや街の発展に重点を置いたプレイも十分に可能だ。ただ、自動戦闘は戦力差で勝敗が決まってしまう傾向にあるので、部隊を十分に強くしておかないと勝利するのは難しいかもしれない。手間がかかっても手動で戦闘を行なうようにすれば、多少の戦力差はカバーすることができるので、ある程度プレイになれてきたら戦闘は自力で行なうようにすることをおすすめしたい。

 プレイしていて気になったのは、新しい勇者を雇う場合のこと。勇者は8人まで雇うことができるのだけれど、ある程度領土が広がると周囲に弱いモンスターがいなくなってしまうので、雇った勇者がレベルアップする前に倒されてしまうというパターンも少なくない。これを補うには強力なクリーチャーを多数仲間にしなければならず、部隊編成に時間がかかるという点だ。勇者のレベルは部隊全体の士気に影響する部分もあるので、これからゲームを始めようという方は気にしておいた方がいいかもしれない。

 シナリオは、シングルシナリオが40本、キャンペーン用シナリオが6本(+α)、そして、ネットワークプレイはLANやインターネット(Mplayer-Japan)を介して最大8人までの対戦も可能と、そのボリュームはかなりのものになる。さらにマップエディタも付属しているので、事実上その遊び方は無限といってもいいだろう。これ1本で長く遊べるプレイバリューの高さは「Might & Magic」の名にふさわしい作品だといえる。

 本来なら外伝的な位置づけの「ヒーローズ3」を先に紹介したのには2つの理由がある。1つは「Might & Magic」の世界は主人公こそ変わるものの、それぞれ同じ時間の流れの中にあり、年代順に「ヒーローズ2」、「マイト&マジック6 ~ザ マンデート オブ ヘブン~」、「ヒーローズ3」、「マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー」となっている。もちろん、それぞれの作品は独自に楽しむことができるし、他の作品の物語を知らなければいけないということはない。時間軸が同じで世界観が同じでも、全く異なるジャンルのゲームなのだから、興味のある方だけがプレイすれば、それでいいと思う。
 さて、もう一つの理由なのだけれど、これは「マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー」のことになるので、そちらに場所を移してお話することにしよう。

(c)1999 The 3DO Company. All rights reserved. Heroes of Might and Magic, New World Computing, 3DO, and their respective logos, are trademarks, and/or service marks of The 3DO Company in the U.S. and other countries. All other trademarks belong to their respective owners. New World Computing is a division of The 3DO Company.

ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3 ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3 ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3 ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック3


「ヒーローズ オブ マイト&マジック3」のページ
http://www.imagineer.co.jp/imagi_n/pc/heroes3/index.html
「Heroes of Might and Magic III」のホームページ(英文)
http://www.3do.com/products/pc/heroes3/
Heroes IIIのデモ版
http://www.3do.com/products/pc/heroes3/demo.html



マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー


  • マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー
  • ジャンル:ロールプレイングゲーム
  • 発売メーカー:イマジニア
    (制作:New World Computing[3DO]
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:発売中
 
【動作環境】
  • CPU:Pentium 133MHz以上(Pentium 200MHz以上推奨)
  • RAM:32MB以上(64MB以上推奨)
  • HDD:350MB以上
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上のCD-ROMドライブ
  • DirectX 6.1以上必須


前作とひと味違う新作「マイト&マジック7」

マイト&マジック7
 「マイト&マジック7」(以下「マイトマ7」)は、壮大な世界観を持つ本格3DRPG。その歴史は古く「ウィザードリィ」や「ウルティマ」と並んで3大RPGと呼ばれることも多い。見た目は「ウィザードリィ」に近いが「ウィザードリィ」が当初ダンジョン内だけを冒険の舞台にしていたのに対して「マイトマ」シリーズは一貫して街の内外を含むオープンフィールド上までも冒険の場としていた。そして、その基本的な概念や世界観は最新作に当たるこの「マイトマ7」にまでしっかりと踏襲されている。紆余曲折を繰り返しながら作を重ねてきた「ウィザードリィ」や「ウルティマ」に対し、あくまで「マイトマ」であることを貫き通した「マイトマ」シリーズ。「ヒーローズ」という外伝的なシリーズを生みながらも、両者の棲み分けがしっかりとできているという点において「マイトマ」シリーズを高く評価するファンは多い。

 さて、今回の「マイトマ7」に目を向けてみよう。前作以降Windowsにプラットフォームを移し、Direct3Dに対応した3D表現で、これまでの作品とは一線を画する表現力を得た「マイトマ」。今回も、プレイスタイルは前作と変わっていない。カーソルキーで移動し、マウスで視界にあるものを調べたり、攻撃する敵を調べたりするというマルチデバイスによる操作形態は、どちらかといえば「Quake」などの3Dシューティングファンにおなじみのスタイルといえるだろう。そして、前作から導入されたリアルタイム制も健在。モンスターとの戦闘時にはターン制に切り替えることも可能だけれど、トラップを駆け抜けたりジャンプしたりといったアクションを求められることも多い。このあたりは好みの分かれるところで、個人的には「マイトマ」にはアクション性を求めていなかったので、少し残念な部分ではある。

大挙して襲ってくるモンスターは恐い!

マイト&マジック7
 前作をプレイした方はご存じの通り、リアルタイムで襲ってくるモンスターは怖いの一語につきる。今回、おそらく最初に出会うであろう敵はドラゴンフライ。直訳すればトンボなのだけれど、この世界では立派なモンスターだ。中には火を吐いてくるヤツもいて、しかもそんなのが数十匹規模で襲いかかってくる。レベルの低いパーティだと、まず全滅することだろう。救済措置はもちろんある。ひとつは「マイトマ」シリーズにおなじみの、一時的にステータスを上げる井戸などの固定フィーチャー。強さを上げ、耐火能力を高め、HPとMPを上げ、と、さまざまにステータスを上げておけば、それなりに渡り合えるようになるはずだ。もう一つはNPCの存在。フィールドやダンジョンの中を歩いている戦士たちは、モンスターが現れると自ら攻撃に参加してくれる。経験値は手に入らなくなるが、死骸はそのまま放置されるのでゴールドは手に入れることができるだろう。ドラゴンフライの群は定期的に発生して襲ってくるので、ある程度NPCたちにまかせておいてもレベルアップに支障はない。ただし、定期的にというのは数日というスパンになるので、現実世界と同じように日数が経過し、老いていくパーティのことを考えると、あまり時間をかけすぎるわけにもいかないだろう。また、なんどもドラゴンフライを発生させていると街が襲われる可能性が高くなる。戦士たちはともかく、戦闘能力を持たない街の人々はドラゴンフライの襲撃の前に為す術もなく倒れていくので、場合によっては重要なヒントを持っている街人が殺されてしまうこともあるかもしれない。そうならないためにも、極力自分たちでモンスターを倒すように心がけていきたい。

 登場するモンスターは、その多くが「ヒーローズ3」にも登場してきたものだ。連続してプレイすると、見慣れたモンスターに遭遇して、思わずニヤリとしてしまうこともあるかもしれない。前作「マイトマ6」とはかなり異なっているので、そう言う意味では新鮮にプレイすることができると思う。また、パーティのメンバーの方も、これまでに登場したキャラに加えドワーフやエルフなどの新しい種族が加わった。物語の方でも、人間とエルフの対立が描かれているので、どんなパーティを組むかによってもストーリーに影響がでてくる。このあたりも楽しみな部分だ。

マイト&マジック7 マイト&マジック7 マイト&マジック7 マイト&マジック7


「マイト&マジック7 フォー ブラッド アンド オナー」のページ
http://www.imagineer.co.jp/imagi_n/pc/mm7/index.html
「Might & Magic VII」のホームページ(英文)
http://www.3do.com/products/pc/mm7/


ヒーローズ オブ マイト&マジック3
ヒーローズ オブ マイト&マジック3
 さて、シリーズの本筋であるこちらの「マイトマ7」を後に持ってきたもう1つの理由なのだけれど、それはひとえに、このゲームが英語版だからという点につきる。日本語化されたマニュアルはついているし、英語自体もそう極端に難しいわけではない。現在受けているクエストの一覧はいつでも参照可能なので、漫然とプレイしていても時々クエストのリストを見て単語を拾っていけば、プレイは進められる。けれど、それでも完全日本語化された「ヒーローズ3」と比較すると敷居が高くなっているのはやむを得ないところだろう。今後発売が予定されている日本語版へのアップグレードも可能なので、日本語版の発売まで英語版で遊んでおくのもいいだろう。
 ただ、英語というだけでトリハダが経ってしまうような方は、完全日本語版を楽しみにしていただくしかない。それまでに、まだプレイされていない方は前作「マイト&マジック6 ~ザ マンデート オブ ヘブン~ 完全日本語版」に挑んでみてはいかがだろう。そのあきれるほどのボリュームには、必ずや舌を巻くことになるだろう。

(c) 1999 The 3DO Company. All rights reserved. Might and Magic, Blood and Honor, New World Computing, 3DO, and their respective logos, are trademarks and/or service marks of The 3DO Company in the U.S. and other countries. All other trademarks belong to their respective owners. New World Computing is a division of The 3DO Company.

【筆者紹介】
  • 名前:山城 宏
  • プロフィール:  企画・著述業兼システムエンジニア。ゲーム制作のお手伝いもちょっとだけ。仕事より時間を選ぶ遊び人タイプなのに、某週刊誌の連載を受けてしまったせいで大騒ぎ。といいながらも、今回のレビューは過去最大規模のテキスト量になってしまったくらいの「Might & Magic」好き。簡単なゲームではないけれど、もっと多くの人に遊んで欲しいなあ、と思っています。
【ハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Pentium II 400MHz、RAM 256MB、HDD 約20GB、2倍速DVD-ROM、3D BLASTER Banshee(AGP 16MB)、SOUND BLASTER AWE64、IF-SEGA/ISA+セガサターンパッド)

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp