Monster 3D II |
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とりあえず1枚差してみたところ |
まあ、それも当然といえば当然といえる。元々抜群の処理能力を誇った先代のVoodooチップ(以下、便宜上“Voodoo1”と呼ぶ)は、3Dfxの熱心なプロモーションによって、専用APIである“Glide”を使用したゲームソフトが続々と市場に登場。結果として、ゲーム分野の3Dアクセラレーターとしては、業界標準の地位を確立するに至った。Voodoo2は、そのVoodoo1の直接の後継チップであるうえ、約3倍の処理能力を有する(3Dfx社の発表)というのだから、いやがおうにも注目を集めてしまうのも無理もない話だろう。
グラフィックボードを数多く発売している、株式会社ダイアモンド・マルチメディア・システムズがリリースした3Dアクセラレーターボード、「Monster 3D II」は、そんなVoodoo2チップを搭載した製品。今回はこのボードを実際に使用してテストすることができたので、ここにその素晴らしい能力を報告しよう。
●「Monster 3D」と私
2Dグラフィックスボードとはパススルー・ケーブル で接続 |
ゲーマーの端くれたる不肖この私も、必死にこの動きについていった。西に速いCPUがあると聞けばこれを購入し、東に速いビデオボードがあると聞けばこれを組み込む。我が家には当時の名残りとして、自作マシンが6台ほど転がっている(その他にメーカー製マシンも何台か……)。
この無間地獄状態を解消したのが、先代の「Monster 3D」。なにしろこのボードさえ導入しておけば、多少遅めのCPUを登載したマシンでも、家庭用ゲーム機を遥かに凌ぐクォリティーのゲームを楽しめる。別に無理してマシンをパワーアップする必然性が感じられなくなり、あれほど浮かされた自作熱も、いまではすっかり収まってしまった。現時点でもまだPentium IIマシンを手に入れてないなど、以前の自分からは考えられないことだ。
●2D画像のクォリティーが大幅に向上
SLI効果を確認するため2枚差したところ。ただし、まだ2枚をケーブルでつないでいない |
「Monster 3D II」の増設作業は、非常に簡単に完了する。空いているPCIバスにボードを差し、付属する外部ケーブルで2Dビデオカードに接続する。そこでマシンの電源を入れれば、Plug & Playでその存在が認識されるので、画面に表示される指示に従ってドライバを導入し、あとはマシンを再起動すればいい。ただし、私のようにすでにVoodoo1搭載カードを使用していた場合は、一応念の為、そのドライバの削除を行なってから作業に着手したほうがいいだろう。
さて、作業を終えてマシンが起動すると、まず驚くことがある。それは、画質のクォリティーの大幅な向上だ。そもそもVoodooは、3Dグラフィックの処理を専門に行なうチップ。マシンが起動した際の2D画面には、いっさい関係ないのではと疑問を持つ人もいると思う。だが、これが関係おおありなのだ。
先代「Monster 3D」の場合は、2D画面の細かい文字が、滲んだり、潰れたりしてしまっていた。これは、外部ケーブルでパススルーするという仕様上、どうしても2Dビデオカードのビデオ信号が減衰してしまうからだ。「Monster 3D II」もその仕様は同じなのだが、アナログ回りの回路が優秀なのか、信号が減衰した形跡がほとんど見られない。これなら、画質にこだわるユーザー、例えばグラフィックデザインを生業にしているような人でも、十分満足することができるだろう。
●Voodoo IIの実力は?
続いて、肝心の3D描画機能を確認してみよう。とはいえ、現時点でVoodoo2に特化して開発されたソフトは存在していないので、パッケージに付属する「Quake II」を動作させてみることにする。これは3面までの機能限定版ではあるが、ソフトのバージョンは最新のもので、Voodoo2での動作も考慮された作りとなっているのだ。
早速ソフトをインストールし、起動してみる。「Quake II」は使用するグラフィックカードに合せてドライバを選択することができるが、ここは迷わずVoodooを選択。すると、800×600ドットの画像が表示された。同じ「Quake II」を先代「Monster 3D」で動かすと、640×480ドットの表示となる。両者を比較すると、その差は歴然。はるか遠くの細かい物体の輪郭までもがはっきり表示されるその画像は、これまでのパソコンゲームのレベルを遥かに越えたと言っていいだろう。いや、アーケードでも、これほどのクォリティーを備えたゲームはほとんど皆無といっても過言ではない。
ただしこの高解像度化は、Voodoo2自体の能力というよりは、フレームバッファの容量によるところが大きい。先代「Monster 3D」がフレームバッファ2MB+テクスチャメモリ2MBというメモリ構成だったのに対し、「Monster 3D II」はフレームバッファ4MB+テクスチャメモリ4MBという構成がとられている。このうち、フレームバッファの容量の増加が、画面解像度の増加に直接つながっているのだ。
それでも、800×600ドットの画像が、Voodoo1の640×480ドットの画像以上にスムーズに動くことを見ると、Voodoo2の能力の高さの一端を介間見ることはできるだろう。
●2枚差しの効果はいかに
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SLIは、同じメーカーの同じメモリ構成のVoodoo2登載ボードを、専用の“SLIデュアル カードケーブル”で接続することで利用可能になる。さっそく上記のK6マシンにもう1枚の「Monster 3D II」を増設しようとしたのだが、なぜかこれがうまくいかない。PCIバスの位置を変えてみたりもしたが駄目。同マシンは以前から時々挙動が不審になっていたので、この障害も「Monster 3D II」側ではなく、マシン側が原因となっているとは想像できるのだが、今回は原因を究明する時間がなかったので、編集部のPentium II 266MHzマシンをお借りし、そちらで実験を行なうことにした。
先に触れたように、SLI機能を有効にするためには、ソフト側の対応が必要となる。現在SLIに対応したソフトは入手困難だが、幸いパッケージに付属する「Quake II」はSLI対応となっているので、引き続きこのゲームをプレイしてみることにする。
この新しいマシンでは、すんなり「Monster 3D II」2枚差しを実現することができたので、さっそく「Quake II」を起動してみる。すると今回は、1,024×768ドットの解像度でゲームを楽しめることができた。「Monster 3D II」単体の800×600ドットの画面にも驚いたが、当然こちらはさらにその上をいく水準。もう、グラフィックワークステーションに匹敵するクォリティーだ。ただし、さすがにこの解像度となると、処理が若干重くなったという印象を受ける。Pentium II 266MHzのマシンで動きが重くなったということは、浮動小数点演算機能の弱いK6ではさらに大きな影響がでるはず。そう考えると、この「Monster 3D II」2枚差しは、それなりに高速なマシンでないとキツイかも知れない。
●SLI対応ゲーム以外も速くなる?
Voodoo 2搭載カード2枚差しの実力は、やはりメーカー側の発表した内容に違わぬ、素晴らしいものだった。しかも、この2枚差しには、SLI以外にも有益な効果があるという噂なのだ。DOS/V POWER REPORT編集部によると、通常のDirect 3Dも速くなるという。確かに、同誌の速報記事を見ると、明らかにベンチマークの数値が向上している。これは確認せねばと、さっそくベンチマークを取ってもらったのだが……。
なぜか、あまり変化がない。もしやガセネタだったのかと思い、情報元に再確認し、自分でもいろいろとネット上で情報を集めてみたが、確定した話は得られなかった。
このほかにもパソコン側のCPUの問題がある。いくら優れた処理能力を持つVoodoo2とはいえ、単体でグラフィックに関する作業すべてを取りし切っているわけではない。やはりグラフィックを描画するためには、CPUと情報をやり取りするという作業が必要不可欠。まさにここが問題で、処理の遅いCPUでは、それ自体がボトルネックとなってしまうのだ。遅いマシンのユーザーにとってはちょっと残念な事実だが、これはもう仕方のない問題なのかも。
●互換性は思ったよりは低い
実は、問題がある。当初Voodoo2は、従来のVoodoo1用に開発されたソフトのほとんどをそのまま動作させりことができるとアナウンスされていた。ところが、実際にVoodoo 2チップ搭載カードでVoodoo1用のソフトを動かしてみたところ、うまく動かないというケースが頻発しているのだ。
具体的な事例は各ソフトハウスのホームページ上で確認してほしいが、かなりの数のVoodoo1用ゲームが、Voodoo2搭載カードで不具合が生じている。Windows 95プラットフォームのゲームではあまりないが、DOS版のソフトはその傾向が顕著で、むしろうまく動作しないもののほうが多いとさえ噂されている。
すでにVoodoo1対応のDOS版ソフトを、複数所有しているというユーザーも多いはず。今後発売されるVoodoo対応ゲームソフトはすべてVoodoo2搭載カードでもちゃんと動作するように開発されるというから、将来性を考えれば、Voodoo2搭載カードにリプレースしたほうがいいのかも知れない。ここらへんは個人資産と計りにかけて個別で判断するしかないようだ。個人的には、現在の資産を捨て切るには抵抗を感じざるを得ないんですな。ちょっと迷ってしまうところではあります。
[Reported by 小笠原 誠]
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