またCPU、メモリを始めとして全てのパーツが値下がりしているので、前年比で130~150%の売り上げ件数をこなして、やっと'96年並みの売上金額が立つという状態ですから、ショップにとってはかなり厳しいところかもしれません。
売れ行きがいまいちの中で、数少ない売れ筋商品が品切れしていると、売上もどんどん悪くなります。「売れ行きがいまいち」+「品不足」のダブルパンチという状態でした。
まずAGPがMemphisことWindows 98を前提とした仕様(というかマイクロソフトの対応がまだ)のため、パフォーマンスが出てこないことが挙げられます。現時点ではIntelの提供するドライバで動かすことしか出来ません。またこれに関係することとして、相性問題が発生しやすいです。現に、一部マザーボードとAGP対応ビデオチップに相性があり、動かないという例はすでに報告されていたりします(ドライバのバージョンアップですぐ解決すると思いますが)。とりあえず筆者はnVIDIAのRIVA128を採用したAGPビデオカードがお勧めですね。相性問題も現時点で聞きませんし、何よりその素晴らしいパフォーマンスは特筆に値します。このチップはある超大手メーカーも採用することが決まっているようですし、一押しですね。
理由その2:大手メーカーが440LX採用したパソコンを出さない
理由のその2としては、大手メーカーが440LXとAGPを搭載したパソコンを440LXの発表と同時に出していない、ということが挙げられます。発表と同時に採用したパソコンのリリースを流したメーカーは直販系メーカーのDELLとGateway2000のみ。大手メーカーであるNEC・富士通・IBM・COMPAQ等は静観しています。
先日発表があったノート用のMMX Pentium 233MHzのときは各社一斉に新製品を発表しているのと比べて、この差は……。
やはりこれはOSの対応がまだということと、Pentium II + 440LX + AGPの組み合わせは価格が高めになり、パーソナルユースに向かないということでしょうか。
大手メーカーが採用しないと、一般ユーザーへの440LXチップセットとAGPという言葉の広まりが悪く、知らない人が多いという状況となります。大手メーカーが採用した場合、それを前面に出して雑誌広告やテレビ広告など各種メディアを通して広まるため、一般ユーザーの抵抗感が非常に小さくなります。ショップや小さなメーカーがどんなに頑張って広告を出しても、大手メーカーのテレビ広告一本にはかなわないと思います。
たくさんの人に440LXやAGPという単語が知られれば、上級ユーザーでなくてもショップにAGP搭載パソコンを求めて買いに来たりするわけです。または、パーツのアップグレードを考えたりするわけです。大手メーカーが採用をしなかったのは、ショップにとってかなりのマイナス要素ではないかと思います。
理由その3:AGPビデオカードの種類が少ない・出荷量もまだ少ない
もう一つの理由は、選択肢となるAGPビデオカードの種類がまだ少ないということです。さらに、ビデオカードに載るビデオチップの種類だけで言えば、まだほんの数種類しか出荷されていません。選択肢が少ない中ではユーザーもまだ手が出しにくでしょう。
種類が少ないのは相性問題が多かったり、ビデオボードメーカーの技術的蓄積が足りなかったりするのが理由ではないかと思います。また、チップの出荷量が少ないのは、大手メーカーがAGPチップを採用した本体を出さないため、気合を入れた生産がまだ出来ない状態ではないかと思われます。
理由その4:一番の理由。Pentium II + 440LX + AGPはまだ高い!
最後の理由は価格。440LXとAGPを搭載したパソコンはPentium IIを搭載する必要があり、必然的に販売価格も高くなります。DOS/Vショップでの主力はPentium IIに移ってきていますが、まだまだMMX Pentiumも売れますし、AMD K6やCyrix 6x86MX等のSocket7CPUがあります。AGPという規格はビックタイトルなのですが、Pentium IIという限られた市場だけに特化しているのがもったいない。AGPビデオカードもすでに1万円前半の販売価格からあり、低価格なパソコンにも十分搭載可能です。IntelのPentium IIへ移行させようという戦略はわかりますが、市場はまだ付いていけないというのが正直な感想です。
しかしながらSocket7 + AGPを実現するマザーボードもじきに出てくるでしょう。これがどれだけ早く出てくるかによってはAGPフィーバーもありえるかもしれません。
Windows 95の次のバージョンもWindows 98として来年になってしまい、今年はパソコン業界にとって厳しい年なのかもしれません。ですが来年はWindows 98やIntel440BXチップセット等など、新しいものがたくさん出てきます。パソコンショップにとって今年は我慢の年なのかも知れませんね。
[Text by AMUAMU]