このような状況下で、一時期下火となっていたWindows 95のOEMバージョンであるOSR2.1の購入熱が上がってきたようです。この連載の第2回「MSの秘密?OSR2を一般売りしないわけ」でも取り上げましたが、たった半年ぐらいでかなり状況が目まぐるしく変わっているので、今回再びOSRを取り上げたいと思います。
以下では半年前の状況と現在の状況を比較したり、第2回掲載後に判明した情報も述べますので、第2回の連載を読んでいない読者の方は、予備知識として読んでいただければ幸いです。
第2回:「MSの秘密?OSR2を一般売りしないわけ」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970305/akiba2.htm
2から2.1になったことの一番の目玉はUSBのサポートです。USBのドライバが入っており、各種USB機器が使える“はず”です(まだUSB機器が出揃っていないので使えるとは断言し難い)。それまでのOSRや一般向けに販売されているWindows 95ではUSBは使えませんし、ドライバもマイクロソフトから正式には配布されていません。
このほか、OSR2.1では細かいところで変更がなされていて、ダイヤルアップでインターネットに繋げる機能など各種ソフトが強化されており、実際の使用面での便利さも向上しています。
バージョンが上がり、USB対応を初めとした機能アップがいくつもある。しかもWindows 98のリリースが伸びた。こうした事情により、OSR2.1に魅力を感じる従来ユーザーが多いのではないかと思います。
その理由としてはやはり、OSR2.1を持っているユーザーしか使用できないということが一番に挙げられるでしょう。AtermIT65Proは普通のシリアル接続もサポートしているのでUSBが使えないユーザーでも問題ありませんが、他の機器となるとそうもいかないでしょう。キーボードをUSB接続と従来の普通の接続両方をサポートするとなると価格は倍になってしまい、売れなくなる可能性があります。マウスなども同様です。
USB対応機器として出てくるものの多くは基本的に低価格な製品です。価格が上がってしまうと、魅力が感じられなくなってしまいます。
もっとも、OSR2.1が手に入りさえすればUSBが利用できるかというと、まだそうも言いきれないようです。OSR2.1のユーザーでトラブルが起きている人もいます。まだまだドライバは開発途上という感が否めません。
しかし、マシンやマザーボードには以前からUSBのコネクタだけは付いています。「動かしてみたい。使ってみたい」と思うのが人情でしょう。また、年末にかけてマウスやキーボード・USBハブ等の一部商品が流通してくるようです。そうなれば、余計に使ってみたくなります。やはりMemphisことWindows 98が出るまで我慢しなくてはならないのでしょうか?
USBに関しては、NECのPC98-NXのようにUSB ONLYのマシンが出てきていることから、今後の対応製品の状況がどうなるか、正直いってつかみにくくなっています(筆者は、NECのUSBに対する積極性は素晴らしいと思います)。手っ取り早いのは、OSR2.1が誰でも気軽に買えるようになることなのですが、なかなかそうもいかないのが難しいところです。
「新しいコンピュータシステムあるいはコンピュータシステムコンポーネントに付随していない場合使用できない」
このように、明記してあります。販売店もこの契約書に縛られていますので、契約上使用できないものを販売するのは問題があるわけです。単体での販売はもちろん、CD-ROMドライブやHDD・マザーボード等の機器とOSRの2点セットにしても結局は契約書に違反しており、たとえショップで購入したものでも、ユーザーは使用する権利を持たないわけです。
敢えて使用した場合には、契約書違反となり、強く言うと販売しているショップも使用しているユーザーもマイクロソフトに訴えられる可能性があります(実際には、訴えられることはそうはないと思いますが)。
ちなみに、「コンピュータシステムコンポーネント」とはDOS/Vショップでよく販売している「組立キット」もしくは「DIYキット」などの名称で販売されているようなパーツのセット品のことを指すと考えるのが一般的ではあります。
DECなどのようなメーカーでも、HDDやメモリが乗っていないマシン本体と、オプションのメモリやHDDを購入し、OSRをバンドルしてユーザーに組み立ててもらうキットの販売をしていますので、「コンピュータシステムコンポーネント」というのは、そういったケースを想定して書かれていると思われます。
ところが、ここに抜け穴があるのです。
OSR2.1を手に入れたい。このユーザーの欲望を満たすため、契約書に違反せず最低限のパーツを購入することでOSR2.1を手に入れる方法が、連載第2回を掲載した後に分かりましたので、PC Watch読者へ秘密に教えたいと思います(これだけ公なところに書いてなにが秘密だ(^^;)
前記したようにOSR2.1は「ソフトウェア使用許諾契約書」の以下の条項に縛られているため単体では購入・販売出来ません。
「新しいコンピュータシステムあるいはコンピュータシステムコンポーネントに付随していない場合使用できない」(要旨)
ポイントは「コンピュータシステムコンポーネント」のところです。このコンピュータシステムコンポーネントとは具体的には何を指し示すのでしょうか。これも契約書上に明記されています。
「記憶装置やマザーボードなどのコンピュータシステムコンポーネント」(要旨)
この文章の最初の2項目がポイントです。具体的には、「記憶装置やマザーボードなど」としか明記されていないため、専門家に聞くと法的な解釈をした場合、『記憶装置とマザーボードがあればコンピュータシステムコンポーネントと見なしても問題がない』ということです。
気になるのは、最後に付く「など」という言葉ですが、この言葉は非常に曖昧であり、法的に縛られるものではないというのが専門家の意見です。少々拡大解釈気味で、ギリギリの線であるのは確かですが、この解釈に従えば、記憶装置とマザーボードがあれば問題ないといえそうです。
さて、このうち「記憶装置」とは何を指し示すのでしょうか? パソコンを動かすときに必須な記憶装置といいますと代表的なものは「メモリ(RAM)」もしくは「ハードディスクドライブ(HDD)」だと思います。どちらも「記憶装置」にあてはまりますが、ソフト自体を記憶するという意味合いとも解釈出来るため、「ハードディスクドライブ」と考えるのが順当だろうとのことです。
そこで、まとめると以下のようになります。
『ハードディスクとマザーボードさえ購入すればOSR2.1は契約書に違反せず買える(販売できる)』
ということです。この形で販売してマイクロソフトからクレームが来たという話は聞きません(他のセットではクレームが来る)。ユーザーとしてもショップの販売方法に目を配り、最低限マザーボードとHDDがセットになっているOSR2.1を購入するようにした方が良いと思います。ちょっと価格が高くなってしまいますが、契約に違反して使用するより、正しい購入方法を選択して堂々と使いたいものですね。
上述してあるのは、専門家に相談した場合の法的解釈ですが、本稿をメール版に掲載した後、筆者がマイクロソフト担当者に確認し、マイクロソフトの見解が得られました。それによると、「マザーボードとOSR2.1のセットであれば、問題ない」ということが分かりましたので、ここにお知らせします。
■■9月の秋葉原ショップ動向■■●消費が冷え切っている…
また、同じくIntelが従来のCPUの価格を値下げするのではないかと思われます。10月末もしくは11月は、年に数回あるIntelの値下げ発表時期にあたりますから、どのくらい下がるか楽しみではあります。 そして今回取り上げたマイクロソフトのOSRですが、次のバージョンであるOSR3(?)の出荷が迫っているような感じがあります。基本的にOSRの新バージョンについては発表や案内などは出ないので、OSR2.1を発注したはずなのにいつの間にか新しいバージョンに切り替わっているというのが通常です。ですから、いつからOSRの新バージョンが出荷されるとか、どのマシンに新バージョンが搭載されている、などということは出荷されて1~2ヶ月経ってからでないと、ユーザーには分からないと思います。 もしかしたら年末商戦にはOSR3(?)が出てくるかもしれません。そうなると少しは面白く、そして売れる要素が少しは出てくるのですが……淡い展望をショップは胸に秘めています。
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[Text by AMUAMU]