Weekend Watch【'97/9/26版】
■ゲームソフトインプレッション■
今回のゲームソフトインプレッションは、アクティビジョンが放つ期待のカーアクションゲーム「インターステート'76」です。
インターステート'76
- ジャンル:3Dカーアクション
- 発売メーカー:アクティビジョン・ジャパン
- 標準価格:9,500円
- 対応OS:Windows 95
- 備考:ギャングに妹を殺された男が、仲間と共に悪の組織に立ち向かっていく。'70年代のアメリカを舞台にした映画さながらのハードアクションが展開される。Direct X 5.0のDirect Inputに対応しており、Microsoftのサイドワインダー フォースフィードバック プロで遊べばゲーム内の衝撃に合わせてジョイスティックがブルブル震える。
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【筆者紹介】
- 名前:山城 宏
- 好きなジャンル:ゲーム百般、ギャルゲー全般。ただしWar SLGはちょっと苦手。質の高いアクションゲームをこよなく愛す。今年のFavorite oneは「トゥームレイダー」。
- プロフィール:昭和30年代の絞りカス。面白そうなことには何でも首を突っ込んでかきまわす。コンピュータ歴は20年オーバー。最近、新しいATを組み上げたばかり。仕事に使うのは今回が初めて。雑誌ライター、イベント企画、ゲーム制作、その他諸々、お呼びとあれば即参上。
【総プレイ時間・ハード環境】
- 総プレイ時間:約12時間(全プレイモード総計)
- 使用ハード:自作PC/AT互換機(K6 200 MHz、SDRAM 64MB、HDD 6.4GB + 2.5GB、8倍速CD-ROM、S3 Virge3D、SoundBlaster16)
- 使用ソフト:Windows 95 OSR2
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□アクティビジョンのホームページ(英文)
http://www.activision.com/
□「インターステート'76」のページ(英文)
http://www.activision.com/games/action/i76/index.html
□デモ版、ヒント集、パッチ類のダウンロードサイト(英文)
http://www.activision.com/games/action/i76/downloads.html
ゲームの楽しさというのはさまざまだけれど、世の中には「始めにノリありき」というゲームが確として存在するものだ。ゲームとしてのデキやグラフィックの緻密さ、音楽のクオリティの高さ、一般にゲームを評価する際に語られるこれらのポイントをすべてさしおいて突出する“ノリ”。年に数本はそうしたゲームがリリースされるものだけれど、この「インターステート'76」も、そうしたゲームの1本に数えられることは疑う余地もない。このノリが、あまりにもバカバカしいと「バカゲー」と呼ばれてしまうけれど、このゲームの場合は「ノリゲー」とでも呼んだ方がふさわしいかもしれない。今、勝手に思っただけなんだけど。さて、それではこの「インターステート'76」がどんなゲームなのか見ていくことにしよう。ゲームの様子がわかれば、その“ノリ”がいかなるものなのか理解してもらえることだろうから。
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ゲーム画面は車内視点。視点変更で車輌後部からの視点など、いろいろ選べる。 | 車を運転しながらピストルで左右にいる敵を攻撃する……なんていう刑事ドラマみたいなこともできる。 |
Activision is a registered trademark and Interstate '76 is a trademark of Activision, Inc.
(C)1997 Activision, Inc. All rights reserved. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
●アナクロな“ノリ”と、“ハデ”なアクションが気持ちいい
このゲームはポリゴンを使用した3Dのドライブシューティング。エンジンや装甲を強化し、さまざまな武器を搭載した改造車を駆り、敵をバリバリとなぎ倒していく。3Dシューティングゲームの傑作「DOOM」と、車同志をぶつけ合って敵車をぶっ壊す「デストラクションダービー」を足したような感じ、というのが一番適切かもしれない。基本操作はそれほど難しくなく、テンキーの2468でハンドルとアクセル・ブレーキ、ENTERで武器の切り替えをし、スペースで発射。Mキーでそのシーンでのロードマップ、Nキーで何をすればいいか書いたメモの確認ができる。とりあえずはこれだけ覚えておけばOKで、その気になればこの操作だけで先に進み続けることも可能。ただし、視点の変更や目標の切り替えなど、他にも用意されている機能はさまざまで、それぞれにキーが割り当てられている。使用するキーは全部で約40にもなるので、すべてを使いこなすには、それなりの練習が必要になるだろうし、それらの機能を使いこなせないと、厳しい展開になることも予想される。練習モードも用意されているので、ゲーム本編に入る前に十分に操作に慣れておくことをおすすめしたい。
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【グルーブ・チャンピオン&トーラス】
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物語の舞台は70年代のアメリカ・テキサス。主人公グルーブ・チャンピオンは、自警団に所属していた妹ジェードの死をきっかけに、彼女のパートナーだったトーラスと出会う。事故だと聞かされていた妹の死が実は殺人だったと知ったグルーブは、ジェードの遺志を継ぐとともに復讐を誓い、トーラスらと行動を共にすることを決意する。なんとも大仰で古臭い、いかにも「70年代でございっ!」というアナクロさ。ここまで徹底してやってくれると、それがかえって気持ちいい。映画でいえば「トランザム7000」か「キャノンボール」、アメリカンTVドラマなら「特攻野郎Aチーム」シリーズ。そんな“ノリ”を堪能できるストーリーだ。当時のノリを懐かしむことのできる私のような60年代(以前)生まれの方にはもちろん楽しんでもらえると思うし、それを知らない若い世代の方には「ちょっと古い感じのする新鮮な」設定に映るのではないだろうか。登場人物の方も、主人公のグルーブからして金髪のロンゲに口髭、サングラス。トーラスに至ってはアフロヘアにパンタロン。もう、あまりのアナクロさに涙が出るくらい……いや、時代設定を考えれば正しいんだろうけど……。
もちろんゲームはすべて日本語化されているので、英語に自信のない方でもOK。ほんの一部表記が英語のままの部分もあるけれど、音声によるメッセージで親切にガイダンスが行なわれるので、一度覚えてしまえば迷うことはないはずだ。邦訳も、よくある「直訳で意味わかんねーよ」というタイプではなく、いかにもという訳がつけられているので、ドラマを見ているように自然な感覚でプレイを進めることができる。登場する人物たちを描くのに使われているポリゴンは、画面を見てもらえばわかるとおり昔ながらのベタベタっとしたポリゴン。グーロシェーディングなどの処理を施していないので、角の目立つ粗い作りになっている。これをマイナスと取る向きもあるようだけれど、個人的にはこれは「古臭いイメージを出すための手法」だととらえている。味ですよ、味。
●なかなか硬派なゲームスタイル、何度でもトライさせる仕掛け満載
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【派手なパースと爆発】
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武装車による戦闘シーンは、とにかくハデのひとことに尽きる。敵味方入り乱れての銃撃戦。マシンガンのブリットは光跡を引いて飛び交い、キャノン砲は爆炎を上げる。敵は車ばかりではなく、ときにはそのアジトの建物を破壊することが目的だったり、敵の戦闘ヘリの攻撃をかいくぐって逃げたりと、ミッションの内容は多岐にわたる。途中で目的が変わることもあるので、手元のメモはこまめにチェックしておいたほうがいいだろう。戦闘は舗装路ばかりでなく、未舗装の道路や、そこから外れた荒野でも展開する。道を外れたとたん、車のコントロールは難しくなり、上下の揺れも大きくなって照準は定まらなくなる。また、大きなギャップに乗りあげればジャンプしてしまうし、落ち方が悪ければ車体にダメージを受けてしまうだろう。操作は多少荒っぽくても大丈夫だけれど、射撃の方は正確に。弾数に制限もあることだしね。
車体の屋根に取りつけてあるターレット(回転砲台)の武器は、一度補足した敵を自動的に追尾するという便利な機能を備えている。これがあるのとないのとでは、ゲームの難易度は雲泥の差。敵に背後を取られたら、急ブレーキを使ったスピンターンでやりすごすなど、テクニックでカバーできる部分も多い。これまでは“ノリ”の部分ばかりを取り上げてきたけれど、ゲームとしてもしっかりと練りこまれ、考えて作られている秀作だと思う。少し難易度は高めだが、プレイしていれば抜けられないほどの難しさではないし、難易度を下げる初心者モードもついているので、まずはプレイしてみてほしい。
各ステージの合間には、前のステージで破壊した敵の装備を回収して自分のものにすることができる。ここで頼りになるのが、仲間のメカニック、スキーターだ。戦闘シーンでは登場しないけれど、回収したパーツはトレーラーに積み込み、予備パーツとしてストックしておいてくれる。そして、ステージの合間にこれらのパーツを換装することで修理やパワーアップをすることができるわけだ。もちろん、破壊した敵から回収するパーツだから、すべてが完全な状態で使用できるわけではない。中には徹底的に破壊されて(自分がしたんだけど)どうしようもなくなっているものもあることだろう。トレーラーのスペースにも限りがある。何を回収し、何を捨てるか。文字通り取捨選択が迫られる。次のステージに進んでしまうと後戻りはできないので、あとで後悔しないようにじっくりと吟味したい。
●通信対戦よりもストーリーモードが楽しい
さて、この「インターステート'76」にも、通信対戦機能というものが用意されている。モデム、LAN、インターネットを使用して、最大8人までの同時対戦が可能。インターネットを使用する場合、専用サーバに接続することで世界中のプレイヤーと対戦を行なうことができる。これぞ通信対戦の醍醐味、というところなのだけれど……残念ながら、このゲームに関しては一人でストーリーモードをプレイしていた方が楽しいという印象を受けた。決して面白くないというわけではないのだけれど、ゲームとしての完成度うんぬんより前に、このゲームならではの「ノリ」あるいは「テイスト」というものが通信対戦では、薄くなってしまっていることに起因しているのかもしれない。
そうそう、ひとつ書き忘れていたけれど、ストーリーモードのプレイ中に“C”キーを押してみよう。相棒トーラスの詩を拝聴することができる。もと詩人だというトーラス、その彼の詠む詩は、きっと心を和ませてくれることだろう。70年代の、かなりサイケな内容だったりもするんだけど。
[Reported by 山城 宏]
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