Memphisの前に新たなWindows 95? OSR3の影!!
●OSR3は本当に存在するのか?
Windows 95は昨年末に中継ぎリリーフの「OSR(OEM Service Release)2」が登場したが、そのあとは'97年中に登場する次期Windows 95「Memphis」までアップグレードはないという話だった。ところが、Memphisが遅れる可能性が出て来たのと同時に、やっぱりというかOSR3のウワサが出始めた。AMUAMU氏の「アキバの楽屋から 第2回」にもそんな話が載っていたけど、これがまんざら根拠のない話というわけでもない。
今回はニュースサイトではないのだけれど、偶然見つけたOSR3情報からまず紹介しよう。「Cool DVD Specification」は、米E4社というマイナーメーカーのDVDデコードカードのスペックなのだが、よく見るとこのドライバの欄に、「WDM/Active Movie 2.0 Drivers with Microsoft's OSR3 release」としっかり書いてあるのだ。そこで、もしやと思ってMicrosoftのサイトをサーチすると、ここでもフランス語の「Glossaire」に、ICAプロトコルはWindows 95 (OSR3)でサポートされるとある。
おっと、今回はなんだかInternetWatchの「デイリーやじうま」のノリになってしまったが、もちろん、これだけではOSR3が出るという証拠にはとうていならない。しかし、もしMemphisが遅れたりすると、商売上がったりになるハードウェアメーカーは多いわけで、Microsoftとしては出せるモジュールをOSR3に入れ込みプリインストールマシンに供給するという可能性は、かなり高い。たとえば、DVD PCが米国で今年のクリスマス商戦で立ち上がるとすると、ActiveMovie 2.0はMemphis登場前であってもプリインストールしたくなるだろう。
もっとも、このActiveMovie 2.0という名前自体はもう古い。Microsoftは、5月後半にActiveMovie 2.0をDirectShow 2.0と改名してしまった。たとえば、「DVD and Microsoft Operating Systems」を見てみると、もうActiveMovie 2.0は消えてしまいDirectShow 2.0になっている。確かに、Activeつまりインターネット系テクノロジの名前からDirectつまりOSのマルチメディア系テクノロジへと名前を変えるのは、ActiveMovieの内容を考えると妥当かも知れない。でも、やっぱり混乱のモトだ。
●PC ExpoではNetPCが大集合
さて、今週ニューヨークで開催されるPC関連の大規模なショウはなんでしょう? 「PC Expo」と答えた人は、あと一歩。正解は「NetPC Expo」だ--もちろんこれは冗談、それもInfoWorldの受け売りだが、どうやら今回のPC Expoは、こう呼んでしまってもおかしくない状況になるらしい。というのは、米Intel社と米Microsoft社が、このイベントをNetPCのデビューに選んだからだ。
「PC Makers and Intel to Unveil NetPCs, Scaled-Back Desktops」(The Wall Street Journal,6/16、有料)によると、PC Expo前夜に開かれるNetPCイベントでは、米IBM社、米Compaq Computer社、米Packard Bell NEC社、米Dell Computer社、米Hewlett-Packard社、米Gateway 2000社などが、NetPCを並べるという。また、日本勢ではNEC以外に三菱電機がNetPCに参入して来ると伝えるニュース「Japanese vendors to embrace NetPC concept with product rollouts next week」(InfoWorld Electric,6/11)もある。
いずれもシールドケースで価格は1,000ドル前後。もっとも、プロトタイプの展示だけで、価格等や発売時期は発表しないメーカーも多いという。ただし、「$999 HP NetPC to ship in August」(CNET NEWS.COM,6/13)によると、NetPC急先鋒のHPだけは、同社のNetPC「Net Vectra」を999ドルで8月には投入してくる予定だという。
●山のような新製品PC Expo
PC Expoでは、NetPCの他に見どころがないわけではない。それどころか、新製品の発表はこないだのCOMDEX spring以上に活発だという。たとえば、「Lotus to ship new Organizer」(CNET NEWS.COM,6/13)は、米Lotus Development社がPIMソフトを「Organizer 97 GS」にアップデート、NotesやDominoとの連携を強めるほか、米U.S. Robotics社のPDA「Pilot」とも連携できるようにするという。また、「PC Expo Product Shower Expected」(TechWire,6/13)によると、Lotusは、NotesとDominoを中小規模の企業向けにするソフトウェアの発表を行なうらしい。
そのほか、サーバーがホットという記事もある。「Get ready for server city at PC Expo」(InfoWorld Electric,6/12)によると、CompaqやNEC、Intergraphがそれぞれサーバーニューモデルを投入するようだ。また、米国では低価格ノートパソコン攻勢をかけている日立製作所は、2,000ドル以下でフルスペックのノート新機種を投入。「Hitachi to roll out fresh lineup of notebooks at PC Expo」(InfoWorld Electric,6/13)。
とまあにぎやかだ。これは、来年からはますますCOMDEX springからPC Expo流入が増えるのではないだろうか。
●IntelがPentiumを大バーゲン
先週、PC Expoニュース以上にネットを賑わしたのは、Intelの大幅プライスカットだ。「Intel May Slash Chip Prices Even Deeper as Demand Falls」(The Wall Street Journal,6/13,http://www.wsj.com/から検索、有料)によると、Intelはもともと8月1日にMPUの値下げを予定していたのだが、その予定値下げ幅よりずっと劇的なプライスカットを発表したという。なにせ、MMXテクノロジPentiumプロセッサ200MHzの下げ幅が36%、166MHzが47%という大バーゲン。それどころか、MMXなしのPentiumにいたっては最大52%、つまり半額セールになった。新価格は7月27日から有効というから、PCを買うならそのあたりの値動きを見てからの方がよさそうだ。
「Intel slashes chip prices further as market heats up」(Computer Retail Week,6/11)は、MMX Pentium 200MHzが240ドルにまで下がることで、いよいよ1,500ドルマシンにも浸透してくると見る。ちょうど、その前の週には、米Cyrix社が新MMX MPU「6x86MX」をIntelの同クラスのMPUの半額で発売、1,500ドルPCをターゲットにすると宣言したばかり。Cyrixは、Intelの大逆襲を食らってしまった格好だ。
Intelの今回のプライスカットで特徴的なのは、ラインナップの下の製品の方が下げ幅が大きいこと。MMX Pentiumの低い動作周波数製品とPentiumに関しては大きく下げた。「Intel To Lower Chip Prices As Competition Heats Up」(The Wall Street Journal,6/12)は、この動きを、コンピューターマーケットが1,500ドル以下の低価格マシンにシフトしつつある現状の反映と分析する。Intelは、このプライスレンジの市場で、AMDやCyrixと戦うために、思い切った価格引き下げを行ったというわけだ。「Intel Set to Slash Processor Prices」(Pcworld,6/13)によると、MMX Pentiumのコストは100ドル以下なので、Intelは作戦を行なうだけの余裕があるという。
逆にいえば、いかにこれまでPC用MPUというのは、高く売られていたかということ。そして、今回、Intelはその利益をなげうっても、シェア争いに勝ち抜こうとしている。
('97/6/17)
[Reported by 後藤 弘茂]