スタパ齋藤

おもしろいゼ!! MPEG1
~ソニー CyberShot DSC-F55K~



■ 俺ったら……案の定

F55K ソニー
CyberShot DSC-F55K

115,000円。211万画素CCD搭載。カールツァイスレンズ搭載、MPEGムービー機能、メモリースティック採用などの特徴を持つ。“遊べる”デジカメだ
 富士フイルムのFinePix2700を買ってその性能の高さに有頂天になった勢いでニコンのCOOLPIX950を買ってその素晴らしさに感動して気絶した俺が再び意識を取り戻すと、そこにはソニーのCyberShot DSC-F55Kが置かれていた。これは恐らくソニーのやさしい広報のおじさんが、こっそり俺の部屋に入ってきて「齋藤さんウチのも使ってみてチョ」ということで置いていったのだろう。

 ソニーの広報さんは優しいなぁ新型デジカメ速攻で貸……何だコレは何なんだこのLAOX入間店の領収書は!! ああっなぜか知らないけどコレは本日の日付の領収書であってしかも数時間前のタイムスタンプじゃないか!! ぐわっしかもCyberShotを起動したら既に俺による俺の自分撮り画像が入っている!! そして決定打はこのスカスカに軽くなったサイフなんだよアニキわかってくれよブラザー!!

 ということで、2メガピクセルデジカメを立て続けに3台も買っちまったい、どーもこーもねーったらありゃしねえけど、とりあえずこのF55Kを使用していきたい!! そしてその高性能さに打ち震えたりしてサイフの軽さや今後の生活のことを闇の奥底に葬っていきたい!!



■ F55Kを買った理由

 さて、F55Kに関する詳細については、いつもと同様にやはりソニーのサイトをご覧いただくとこにして、まずはこのデジカメを買った理由についてお話ししたい。

 まず、FinePix2700にもCOOLPIX950にもないハードウェア的魅力があったこと。FinePix2700はコンパクトで手軽だが、撮像素子部すなわちレンズ部が固定。固定でもイイんだけど、やはりレンズ部が回転した方が何かと使いやすいと言うか応用が利いて楽しい。自分撮りはもちろん、楽な姿勢でいろんなアングルの写真を撮れるってのは実際とても“使える機構”だ。一方COOLPIX950は、レンズ部が300度も回転するのでいつもより余計に回っておりますって感じでベリーナイスなのだが、本体がちょいデカい。ある意味、手軽さに欠けるところがある。
 そーゆーコトを考えると、レンズ部が回ってしかもコンパクトなF55Kに独特の魅力を感じてしまうのであった。

 それから、F55Kの電源にかなり惹かれた。F55Kの電源はソニーのインフォリチウムバッテリのNP-F10というタイプ。これはソニーのビデオカメラに使われているものと同じもので、具体的にはDVハンディカムDCR-PC1と共通の二次電池となる。俺はこのDCR-PC1の愛用者で、NP-F10を3~4本持っていた。なので、このバッテリをデジカメにも流用できるというのは大きなメリット(例えば旅行に持っていくバッテリとACアダプタがビデオとデジカメ共通になるので荷物が減るとか)だ。またリチャージャブルバッテリをとことん酷使できるってことで、経済性も高まる(ような気もするが、まあ精神的満足の方が大きいのだろう)。

 それと、インフォリチウムバッテリというのは便利で、残り使用可能時間が具体的な数値(分数)で表示されるのがいい。ていうか他のデジカメだと電池の残量が

表示俺の心情
■■■■バッテリがフル状態だ安心だぜ嬉しいな
 ■■■おっちょっと減ったゾ、でもまだ安心だ
  ■■ムッ半分を切ったそろそろ気を付けよう
   ■ああっヤバい切れる死ぬもうおしめえだ

みたいな感じに大雑把に表示されて、なーんかイマイチ気持ちよくない。段階がデカ過ぎ。それに、表示のひとコマが何分なのか全然わからないのが不安なのである。

 だが、インフォリチウムバッテリだと1分刻みで残り使用可能時間が表示される。あと何分使えるってのがバッチリわかって気分がよく、もちろん実用性が高い。まあ、温度によって残り時間が急変したり(“残り25分”が一気に“残り19分”に減ったり、逆に“残り7分”が“残り16分”とかに増えたり)することはあるが、分数表示はやっぱりすこぶる有り難い。

 ハードウェア的ギミックやバッテリ以外のことでは、MPEG1ムービーが撮影できる点に惹かれた。最初はあまり重視していなかったのだが、ソニーのサイトにあったサンプルムービーを見たら、おっコレいいかも~と思ったのであった。

 あとは、メモリースティックって点も少々好き。スマートメディアもコンパクトフラッシュカードも好きだが、あのちっこい板切れことメモリースティックは、ちょいソソる。小さいわりに堅牢で、接点も保護されてる感じで、そのスマートさがイイ感じだ。F55Kの発売と同時に16MBのメモリースティック(これまでは8MBまでしかなかった)という点で、ん~そろそろ使える容量になってきたなぁと感じた。



■ こなれた感アリのCyberShot

 てなわけで使い始めて数日、その感触はなかなかイイ。特にイイ感じなのは、コントロールボタンと呼ばれるジョイパッドのようなもの。押しボタンにもなるこの上下左右対応キーは、F55Kのいろいろな設定・操作時に役立つ。

 例えば通常はこのキーを上に入れるとメニューが表示され、下に入れるとメニューが消えたりする。左右でメニューの深い階層に入ったり出たり。パッド(ボタン)自体を押せば、決定操作になったりする。ていうかなんか俺は実はまだマニュアルを読んでいないのであった。が、このキーをいじっているうちにだいたい全部の設定のやりかたがわかった。それを考えると、コントロールボタンにF55Kへの入力操作をわりと集中させている点と、F55Kのソフトウェア的作りは、かなりよくマッチしていると思える。いや、これまで使ってきたデジカメの中では、特にF55KはGUI OS的なインターフェイスが強く感じられ、コンピュータ野郎の俺にとってわかりやすい。

 あと、心なしか、このカタチの前のモデルのCyberShotより、サイバー感が減ったような気がする。やや不格好に飛び出したレンズ部のせいか、黒い部分が増えたせいか、ちょっと“モノ的な質感の味わい深さ”が減少したような気がする。

 で、肝心の画質だが、これは十分満足のいくものだった。他の2機種の画像と同様、対象物のテクスチャや重量感もしっかり出る。が、気のせいか、ちょっとだけ画像が荒いような感じも。少々のザラつき感があるような。まあ他のデジカメも多かれ少なかれそうだが、やや暗めの室内などだと、画像全体にサラサラしたような特殊な質感が出てしまう。その点がこのF55K、ちょっと強く出ているかなぁという感じ。それとコントラストが非常に高い被写体のエッジの部分が妙にボヤケるようなこともある。

 でも、これは画像を200%以上とかにしないと目立ってこないことで、フツーに見ていると「やっぱ2メガピクセルはすんげえなぁ」という満足の方がずっと強い。ていうか、150万画素以下のデジカメを使っているユーザーなら誰もそう感じると思うが、F55KにせよFinePix2700にせよCOOLPIX950にせよ、どれも従来のデジカメからは一段階上の次元に入っている。見違えるほどの高い画質なのだ。いかにすれば被写体がキレイに写っているように見えるかとかいう次元じゃなくて、フィルムで撮った時と比べてどうなのかという次元の画質が得られるのである。



■ おもしろいゼ!! MPEG1


プレゼンテーション(320×240ドット)で15秒間、ファイルサイズは約1.3MB。わりと鑑賞できる
 
 話が少々逸れるが、F55K、FinePix2700、COOLPIX950は、なんか絶妙な感じでちゃんと棲み分けている気がする。乱暴な言い方をすると、FinePixがフツーの人がフツーに使うカメラの代わりになるデジカメ、つまり、シャッターを押せばそれだけでキレイな写真が撮れるカメラ。COOLPIX950は、画像にうるさい人がこだわって撮るためのデジタル式カメラで、マニアックなスタンスの人を満足させるカメラ。もちろんFinePix2700でこだわった写真を撮ることも、COOLPIX950をお手軽カメラよろしく使うこともできるのだが、まあ雰囲気的には前述のような感じ。

 じゃあF55Kはどーなのかと言えば、デジカメであることのメリットを強く押し出した、遊び道具的なカメラだと思う。キレイな写真が撮れて、それにプラスしたユニークな機能がある。具体的には、ボイスメモ(音声付き静止画:JPEG画像とMPEGオーディオを併用)撮影や、MPEGムービー撮影。デジタル映像デバイスにできそーでしかもおもしろそーなコトが、実際できちゃう、楽しめる超高画質デジタルカメラなのだ。

 使っていて特におもしろいと感じたのは、MPEGムービー撮影モード(MOVIEモード)。これはF55KでMPEG1動画を撮影するモード、撮影できる動画サイズはビデオメール(160×112ピクセル)とプレゼンテーション(320×240ピクセル)の2種類。ひとつの動画の時間は、5秒、10秒、15秒(ビデオメールに限って連続最大60秒まで)。16MBのメモリースティックに、ビデオメールなら合計約10分40秒、プレゼンテーションなら合計約2分40秒まで録画可能だ。音付きでもちろんカラーの動画が撮影でき、当然、F55K上で再生できる。また、パソコン上では最新のWindows MediaPlayer等があれば再生できる。

 外をウロつき、F55Kを超高画質デジタルスチルカメラとして使いつつ、たまにこのMPEG1ムービーを撮影していると、こりゃイイなぁ一番おもしろいのはF55Kかもしんないなぁと思ってしまう。キレイな静止画を撮るべくデジカメを使っているなら、F55KもFinePix2700もCOOLPIX950も、接戦状態で、後はサイズとか使用感とか非常に微妙な画質の違いとかいった個人の好みで優劣を決めるしかない感じだ。が、楽しむ方向でデジカメを使っていると、MPEG1ムービー撮影機能がある点でF55Kは他の2機種を引き離して一気にトップに躍り出る感じだ。

 で、そのMPEG1ムービーっつーのはどーなのよ、というコトだが、これは説明するより実際の画像を見ていただきたい。昼間外を歩いて何となくテキトーに撮った画像なので、見づらかったり、音や風景が汚かったりする点はご勘弁。この程度の“ビデオ的機能”があるってことで、F55K購入の判断材料のひとつにしていただきたい。

 

ビデオメール(160×112ドット)で5秒間、ファイルサイズは約119KB。けっこうキレイな気がする
 
プレゼンテーション(320×240ドット)で5秒間、ファイルサイズは約474KB。ちゃんと映像している。

□Cyber-shot DSC-F55Kニュースリリース(ソニー)
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199901/99-014/index.html
□Cyber-shot DSC-F55K製品情報(ソニー)
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/DSC/DSC-F55K/index.html
□関連記事
【'99年1月28日】ソニー、ツァイスレンズ搭載の211万画素サイバーショット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990128/sony.htm
【'99年1月29日】山田久美夫の「Cyber-shot DSC-F55K」インプレッション
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990129/sony.htm

[Text by スタパ齋藤]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp