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http://www.wingcommanderprophecy.com/data/n_screens.html
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昨年5月に開催された第3回、E3(Electronic Entertainment Expo:世界最大のゲームショー)にて、初めてその姿を現した「Wing Commander:Prophecy」。「Wing Commander」シリーズの最新作となるこの注目作品が、1年を経てようやくリリースされる運びとなった。
「Wing Commander」シリーズは、元祖RPGの「ULTIMA」シリーズと並び、老舗米Origin社の看板作品となっているスペースアドベンチャーゲーム。宇宙戦闘機に搭乗して激しいバトルを展開する3Dシミュレーターに、映画並みのドラマチックなストーリーを導入するという独自のアプローチで、新作が発売されるたびにヒットチャートの上位を賑わしているビッグタイトルだ。
休憩室。ここには仲間が集まるほか、戦績なども張り出される | 休憩室から“シミュレーター”を選択すると、トレーニングモードがスタート | ムービーシーン。ゲームとはとても思えないクオリティ | ミッションの説明画面。説明は英語なので、ちょっと難しいかも |
そしてもう一方は、本編と同じ世界を舞台にしてはいるものの、独自のシステムを導入し、外伝的な扱いとなっている作品群。宇宙戦闘機の操縦に的を絞った「Wing Commander ACADEMY」、戦略シミュレーションの要素を導入した「Wing Commander ARMADA」、ストーリーの縛りを緩めて自由度を高めた「Wing Commander Privateer」とその続編の「Wing Commander Privateer II」、以上の4本がこれに当たる。いずれもシリーズ本編とはまたひと味違った味付けが受け、かなりのヒットを記録しているのはご存知のはずだ。
今回発売された「Wing Commander:Prophecy」は、“Wing Commander V”というタイトルではないことからもわかるように、後者のグループに属する作品となっている。とはいえ、内容的には、シリーズ本編に極めて近い位置付けを与えられているということができるだろう。3Dシミュレーターによる戦闘と、ドラマチックなストーリーが盛り込まれたアドベンチャーシーンを交互に繰り返すというゲームスタイルは、まさに本編そのまま。そのうえ、主人公こそブレアではないものの、ゲーム中には彼やマニアックなど、本編でお馴染みの面々も登場するのだ。
●“PROPHECY”=予言とは?
ゲームの舞台となるのは、対キラルシ星人戦が終結し、一応の平和がもたらされた時代。物語の発端は、キラルシ星近郊のアステロイドベルトを調査していた探査船が、正体不明の敵の襲撃を受け、消息を断ったことに始まる。当初、この事件は、人類との和平に不満を持つキラルシの反主流派勢力の仕業と考えられた。しかし、この説はすぐに否定される。回収された残骸から、謎の敵は探査船からは予測不可能な領域から突然ワープし、攻撃してきたことが判明したのだ。人類とほぼ同じ水準の技術力しか持たないキラルシに、そんな攻撃は不可能なのだ。
そこで注目を集めたのが、キラルシ星人に伝わるひとつの“PROPHECY”=予言だ。はるか昔、キラルシ星に、驚異的な科学力を持つ正体不明の異星人が現れた。だが彼らは、特に行動を起こすことなく去っていく。「遠い未来、君たちを滅ぼしに来る」と言い残して。果たしてこの予言は単なる言い伝えなのか、それとも……。真実を探るため、人類が中心となったラテン同盟は、問題の領域に宇宙空母を派遣する。その艦載機のパイロットの中に、プレイヤーがいるというわけだ。
戦闘中画面。宇宙空間360度に展開する戦闘シーンは迫力満点 | ミッション中に通信が入り、戦況を伝えてくれるときもある | 標的をロック[Lボタン]してミサイルを発射 | 敵機を見事撃破した瞬間 | 逆に見事撃破された瞬間 |
従来、「Wing Commander」シリーズは、ビットマップ処理によって戦闘シーンを描画していた。「Wing Commander IV」及びEAVが独自に改良を加えた「Wing Commander III日本語版」では、一部の戦艦や基地などがポリゴンで描画されるようになったものの、あくまで基本はビットマップ。だからこそ、マシンの処理能力が低く、他のポリゴンを使用したゲームがテクスチャーを張らないそっけない画面しか表示できなかった時代から、機体に描かれたマークもはっきり読み取れるSVGAの美しいグラフィックを実現することができたのだ。しかし、マシンの水準が劇的に向上し、ポリゴンや細かいテクスチャーが当たり前になると、その動きがなんとなく嘘臭く感じられるようになったのも事実。
そうした意見に応えて、かどうかはわからないが、この「Prophecy」では、とうとうシリーズ初の全面ポリゴン化が図られている。いきなりゲームの根幹に関わる部分を変更するとは相当の大胆さだが、そこは技術力には定評のあるOriginのこと。その動きはなかなかのもので、ポリゴンを利用した他社の3Dもの、例えばLucas Artsの「X-WING VS. TIE FIGHTER」などにも勝るとも劣らない水準に仕上がっている。これなら、従来はややもするとアドベンチャーモードを先に進めるための足かせに過ぎないと感じられた戦闘シーンも、十分のめり込んでプレイすることが可能なはずだ。気になるグラフィックの精度も、最近の3Dゲームでは定番となった米3Dfx社のVoodooチップに対応しており、対応ボードを装着したマシンでは、従来のビットマップ処理を利用したシリーズに負けぬ、美しい画面が実現される。反面、3D機能が弱いビデオチップを登載したマシンでは、オプション設定でグラフィックのクォリティーを最低限まで落とさないとかなりキツイなど、比較的遅いマシンでも快適に遊べるという「Wing Commander」の美点は失われてしまったが、これは時代の流れとして諦めるしかないだろう。
●完成度の高さは保証
懇切丁寧なマニュアルが 4冊ほどついてくる |
なお、Originは昨年、初代「Wing Commander」から「Wing Commander III」までの3タイトルをひとつにまとめた、「THE KILRATHI SAGA」というソフトをリリースしている。これは単に旧作を収録しただけではなく、DOS版だった初代「Wing Commander」と、Windows 3.1版だった「Wing Commander II」を、それぞれWindows 95ネイティブに再プログラミングしているなど、現在のマシン環境に合わせた改良が加えられている。最近になって「Wing Commander」シリーズに興味を持った人は、まずはこちらをプレイしてみてるのもいいだろう。
Copyright, 1997, ORIGIN Systems, Inc. Origin, We Create Worlds, Wing Commander is registered trademarks of ORIGIN Systems. No Remorse and the distinctive Origin logo mark are trademarks of ORIGIN Systems, Inc. Electronic Arts is a registered trademark of Electronic Arts.
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