Weekend Watch【'97/8/15版】

 今回のゲームソフトインプレッションは、エレクトロニック・アーツ・ビクター(EAV)「Dungeon Keeper」です。
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 なお、8月22日(金)は休載とさせていただきます。


■ゲームソフトインプレッション■

Dungeon Keeper



  • ジャンル:シミュレーション
  • 発売メーカー:エレクトロニック・アーツ・ビクター
  • 標準価格:7,800円
  • 対応OS:Windows 95 備考:ダンジョンの支配者「ダンジョンキーパー」となり、ダンジョンを広げてクリーチャーを養いながら、敵対するダンジョンマスターたちや、ダンジョンに侵入してくる勇者たちを倒すことが目的となる異色のシミュレーション
【筆者紹介】
  • 名前:尾道晃
  • 好きなジャンル:シューティング、格闘、アメゲー、競馬モノ
  • プロフィール:パソコン雑誌や単行本などに寄稿。元雑誌の編集者
ハード環境】
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機
    CPU:6x86-P166
    メモリ:64MB
    グラフィック:S3 ViRGE(4MB)
    サウンド:Sound Blaster16



(C)1997 Bullfrog Productions, Ltd.
(C)1997 Electronic Arts.

 Dungeon Keeperを初めて見たのは、どこかのショウだったような気がする。そのときは「ああ、こんなのが出るんだ」程度にしか思っていなかった。月日が流れて、あれから2年くらい経ち、ついに発売された。私自身はそれほど期待していなかったが、プレイしてみると、2年かけただけあって、なかなかよくできている。早くも、私はこのゲームに魅了されてしまった。

●効率のいいダンジョンなんてあるのか?

 Dungeon Keeperを開発したのはBullfrog社で、最近ではシンジケート ウォーズなどを出したところ。正直いって、ここ最近はあまりパッとしないメーカーという印象だった。そうこうしてるうちに、いつのまにかDungeon Keeperが登場したのである。

 Dungeon Keeperでは、プレイヤーはダンジョンの主(=ダンジョンキーパー)となり、ダンジョンを広げてクリーチャーを養いながら、敵対する相手のダンジョンハート(ダンジョンの命らしい)を破壊するとレベルクリアとなる。敵のクリーチャーや、ダンジョンに侵入してくる勇者を全滅させたり、領主を倒す場合もある。勝利条件はレベルによって異なるが、プレイヤーのダンジョンハートが壊れたら負けなのだ。
 プレイヤーはダンジョンを広げる必要があるのだが、大きければいいというものでもない。敵がこちらに近づく前に体制を整え、戦闘の準備をし、敵クリーチャーをせん滅する。プレイヤーには敵のレベルもわからないし、敵側のダンジョンに攻め込んだ時は、罠が仕掛けられているかもしれない。このへんのドキドキ感がDungeon Keeperのおもしろさのひとつといえるだろう。

 ゲーム開始直後は、ダンジョンハートと何匹かのインプがいるだけ(レベルによって変化する)。まず、はじめにインプに宝物庫を作らせる。これはダンジョン内に点在する金鉱を貯蓄するところ。次はプレイヤーのダンジョンハートと門をつなげる道を作る。この門から、クリーチャーが出現する。ダンジョン内で条件が整うと、新たなクリーチャーが現れる。クリーチャーが現れたら、ねぐらを作ってやる。ねぐらがないと、クリーチャーは不機嫌になって、ダンジョンから出ていってしまうのだ。このあと作るモノとしては、ニワトリ小屋(クリーチャーの食料になる)、訓練室、図書館、工房、などがある。ほかにもいろいろあるが、序盤であれば、こんなものでいい。序盤のレベルでは敵の勇者やクリーチャーは積極的で、どんどん接近してくるので、相手が来る道を用意しておいて、待ち伏せすればいい。あと、大切なのがお金。一定期間が経過すると、クリーチャーに払うお金が必要になる。そのため、金鉱を掘り起こし、貯えておかないと、自滅することになる。

(C)1997 Bullfrog Productions, Ltd.
(C)1997 Electronic Arts.

●個性的なクリーチャーがいっぱい

 クリーチャーを呼ぶには条件がいる。たとえば、ビートルはねぐらが必要で、バイルデーモンはねぐらとニワトリ小屋が必要。ほかにもクリーチャーは数種類いて、どれもが個性的で、プレイヤーを楽しませてくれるヤツラなのだ。

 クリーチャーはみんな特技をもっていて、これらはダンジョンを維持していくのに欠かせない。その代表がインプの穴掘りで、これがなければ始まらない。そのほかにフライは飛行タイプのクリーチャーで、水や溶岩などの障害の影響をうけないため、ダンジョン内の偵察にはもってこいだし、ウォーロックは勉強家でどんどこ魔法を開発してくれる。溶岩が大好きなドラゴンは、溶岩近くにねぐらを作るだけで、経験値が入る。これら、クリーチャーの特性を把握し、うまく使いわけることもクリアにはかかせない。
 クリーチャーは、ダンジョン内で勝手に行動する。いつまでも寝ている者や積極的に訓練に励む者、研究ばかりしている者などいろいろだ。ただ、プレイヤーがクリーチャーを捕まえて、別の場所、たとえば訓練室に移動させると、訓練を始めたりする。このように、クリーチャーをまめに移動させることも重要なのだ。

 また、相性の悪いクリーチャーもいて、こいつらを同じねぐらにすると、戦いを始めてしまう。とにかく、いざこざが断えないのだ。


(C)1997 Bullfrog Productions, Ltd.
(C)1997 Electronic Arts.

●マルチプレイも可能だが……

 EAVではサポート対象外ということだが、Dungeon Keeperではマルチプレイが可能となっている。対戦については未プレイなのでなんともいえないが、Diablo以上におもしろいかはちょっと疑問に思っている。というのも、このゲーム、相手が来るのを待っていたほうが得策なのだ。ある程度、Goldを確保して、クリーチャー鍛えて、罠をしかけておけば、かなり有利にゲームをすすめることが可能なのだ。

 もうひとつ。ゲームの動作速度なのだが、クリーチャーが単体で動いてる間はそれほど気にもならなかったが、後半になって敵味方が入り乱れてくると、どうしても動作が緩慢というか、止まり始める。ひとりでやってても、この程度なので、通信となるともっと遅いだろうと予想できる。
 パッケージによれば、Pentium 133MHz以上推奨とあるが、私としてはPentium 200MHz以上を推奨したい。私のマシンスペックで快適にプレイできたとはいいがたい。というわけで、もしプレイしようと思っているなら、そのあたりも覚悟したほうがいいだろう。

●難易度設定には疑問、でも海外モノには珍しくプレイヤーに優しいゲーム

 最初の1~5レベルはチュートリアル。マニュアルに沿って作るモノを作って、放置しておけばクリアできる程度の難易度。そう思っていたら、6~8レベルはさらに難易度が急降下する。本当はこっちがチュートリアルなんじゃないかと思うほど。そして、そこそこ楽しめる難易度になったなと思ったころ、だいたい15、16レベルになると、難易度が急上昇する。やっぱり勇者は強いと再認識するはず。高レベルの勇者がバカ強で、全部のクリーチャーを向けても、なかなか倒せない。やっと倒したと思えば、こちらもボロボロで、なんとか敵のダンジョンハートを破壊という感じ。いま攻められたら終わりだな、と内心びくびくしながらのプレイ。このあたりのメチャクチャな難易度設定は、さすが海外モノと感じさせる。

 ゲーム画面をみると、暗い印象を受ける人もいるだろうが、けっしてそんなことはなくて、動き回るクリーチャーやリアルタイムで表示されるメッセージなど、かなり忙しいゲームなのだ。また、ゲーム内でもクリーチャーの指示や部屋作り、はてはケンカの仲裁など、ゲーム中、安まる暇などない。でも、そんなに難しいことではない。2、3回プレイすれば、おおまかな作業方法は理解できるし、インターフェイスが直感的で、わかりやすい。とてもプレイヤーに優しいゲームといえるだろう。海外モノにはめずらしく、プレイヤーを選ばないゲームなのだ。さらに、付属する日本語マニュアルはしっかりできているので、英語の苦手な人でも問題なし。

[Reported by 尾道晃]


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●システムソフト、「スーパーエアーコンバットII」 ほか

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