現在、10Base-Tを使ったLANを組んでいるのだが、最近メインマシンの近くにあるHUBが気になってしょうがない。ファイル転送などでネットワークに負荷をかけているつもりでもないのに、HUBのコリジョンのランプがチカチカ点滅している。これが自分の環境でなければ、それほど気にならないのだが、一度気になりだすとなぜか目がいってしまう。さらに、最近MP3のデータを作成したりするために、大きなサウンドデータをネットワーク経由でやりとりしたりすることが多くなり、ネットワークの遅さも気になるようになってきた。
そこで考えたのが、ネットワークの100Base-TX化だ。古いMacintoshやルータ、プリンタサーバーといった100Base-TX化できない機器もあるが、できるだけ100Mbps化を目指して、自宅のネットワーク全体を再構築することにした。
以前、物欲の連載でもスイッチングHUBを取り上げたが、やはり無駄なパケットをエレガントに整理するにはスイッチングHUBが効果的だ。それに、最近では個人でも購入できるスイッチングHUBも増えてきている。そして今回筆者が購入したのは8ポートスイッチングHUBのPlanex FHSW-8080NW(直販価格39,800円)だ。8つあるポート全てで10Mbpsと100Mbpsの自動切換えが可能となっている。
この製品も含め最近登場している低価格のスイッチングHUBは、アドレステーブルが1,000エントリまでとなっているが、自宅内のネットワークであれば十分すぎる容量であり、実用上問題はない。
8ポートスイッチングHUB「FHSW-8080NW」。 | 10/100、全二重、コリジョンなどのインジケータが用意される。 | 背面部。電源は内蔵で、冷却ファンが装備されている。 |
このFHSW-8080NWに、OCNアクセスライン経由でDIONと接続されているルータや作業用パソコンを接続。DNSやメールサーバーなどネットワーク負荷の低いインターネット関係のサーバー類は、設置場所が離れているために、FHSW-8080NWの1つのポートに10/100Mbps対応のデュアルスピード5ポートHUB Planex DNS-500(直販価格14,800円)を接続し、そこから100Base-TXでつなげている。
10/100Mbps デュアルスピードHUB DNS-500。 | 10Base-Tと100Base-TXそれぞれに、コリジョンランプを装備。 |
LCPDS対応Asante製NIC。結局DNS-500やFHSW-8080NWでは認識されなかった……。 |
そこで、LC475と10/100Mbps自動切り替えのHUBを直接接続せず、間に10Base-T専用のHUBを入れてみると、問題なく通信が行なえるようになった。この件を、Planexのサポートにメールで質問したところ、最初は返事があったものの、肝心のトラブルは解決できず、とうとうメールの返事がこなくなってしまった。
ということで結局、現在はLC475のNICをDITのNET-G LCPDS-T/2に変更して、DNS-500に直接接続して使用している。
DIT NET-G LCPDS-T/2。 | Macのネットワーク機器で有名なFarallon製のチップが搭載されている。 |
【GFC2204】 |
10日ほどしてNICが届き、PC/AT互換機とG3 Macに1枚づつ増設してみた。当然のことながら、カードを挿してドライバを組みこむだけの作業で、インストール完了。Macintoshでも100Mbpsの速度を体験できるようになった。筆者宅では、CD-Rを焼いたり、MP3のエンコードを行なうためにMacintoshをよく利用している。そのため、MacintoshとPC/AT互換機間でファイルのやり取りを行なうことも多く、高速な環境が欲しかった。このNICのおかげで、DAVEを使ってファイルのやりとりは、非常に快適になった。
実際に使ってみるまで価格が価格だけにパフォーマンスをあまり期待していなかったが、トラブルもなくきちんとパフォーマンスが得られ、久々にお買い得感のある買い物となった。
当然のことながら、10Base-Tの環境は、100Base-TXよりも低価格で実現できるので、よりお手軽な10Base-Tを選択することも悪くはない。しかし、今後100Base-TX対応製品が増えてくることを考えると、最初から100Base-TX対応HUBやNICを揃えたほうが賢い選択ではないだろうか。
今回、その“ちょっと面倒”を解決できる面白い機器を新潟キヤノテックから借りることができたので、試作品ではあるが紹介したい。その機器は、ノートPCの赤外線ポートを利用して、ネットワークやキーボード、マウス、プリンタを接続するリプリケータだ。これまでも同社は、赤外線ポートを使ったプリンタアダプタやネットワークアダプタを発売するなどの実績がある。
お借りしたリプリケータには各種コネクタが装備されており、そこにあらかじめネットワークケーブルやキーボードなどの機器を接続しておく。あとは、リプリケータ本体に接続した赤外線送受部を、ノートPCの赤外線通信ポートに向けるだけでいい。ノートPCとドングルの距離が50cm程度でも、まったく問題なく各機能を利用することができるのが驚きだ。
持ち運びたいときに、すぐ持っていくことができ、ケーブルに左右されない自由さは、体験しないと中々実感できないものだ。ケーブルのコネクタも、つけたり外したりを繰り返すと接触不良などの故障も増える。そう言った意味でも、この赤外線を利用したリプリケータは有意義である。出荷が待ち遠しいネットワーク製品の一つである。
後部にはキーボード/マウス/ネットワークコネクタを装備。 | 側面にパラレルポートを備えている。
赤外線送受部。上部に通信をリセットするスイッチがある。
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□【参考】
鈴木直美の先週のキーワード「HUB」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980519/key30.htm#HUB
鈴木直美の先週のキーワード「100Base-TX」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980421/key27.htm#100base
鈴木直美の先週のキーワード「コリジョン」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980909/key45.htm#collision
鈴木直美の先週のキーワード「デュアルスピードHUB」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981203/key57.htm#dual_speed_ hub
[Text by 一ヶ谷兼乃]