★ ゲームソフトインプレッション ★

JEDI KNIGHT ~DARK FORCES II~

パッケージ

  • ジャンル:3Dアクションシューティング
  • 発売メーカー:マイクロマウス
  • 標準価格:10,800円<>
  • 対応OS:Windows 95
  • 発売日:10月24日発売
 
【ゲームの内容】
     SF映画「スターウォーズ」の世界を舞台にした、3Dアクションシューティングゲーム「DARK FORCES」の続編。前作と大きく違う点は、経験値の導入と特殊能力としての“フォース”が追加された点。ただ敵を倒すだけでなく、うまくフォースを使うことも要求される。また、新たにライトサーベルが武器として採用されたことにより、これまで以上にスターウォーズの世界を満喫することができる。
【動作環境】
  • OS:Windows 95(DirectX5必須)
  • グラフィックカード:DirectXをサポートしたPCIバスのグラフィックカード
  • RAM:16MB以上(32MB以上推奨)
  • CD-ROMドライブ:2倍速以上(4倍速以上推奨)
  • サウンドカード:Windows 95対応の16bit Sound Card
  • インターネット接続:Pentium 166MHz以上、28.8Kbps以上
  • LAN:IPX、TCP/IP対応のLAN(8人まで)
  • モデム:14.4Kbps以上(2人まで)

マイクロマウスのホームページ
http://www.micromouse.co.jp/
LUCASARTSのホームページ(英文)
http://www.lucasarts.com/menu.html
「JEDI KNIGHT ~DARK FORCES II~」のページ
http://www.micromouse.co.jp/lucas/jedi.htm
「JEDI KNIGHT ~DARK FORCES II~」のページ(英文)
http://www.lucasarts.com/static/jk/default.htm
デモ版のダウンロードサイト(英文)
http://www.lucasarts.com/static/jk/html/demo_updates.html


“A LONG TIME AGO IN THE GALAXY FAR FAR AWAY...”

 この名調子で始まるSF映画「スターウォーズ」。冒頭のこのフレーズは、30歳前後の方なら多分誰でも、この程度はそらんじる事ができるであろうくらい有名なセリフだ。当時のSFX技術の粋を集めて制作された映像は、SFファンのみならず多くの観客の心をとらえてやまなかった。あれから20年、SF好きの中学生だった筆者も、今ではすっかりおじさんの仲間入りした今年、当の映画の方はCGを駆使した再編集版が公開され、ゲームメディアでも複数のタイトルが発表されるなど、20周年を飾るにふさわしい活発な動きを見せている。今回紹介する「ジェダイナイト」も、そんな中の1本だ。

ゲーム画面2 ゲーム画面3 ゲーム画面1
ゲームを進めていくと“ライトサーベル”を手に入れて、武器として使用することができる。 こちらは1人称視点モード。距離感をうまく掴まないと逆にやられてしまう。 憧れのライトサーベルで敵をなぎ倒していくのは快感だが、いかんせん射程が短いので、よく考えて使うこと。
Jedi Knight: Dark Forces II game(C) 1996 Lucasfilm Ltd. All rights reserved. Used under authorization. Star Wars is a registered trademark and Jedi Knight and Dark Forces are trademarks of Lucasfilm Ltd. The LucasArts logo is a registered trademark of LucasArts Entertainment Company.


●進歩を遂げた「ダークフォース」の続編、遂に登場

 「ジェダイナイト」は、かつてLUCASARTSがリリースした「ダークフォース」の続編として位置づけられている。「ダークフォース」は、3Dアクションシューティングとして有名な「DOOM」に似たシステムのゲームで、同種のゲームの中ではもっとも早く、“上下を見渡せる”“高度差のある敵と銃撃戦をすることが可能”といった3Dであることを追求した作りを目指した作品として発表された。今作は「ダークフォース」のシステムはそのままに、より映画的な演出を取り入れ、アクション的要素を前面に押し出したゲーム構成となっているのが特徴だ。狭い足場を一気に駆け抜けたり、深い水の底に潜っていったりと「走る」「飛ぶ」「泳ぐ」「撃つ」といった、アクション映画の要素をふんだんに盛り込んだ“やってドキドキ、見てワクワク”という、上質なゲームに仕上がっているといえるだろう。このあたりは3D西部劇アクションゲーム「アウトロー」にも引き継がれ、同社の3Dアクションシューティングの基本システムとして定着のきざしを見せている。
ゲーム画面6
デモ・シーンのクオリティも
前作をはるかに上回っている。

 「ジェダイナイト」が前作「ダークフォース」から大きく進化した点はいくつかあるが、前作をプレイした方が最初に気づくのは、おそらくデモムービーだろう。ゲームのプロローグ部分や、各ステージの合間に挿入されるデモムービーは、前作では静止画やアニメだったが、今回は俳優を起用して撮影された実写映像になっているのだ。背景の構造物やメカはCGで描かれているようだけれど、世界観は紛うことなき「スターウォーズ」そのもの。まあ、映画の制作会社自ら作ってるわけだから、当たり前だといえば当たり前なんだけど。でもこのゲームをプレイすれば、外伝ではあるけれど「スターウォーズ」の最新作を鑑賞することになるわけだ。ファンにとっては、この久々の新作映像を見るためだけに、プレイする価値はあるというものではなかろうか。

 「スターウォーズ」ファンに大きくアピールするもうひとつのポイントが「ライトセーバーの装備」が可能になったことだ。ジェダイの騎士の証ともいえるライトセーバーが使えるゲームは「ジェダイナイト」が初めてだ(注1)。相手が銃を持っていると厳しかったりもするけれど、攻撃力はあるしエネルギー制限はないしで、使い勝手は良好。場合によっては金網を破るのに使えたりして、なかなかに重宝な武器なのだ。


●“フォース”を使いこなしてトラップを切り抜けろ

 ジェダイの騎士に必要なもうひとつの重要な要素が「フォース」の存在。こちらも、このゲームにはしっかりと採用されている。スタート直後には使用できないが、やがて高速移動や大ジャンプ、体力の回復などの特殊能力が、フォースの力を使うことで(コマンドとして)使用できるようになる。この“やがて”というところがポイントで、実はこのゲームにはRPGのような経験値が導入されている。敵を倒せば倒すほど経験値が上がり、やがてフォースの力がひとつずつ使えるようになるというわけ。おのずと、1体でも多くの敵を倒すべくマップの隅々まで探索してしまうことになる。
 ただ、ここで注意しなければならないことがひとつ。フォースには光の面(Light side)と暗黒面(Dark side)があることはスターウォーズ・ファンには自明の理だけれど、この考え方は「ジェダイナイト」にも引き継がれている。マップの中を徘徊しているのは敵(主にクリーチャー)ばかりでなく、人間やロボットも歩き回っていて、近寄ると「何かあったのか?」「ほっといてくれ」「ぴぽぽぽぴー」などと話しかけてくる。そして、攻撃すれば敵兵同様に死んでしまうのだ。そう、もうおわかりだろう。彼らを攻撃することによっても、経験値は手に入るのだ。ただし、それはフォースの力を大きく暗黒面へと向かわせることになる。サブタイトルにもなっている“ダークフォース”は、前作では文字通り「黒い強力な兵士」を指していたが、本作では映画同様「理力(フォース)の暗黒面」を意味している。暗黒面にとらわれないためには、確実に敵兵のみを倒していくことが必要になるのだ。もっとも、暗黒面に向かうメリットもある。暗黒のフォースの力の中には、敵を直接攻撃するクリティカルなものも存在するが、これは光の面にいるかぎり取得できないものだ。また、プレイヤーのフォースがどちらに向かっているかでシナリオ自体も変化する。あえて暗黒面に堕ちてみるのも、また一興かもしれない。

ゲーム画面4
TIE Fighter戦闘機の大きさが
よく分かるアングル。

 漫然とプレイしていると気づかないかもしれないが、このゲームの中でもっとも評価したいのは空間の演出法。特に、ステージ2の見せ方は特筆ものだ。排水溝に落ちたデータディスクを追って自らもその中に身を投じ、そこから助けのむかえのくる最上部まで上がっていくというシナリオなのだが、その途中は高低差を利用したトラップの山。斜行するリフトに乗っているときに、上にいる敵と銃撃戦になったり、移動中のコンテナに飛び乗って向こう側に渡ったり、目もくらむような高さの狭い足場の上で戦ったりと、3Dであることを最大限に活かしたマップ構成には感心させられることしきり。きれいなCGを描くだけなら最近珍しくなくなったが、こと“見せる”という点に関しては、さすがに映画会社の作った作品は違う、という感じだ。最大1,280×1,024ドットの緻密に書かれた世界は一見の価値あり。もっとも、この画面モードで快適にプレイするためには相当のマシンスペックが要求されることになるだろう。我が家のK6 200MHzのマシンでは、ビデオカードが遅いことも手伝ってか、プレイにならないほど重かった。一度、この画面モードがスイスイ動くマシンでプレイしてみたいもんだなあ。


 
●ゲーム初心者にはキビシイ? 驚異的な難易度

 さて、かなりベタベタに誉めちぎってきた「ジェダイナイト」だけれど、問題点が全くないかといえば決してそんなことはない。それが、難易度の問題。おそらく、初プレイ・コンティニューなしでEASYモードのステージ1をクリアできる人は、そうそういないだろう……というくらい難易度は高い。こまめにセーブしながら進み、余分なダメージを食らったら即ロード、というくらいの気持ちがないと、あっという間にゲームオーバーになってしまうだろう。もっとも、最近の同種のゲームはどれもこの程度の難しさ、という感じもしないではないのだが。途中、シールドはともかく、体力を回復するアイテムはそう多く出現しないので、ヘタな場所でセーブするとハマリ確定になる。セーブはディスク容量が許す限り何ヵ所でも可能なので、ステージごとに何ヵ所かのセーブポイントを設けて、失敗したと感じたら戻れるようにしておくことも重要だ。幸い、このゲームにはクイックセーブの機能(F9キーを押すことで簡易セーブを自動的に行なってくれる)がついている。プレイ中、ドアを開ける前などにはF9を押すクセをつけておき、攻撃を受けたらリロードして再挑戦、というくらいの心構えでいる必要はあるだろう。かなりチマチマとしたプレイになりやすく、「スターウォーズ」の爽快感からは外れてしまうかもしれないけれど、何度もプレイしてマップの構造や敵の配置を把握してしまえば、映画の主人公ルーク・スカイウォーカーばりの冒険大活劇を演じることも不可能ではない。ヒーローになるためには、下積みも必要なのだ。
ゲーム画面5
ゲームを進めていくと、
水中に潜るシナリオも出てくる。

 もちろん、モデムやLAN、インターネットなどを利用して、最大16人までの対戦プレイも可能。ストーリー性が薄くなるので「スターウォーズ」である必然性は感じられないかもしれないけれど、あの世界観で仲間とバトルっていうのも楽しいのではないだろうか。製品がリリースされていない現状ではプレイ相手がなく、実際に検証できないのが残念だけれど。

 というわけで、この「ジェダイナイト」。難易度の問題こそあれ、「スターウォーズ」のオールドファンから今のゲーマー世代にまで、広くアピールできる良作だと思う。映画「スターウォーズ」が初公開された年に生まれた人が、来年には成人式。中には「スターウォーズ」を知らないという方もいるかもしれないけれど、このゲームがきっかけになって興味を持ってくれればと思う。今となっては古臭い映画かもしれないが、現在の全てのSFアクション映画の基礎を作り、これらのジャンルをエンターテイメントとして世に認知させ、SFをファンのものから一般のフィールドにまで押し上げた作品であることは間違いないのだから。  最後に、これからこのゲームで遊ぼうという方、「スターウォーズ」の世界に興味を持った方に、映画の中のセリフのひとつを贈ろう。映画を観た人にとっては、これ以上はないというくらい有名なセリフだけれど、このゲームの世界である「スターウォーズ」の世界を端的に表現しているこのセリフを。

“May the force be with you”(フォースとともにあらんことを)


【筆者紹介】 【総プレイ時間・ハード環境】


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