|
|
この名調子で始まるSF映画「スターウォーズ」。冒頭のこのフレーズは、30歳前後の方なら多分誰でも、この程度はそらんじる事ができるであろうくらい有名なセリフだ。当時のSFX技術の粋を集めて制作された映像は、SFファンのみならず多くの観客の心をとらえてやまなかった。あれから20年、SF好きの中学生だった筆者も、今ではすっかりおじさんの仲間入りした今年、当の映画の方はCGを駆使した再編集版が公開され、ゲームメディアでも複数のタイトルが発表されるなど、20周年を飾るにふさわしい活発な動きを見せている。今回紹介する「ジェダイナイト」も、そんな中の1本だ。
ゲームを進めていくと“ライトサーベル”を手に入れて、武器として使用することができる。 | こちらは1人称視点モード。距離感をうまく掴まないと逆にやられてしまう。 | 憧れのライトサーベルで敵をなぎ倒していくのは快感だが、いかんせん射程が短いので、よく考えて使うこと。 |
●進歩を遂げた「ダークフォース」の続編、遂に登場
「ジェダイナイト」は、かつてLUCASARTSがリリースした「ダークフォース」の続編として位置づけられている。「ダークフォース」は、3Dアクションシューティングとして有名な「DOOM」に似たシステムのゲームで、同種のゲームの中ではもっとも早く、“上下を見渡せる”“高度差のある敵と銃撃戦をすることが可能”といった3Dであることを追求した作りを目指した作品として発表された。今作は「ダークフォース」のシステムはそのままに、より映画的な演出を取り入れ、アクション的要素を前面に押し出したゲーム構成となっているのが特徴だ。狭い足場を一気に駆け抜けたり、深い水の底に潜っていったりと「走る」「飛ぶ」「泳ぐ」「撃つ」といった、アクション映画の要素をふんだんに盛り込んだ“やってドキドキ、見てワクワク”という、上質なゲームに仕上がっているといえるだろう。このあたりは3D西部劇アクションゲーム「アウトロー」にも引き継がれ、同社の3Dアクションシューティングの基本システムとして定着のきざしを見せている。
デモ・シーンのクオリティも 前作をはるかに上回っている。 |
「スターウォーズ」ファンに大きくアピールするもうひとつのポイントが「ライトセーバーの装備」が可能になったことだ。ジェダイの騎士の証ともいえるライトセーバーが使えるゲームは「ジェダイナイト」が初めてだ(注1)。相手が銃を持っていると厳しかったりもするけれど、攻撃力はあるしエネルギー制限はないしで、使い勝手は良好。場合によっては金網を破るのに使えたりして、なかなかに重宝な武器なのだ。
●“フォース”を使いこなしてトラップを切り抜けろ
ジェダイの騎士に必要なもうひとつの重要な要素が「フォース」の存在。こちらも、このゲームにはしっかりと採用されている。スタート直後には使用できないが、やがて高速移動や大ジャンプ、体力の回復などの特殊能力が、フォースの力を使うことで(コマンドとして)使用できるようになる。この“やがて”というところがポイントで、実はこのゲームにはRPGのような経験値が導入されている。敵を倒せば倒すほど経験値が上がり、やがてフォースの力がひとつずつ使えるようになるというわけ。おのずと、1体でも多くの敵を倒すべくマップの隅々まで探索してしまうことになる。
ただ、ここで注意しなければならないことがひとつ。フォースには光の面(Light side)と暗黒面(Dark side)があることはスターウォーズ・ファンには自明の理だけれど、この考え方は「ジェダイナイト」にも引き継がれている。マップの中を徘徊しているのは敵(主にクリーチャー)ばかりでなく、人間やロボットも歩き回っていて、近寄ると「何かあったのか?」「ほっといてくれ」「ぴぽぽぽぴー」などと話しかけてくる。そして、攻撃すれば敵兵同様に死んでしまうのだ。そう、もうおわかりだろう。彼らを攻撃することによっても、経験値は手に入るのだ。ただし、それはフォースの力を大きく暗黒面へと向かわせることになる。サブタイトルにもなっている“ダークフォース”は、前作では文字通り「黒い強力な兵士」を指していたが、本作では映画同様「理力(フォース)の暗黒面」を意味している。暗黒面にとらわれないためには、確実に敵兵のみを倒していくことが必要になるのだ。もっとも、暗黒面に向かうメリットもある。暗黒のフォースの力の中には、敵を直接攻撃するクリティカルなものも存在するが、これは光の面にいるかぎり取得できないものだ。また、プレイヤーのフォースがどちらに向かっているかでシナリオ自体も変化する。あえて暗黒面に堕ちてみるのも、また一興かもしれない。
TIE Fighter戦闘機の大きさが よく分かるアングル。 |
●ゲーム初心者にはキビシイ? 驚異的な難易度
さて、かなりベタベタに誉めちぎってきた「ジェダイナイト」だけれど、問題点が全くないかといえば決してそんなことはない。それが、難易度の問題。おそらく、初プレイ・コンティニューなしでEASYモードのステージ1をクリアできる人は、そうそういないだろう……というくらい難易度は高い。こまめにセーブしながら進み、余分なダメージを食らったら即ロード、というくらいの気持ちがないと、あっという間にゲームオーバーになってしまうだろう。もっとも、最近の同種のゲームはどれもこの程度の難しさ、という感じもしないではないのだが。途中、シールドはともかく、体力を回復するアイテムはそう多く出現しないので、ヘタな場所でセーブするとハマリ確定になる。セーブはディスク容量が許す限り何ヵ所でも可能なので、ステージごとに何ヵ所かのセーブポイントを設けて、失敗したと感じたら戻れるようにしておくことも重要だ。幸い、このゲームにはクイックセーブの機能(F9キーを押すことで簡易セーブを自動的に行なってくれる)がついている。プレイ中、ドアを開ける前などにはF9を押すクセをつけておき、攻撃を受けたらリロードして再挑戦、というくらいの心構えでいる必要はあるだろう。かなりチマチマとしたプレイになりやすく、「スターウォーズ」の爽快感からは外れてしまうかもしれないけれど、何度もプレイしてマップの構造や敵の配置を把握してしまえば、映画の主人公ルーク・スカイウォーカーばりの冒険大活劇を演じることも不可能ではない。ヒーローになるためには、下積みも必要なのだ。
ゲームを進めていくと、 水中に潜るシナリオも出てくる。 |
というわけで、この「ジェダイナイト」。難易度の問題こそあれ、「スターウォーズ」のオールドファンから今のゲーマー世代にまで、広くアピールできる良作だと思う。映画「スターウォーズ」が初公開された年に生まれた人が、来年には成人式。中には「スターウォーズ」を知らないという方もいるかもしれないけれど、このゲームがきっかけになって興味を持ってくれればと思う。今となっては古臭い映画かもしれないが、現在の全てのSFアクション映画の基礎を作り、これらのジャンルをエンターテイメントとして世に認知させ、SFをファンのものから一般のフィールドにまで押し上げた作品であることは間違いないのだから。 最後に、これからこのゲームで遊ぼうという方、「スターウォーズ」の世界に興味を持った方に、映画の中のセリフのひとつを贈ろう。映画を観た人にとっては、これ以上はないというくらい有名なセリフだけれど、このゲームの世界である「スターウォーズ」の世界を端的に表現しているこのセリフを。
インプレッションや記事に関するご意見・ご感想、とりあげて欲しいゲームソフトや企画などは、pc-watch-info@impress.co.jpまでお寄せください。
□新作ゲーム情報
●「QUAKE II」最新画面写真、一挙紹介! ほか