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●Intelが開発者向けカンファレンスで「Covington」をデモ
いよいよ米Intel社が勝負をかけてきた。17日から始まった、Intelの開発者向けカンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」で、同社はこれまでにない規模で、今後のMPUとPCプラットフォームに関する戦略を発表し始めているようだ。Intelの今年から来年にかけての戦略の概要は、どうやら今週中に明らかになるらしい。
Intelという企業は、これまではガードが非常に固く、発表前の製品計画などについてなかなか明らかにしたがらないことで有名だった。そのため、Intelの製品計画などはオフィシャルな発表ではなく業界筋のリーク情報に頼るしかなかった。ところが、Intelはその方針を180度転換、アグレッシブに今後の製品の具体像とロードマップを打ち出す姿勢に変えたようだ。
たとえば、しょっぱなのアンディ・グローブ会長兼CEOのキーノートスピーチでは、いきなりキャッシュレス版Pentium II「Covington」とSlot 2版Pentium IIのデモが行われたという。Intelのサイトには、グローブ氏のキーノートスピーチが、WebCastとトランスクリプト「Intel Developer Forum: "Beyond The Spec"」で公開されている。これを見ると、グローブ氏自らが、Pentium IIの市場を上下に拡大するこの2つのチップ群について、これまでになく具体的に語っていることがわかる。
Covingtonは、以前このコラム【'97/12/10】「'98年、Pentium IIにキャッシュレス版とキャッシュインテグレート版が登場」でも扱った通り、Intelがサブ1,000ドルPC市場を狙って投入するPentium IIだ。その内容は、これまでにも何度かリークされていたが、実物が登場したという意味は大きい。また、グローブ氏はスピーチの中で、Covington向けのチップセット(440EXだと思われる)と「microATX (トランスクリプトでは聞き間違いでmicro80Xになっている!)」というマザーボードのフォームファクタを提供することを明らかにした。これも、この数週間でリークされていた情報だが、Intelが発売より2ヶ月も前に明らかにするのは異例だ。
●新MPUは新サブブランド名で登場
さらに、グローブ氏はCovingtonとSlot 2版Pentium IIのそれぞれに、新しいサブブランド名を与えることも明かしている。グローブ氏のスピーチでは、Covingtonを「XYZ」、Slot 2版は「Pentium II ABC」と、仮に呼んでいる。もっとも、これはあくまでも仮の名前で、アルファベットの最初(ABC)と最後(XYZ)で、トップからボトムまでをカバーするという意味に過ぎない。正式なブランド名は、製品出荷時までには決まるという。ちなみに、一部の業界筋からは、Covingtonに関して「Pentium II Jr」というブランド名が伝えられているが……。
このほか、グローブ氏はモバイル版Pentium IIについても触れ、これがデスクトップ版と同等のパフォーマンスレベルで、消費電力が8.6ワットと極めて低くなることを明らかにした。低消費電力化の技術については、グローブ氏のスピーチでは明らかにされなかったが、そのあとのセッションで言及されている可能性もある。
IDFでは、グローブ氏の翌日、重鎮のアルバート・ユー上級副社長がスピーチをし、さらにこれから始まる3日目はパット・ゲルシンガー副社長がスピーチを行なう予定になっている。一部のニュースサイトでは、すでにアルバート・ユー氏が統合型チップセットを開発中であることを明らかにしたなど、またまた爆弾が飛び出したことを伝えている。さらに、個々のテクニカルセミナーでは、さらに詳細な情報や公開されている。また、IDFと同時に、Intelは300mmウェハの工場建設に着手したことや、サーバー向けのシステムマネージメントスペシフィケーションを策定したことなどを発表している。
各ニュースサイトでは、またIDFのニュースはアップされ始めたばかりだが、今週後半から来週頭にかけては、Intel関連ニュースのラッシュになることは間違いがないだろう。正直、今回ほど行かなかったことを後悔したカンファレンスというのも他にない。その代わり、来週月曜日には、このコーナーのニュースサイトウオッチで、IDF関連ニュースを中心に扱う予定だ。
（'98/2/20）
[Reported by 後藤 弘茂 ]
【コラム】