【イベント】

広野忠敏のTechEd98レポート Part 1

話題の中心はWindows NT 5.0、Windows Terminalも姿を見せる


Microsoftの技術者向けカンファレンス

 7/29から7/31まで、Microsoft主催の開発者向けカンファレンス「Microsoft TechEd 98 Yokohama」(以下TechEd 98)がパシフィコ横浜で開催される。

 TechEdは年に一回開催される技術者向けのカンファレンス。その年のMicrosoftの最重要テクノロジや、注目されているプラットフォーム、開発環境、ソフトウェア開発のためのノウハウなどの動向を知ることができるカンファレンスだ。昨年までは、非常に開発者向けのセッションが多く、実際にソフトウェアを開発していない人にとっては理解しづらいものも多かったが、今年のTechEdでは「Windows NT 5.0」のリリースを控えているため、「Windows NT 5.0」のセッションなどが中心だ。もちろん、100%開発者向けのセッションも多いが、「Windows NT 5.0」に関してのセッションは開発者向けというよりは、サーバー管理者や一般の利用者でも、十分に理解できる内容になっている。

 PC Watchでは、「Windows NT 5.0」に関するセッションを中心に、これから何回かに分けてTechEd 98の模様をレポートする。


キーノートセッションはNT 5.0の話題が中心

 TechEd 98のトップを飾るのは、米MicrosoftのジェネラルマネージャBill Veghte氏によるキーノートセッション。氏はWindows 98のジェネラルマネージャとして、Windows 98の開発からリリースまでの責任者という経歴を持つ。
 キーノートでは、Windowsの現在の状況を踏まえた、これからのWindowsやサーバー製品のロードマップに関するものとWindows NT 5.0の話題が中心。Windows 98がリリースされたばかりだが、今後12カ月以内にOFFICE 2000、SQL Server 7.0、Exchange 5.5、Visual Studio 6.0などの製品が登場し、'99年にはWindows NT 5.0(Workstation、Server、Enterprise Server)をリリース、さらに2000年以降はWindows 98の新バージョンはなく、Windows NT 6.0に統合してゆく方向になるということだ。

 また、Windows NT 5.0の新機能についても概略であるが、積極的に紹介していた。氏によれば、Windows NT 5.0の目標はより堅牢なシステムを目指すものと、新しいテクノロジの取り込み。たとえば、現在問題となっているメモリリークやBlue Screenが発生する確率を極力抑え、より堅牢なオペレーティングシステムを目指すという。さらに、ファイルアクセスなどのパフォーマンス面でもWindows NT 4.0よりも向上しているという。

 また、新機能についてはハードウェア面では、OnNow、PnP、ACPI、DirectX6などWindows 98に搭載されている機能を取り込む(DirectXについては、Windows 98に搭載されているのはDirectX5.5だが)。また、ソフトウェア面では、ファイルシステムのQuota(利用可能ディスク配分の設定)の実現、よりわかりやすくなった新しい管理ツールMicrosoft Management Console(MMC)、多国語対応、Windows 98にも搭載されたWindows Scripting Host(WSH)、Webベースの管理ツールWeb-based Enterprise Management(WBEM)、Windowsのシステム管理やアプリケーションのインストール、アンインストールを簡略化するZero Administration(ZAW)、分散環境を実現するWindows DNA、従来よりもより一層動的なwebを実現するChromeEffectなどについてふれ、概要ではあるが実に充実した内容だった。

 なお、Windows NT 5.0の概要については、明日以降に詳しくレポートしたい。


いよいよ姿を見せたWindows Terminal

 本日は、Windows NT 5.0についてのセッションを中心に受講したが、中でもおもしろかったのは、Windows NT 4.0 Terminal Server Editionのセッション。Windows Terminalに関しての話題だ。Windows NT Terminal Serverは、アプリケーションをサーバー上で実行し、ユーザーインターフェイス、つまりユーザーの操作はクライアントで行なうというものだ。

 Windows Terminalソリューションを実現する製品群には、サーバー側のWindows NT Server 4.0 Terminal Server Edition、クライアント側のWindows based Terminal(WBT)の2つがあり、WBTをNT Server Terminal Editionに接続すると、サーバーにインストールされているアプリケーションなどをWBTで実行できる。ちなみに、WBTは単なる端末で、アプリケーションの動作はすべてサーバー側で行なえる。つまり、Windows NTで完全なマルチユーザー環境が実現できるというものだ。WBTはWindows Terminal Serverの専用端末、Windows CEを搭載した低価格なクライアント、Windows NT WorkstationやWindows 95/98で動作するWindows Terminalエミュレータなどが紹介され、実際にWindows Terminalエミュレータを使ったデモが実演された。

 なお、Windows NT Server Terminal Editionではフォントの処理はサーバー側でレンダリングし、WBTにはビットマップとして送信、WBTでのマウスやキーボードの操作はサーバー側に送信される仕組み。さらに、日本語入力などもサーバー側で処理される。つまり、486を搭載したマシンなどパワーがない旧世代のマシンをWBTとして再利用できるというメリットがある。また、ビットマップの転送というとネットワークのバンド幅が必要なように見えるが、実際は新開発の専用プロトコル(Remote Desktop Protcol)を用い、20Kbps程度の低速回線でも動作するという。さらに、複数の仮想チャネルや暗号化などもサポートされる。


セッション終了後はパーティーを開催

 TechEdでは初日、二日目はセミナーが終了すると、パーティ会場がオープンし、参加者同士の交流ができるほか、Just Ask Microsoft Areaと呼ばれるブースで、Microsoftのスタッフに技術的な質問ができるコーナーがある。

 また今回は、Partners Exhibit Areaでは協賛各社のブースがあり、さまざまな製品が展示されていた。ちなみに、先に紹介したWindows Terminalのデモもあり、実際にWindows 95やWindows CEでWindows NT Terminal Editionに接続し、WBTを体験できた。

 また、初日のパーティ会場「Welcome Reception」では、ロデオマシンやミニバスケットゲームなどのアトラクションもあり、セミナーに疲れた参加者の癒しの場になっていたようだ。

□Microsoft TechEd 98 Yokohamaホームページ
http://teched.msn.or.jp/

('98/7/30)

[Reported by 広野忠敏]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp